【完結】TS連邦士官ちゃんは、人殺しがやめられない!   作:むにゃ枕

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Chapter1 Bell Belling
01.合法的ヒト殺シノススメ


 人は争う生き物だ。ささいな諍い、痴情のもつれ、金銭、怨恨、果ては主義主張や領土問題。争いの種は絶えない。勿論、人を傷つけるのはいけないことだし、人を殺すなんてもっての外だ。まあ、でもそんな、一般論は関係ない。私は人を殺したい。

 

 私は一度死んだ身である。しかし、女神の手で転生することとなった。その女神は、MS IGLOOで見たことあるCV井上喜久子の黒衣の美女。というか死神だった。

 

――見せて頂戴。あなたの起こす変化を

 

 そんなことを言われ、私は宇宙世紀へと転生した。

 

 人間は、遺伝的要因と環境要因によって人格が形成されるというが、私の場合どちらも劣悪だった。精神的に問題のある母。そして、そんな母から私を引き取った遺伝上の父親。この遺伝上の父親は、酷く私に対して冷淡だった。

 

 生物学上の父は、大企業の御曹司だった。しかし、一夜の恋に落ち、商売女である母を孕ませてしまったのだ。二人の間に愛が有ったか否か。それは定かではない。

 

 金で手を切った父は、私を母から引き取った。母は精神的におかしくなり消息は分からない。父が私に愛を与えることはなかった。金は与えられたけれど。

 

――俺は、お前が憎い。俺の若さ故の過ちと汚点だ。穢らわしい商売女に騙されてお前を引き取ることとなった。金も選択肢もやる。だから、その顔を俺に見せるな。

 

――パパが、お姉様は、売春婦の娘って言ってたわ。お姉様、どうしてこの家にいるの??

 

――上流階級には、相応しくないな。まったくあの子には困ったものだ

 

――品というものが、ないわね。あの阿婆擦れとそっくりだわ

 

――お嬢様はどうして、そんな顔が出来るのですか?? あなたの母親は碌でもない気狂いだというのに

 

 私という中身は、元の人格と混ざって一つの私になっている。それもあって、私は不健全に育ち、至極当然のように歪んでしまった。

 生き物が苦しむ姿がどうしようもなく好きになった。はじめは小さな生き物からだった。そして、徐々に殺害する対象は大きくなっていった。猫を殺した。無抵抗なやつを殺すのは、つまらない。抵抗し、生きようとする意思を示す生物は美しいと思う。そしてそれを手折ることの快感といったらこの上ない!!

 

 夜半、ホームレスの家に火をつけた時。このままではいけないと思った。家主は留守だったようで生き物の燃える臭いはしない。残念な気持ちになりながらも、心のどこかは冷静だった。このままでは、私は破綻してしまう。企業の社長の娘だからといって、人を殺したら逮捕されるだろう。

 父は、自己の権力の保身には懸命だが、私に対して冷淡だ。自らの権力を使い、私を庇うなんてことはしないだろう。幾ら私でも、犯罪者になり、監獄で不自由に生活することは真っ平御免だった。

 

 私は未来を知っている。虐殺、暴力、悲劇に塗れた未来がすぐそこまで迫っているのだ。口角が上がってしまう。そうだ。希望の未来はすぐそこだ。

 

 私は軍に入り、人殺しの練習に明け暮れた。私の撃った銃弾が的に当たる。実戦なら的は人間だ。どんな人間だろうか。性別は? 年齢は? 性格は? 好きなものは? そういうことを考える度に、下腹部が熱くなった。

 私は士官学校及び、空軍の操縦者養成課程を優秀な成績で卒業した。そして、当初の希望通りに宇宙軍の戦闘機部隊に所属することとなった。私の才能か転生チートかは知らないが。私には未来予測と、宇宙空間に対しての高い適性があった。

 

 宇宙軍の教育隊を経て、少尉任官した先はサイド6駐留艦隊だった。サイド6は、建造途上のサイド7を除けば、最も新しいスペースコロニー群である。最新の機材を投入し最新技術を多く採用した、このサイドは富裕層の人気が高い。7つのサイドの中で最も経済的に活発な場所だ。

 そんな有数の経済都市を放置するほど地球連邦政府は甘くない。サイド6駐屯艦隊の司令官はフォルクス・メイヤー少将。宇宙軍の中では中道ではあるがやや艦隊派よりと言える人物である。旗艦であるマゼラン級戦艦1隻、そして3隻のサラミス級が主力のメイヤー少将直属の艦隊となる。また、メイヤー艦隊とは別に、コロンブス改級空母とその護衛艦であるレパント級フリゲートが2隻で構成される実験空母艦隊が存在する。

 

 私が派遣されたのは、この実験空母艦隊だ。空母エンタープライズと、ユキカゼ、カミカゼといった2隻のフリゲート艦からなっており、小艦隊と言っても良い。連邦軍の宇宙技術を実験することが目的の艦隊であり、機材は潤沢だ。

 前情報では、練度の高い部隊と聞いていたが、実際のところは拍子抜けだった。

 

「君が、ベル・べリング少尉だね。ベリング・インダストリーの御令嬢だと聞いている。上の都合で、死んでほしくないブルジョワな連中がここに集められている。君もその一員だ。が、あまりわがままは言わないでもらいたい」

「了解しました。ですが、私は他の連中とは違います」

「その台詞を言ったのは、君で16人目だ。せいぜい頑張るといい」

 

 この小さな艦隊の司令であり、空母エンタープライズの艦長であるシュマイツァー大佐は、顎髭を撫でながら前途有望な新人との顔合わせを終えた。

 燻ったシュマイツァーにとっては、気の強い女を腹の下で喘がせるのが、唯一の愉しみだった。

 

「やあ、ベル少尉。君のペアとなるオーベル・ユングだ」

「はぁ、どうも」

「ちょっと酷くないか? 俺はハンサムで性格もいい。親が連邦議員だから金もある。そんなオーベル君を無視するのは酷いと思うぜ」

「そういう手合いは嫌いなんです」

「お嬢様のくせに?」

「私は、愛人の子です。あなたみたいな上流階級のハンサムで金持ちの議員の息子とは住む世界が違います。では、さようなら」

 

 ペアとなったオーベルは、自信家でナルシストだった。性格が最悪な分、セイバーフィッシュの扱いはそれなりだった。実験艦隊というだけあり、多彩な装備を扱うことが出来たのは面白かった。

 

「シュマイツァー大佐、意見具申します」

「聞こう」

「画像誘導赤外線ミサイル及び、画像誘導での防空システムパッケージを本艦隊で導入するべきだと思います」

「理由は?」

「ミノフスキー粒子下での有効性です。模擬戦闘でもこのシステムとやりあった時は、なかなか苦戦しました」

「そうか。だが、問題はコストだ。この小規模艦隊ではどうにもできんぞ。軍への納入が却下されたシステムだからな」

 

 シュマイツァー大佐が私腹を肥やしていることは、公然の秘密だ。中央の目が届かない連邦軍は癒着、というか腐敗が進んでいるので、割と融通が利くことはある。

 

「リスクとリターンを取るべきです。賢明な判断を」

「そうは言うがねぇ、誠意が足りないよ誠意が」

「……変態」

「君、もしかして経験ないのかい? 愛人の娘なんだろう?」

「いいです。もう。失礼しました」

 

 私の尻を大佐の手が撫でた。振り払っても、なおもしつこく触ってくる手をつねる。私を、壁側に追い詰めた大佐の股間を蹴った。大佐は呻いていた。

 

 後日、実験空母艦隊に画像誘導システムや、赤外線誘導弾などが納品された。資金源はサイド6からの献金だ。腐ってやがる。

 

 装備の慣熟が終わったUC0078年。事件が発生した。ジオンのものと考えられる国籍不明艦隊がサイド6の宙域に接近しているとの報告が入ったのだった。全容としてはチベ級重巡洋艦の改造艦が3隻といったものだった。明らかにジオンの艦だが、船籍国籍は不明だという。

 

「偵察志願します」

「よろしい」

 

 シュマイツァー大佐のセクハラを潜り抜けていたら、彼は私に対してパワハラをはじめた。全部チートでねじ伏せたら態度が変わった。たまに、化け物を見るような目で私を眺めるが、それはどうでもいいことだ。

 

「ベル・ベリング中尉出ます」

「オーベル・ユング中尉、行きます」

「ブリッジ了解。幸運を祈る」

 

 雷装セイバーフィッシュ2機が、カタパルトを飛び出した。私の機が先行し、オーベル機が続く。

 

「クソ。ベルちゃん。怖いよ。俺、死にたくないよ」

「連邦議員の息子なんでしょう? お父様に助けてもらったらどうです?」

「ハハ。この状態からか?」

「ええ。議員の手は長いと聞きますし」

 

 頃合いだろう。私はスラスターを切った。このまま、行けばチベ級と激突する。赤外線反応を欺瞞するために、フレアを焚いた。オーベルも同様の動きをした。

 

「おい、ベル中尉は何をやっている。スクランブルだぞ! なぜ、フレアを出した」

「さぁ。なんででしょう」

「ミノフスキー粒子、急速に上昇します!」

「おいおい。勘弁してくれ。メイヤー少将の艦隊を盾にしろ。ユキカゼ、カミカゼも盾にする」

「は? 艦長、それは一体?」

「バカ。まだわからねぇか。敵が来るって言ってんだよ」

 

 慣性航行に移り、計器類はアイドル状態になった。エンジンの火こそ入っているものの、最低限の機能しか使うことはできない。無線は、オーベルが喚いていたので切った。

 

「さぁ、大博打と行きましょう!!」

 

 もうすぐ合法的に人を殺せるとおもうと、わくわくが止まらない。下着の中はぐちょぐちゅになっている。

 

――敵艦への距離1000

 

――500

 

――200

 

――100

 

 そして、50に入った。赤外線誘導の有効範囲だ! ミサイルを放ち、フレアをばら撒く。そして、全力で撤退する。オーベルも私につられ、そうしたらしい。

 

 

「ベル機、オーベル機、消息不明です! 赤外線でキャッチできません!」

「どこに行った! 探せ!」

「不審船、2隻が爆発しました!!」

「は?」

「味方旗艦撃沈! 敵は人型兵器!」

 

 エンタープライズのブリッジは戦場の霧に包まれていた。味方の偵察機が消え、敵のチベ級2隻が撃沈し、味方旗艦が沈む。意味不明である。

 

「艦載機、全力出撃!」

「了解、スクランブル発進」

 

 推進剤をばらまき、セイバーフィッシュは宇宙を駆けていた。アヘ顔を晒すベル。泣きながら逃げるオーベル。対照的な二人だった。

 

 

「ベル、応答してくれ。頼む。ああ。吐きそうだ。なあ! 答えてくれよ」

「う る さ い!!」

「ああ。ごめん」

 

 絶頂の余韻に浸っていたらこれだ。煩い男は嫌いだ。特に連邦議員の息子のやつ。それにしても、人を殺すのは気持ちがいい。だって、あの中には私よりも恵まれた人、お金がある人。そして、愛されている人がいるはずだから。恋人だったり、両親だったり息子だったり友達だったり、その人のことを待っている人間がいたはずなのだ。

 そんな、私よりも恵まれた人を殺せたと思うと、優越感で胸がすっきりした。これこそ自分が生きていていい理由だ。自己肯定感が高くなり、思わず笑みがこぼれてしまう。

 

「え、ベル笑ってる?? お前、笑えたの?」

「……うるさいですね」

 

 母艦に戻ろうとしたら、セイバーフィッシュとザクがドッグファイトをしている。そして味方のサラミスが爆発した。大事になっている。多分私がミサイルをぶち込んだからだろう。ジオン側も威嚇程度の予定だったのに、艦が沈んだことでエスカレーションが止まらなくなってしまったに違いない。

 

 こちらに向かってくるザク2機。ザク・マシンガンの弾薬に誘爆させ撃墜し、母艦に戻った。補給を済ませ再出撃したが、獲物はもういなかった。

 味方はマゼラン級1隻、サラミス級3隻、セイバーフィッシュ7機を失うこととなった。敵は、チベ級2隻と、ザク3機を失った。私が墜としたザクのうち2機目はパイロットが衝撃で死んでいるだけで損傷が軽微だったため、研究に回されるとかなんとか。

 

 メイヤー少将が死亡したことで、最高位となったシュマイツァー大佐だったが、私を見るなりビンタしてきた。私は華麗に躱し、逆に足払いで床に沈める。

 

「お前っ、上官に向かって!!」

「連邦軍では、暴力が許されるとは知りませんでした。このまま、踏みつけても良いってことですね?」

 

 大佐は、よろよろと立ち上がる。そして、ブツブツとぼやきはじめる。

 

「ベリング中尉、貴様のせいで外交問題だぞ。ジオンの船を沈めたんだ。本来ならこうはならなかった。奴らとは交渉済みだったんだ」

「仮想敵と裏取引ですか。大佐は、素晴らしい軍人ですね」

「クソ。お前の実家に言いつけるぞ」

「実家とは没交渉なので、どうぞご勝手に。ミノフスキー粒子下で連絡が付かず、独断専行で攻撃しましたが、私には問題は有りません。私を、弾劾したいのなら、そうされたら宜しいかと」

 

 数週間が経っても、私に処置が下ることはなかった。ニコニコ顔のシュマイツァー大佐が、私にプレゼントが有ると言って来た。非常に気持ち悪い。

 

「サイド6の連中、連邦に対しての好意的中立に鞍替えするぞ。工作が成功した。連邦の戦力を見せたからだな。よくやったベル中尉」

 

 大佐は、私を暴力装置として使う方向にしたようだった。空母エンタープライズの格納庫に積まれたのは、人型兵器だ。

 

「RRf-06。中尉が鹵獲した機体のレストア機だ。実戦データ取りだと」

「これは素晴らしい贈り物ですね。大佐。これで、ジオンの奴らを対等にぶち殺せます」

「くれぐれもやりすぎるなよ」

 

 大佐は釘を刺すが、私はもう下半身が反応していた。これでザクのパイロットを殺し放題だからだ。テンション上がって来た〜〜。さあ、私の一年戦争を始めようじゃないか。

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