12月23日
クリスマスまであと2日!
◯剣契
剣契のシンクレアはクローマーを殺すために頑張っていて、その成果を見にクローマーが襲撃仕掛けてくる世界線。
◇
「はい、今日も私の勝ち〜」
月夜の下、どさりと金髪の子供が倒れ込む。そのお腹の上に足を乗せて顔を覗き込んだのは背の高い片目の隠れた子供だね。
にんまりと弓形に吊り上がった口元は、ボロボロになった子供の姿を見て喜悦に歪んでいる。対して、敗れた子供は武器を握ったまま彼女を睨みあげている。
踏みつけられた腹のせいか子供は血を吐き出したけど、彼女はお構いなく話し続けるね。
「私が勝ったから、言うこと聞いてくれるよね? シンクレア」
「……そういう約束ですからね」
苦々しそうな顔で子供が吐き捨てる。
果たしてなにを要求されるのかという憂鬱さえ浮かんでいた。
「シンクレア、このあと一日私とデートしてよ」
「……え?」
女の言葉を皮切りに、辺りはしんしんと雪が降り始めた。いつも殺しの後に月を見上げている子供は、隠れてしまった月を追うように顔をあげ、もっと物騒な要求が来るだろうと予測していたクローマーの願いに子供は言葉を失った。
「知ってる? 今日はクリスマスだから、特別なのよ」
「でも、もうすぐ掃除屋の夜が始まるだろ」
「それも知ってる! この前みたいに散々追われて死にかけるのはもう嫌よね。ホテル取ってあるから、一緒にディナーと行きましょう!」
「……そういうことなら、分かった」
苦い顔なのは変わらないけど、子供は肩の力を抜いて笑った。
身寄りがなくなり、剣契に所属してからたびたび現れるクローマーを殺そうと毎夜戦っていたけれど、殺伐とした逢瀬以外の経験がなかったからかな。今夜の提案には随分と驚いたみたい。
「君が私を殺す力を手に入れて、機会をうかがうためにそこに所属してるのは知ってる。でも、勝ったほうが負けたほうの命令権を手に入れるってルールで戦いはじめたのはそっちだからね」
「いつか殺す」
「そんなこと言っちゃって〜。ホテルで私に一生懸命腰振っちゃってる子がなに言っても説得力な・い・よ♡」
「行くんだろ。掃除屋が出てくる前に、早く移動しよう」
「そうね、こっちよ!」
先ほどまで自分がボロボロにしていた相手を、当たり前のように手をとって起き上がらせて彼女は楽しげに歩き出す。追従する子供は不服そうだけど、抵抗するつもりはないようだね。
雪降る中、路地裏を歩く二つの影はとあるホテル街へと入っていった。