「はぁ、なんだか普通に良い人そうな魔女を殺すのは嫌だなぁ」
「なんか言ったか、百騎兵」
現在、俺は森の魔女を倒すという目的を無理矢理メタリカに押しつけられて、そのまま奥に進んだ。
そこに待っていたのは、あの時の黒い魔女こと森の魔女ことマーリカ。
けれど、もう片方は知らない顔だ。
「・・・おや、・・・・珍しい客、というよりも変態か?」
「変態言うな、俺だって好きでこんな格好をしている訳じゃないぞ」
紫髪の方は俺の格好を見て、変態だと言う。
実際にハシビロコウの覆面に半裸だから、変態だと言われても仕方ないが。
「じゃぁ、私は行くわ」
「悪いわね、あなたばかりお願いして」
「あなたの頼みですもの。私に任せて」
それだけ言って、片方の少女はそのまま出て行った。
そして、マーリカはこちらに向ける。
「ようこそ、マナの御名の下に集う友人よ。ずいぶんと森を荒らしたようですね。
ですが、せっかくここまで来て頂いたのです。あなたを歓迎しましょう」
「いやぁ、すいません、俺のご主人が無理矢理進ませるから。本当に面倒だったけど」
「あら、なんというか苦労をしているんですね」
そう、俺の苦労を察してくれたマーリカは呟く。
そして。
「あらためまして。私はこの森の秩序と繁栄を司る魔女。マーリカと申します」
「・・・やっぱり、これ明らかに俺達が悪役じゃないか」
マーリカの台詞を聞いて、俺は改めてため息を吐く。
「あなたは、魔法生物というには何か奇妙ですが、一体」
「なんだかあいつが言うには百騎兵という存在らしい」
俺はそう呟きながら。
「まぁ、良かったら、お茶をどうぞ」
「あっこれはどうも」
そう、マーリカに促されるがままにお茶を飲む。
すると、全身に感じたのは痺れるような毒。
「っ」
同時に身体が動かなくなる。
「バカ!何をやっているんだ」
促されるがままに飲んだ結果を見て、メタリカが叫んでいた。
「ふふっ、甘く考えすぎたようですね。これで数時間は動けないようですね。
それに、彼にそれ程の「おい、てめぇ」あら」
マーリカが何か言おうとしたが、俺はそのまま立ち上がる。
「キヒヒ、甘いのはお前の方だ。そいつは変態で確かに馬鹿でかなり善良らしいがな、だまし討ちをした相手に対して容赦すると思うか」
そうメタリカが声を響くが、事実そうだ。
「てめぇ親切な顔をして騙しやがって許さねぇぞこの野郎!」
俺はそう叫ぶと共に、既にジュウガドライバーを腰に回す。
「変身!」『スクランブル!二種の遺伝子、強き志爆ぜろ、吠えろ、超越せよ!仮面ライダージュウガ!Go Over……!』
それと共に、俺は叫ぶと同時に、ジュウガへと変身する。
「これは」
「キヒヒッ、覚悟をしておけ、そいつを倒す事は出来るかなぁ」
そう、俺がジュウガへと変身を完了すると共に、マーリカは警戒して杖を構える。
そして、メタリカの明らかに悪者が叫びそうな声と共に、戦いが始まる。
「行くぜぇ!!」
俺は叫びながら一歩踏み出し、ジュウガの力でマーリカに向かって突進する。
彼女も警戒し、杖を構え直す。
マーリカの魔力弾を避けながら、進む。
その瞬間、空気が震えるような重々しい魔力の波動が周囲を包み込む。木々がざわめき、小鳥たちが逃げ惑う。それでも俺は決して止まらない。
そして、マーリカに接近すると共に蹴る。その蹴りにはジュウガとしての力を存分に込めている。だが、俺の蹴りはマーリカの前で止まった。まるで目に見えない壁にぶつかったかのようだ。
「なっ!?」
俺の驚愕の声が森に響く。まるで時間が止まったかのように静寂が訪れる。しかしそれも束の間、メタリカの声が再び現実へと引き戻す。
「ちっ、防御魔法か」
「はぁ、魔法、なんでもありかよ!?」
メタリカの言葉を聞きながら、そのまま後ろに下がる。その瞬間、再びマーリカからの攻撃が再開される。光る弾丸が次々と放たれ、俺はその攻撃を走りながら避ける。木々の間を縫うように駆け抜けるが、それでも攻撃は容赦なく追いかけてくる。
「どうする、考えろ!あの防御魔法を突破する方法をっ!」
その叫び声と共に俺は頭をフル回転させる。このままでは勝機は見えない。何か突破口を見つけなければならない。しかしマーリカもまた同じように冷静で、次々と新しい魔法を繰り出してくる。
防御魔法でこちらの攻撃は完全に遮断されている。
それは、本当なのか。
確かに一発の攻撃だけだったら、あまり効果がないように見える。
「検証してみるか」「百騎兵」
それを確かめる為に、俺は再度、マーリカへと接近する。
「無駄ですよ」
そう、俺にさらに魔法を放っていく。
俺はそれを掻い潜りながら避け、殴る。
殴った感触は確かに硬い。まるで鉄板を素手で殴っているかのような感覚が広がる。
一瞬痛みが走り、手首に痺れが広がったが、その痛みを我慢しながら再度攻撃を続ける。
マーリカは防御魔法に覆われ、まるで無敵の存在のように見える。しかし、この防御魔法にも限界があると直感的に感じた。
「もう一丁!」
そのまま、再度攻撃を放つ。拳が空気を切り裂きながら防御魔法へとぶつかる瞬間、僅かな振動を感じ取った。それは防御魔法が微かに揺れる音だった。
攻撃を受けたマーリカの防御魔法は、確かに反応している。魔法の表面が微細に波打つのが見えた。
しかし、その波動は一瞬だけ収まり、再び元の硬さを取り戻す。しかし、その一瞬の揺らぎを見逃さなかった俺は確信した。
「絶対に壊せない訳じゃなさそうだなぁ」
それが攻略法だと、気づき、俺は笑みを浮かべる。
そのまま、俺はジュウガドライバーを操作する。
『インパルスゲノムエッジ!』
鳴り響く音声と共に、俺はそのまま再度接近する。
「無駄な事を」
そう、マーリカは冷たく呟きながら、両手に集中した魔力を一気に解き放つ。閃光のような魔法の矢が俺に向かって飛んでくる。
しかし、その瞬間が狙いだった。
「それごと喰らいやがれ!」
俺はその手を居合のように素早く引き戻し、真っ直ぐパンチを放った。拳に込めた全ての力を一気に放出し、マーリカの防御魔法に直撃させる。瞬間、硬い防御魔法が微細な振動を伴って揺らぐのを感じた。
「なっ」
驚愕の表情を浮かべるマーリカ。その瞬間、彼女の放った魔法が俺の拳にぶつかり、反発して跳ね返った。その跳ね返った魔法が防御魔法を貫通し、マーリカ自身へと向かって襲い掛かる。
「何が」
驚愕と混乱の表情でマーリカが呟く。防御魔法は彼女の攻撃を防ぐためのものであったが、それが逆に利用されてしまったことに気づいた瞬間、彼女は吹き飛ばされた。
「防御だと言っているけど、それは魔法攻撃を放つ時にはそれが外れると考えるだろ。だったら、奴の魔法をカウンターで跳ね返せれば良い!」
吹き飛ばされた一瞬の隙。それは俺にとって最大のチャンスだった。
「ブラキオの銃!」
俺は真っ直ぐと、その腕を銃弾のような速度で振り抜き、パンチをマーリカに叩き込んだ。その一撃で彼女はそのまま動かなくなり、地面に倒れ込んだ。
「やった……!これで終わりだ」
息を切らしながら呟くと、周囲の静寂が一瞬だけ戻った。だがその静けさもすぐに破られ、メタリカの声が響く。
「よくやった、百騎兵。これで我々の目的は達成されたな」
それと共に、既にピラーを破壊していたのか、メタリカは来ていた。
メタリカは、そのままマーリカを蹴る。
「がはぁ、ごほっごほっ」
先程、不意打ちをした相手とはいえ、さすがにこれ以上は駄目だろう。
「まぁ、心配するな、すぐに楽にしてやるよ」
「まっ待ちなさいリカ!あなたはまだ理解していない!お願い!私の話を聞きなさい」
「いやだね。お前は今から死ぬ。話を聞けるこいつに毒を飲ませたその時点で既に決まっているんだよ」
メタリカは、そうなぜか俺の方を見た。
「私の物に手を出そうとしたからな」
そうメタリカの視線が一体何があるのか。
俺の疑問に思いながら、そのままマーリカを睨んでいた。
「今まで幾度となく出会いながら、話せなかった事です」
だが、マーリカは続ける。
「私はっ、私は、あなたの母なのですよ」
そう優しげに語りかける。
語りかけるが。
その瞬間、森全体が静まり返るような雰囲気になった。まるで時間が止まったかのようだ。木々の葉が揺れることもなく、小鳥たちのさえずりさえも止まる。そしてその静寂の中、マーリカの言葉だけが響き渡った。
けれど。
「・・・いや、それって、育児放棄じゃない、普通に」
俺はその言葉にひいた。
この人、見た目は綺麗なのに、普通にヤベー奴だ。
そして、メタリカが驚愕の表情を浮かべた。
「え?母?」
「そうよ、リカ。私はずっとあなたを見守っていたのよ」
「……嘘だ」
しかし、メタリカはマーリカの言葉を完全に信じていないようだ。
俺はその会話に割り込むように言った。
「まあ、信じるかどうかは別として、話くらい聞いてあげてもいいんじゃないか?」
その言葉を聞いて、マーリカは微かに微笑んだ。しかし。
メタリカは、そのままマーリカをまさかの鼠に変えた。
「なぜ、鼠」
疑問に思っていると、マーリカの鼠の声を出した。
「キヒヒ!!どうだ、百騎兵!殺すより面白いだろ?」
「いや、鼠にしたのは、確かに嫌だけど」
「何を言っている?面白いのはここからだぞ」
すると、メタリカが召喚したのは鼠。
しかし、その鼠たちは普通ではなかった。
目は血走り、不気味な笑みを浮かべているように見えた。その異様な姿に俺は息を飲んだ。
「気に入ったか?今のお前にお似合いなイキのいい雄鼠共だ」
「おっお前、まさか」
それにはさすがの俺もひいた。この状況が示す意味は明らかだった。
「私の母だと抜かすなら、私に弟と妹を沢山作っておくれよ。お・か・あ・さ・ん!」
メタリカの声は残酷で、その言葉に反応した雄の鼠たちが一斉にマーリカだった鼠に向かって突進した。逃げようとするマーリカの姿は悲痛で、俺の心にも深く突き刺さった。
「キヒヒ、ざまぁ見たか!これで私の勝ちだマーリカ!!」
そう、まさしく悪人顔で笑うメタリカ。
「・・・俺も外道だけどこいつはさらにやべぇわ」