【完結】TS連邦士官ちゃんは、人殺しがやめられない! 作:むにゃ枕
ソロモン陥落後、私たちはすぐさま残党狩りに移行した。狙いは研究員や被検体そのもの。それから彼らのデータである。小惑星ペズンにフォレスタル艦隊が向かい、グレイファントムはフラナガン機関の脱出艇であるムサイを狙った。
「子供たちだけでも、無事に逃がせ!! 彼らはジオンの礎になるのだ!」
「ざんね〜ん。ムサイの速度じゃ遅いんだよ」
「ぐぁッ゙」
特殊部隊が、機関停止したムサイに乗り込んでいく。無事に目標は回収したらしい。強化人間やらニュータイプの卵だ。貴重な人的資源なので有効に使わなければならない。
シュマイツァー大佐のゴミみたいなコネクションも役に立つものだ。今回は当たりだった。
「レビル大将が戦死した?? 艦隊も壊滅だと??」
「確かな情報です。ジオンの新兵器によるものだということです」
「グレイヴ少将は、レビル閥だぞ……親玉が死んじまったらどうしようもなくなっちまう」
レビル閥の親玉であるレビル将軍が死んだということにより、彼の派閥が弱体化するのは明白である。グレイヴ少将がデカい顔をしていられたのも戦争の混乱と、レビル派閥の力が有ってのことだった。
「次に来るとしたら、ワッケイン中将か……?」
「でも、彼はルナツーの司令ですからね。保守派、革新派というよりも艦隊派でしょう。亡きティアンム中将と同じ中立派です」
政治の話をしていてもどうしようもない。我々は、ア・バオア・クー攻略戦に参加しなければならないのだ。ア・バオア・クー攻略戦の目的は、フラナガン機関の被験体や研究員、データの確保である。強化人間はなんぼいても困りませんからね〜。
グレイヴ少将とシュマイツァー大佐が、顔を突き合わせて話をしている。会議には同席していたが、政治の話はよく分からない。そんな話は、どうでもいいから、コロニー落としてぇぇ! 虐殺してぇぇ!
「私が亡きレビル派の後釜に座る。そうすれば万事解決だろう。邪魔な連中は消せばいい」
「流石です。グレイヴ閣下。それでこそ閣下です」
会話が悪の陣営のソレなんだよな。私がやっていることも、褒められたことではないから仕方ないだろうけれども。
「強化人間やニュータイプの力は強大だ。HADESと強化人間は戦術兵器と呼べる代物になっている。この成果をもって軍は抑え込めるはずだ」
「しかし、戦争が終われば予算が厳しくなります。レビル将軍が戦死された今、資金が不足するのは明白です」
「研究の価値を上が認めるはずだ。一騎当千のパイロットともなれば軍縮に役立つだろう」
大佐は、あまり納得していない様子だった。連邦軍の古いドクトリンに染まった人間だからだろう。数で押すというのは確かにシンプルかつ強力な解決法なのだが、そうはいかなくなる日がすぐそこまで近づいているのだ。
「納得していないようだな。これを見ろ。アムロ・レイ曹長の戦闘データだ。リック・ドムを鎧袖一触している。我々の研究データにはこれほどの価値があるのだ」
「なるほど。身が引き締まる思いです」
ア・バオア・クー攻略戦が始まった。パブリク突撃艇やら、ジム、ボールが流星のように突撃していく。ある程度彼らが、戦線を押し上げたところで私たちの出番がやってくる。
特殊部隊員を満載したガンタンクを守りながら、ア・バオア・クーへと上陸する。それだけの簡単なミッションだ。敵大型空母が爆散するのを眺める余裕もある。そもそも、ガンダム、ペイルライダー、キャバルリーといった特機が3機がかりで護衛をしているのだ。ジム・スナイパーⅡで構成されたオーベル隊も働いているし、全く不安は無かった。
「戦後の戦争に向けてって感じでつまんない。もう、勝ちが見えてるもん」
「ベル、油断大敵だぞ。まだ、何があるか分からん」
そうは言っても、ジオングは遠くでホワイトベースのガンダムとガチンコしているし、サイコミュ付きの高機動ザクも数の暴力で沈めた。あとは、学徒のゲルググや、ロートルの乗ったザクだけだ。敵ではない。
要塞に取り付き平押しする。それだけで進入路は確保できた。進入路の維持はオーベル隊に任せ、私は弱い物いじめに向かう。
狙い目はゲルググだ。学徒兵が乗っているものが多く、機動が出来ないため、要塞から砲台代わりにビームを撃っている。低空飛行し撃ち下ろせば、簡単にスコアが稼げる。
この戦争で、私のスコアは50を軽く越える程度には稼げたのだが、ほとんどがカモの連中だ。ベテランを落とそうと新米を落とそうと評価が変わらないのは、評価システムの欠点だと思う。この戦争が終わったら佐官へのキャリアを進めようかとは考えている。成果は出しているので、教育だけ受ければすぐに昇進できるはずだ。
「停戦? ふーん。まあ、殺してもバレないだろ」
「ベリング小隊長。停戦合意がなされています。違反行為は……」
「勝者が歴史を作るからね。この程度じゃ問題ないよ」
ア・バオア・クーが陥落し、兵士を吊って移動しているザクをビームライフルで、デブリに変える。戦場はルール無用だろ!
「停戦中だぞ。グレイファントム隊は、戦闘行為を中止しろ!」
「あっ、誤射しちゃった……」
丁度、逃げる敵のMSと重なっていたサラミスが沈んでしまった。騎士道精神を持った立派な艦長が乗っていたのに、誤射で沈むなんて悲しいなぁ。もう戦争は終わるはずなのにね。
「ベリング中尉。戦闘を停止しろ。これは命令だ」
「え~。仕方ないな~」
逃げる敵を背中から撃つボーナスタイムが終わってしまった。クソ。もっと、後ろから撃ちたかった。
ア・バオア・クーを攻略したことによりジオン公国は降伏。月面都市グラナダで和平が調印され戦争は終結した。この戦争の実質的な勝者がジオンであることは、誰の目にも明らかだった。サイド3は、ジオン共和国となったものの国土は無傷だ。しかし、連邦政府は違う。多くの親連邦的なサイドが傷ついた。地球にはコロニーが落ち多数の民間人が死亡した。
独立という目的こそ達成されなかったものの、得たものが大きいのはジオン側だった。
「駐屯部隊ねぇ。俺たちがか」
「仕方がないだろう。他の艦隊はガタガタだ。将官クラスで残っている武闘派は少ない。占領統治なんてジャブローのモグラがやりたがらないからな」
グレイヴ閣下は、強化人間技術の獲得のために占領統治に関わることとなったらしい。シュマイツァー大佐は無能だが、コネクションだけは広いので腹心のような存在になっている。うちの部隊の治安や民度は終わっているのだが、上層部はそれを考慮しなかったらしい。
連邦軍のタカ派、もとい極右勢力による占領統治は、当然ながら上手く行かなかった。バハロ首相の率いる現地政権は融和的な政策を求めたが、占領軍は拒否。占領政府による圧政を行った。集会の禁止や、反連邦軍的な言論の禁止。密告の推奨などだ。当然、反連邦感情は高まっていく。
上層部は、ジオンへの牽制として極右勢力を占領政府に付けたのだろうが、大失敗だ。連邦軍駐屯地への嫌がらせは当然のように行われているし、現地警察は連邦軍に全く協力していない。暗澹たる現状だ。
「治安最悪っすね。うち、軍の制服着てないのに水かけられたっすよ。ジオン市民もっと見せしめにした方が良いんじゃないっすか?」
「あ~それは、流石に軍法上厳しい。それにしてもアミア中尉、よくこんな中外出しようと思ったね」
「うち、スイーツ食べに行ったんですよ。それで、この結果ですからね。やっぱスペースノイドってのは生きる価値無いですよ」
アミア・ミア中尉は、技術者のくせにかなりの過激思想を持っているのだ。ジャブローの狗と味方に向かって言っていたこともあった。
専門外のことでは、過激になるやつだ。能力はあり頭もいいはずなのにこのざまである。彼女は極端な例だが、多かれ少なかれ占領軍の間に漂っている空気はこれと同じだ。
過激さが伝染しているのか、最近の私は、めっきりベッドの上で責められるようになった。お互いにドラッグまみれになりながら、首を締め合い感応すると、もう気が狂うほど気持ちがいい。
二人だけだと寂しいので、ペイルライダーのパイロットであるクロエ・クローチェちゃんをさりげなく誘ったのだが、すごい顔で逃げられてしまった。それからずっと避けられている。ペイルライダー・キャバルリーの方の子にも、避けられているのでどうしようもない。
ドラッグキメて感応することで、お互いが溶け合うようなセックスが出来るのだが、それしかしていないのも問題だ。同じ相手だと飽きる。試しに、捕虜にしたゲリラの女の子に注射して軽く感応したら発狂してしまった。そして彼女は舌を噛み千切って死んだ。服すら脱がせていないのに死ぬんだ……ってびっくりした。
私は未遂だと判断していたのだが、ミミンにとっては浮気だったらしく、大変なことになった。チョーカーがしばらく外せなくなってしまった。
サイド3の治安は悪化する一方だった。占領軍と現地住民の間の憎悪は拡大する一方だ。占領軍が殺人や強姦事件を起こしても、現地には裁判権がないから裁けないし、軍事法廷の量刑は軽い。そういった問題が、どんどん怒りの種を蒔いていく。
市民が、ジオン残党を支持しているのは公然の秘密となっていた。占領軍はそれが気に入らないから、乱暴なことをする。すると市民が残党をますます支持するといった負のループは留まるところを知らなかった。
溜まりに溜まった不満は、爆発するものである。サイド3グローブを中心とした大規模な反連邦デモが発生した。駐留軍は現地政府に鎮圧を命じるも、デモ隊に同情的な現地警察、現地軍は動かなかった。
そのため、連邦軍が治安出動することとなった。当初のデモ隊は規律正しかったが、規模が拡大するにつれ秩序は失われていった。親連邦的な商店を襲ったり、武器を持ちだしたりする始末だ。連邦軍は、デモ隊をジオン残党のテロリストと認定し、現場判断で武器の使用も認められた。
演習のため、他のMS隊が離れていたので、私が鎮圧部隊の指揮官になった。バカがよ。プロパガンダで英雄になっている私ならなんとかすると思ったのか? 上層部はバカなんじゃないか? シュマイツァー大佐なら血相を変えて止めただろうが生憎彼はいない。留守部隊になって、本当に運が良かった。
「こちら、地球連邦駐屯軍、ベル・ベリング中尉だ。デモを解散しろ。さもなければ、私たちは鎮圧しなければならなくなる」
「黙れ!」
「連邦は消えろ!」
「去れ!!」
ガンダムを怖れもしないデモ隊は立派だ。しかし彼らはもうテロリストなのだ。軍法上は彼らに何をしても許される。
「死ねぇェ!!!」
「殺せ!! 連邦軍を殺せ!!」
火炎瓶が、装甲車目掛けて飛んでくる。デモ隊の小銃を持った奴が、発砲しはじめた。
「敵対的行動を確認。グローブ地区の住民を全てテロリストとみなす。捕虜は不要だ。まだだ、まだ撃つなよ」
改めてテロリストに向けて呼びかけるが、返ってきた答えは火炎瓶だった。
「行動開始。鎮圧しろ」
まずは、私のガンダムでテロリストを踏み潰す。ようやくこちらの本気に気が付いたのだろう。テロリストは泡を食って逃げ出し始めた。
「これは、虐殺ではない。正当な根拠を持った鎮圧行動だ。連邦の正義を示せ!!」
味方MSが発砲をはじめる。装甲車もどんどん撃ち始める。素晴らしい。これこそ、私が見たかった光景だ。この光景を作り出してくれた上層部に感謝しなければ。
「あ゛づ。イ゛グ。もう最高じゃん!」
数度の絶頂を経ても、興奮の余韻は収まらなかった。事前に排尿は済ませてきたので、失禁したりはしていない。私は学習する女なので。
MSから降りて、地獄のような光景を間近で見に行った。兵士が少女に向かって腰を振っている。少女の目には深い漆黒だけが映し出されていた。
首の千切れた母親のそばで幼児が泣いていた。かわいそうに。でも、君らテロリストだもんね。
「こ、これは中尉殿ッ」
「良い。続けてくれ」
「ハッ」
下半身丸出しの兵が慌てて敬礼するが、私は気にしない。獣の本能剥き出しって感じで好感が持てる。
結局、現地の警察や軍が介入することによりこの事件は終わった。その介入までの間に行われたテロリスト鎮圧では、数万人のグローブ市民が犠牲になった。虐殺? これは、テロリストの鎮圧なんですけど?
バハロ首相は、遺憾の意を発令。しかし、そんなものに意味はない。植民地は大人しく宗主国に従えばいいのだ。
楽しかった。人生で一番の経験だった。今日の経験を嚙みしめながらベッドでウトウトしていると、突然、ドアが蹴破られた。完全武装の特殊部隊員が、私に小銃を突き付けている。指はトリガーに掛かっており、いつでも発砲できるようだ。
「ベル・ベリング元中尉。貴様の軍籍は剥奪された。お前には大量虐殺の容疑が掛かっている。大人しくしろ」
寝巻のままの私は、荷物のように乱雑な扱いで護送車の中にぶち込まれた。