【完結】TS連邦士官ちゃんは、人殺しがやめられない!   作:むにゃ枕

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07.ソロモン

 地球連邦軍はオデッサで勝利した。それはつまり、ヨーロッパ方面からジオンを駆逐したということだ。北米はガルマ・ザビが死んだためジオンの基盤は揺らいでいるし、南米はジャブローを擁する連邦の牙城だ。統一政府として、地球全土の支配権を回復するとまではいかないが、要所を奪還したと言って良いだろう。

 

「鴨撃ちだ! 的を撃つだけの簡単な戦闘だぞ!」

「スコアを稼げ!」

 

 ジムやサラミスがHLVを撃ち落としていく。ほぼ無抵抗な相手なので、味方の被害はない。彼らは、オデッサの敗残兵だ。宇宙に上がったはいいものの、連携が上手く行かず私たちの的になっている。

 

「降伏する。降伏するからやめてくれ」

「国際法を守れ。こっちは無抵抗なんだぞ!」

「頼む。娘が待っているんだ……」

 

 ジオン兵が助けてくれと喚いているが、パイロット連中は、私やオーベルの教え子であり、教育が行き届いているので躊躇していない。

 戦時国際法違反だが、前世でも守られてなかったしセーフセーフ。モラルハザードが起きているが、これがルナツーの部隊のスタンダードになっている。

 

 勿論、ルナツーの中でも良心に従い捕虜を取っている将校や部隊はいる。彼らは正しい。しかし、人間は感情の生き物であり正しいはずの彼らは、軟弱だと白眼視されている。コロニー落としを目撃したり、家族や友人が被害に遭っている人間がルナツーに多いので、仕方がない。

 

「最高だな。この機体は」

「そりゃ良かった」

 

 乗機がジムからジム・スナイパーⅡに変わったオーベルは上機嫌だった。サラミスに混じり、グレイファントムも敵HLVをメガ粒子砲で潰している。

 

 シュマイツァー大佐は、グレイヴ閣下なる人間に関わり、サイコミュや強化人間の研究に手を染めたらしい。サイド6に研究所を設置し難民を検査にかけ、非人道的なことをしている。ジム・スナイパーⅡという最新鋭機はその褒賞として貰ったという。

 

 機体は有っても乗せる人間がいないのか、彼は私たちを呼び戻した。オーベルが手塩に掛けたジム乗りが引き抜かれ、機種転換訓練を兼ねてHLVへの射撃訓練をしているのだ。

 

「ザクが溺れてやがる。お前ら楽にしてやれ」

「了解。介錯してやります」

 

 重力下での戦闘用にチューニングされたザクは、宇宙空間では良いカモだ。私が嬲りたいが、部下の経験値にさせるために譲っている。ベテランパイロットは、AMBAC機動を行っているので、部下の訓練にちょうどいい。

 

「安全な宙域で弱い者虐めしてスコアを稼げる。あーたまんねー」

「小隊長……そんなこと、広報の前で絶対言っちゃダメですからね」

「分かってるってー。でもやっぱり人殺しって楽しいよね。しかも、一方的に殺せるのは、本当に楽しい」

「……僕は、そう思いませんけどね。これは、害虫駆除です。コイツらは、ヒトじゃありませんよ」

 

 どうも、うちの部隊では、害虫駆除というワードが流行っているらしい。同じ人間として認識してしまうと心理的な負荷が大きいからだろう。一種の防衛機制が働いているのだ。個人的には、相手は人間であり、その人間を殺害することで、絶対的に優越するというところに、性的興奮と快感、そして人生の意義を感じているのだが、誰も共感してくれない。不思議だ。

 

「こちら、グレイファントム。敵パトロール艦隊が10分後に出現すると予想される。各員、撤退作業にかかれ」

「了解。ベリング隊、帰還する」

「ユング隊、同じく帰還する」

 

 シュマイツァー大佐が、グレイヴ閣下に接触したことで得た最大の技術がカサンドラシステムだ。ニュータイプ絶対殺すシステムであるEXAMシステムの技術を応用したものである。シュマイツァー大佐がニュータイプの適性検査をグレイファントムの乗組員に行った時に、オペレーターのミミンが引っかかったことにより生まれたのだ。

 MSではなくグレイファントムの索敵システムであること。それが、最大の特徴だ。激しい機動を行わない戦艦に搭載することでEXAMやHADESといったシステムに比べ、使用者の負荷は著しく低い。ミミンの高すぎる感応能力も相まって、未来予知と見紛う精度で敵艦隊の行動などをシミュレートする。

 

「カサンドラは今日も素晴らしいな。彼女の予言は全く以って正確だ。グレイヴ閣下には頭が上がらん」

「あ~、気持ち悪いです。ドラッグキメてないのに頭がガンガンするんですけど。大佐、私がいるからシステムが稼働してるんですからね?」

「分かっているとも。ミミン中尉。君はよくやってくれている」

「うちも! うちも、メンテしてますよ!」

「あーアミア中尉。もちろん君にも感謝している」

 

 大佐は、臆病で自尊心が強く保身に長けた人物である。なのでMSに搭載するよりも、自身の安全を守るために艦のシステムに組み込むという選択肢をとったわけだ。

 グレイファントムに査問が来たら、大変なことになると思われるが、教育コンピュータの設計者である天才技術者アミア中尉がいる。アミアなら誤魔化すのに造作はないだろう。

 

 カサンドラシステムは、ローリスク、ミドルリターンといったシステムだ。敵艦隊との接触を避けたり、有利な位置から戦闘を始められる。しかし、HADESのように一機で戦局を変えられるような力はない。

 それでも、非常に有用であるため、ミミンとアミアは少尉から中尉に昇進している。

 

「ガンダムの新型はどうなったんですか? ニュータイプ専用機のやつは?」

「アレックスか? 一機だけ特機があっても仕方がないだろう。だいたい、お前が乗るにしろホワイトベース隊のガキに預けるにしろ俺にメリットがない。お前を乗せても命令なんぞ聞きやしないし、一機のエースよりほどほどの量産機が多い方がいいだろう。話題は変わるが、お前のガンダムの塗装いい加減やめたらどうなんだ? あの黒赤塗装、味方からの印象が悪いぞ。俺が死神を飼ってるなんて言われる」

「あれは、カッコイイからやってるんですけど!?」

「お前以外はそうは思っていないがな」

 

 黒赤塗装カッコイイだろ……男の子って感じでカッコイイだろ……論破された私は、ふて寝した。オーベルは機体をよく壊すので、パーソナルカラーをやめている。グレイファントムでは、私だけパーソナルカラーを施しているという現状だ。

 

 チェンバロ作戦が開始された。グレイファントムは、グレイヴ閣下の麾下といった扱いなので、ペガサス級のフォレスタル、補助空母アンティータム。そして護衛のサラミス三隻とともに艦隊を組んだ。

 ペガサス級が二隻だ。豪華な艦隊である。MSも、最新鋭機がそろっている。私のガンダム。グレイファントムの、ジム・スナイパーⅡ。フォレストのペイルライダーにペイルライダー・キャバルリー。

 

「カサンドラシステム起動します。ぐっ。あ~頭痛い。しかも、情報量が多いし。敵大型モビルアーマーの出現が予想されます。中枢艦隊より離脱。左翼に展開することを推奨します」

「安全な中枢を捨てろというのか?」

「はい。閣下」

「その判断をするのにはリスクが高い。敵モビルアーマー程度、ペイルライダーが駆逐するだろう」

「お待ちください閣下。グレイファントムはカサンドラに従います。是非ともお考えの変更を」

「シュマイツァー、確かか?」

「はい。確かです」

 

 グレイヴにとって、良い選択ではなかった。艦隊の密度が高い場所から離れ、孤立するのだ。秘密主義者であり、孤立主義者であり、カサンドラシステムへの疑念もあった。

 

「分かった。意見具申を受けよう」

「感謝いたします」

 

 グレイヴの懸念は的中した、ソロモンの側面に展開した空母主体のこの艦隊は、敵にとってよい餌とみなされたのだ。

 

「敵MS小隊、座標334より侵入。迎撃用意」

「続いて座標114より二個小隊。迎撃用意」

 

 カサンドラシステムの警報により、敵MS小隊が次々に捕捉され、防空戦闘が展開される。ガンダム、ペイルライダー、キャバルリーの三機を中心にMS隊が縦横無尽に飛び交い、敵を蹴散らしていく。

 

「ボールと生存者に偽装した敵部隊です。排除してください」

「はいよ」

 

 本来ならば、ペイルライダーには敵艦の撃滅といった戦果をあげさせる予定だったのだが、艦隊防空のみで手一杯となっている。敵MSの撃墜といった戦果は収めているものの、グレイヴにとっては想定よりも低い成果だった。

 

「敵MS小隊。座標514より侵入。アナベル・ガトーと推定されます」

 

 イキったドムがやってきたが、こっちは3機なんですよね。ガンダム、ペイルライダー、キャバルリーといった布陣だ。

 

「アナル・ガトーショコラだっけ? そんなんでエースなの? 三人に勝てるわけないだろ!」

「貴様ッ。愚弄するか!!」

 

 ドムと踊っている間に、彼の部下は2機によって溶けていた。3対1となったので、ワルツをやめて墜としにかかる。

 

「待て! 逃げるな卑怯者!!」

「この恨みは忘れん!! 連邦のガンダム!!」

 

 頭部と、腕をもいだら逃げるのは狡いと思うんですが!! 男なら正々堂々勝負しろ。追いかけようとしたら警報が発令された。

 

「五分後にソーラ・システムが発射されます。MS隊は艦隊防空に専念し深追いはしないように」

「チッ、命拾いしたな」

 

 ソーラ・システムの光がソロモンを焼いていく。めちゃくちゃ綺麗だった。今まで生きてきた中で、一番美しい光かもしれない。味方が合法的に殺戮をしていくのは最高だ。

    

「お゛いぐゥ」

 

 普通に絶頂したが、問題ない。下半身がぐちゃぐちゃになって尿も漏らしているが、事態を見越してオムツをしてるので、全然大丈夫だ。

 

「形勢逆転だな。ベル。なんかすごい顔してたけど大丈夫か?」

「だ、大丈夫……なんでもない……」

「白目剝いてたぞ。まあ、ソーラ・システムは凄かったからな」

 

 その後、ビグ・ザムによりティアンム中将が死亡したりしたが、うちの艦隊はしれっと逃げているので無事だった。ホワイトベースのガンダムと戦闘機もどきが頑張ってビグ・ザムを沈めていた。戦闘機もどきは爆散したが、うちは、艦隊防空で手一杯だったのだ。仕方がない。

 

 グレイファントムに戻ると、ガンギまってるミミンがいた。目つきが異常だ。あの、私戦闘後で疲れているし、そういうのはちょっと……シャワー浴びたいし。待って。落ち着いて。やめ。やめろー。

 

 にゃーーーー。

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