賢者は使い魔   作:超高校級の切望

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マジックアイテム

 5人は馬車に乗る。御者はロングビルだ。

 キュルケとタバサは静かなものでエルザは元々夜行性で最近切り替えたばかりなので、今はケントの膝に頭を乗せスヤスヤ眠っている。

 

 馬で四時間かかるというのに、このままずっと無言? なんか、落ち着かないとキュルケを見るルイズ。彼女の事は嫌いだけど、こういう時場の空気を変えるのは彼女だと思っているのだろう。嫌いだけど。

 

「あ、あの時コルベール先生、何したのかしら?」

 

 散々考えて、そんな事を言う彼女は場を盛り上げる才能はない。そら見ろ、空気がさらに悪くなったぞ。

 

「懐にしまってたペンを分解して、ペン先を指で投げたんだ。んで、その音に反応した2人から杖を奪った」

「なんか、卑怯な戦い方ね」

「そう、そうよ!」

 

 魔法が使えぬ故に貴族として相応しい人間になろうとしていたルイズからして、不意をつくような戦い方につい物申すと、キュルケが反応した。

 

「正面なら戦えば、私が負けるわけないわ!」

「いや負けるだろ」

 

 精々堂々やれば自分が勝ったとプライドを立て直すキュルケ。だが、それをあっさりケントが否定する。

 

「むしろあの男がそんな手を使ったのは、お前達にそうやって言い訳の余地を残させるためだろ」

 

 ケントの見立てでは、杖を突き合わせ戦った場合学院で一番強いのは教師、生徒含めオスマン。そして2番目はコルベール。因みに3番目はタバサだ。

 

「そもそもお前、これからコソドロ捕まえに行くのにコソドロが正面から戦ってくれると思ってんのか?」

「正面から戦う可能性もありませんか? かの大盗賊フーケは、白昼堂々と攻めてくることもあったそうです」

「昨日は夜動いてたろ。魔法学院に正面から勝てるとは思ってねえ証拠だ。こっちの戦力を事前に知らない限り正面から来るってこたぁねえだろ」

「そ、そうですね」

 

 

「そういえば、ケント、大丈夫なの? 魔法使えないんでしょ?」

「それは、どういうことですか?」

 

 目的の森が近付いてくる中、不意にルイズが思い出す。マチルダがその言葉を思わず振り向いた。

 

「昨日、宝物庫から飛び出してきた人形があってな。あれ俺の国の魔導鎮圧機兵つって………まあ対メイジのガーゴイルなんだよ。あいつの出す光を浴びると魔法術式の構築阻害……あ〜、魔法が使えなくなる」

 

 魔法至上主義のハルケギニアの民達は、自分達が持つ力を無効化されると聞いて目を見開き固まる。

 

「まあ俺は凄いメイジだから完全に使えない訳じゃねえけど、例えば」

 

 パチンと指を鳴らすと木が吹き飛んだ。

 

「術式が自己崩壊する前に魔力を流し込む爆発とか……」

 

 指を向ける。森の一部が吹き飛んだ。

 

「魔力をこうして飛ばすのも出来るな。これは術式を介さない………後は」

 

 こちらでは異端とされる、精霊の力とかも使える。あれも術式は使わない。まあタバサ以外に見せると面倒なことになるかもしれないが。

 

 それに、戦う手段は魔法以外にもある。

 

「剣だって使えるしな」

 

 

 

 

 

 場所は深い森に入っていった。鬱蒼とした森が恐怖を煽る。昼だというのに薄暗く、気味が悪い。

 

「ここから先は徒歩で行きましょう」

 

 ロングビルの言葉に従い馬車を降りる一同。エルザはふぁ、と欠伸しながら目を擦る。

 

「なんだか怖ぁい」

「歩き難い」

 

 くっついてくるキュルケを剥がして、ケントはふと尋ねる。

 

「そういえば件のマジックアイテムは、それぞれどんな見た目、どんな機能なんだ?」

「ええと、破壊の杖はワイバーンを一撃で消し飛ばす魔法を与え、魔神の心臓はゴーレムやガーゴイルに魔神の如き力を与えると聞いています。魔神の心臓は球体で………破壊の杖は、なんというんでしょうか」

「あたしも見たことあるけど、杖には見えなかったわね」

 

 と、会話していると森の中の空き地に出る。真ん中には廃屋。朽ちかけた炭火焼きの竈と壁板が外れた物置。

 

「私の聞いた情報だと、あの中にいるそうです」

 

 人が住んでる気配はない。全員が警戒する中、ケントは隠れることもせず廃屋に向かうと扉を蹴破。

 扉が倒れ埃が舞う。

 

「ちょ、ちょっと! もっと慎重に!」

「ダーリンったら大胆」

「もっと気を付けて」

 

 三人娘が駆け寄ってくる。ロングビルは周囲を散策するそうだ。

 エルザがヒョコッと家の中の覗く。うっすら積もった埃だらけの床に、男物か女物か分からない靴跡が残る。

 

「…………これ?」

 

 チェストの中から見つけたそれを掲げるエルザ。左手のルーンが光り、首を傾げる。

 

「破壊の杖」

「あっけないわね!」

 

 タバサが頷きキュルケが叫ぶ。エルザはマジックアイテムを見つけたとケントに向かい視線を向けるが、ケントの目は肉料理を期待していたのに魚料理が出てきて、まあ嫌いじゃないけどと言いたげな目だった。

 

「これかぁ………ここからも流れてきてんのかあ。偶然じゃねえよな」

「ひょっとして、これもお兄ちゃんの故郷の?」

「ん〜。あ〜………生まれ故郷のものではあるな。正式名称は知らねえけど。マジックアイテムじゃなかった」

「えっと………元気出して、まだ魔神の心臓が残ってるじゃない」

 

 テンションが下がるケントを慰めるルイズ。ケントはああ、と思い出す。

 

 ゴーレムやガーゴイルを強化する魔神の心臓。そして、ゴーレム使いのフーケ。ならば次は………

 

 ズウウン、と足音が響く。ばごぉーんと小屋の屋根が吹き飛んだ。景観が良くなった。青空を覆うような巨大ゴーレムが見える。

 

 学院の時よりも大きい。キュルケとタバサが魔法を放つが、飲み込まれた。

 

「………え?」

「魔法吸収か………なるほど。魔法至上主義のハルケギニアじゃ、確かに魔神だ」

 

 固まるタバサ達を横目にケントは慌てる様子もなく呟く。

 

──錬氣(れんき)──

 

 ヒュウ、とケントが息を吸う。瞬間、地面が罅割れる程のエネルギーがケントから溢れ出した。

 

虎昂裂脚(ここうれっきゃく)

 

 ゴーレムが右腕を振り下ろし、ケントが蹴りを放つ。ゴーレムの半身が吹き飛んだ。

 

「たかが魔法だけで、色んな奴等に狙われる賢者をやってけるかっての」

 

 ケントは魔法使いだ。それは間違いない。だが魔法だけで生きていけるほど、賢人の塔も、国の重鎮も甘くはない。

 

「……………ん?」

 

 ゴーレムの崩れた断面から覗く赤い宝玉。魔神の心臓であろうそれを見て、ケントは目を見開く。

 

「やべ──」

 

 放たれる光線。大地を抉り、森を消し飛ばし、山を切り裂いた。

 

 壊れかけのゴーレムは残った体を集めながら人型を取り、錬金でも使ったかのようにその身を構成する素材を変えていく。

 

 金属でも鉱石でもない、ハルケギニアには存在しない純白の物質。

 羽のような背中のパーツが開き、頭部に幾何学的な光輪が浮かぶ。

 

「殲滅天使『エンジェル☆たん』じゃねえか………まずいな。今の俺じゃ勝てねえかも」

 


 

主人公が強すぎて、好きなキャラのフーケがモルモットになる未来しか視えない→せや、力封印しよ

それでも強いから死ぬ未来しか見えない→せや、敵を強化しよ。

 

なお、主人公の世界のものが迷い込んだ結果、一番の被害者はレコン・キスタになる予定。あんな物を使うから………。

 

因みにフーケはゴーレムは勝手に動くし魔力は搾り取られるしもう散々な目に遭ってる。森のどっかで痙攣してるから見つけてあげよう。

可哀想で可愛いね

 

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