ゴジラ、異世界に現る。   作:小鳥 戯遊

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ゴジラとの戦いが終わり、1か月が過ぎた。
王国では平和が訪れていた。だが、復興状況はまだまだ国家全体の半分にも至っていなかった。ランドールは新たな魔法大臣に、キールは新団長となり役職を変えながら彼らは成長を遂げていく。


11:それぞれの結末

 ゴジラは去った。

ランドールは新生アルルタンの魔法大臣として、ドワーフやエルフたちの知恵や力を借りながら、王都復興のため働いていた。国の新たな長、アルルタン・ジョアナ妃は彼の働きを労う。

 

 

「例の獣騒動より1月経ちましたね。皆様にはよくしていただきました。これからも、我が子が立派な王になるまで皆で支え合っていきましょう」

 

 

ランドールは彼女の言葉に深く喜びに浸り、感謝を伝えた。

 

 

「身に余るお言葉にございます。ですが、ゴジラの遺した爪痕は大きすぎます。今後数百年はその復興に尽力しなければならないでしょう。 そのためにも国はより大きく豊かに、そして団結を強固にすべきだと痛感しました」

 

 

「そうですね......。フレアム様も、ここにいらっしゃればいいのに」

 

 

「自ら、辞めてしまったのですから......。仕方がありません。かの魔王も、あの騒動以降姿を現していませんね......。彼もまた、我が国を救った英雄であると言うのに、残念です」

 

 

「ですが、根は魔王です。いつまた侵攻するかわかりません。ですが、一度は協力できたんです。もう、彼らとは戦いたくはないものですね......」

 

 

フレアム大臣は、ゴジラ騒動後行方をくらました。今どこで、何をしているのか誰も知らない。

それは魔王デスペラードも同じであった。彼もまた、ゴジラ騒動後の行方がわからなくなっている。

その反面、嬉しいことも王都内で起きていた。一つは騎士団の再結成であった。

勇者となったキールを筆頭に、志願兵たちが増えていた。兵士たちは今、ゴジラ災害の復興のため領土内の浄化活動と瓦礫撤去に尽力していた。

 

 

「キール新団長がいますから、私は心配しておりません。ドワーフたちや騎竜の人たちも彼の元働いているのでしょう?」

 

 

「そのようです。復興が早まっているのも彼らのお陰でもあります。そうだ! 今夜、彼の団長就任祝いのパーティを開くのですが、女王様も是非参加してほしいとのことですが......」

 

 

「そうでした! それは行かなければなりませんね。では、また夜に」

 

 

そう言うと、女王はすっと立ち上がり自室に戻っていった。

ランドールは王の間から出てすぐに王都を眺められる高台の方へと向かった。

そこにはキールがすでに王都を眺めていた。

 

 

「これは、新団長殿。こんなところに黄昏てらっしゃったのですか」

 

ランドールが呼びかけると、キールは苦笑いを浮かべて握手に応じた。

そして、二人とも気恥ずかしくなったのか各々塔から見える王都の景色を眺めはじめた。

それから、キールは照れ臭そうに話し始めた。

 

 

「その呼び方、少しむず痒いです。 でも、悪い気はしませんね」

 

 

「フレアム大臣と、魔王の件だが......」

 

 

「申し訳ありません。フレアム大臣に関しては足取りも掴めていません。魔王も瘴気の森で影を見たという報告からそれらしきものは......。 そういえば、あの子はどこへ?」

 

キールはふと、ユーリのことを思い出した。だが、彼はユーリの名前など憶えてもいなかった。

それでもランドールたちの心に強烈に印象を残していた。

 

「あの子? ああ、例のゴジラ少年ですか。 彼は、旅に出るそうですよ。自分探しの旅だとか」

 

ユーリは荷物もなく、居場所もないと感じていた。

それでも、ランドールにだけは話をしていた。ランドールはいきなりのことで驚いていたが、特に気にしていなかった。キールもまた彼の行動を否定しなかった。

 

 

「そうですか。寂しいですね、今夜のパーティはゴジラを追放した祝いの席でもあるのに......」

 

 

「そういうのは、苦手なんでしょう。彼は......」

 

 

――――――――――――――――

 

二人で王都を眺めているうちに、日が落ちて来た。

ランドールとキールは高台から下りて、祝杯の準備をしていった。

騎竜隊隊長のザセリ、その部下たち。エルフたち。そして女王がたくさんの食事の並んだテーブルに座っていく。

そして主役であるキールは彼らの前に立った。

 

 

 

「今日は、集まってくれて感謝します。 これは、私の団長就任祝いと、ゴジラ追放の喜びの会であります! みなさん、楽しんでください。では、乾杯!」

 

 

「乾杯!!」

 

 

皆、思い思いのものを食べて、飲んで楽しく過ごしていた。

ただ、それを見ていた者がいた。旅人となったユーリであった。

 

 

「みんな、元気そうでなによりだ......。さ、これで心置きなく旅ができる。どこへいこうかな。エルフの国とか面白そうだよな。美人がいっぱいいそう」

 

 

独り言をブツブツと言いながら、ユーリは着の身着のまま東のエルフの国へと向かっていった。

その先のことは、ユーリ自身にしかわからない。行く手を阻むものもなかれば、応援し駆けつけてくれる友もいない。孤独の出立となった。

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 一方、瘴気の森では魔王が1人倒れていた。

魔王の体内に蓄積されていた魔力はもうなく、魔法を使う能力すら消えかけていた。

 

「これが、力を追い求めた罰か。永遠の命を得たと思っていたが、私にも限りがあったらしい。今日は祝うがいい、勇者よ。魔王の、最後の日だ......」

 

 

瘴気の森も、浄化され始めていて、魔力による外部からの回復が困難になっていた。魔王はそのことを分かっていた。それでも、この森に足を運んだのだ。誰にも看取られず、悲しみも喜びもないただ孤独で静かな死だけが彼を満足させた。魔王の身体はサラサラと砂へと変わっていき、その魂さえも消失していった。

 

だが、宇宙に飛ばされたゴジラはその魂を復讐に燃やしていた。破壊と再生の連続に嫌気をさして活動を停止していたが、ゴジラに降り注ぐ多くの宇宙線や隕石がゴジラを新たなるものへと変質させていく。ゴジラは綺麗なクリスタルに近い結晶体のような繭に包まれてその生命を維持し始めたのだ。自分を宇宙の孤独へ追いやった彼らへの復讐を誓いながら、彼はまた眠りについたのだった......。

 

(終)

 




 1シーズンお付き合いいただき、ありがとうございました。
今回で「ゴジラ、異世界に現る。」全編終了とします。


企画案「スペースゴジラVSメカゴジラ 異世界大進撃」は反響がよかったら書くかもしれません。当分は、遊戯王二次創作に戻ります。
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