眩しい日差し、最愛の妹の声に惰眠を妨害され目を開ける。
「兄さん、もう起きないと学校遅れちゃいますよ」
「うん…でも~、後5分だけ寝ててもいい~?」
「それ、四回目だから!本当に遅刻しますよ!」
バッと布団を引き剥がされて、無理やり起こそうとするユウカに細やかな抵抗をするも抱っこされ部屋から出される。
「ほら、着替えここにありますから早く着替えてください。兄さん、最近成績悪いんですから─」
ユウカの長い説教を横に流しながら、苦手な制服に着替え始める。
「ユウカ、ユウカ。着替え終わったから行くよ」
「─ですからって、兄さん…着替えてて聞いてなかったですよね」
「そんなことないよ~。でも、これ以上話してると本当に遅刻するよ~」
指を指した先にある時計は丁度8時を指していた。
そして、家からミレニアムまで20分掛かるため、数刻の余裕もない状態である。
「あっ、本当だ。兄さん、急ぎますよ!」
直ぐに説教モードから切り替えたユウカは僕のバッグと愛銃を持ち足早に玄関へ向かう。
その後をゆっくりと追いながら、玄関近くにある、ある女性の写真に日課の挨拶をする。
「生徒会長…行ってきます。早く、戻ってきてくださいね?ずっと待っていますから」
何も帰ってこないことを知っていても、あの人ならいつか急に家に来てくれるかもしれないとそんな妄想を幾度なく繰り返す。
もう、会える筈ないのに。
その考えが過った瞬間、あの日のことがフラッシュバックする。
優秀ともてはやされ、生徒会長に信用して貰っていたにも関わらず、あの日恐怖に震えなにも出来なかった自分、そんな僕を守り何処かへ消えた生徒会長。
あの場に残ったのは、あの人の血痕とメモだけ。
そして、それ以降彼女は、一度も連邦生徒会に顔を出さなくなった。
あの人は超人だった。どんなことも解決し、コミュニケーションも得意。そして、戦闘も僕より強かった。
あの程度の敵に負ける筈がない。
彼女は生きている。超人なのだから。
生きている、彼女は生きている。
「─さん!兄さん!!」
僕の腕を強く握り、大きな声で叫ぶユウカが見える。
「ダメです!早く首から手を離してください!兄さんが、死ぬなんて私認めないから!」
そのユウカの必死な顔を見て、気がついた。自身の首を力強く絞めていることを。
その瞬間、腕の力が抜け咳き込む。足りない酸素を必死に吸いながら、ユウカに謝る。
「ごめ、ん。ユウカ、迷惑かけた、ね」
「迷惑なんかじゃない!その傷が深いことは私、よく知ってるから。だけど、兄さん。死のうとなんてしないで…」
泣きじゃくるユウカの頭を撫でながら、こんな自分への嫌悪がますます酷くなる。
「大丈夫、もう大丈夫だよ。ほら、だから泣かないで。お兄ちゃんはもう元気になりました」
「…ぐすっ、それなら…いいです。なら、早く学校へ、行きますよ」
賢いユウカはこんな言葉で騙されるフリをしてくれる。僕の傷口を広げないように。
「うん、行こう」
そうして、強い日差しを浴びながら学校へ歩いていく。
彼女がいない憂鬱な日々は未だに終わりそうにない。
思い付きで書きました。後々修正箇所あったら修正します。