これ実質アルター能力だ!   作:ロッカー先輩

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本当にお久しぶりです

長らくお待たせしました


飛鳥馬トキ

 

 

 

 

 

  ■

 

 

 

 

 

 「来なさい・・・トキ」

 

 

 リオの呼びかけに応じるように、一人の少女がすぐさま彼女の横に現れる。

 

 

「コールサイン04、いつでも戦闘可能です」

 

 機械ように無機質な返答を行うと共にリオの隣に現れた少女はメイドであった。

 

 頭に装着されたホワイトブリムに白と黒のシンプルなカラーのロングスカートのエプロンドレス。そのエプロンドレスとは対照的に胸元と腰では大きな水色のリボンが主張しており、絶妙なアクセントとして機能している。

 

 その姿を見たのならば、10人中10人がメイドだと答とえる程には、完成された姿だった。

 

 だが、銃火器と拳によって作り出された瓦礫とスクラップが散乱するこの戦場において、そのメイドは酷く場違いに見えるのだった。

 

 リオがトキに語りかける。アバンギャルド君がやられた状況においても彼女に焦りはなく、ただ淡々と必要なことだけを述べる。

 

 

 「今までの戦闘データは見ていたわね?彼女は絶対に倒さなければならないキヴォトスの敵、『名もなき神々の王女』」

 

 「本気で対処しなければこちらがやられる。彼女を止めなければキヴォトスに未来はない。ここで確実に倒すのよ」

 

 

 いつになく険しい剣幕で話す主人から自身に与えられた任務の重さが否が応でも伝わってくる。だが、その程度で動じるようではC&Cのコールサインを持つ者としては失格である。

 

 

 「承知いたしましたリオ様」

 

 

 いつものように変わり無く、主人からのオーダーを受領する。何があろうと自身はただ主人の命令を遂行するだけだ。それがC&Cのメイドとしての役割なのだから・・・

 

 端末を使い、待機状態となっているアビ・エシュフを呼び出す。すぐさまこちらに向かってくる事が確認できたので、トキは主人の(カズハ)の元へと進んでいく。

 

 

 

 リオが増援を呼ぶのを確認し、次はどんな奴が来るのかと身構えていたが、あまりにも意外な存在に虚を付かれる。

 

 メイドだと!?今までドローンやロボットとの連戦だったのに、いきなり登場したメイドに一瞬気を取られる。だって明らかに場違いじゃねぇか。そんなことを脳内で愚痴るがすぐさま意識を切り替える。

 

 アイツ(リオ)は俺を叩き潰すためにここに来たんだ。それに、ここまでのアイツの行動には一切の無駄がない。話してても感じたが、アイツは俺を倒すために常に合理的な選択を取っている。だったらあのメイドも俺を倒すために呼んだのは間違いない筈だ。そう結論付け、こちらに向かって歩いてくるメイドに意識を向け直す。

 

 

 「アンタが次の相手ってワケか」

 

 

 今更する必要の無い確認をメイドに聞こえるように大声を出す。声を出して牽制する、一種の宣戦布告みたいなものだ。

 

 声を掛けられるとは思っていなかったのだろう、メイドがピクリと一瞬反応するのが見えた。それでも鉄仮面のような無表情が崩れることはなく、無機質な視線がこちらに刺さる。

 

 その直後、空を奔る一筋の光が風を切る音とともにこちらに向かってくる。そして、その光はメイドのすぐ前に落下し、粉塵を巻き上げる。

 

 咄嗟に腕を交差して、顔を守るように構えを取る。吹き荒れる粉塵に視界を遮られた中で確認できたのは、さっきのメイドがメイド服を脱ぎ捨てて黒いインナー姿になるところだけだった。

 

 奇襲を警戒してメイドから距離を取る。すると案の定銃撃が粉塵の中から繰り出される。

 

 それに対して地面を右腕で殴り空中へと飛び上がって回避行動を取る。

 

 だが、射撃の軌道は先回りするように対空射撃へ変化する。

 

 

 「動きを読まれた!?」

 

 

 動きを先読みされては、銃弾を回避することは叶わず銃撃を受けながら右腕で地面を殴り、勢いを殺しながら着地する。

 

 それと同時に粉塵も晴れ、メイドの姿が露わになる。

 

 そこに居たのはパワードスーツを着込んだ黒インナーの少女であった。メイド要素は殆ど失われ、頭の上のホワイトブリムが彼女がメイドだった事を示す唯一の証だろう。

 

 両腕のマニュピレーターが持つ3銃身のガトリングガンの回転が徐々に遅くなっていくのを見て、自分を撃った武装はアレかと勝手に考える。

 

 それはそうとあっちも準備万端のようなので俺はメイドに向かって真っ直ぐ突っ込んでいく。

 

 

 「ずいぶん派手な挨拶じゃねぇか!さぁ、喧嘩を始めようぜ!」

 

「コールサイン04飛鳥馬トキ、リオ様の命により貴女を排除します」

 

 

 名乗りを上げるメイド・・・飛鳥馬トキ。彼女との喧嘩が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 「ハァハァ・・・」

 

 

 肩で息をしながら眼の前の敵を睨む。ガトリングによる攻撃が飛んでくるのを避けながらどうにかしてトキに近づこうと試みる。しかし、トキも俺の間合いを理解してるようであからさまに距離を離される。

 

 クソッ!こっちの動きが全部読まれてやがる!

 

 さっき意気揚々とトキに向かって殴り込みを行った俺だったが、そこからの状況は一方的なものであった。

 

 俺の攻撃が通らず、あちらの攻撃だけが当たる。そんな状況が何分も続いている。

 

 弾幕を突っ切って距離を詰めての一撃、軽く受け流されてパワードスーツの蹴りを受けて吹き飛ばされた。

 

 落ちていた破片を投げてからの拳による追撃。シェルブリットによる投石で、弾丸と大差ない威力で打ち出されたそれに追従しながらの一撃も、軽く躱されて迎撃される。

 

 それ以外のも試したが、何もかもが防がれて終わるに至った。しかもそれは、時間が経つごとに顕著になっていく。

 

 最初は間合いに入れていたが、今では距離すら詰めれない。投石などによる遠距離攻撃も簡単に防がれてしまう。この読みには確実にカラクリがある。

 

 打開策となるのはあと一発だけ撃てる必殺の一撃『抹殺のラストブリット』だけだ。こいつを確実に当てるには、避けられないように極限まで距離を詰めるしか無い。

 

 そのためにも必要なのは速さだ。今の俺には速さが足りない。アイツが反応できないレベルで拳を撃ち込む為の速さが・・・

 

 トキの攻撃を回避しながら、頭を回す。今の自分でできること。何をすればアイツに拳が届くかを・・・

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 

 思考を巡らせること数分、俺の頭は今できる最善を思いつく。

 

 そうだ!足りなければ作ればいいんだ!この力はアルター能力だ、銃や剣と違って壊れても再構成できる。なら弾数を気にする必要はない。思い切り撃ち込むだけだ!

 

 策はこうだ。抹殺のラスト・ブリットによる急速接近しすぐさま背中の羽根を再構成する。そこから再び一撃を叩き込む。余りにも脳筋な戦法。

 

 だが、やる価値はある。そうと決まれば実行あるのみ。

 

 右腕を前に突き出しトキ目掛けて走り出す。こちらの動きを察知したトキは先程と同様に迎撃しながら距離を離そうとする。

 

 こちらもそれは織り込み済みである。弾幕の中を突っ切りながら叫ぶ。

 

 「さぁいくぜ・・・抹殺のぉラスト・ブリットォォォ!!!」

 

 背中から生える最後の羽根が砕け散る。それと同時に発生したエネルギーを推進力として弾丸のように突っ込んでいく。

 

 「これがシェルブリット!!」

 

 トキは表情を変え、全力で後退する。アバンギャルド君を粉砕した一撃は、例え掠っただけでも十分なダメージとなる。戦闘データからそれを理解していたトキはすぐさま回避を選択する。

 

 

 「逃がすかよぉ!」

 

 

 しかし、トキが後退するよりも速いスピードでカズハは接近していく。トキ逃げる方向を変えたとしても、カズハ喰らいつくように追いかける。

 

 10秒にも満たない時間の中で、状況が一気に変化する。抹殺のラスト・ブリットの威力が減衰するギリギリまで距離を詰め、カズハは能力を使いシェルブリットを再構成する。

 

 一瞬だけ虹色の光が放たれる。廃虚に転がる瓦礫を変換し、背中に3枚の羽根が再び展開される。

 

 「トキ!回避を!」

 

 羽根が展開されたのを確認したリオがトキに対し叫ぶ声が聞こえる。彼女としても、このタイミングでの再構成は予想外だったようである。

 

 

 「三枚の羽発動(トリプルフィン=モーション)!」

 

 

 カズハの叫びと共に再構成したばかりの3枚の羽根が纏めて砕ける。先程とは比にならないレベルのエネルギーが溢れ出す。

 

 1枚分の速さで足りないのなら全部使う!今の俺に撃てる最大の一撃を喰らいやがれ!

 

 より強く、より速く、敵を撃ち抜く弾丸として俺の体は進んでいく。眼前の敵をただ打ち砕くために。

 

 

 「最速のシェルブリットォォォ!!!!」

 

 

 カズハの動きがアビ・エシュフの演算能力による予測を一瞬だけ上回る。この瞬間、カズハの攻撃を確実に回避することが困難となった。それに対してトキも素早く反応する。

 

 

 「回避行動は不可能です!レーザーキャノンによる迎撃を行います!」

 

 

 トキの操作によって、アビ・エシュフの肩部から砲門が展開される。それと同時に、急速にエネルギーが集まっていくのが分かる。

 

 

 「全エネルギー、解放!」

 

 

 届きかけた渾身の一撃はトキに当たることはなく、放たれたエネルギーの奔流によって俺の視界は白に染まった。

 

 

 

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