北宇治のまえせつさん   作:コーヒーまめ

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独自解釈を挟んでいるので、原作ともアニメとも違う設定が盛り込まれています。その1つに関しては後書きで。


3 さあ、踏み出してごらん

 

「でさ、勝手に弾いてたら先輩が頭から聴いてたんだよ!妖怪みてーに気配もなく忍び寄って来たし、尻尾丸めて逃げて来たわ!」

『ふふっ、可愛い尻尾』

 

 結局宇治市の探索を後回しにして俺にとっての新居……里親が居を構える一軒家へと戻って来た。帰ると言うには未だ憚られるというか、この家に対して浮き足立ってしまう。遠慮しなくてもいいよ?と夫婦なりの気遣いを受け止めたものの、孤児院とは勝手が違って自由が過ぎた。自室として与えてくれた和室の風景も、施設のそれより自分勝手にしてもいいと、俺の判断に委ねられた。

 

 学校とは違う不安に包まれて明日の準備をこなしていた最中、保護フィルムを貼ったばかりのスマホに着信が。こいつの番号を知っているのは、中学時代の友達、里親になったばかりの二人や新しい級友、そして勢いに任せて書き殴った手紙を読んだ……。

 

『矢田君ってやっぱり、やんちゃだよね!』

 

 黒江ただ一人。出逢った頃は自分から進んで触れてくる奴じゃなかったから、こうして電話を掛けてくる事に少し度肝を抜かれていた。

 俺よりも話したい友達とかいるだろ?と探りをいれたら、『届いた手紙がもう凄く嬉しくって!』と黒江らしからぬ喜色満面な声色を聴かされて、新天地で抱えた悩みを窓から投げ捨てた。いいんだ、どうせまた拾わされるから。

 

「流石にやり過ぎたから、今度は……」

『今度は?』

「授業後とかに堂々と弾く」

『休憩時間、無くなっちゃうよ』

「それ程弾きたいんだよ」

『中学の時も沢山弾いてたもんね。また聴きたいな〜』

 

 日記に一文字ずつ記すつもりで、一言ずつ、振り返った思い出を込めて話した。小学校ですら、進級に伴って疎遠になった友達もいる。ましてやお互いに新天地へと飛び立った以上、進級よりも人間関係を引き剥がす要因になるのは想像がついた。発する言葉に力が入るのも、この時間が愛おしいから。

 

「黒江こそ、そっちはどうだった?入学式だってさっき言ったじゃねえか」

『うん、今のところは順風満帆かな。帰りに吹部の歓迎会があったんだけどね、グラウンドを貸し切ったマーチングだったんだよ!』

「ほー、そりゃ俺も見てみたかったな。凄かった?」

『それはもう!楽しそうで観てるだけでワクワクしちゃった!』

 

 北宇治とは別世界だな。贔屓目に見なくても上手かった黒江視点でこの興奮具合、それはそれは圧巻の行進だったろう。それに引き換え、こっちの出鼻を挫く演奏を黒江が聴いたらどう思うか。踵を返してひっそり転入手続きをしたっておかしくなかった。

 

『あっそれとね、隣で見学してた子が吹部に入りたいって!私も入るって言ったら意気投合したの!早速お友達出来ちゃった!』

「良かったな黒江、第一関門突破じゃねえか!」

『うん!ちょっと矢田君の真似して喋っちゃった!早速友達が出来たのも矢田君のお陰なの、ありがとう』

「お、おう。どういたしまして?」

 

 俺の真似……?どういう手合いの真似なんだ?口調か?それとも台詞か?散々転校を繰り返してきた黒江なら、そんな物真似じみた振る舞いじゃなくても交友関係なんざ築けただろうに。器用なのか不器用なのか分からんな?

 

『…………あのね、矢田君。一つお願いしてもいい?』

「どーした、微妙に改まって。どんと来いよ」

『…………時々こうやって、またメールや電話、してもいい?何も無くても』

 

 こういうせがみ方は、本当に黒江の狡いやり方だ。媚びる様な、それでいてしなだれかかる様な。雨に濡れた捨て猫の雰囲気を一瞬で露わにしてくる。少なくとも中学時代は、こうして男子も女子も虜にしてきた。魔性の女だぜ、なんて誰が与えた称号だったかな。

 

 

「じゃあ俺からも頼まれてほしいんだけど、良いか?」

『勿論!何?』

「前みたいにさ、手紙書いていい?京都の写真もつけてさ。ポストカードにしてもいいな」

『っ、うん!私も送る!』

 

 

 その日、新天地特有の緊張感は既に霧消して、すんなりと眠りにつけた。敷かれた布団も枕も、ほんの少し身体に馴染んだ感覚を覚えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー」

「おっ、おはよう委員長」

 

 入学式から丁度一週間が過ぎる。四月も半ばに差し掛かった日でも、散ろうとしない桜が根性をみせ、葉桜として通学路で待ち構えてた。生活面では特別警戒しないといけない授業も習慣にも遭遇せず、至って平均的な高校生活の火蓋を切れた。

 

「委員長ー、黄色のチョークもう切れてるけどどうしよー?」

「大丈夫だろ、浪費してた生物の先生は明日だし。放課後で良いんじゃないか?」

「りょーかーい」

 

 滝先生の言う通り、学級委員長だけを先に決めて正解だった。式の翌日に訪れた週に一度のロングホームルームの時間。クラス内の係も思いの外、自主性に溢れた取り決めと相成った。

 人聞きの良いように言うと『自主性』だったけど、実際の滝先生は『放任主義』に近かった。音頭は取っても、そこからは生徒任せ。副委員長の選出の際も、複数人でやる掃除のローテーションを決める際も、手元のパソコンや紙の資料から目を離そうともしなかった。じゃんけんで盛り上がる喧騒も、先生にとっては無音に等しいんだろうか。

 

 それはそれとして、役割分担がきっかけで喋る友達が出来た。それなりに孤立すると覚悟していただけに嬉しい話だ。

 

「おはよー委員長!もう部活は決めた?」

「おっす副委員長。予定は未定だな」

「仮入部期間はもう半分過ぎちゃうよ、早めにどうするか決めなよ!」

「誠心誠意前向きかつ後ろ向きに検討しまーす」

「そういうの、委員長として相応しくないと思うなー」

 

 その一人が井上順菜さん。教室の丁度対角線上に座る彼女は副委員長を募った瞬間、立候補する程に堂々とした性格で、人前に立っても萎縮する気配を感じさせない芯の強さがあった。

 大概の授業で真っ先に当てられる座席ながら、分かっても分からなくても物怖じせずに立ち上がる……俺より委員長向きじゃないこの子?

 

「駄目だよ順菜、部活は強制させる物じゃないんだから。おはよう矢田委員長」

「おはよー堺さん。だよな、やっぱり自主性が一番大事だよな!」

「違うよ万沙子、これは副委員長としてのアドバイスだもん」

 

 もう一人が堺万沙子さん。井上さんとは旧知の仲らしく、委員長として事務的な会話をしていたら自然と混ざって喋る間柄になった。何はともあれとにかくデカい。後頭部に生えたリボンの主張がデカい。

 いの一番に音楽室へ足を運んだ俺とは違うベクトルの音楽好きで、隙あらば何かを聴いてるし、二日目にオリエンテーションと称して学校を案内された時、音楽室内で一際歓声を挙げていたのが堺さんだった。

 

「そういう副委員長も堺さんも、部活は決めたのかよ」

「私は万沙子と吹奏楽部に入るよ!」

「順菜も私も、元々そのつもりだったから!」

 

 台詞の息もピッタリ、大変仲のよろしい事で。

 

「判断が早いねえ、吹部って低音とかリードとか、パート結構あるだろ?それも決まってるのか?」

「中学でパーカッションやってたから、私はパーカッション!」

「私は少し悩み中、とにかく楽しそうなパートがいいかな」

「委員長、吹部の事情知ってるんだ」

「友達に吹部だった奴がいて。よく話を聞いてた」

 

 一人のユーフォニアム奏者を通した視点で知り得た情報でしかないから、事情通と呼べるレベルでもない。こういう組織なんだろうな、と類推するに留まってる。

 

「そうなんだ、それじゃあ尚更吹部に行こうよ!ピアノを八年もやってるなら音感は大丈夫だと思うから!どのパートでも重宝されるって!」

「あ、でもピアノなら軽音部も視野に入るよね。矢田委員長的にはどうなの?」

「え?あー、そうだなあ……」

 

 井上さんも堺さんも、俺が入る部活に迷っていると前置きして話してる。迷ってるといえば間違いない。運動系の部活への加入も面白そうではある。青春に汗を流すのは、一度しかできないし。でも、どうしてもそこで尻込みしてしまう。

 

 中学時代、孤児院には門限が存在した。その上、小さい頃は自覚せずに暮らしてたけど、ランドセルとか、教科書から普段着まで。不自由なく暮らしていけたのは、施設への寄附や贈呈なんかで賄われていたからだった。学年が進むにつれ、社会のしくみなんかも学ぶにつれ、事の重大さをグレーのシャツに染みる汗の如く痛感した。そういう風に育ってきた。貧乏性と揶揄されればそれまでだけど。

 唯一我が儘を言ったのは、黒江と同じ年代物のフィルムカメラ。それを保育士や指導員、施設長が会議を重ねて買ってくれた。引き取られる前の餞別だとしても、振り返れば値の張る代物だったと思う。

 

 今も、血の繋がった家族ではなく、家系図でいえば赤の他人。それでも何度も面会を重ねて許可が降りた優しい老夫婦。だからこそ最低限の負担で済ませて欲しい。部費や遠征費の捻出、消耗品に至るまで、二人の重荷になる行為は避けたかった。尻込みしているのは、そういう事だ。

 

「オーケストラもロックもアリなんだけど……敢えてグラウンドを駆け回るのも面白そうじゃない?文化系なら生物部も!」

「そんなに絞りきれてないの!?委員長に立候補した威勢が台無しじゃん!」

「順菜!……そんなに迷ってるなら、期限いっぱいまで悩むのはアリだよね」

「話が分かって助かるねえ堺さん」

 

 それとなくはぐらかした。別に嘘は言ってない、興味自体は俺の本心だから。

 

「ほら、チャイムも鳴ったし授業が始まるから戻った戻った」

「はーい。吹部の事なら相談に乗るよ?」

「音楽の話なら何時でも訊いてね!」

「そりゃどうも、そん時はよろしく」

 

 予鈴が生徒達の雑談に割り入って、学生の本分である勉強が始まる。部活に熱を入れるのは結構だけど、勉強はそれを前提として成り立つんだ。今はただ、ペンを走らせるのに集中しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よし、みんな昼飯に行ったな」

 

 四限目、初めての音楽の授業をそれとなく終えた後。黒板を消すだの掃除をするだの、委員長特権を振りかざして昼飯の誘いを断った。悪いとは思いつつ、自らの欲求を満たしたくて音楽室に居残った。

 

「今日は無断じゃねえからな!」

 

 先週ひっそりと、こそこそと侵入した後ろめたさはゴミ箱にダンクシュート。鍵盤蓋を堂々と持ち上げ、屋根も当然支えて風通しも抜群。本日の舞台を整えた。とはいえ昼飯自体は食べたいし、長居しない程度に。

 

 

「っし、この前は邦楽だったし洋楽で……といっても、何にするかね」

「──洋楽でしたら、『Let it be』なんてどうでしょうか?」

「うわっ!って、滝先生!」

 

 

 音楽顧問、かつ担任が入り口の引き戸に背を預けてながら、口元を綻ばせつつリクエストをせがんできた。なんだ!?北宇治の人間は気配を消して忍び寄るのをモットーに生きてるのか!?

 

「おや、失礼。驚かせるつもりではありませんでした」

「いや、勝手に驚いたの自分なんで……何故戻って来られたんです?」

「これでも音楽室の管理を任されていましてね、全員出払うのを待っていたんですよ?それでも一向に出てこない、不良めいた学級委員が居座るものですから」

「お、お手数おかけしてすみません。すぐ戻ります」

 

 大人しく、昼飯の誘いに戻ろうとすごすごと立ち去ろうとした俺を、担任がその場で引き止めた。

 

「リクエスト、引き受けては頂けないのですか?楽譜なら教科書にも載っている程の名曲ですよ」

 

 人を素行不良と称する割には、この先生も大概アレだな、新任だからこそ、好きに振る舞ってる節があるよな……。

 

「楽譜はいいです、レパートリーの一種なんで……てか良いんですか?戸締まりするってのに」

「ええ構いませんよ、ここの管理は私の領分ですから。自己紹介の時に宣誓した八年目の実力も、気になっていましたので。人としても音楽教師としても」

「……わかりました」

 

 自分の土俵に、フィールドに持って行くのが得意な人だ。暴言に近いけど、音楽だなんて採点基準が曖昧な、観る人聴く人で評価の変わる世界で教師を名乗るだけあって。聴衆を自分の音楽で染め上げる、そうやって生きてきたんだろう。この一週間で、ある種の図々しさすら覚えてしまった。

 それならこっちも、やりたい様にやらせてもらうまでよ!

 

「じゃあせめて、リクエスト料として……」

「金銭のやり取りですか?中々図太い神経をしていますね」

「そうじゃないですよ。対価ってのは、お金だけじゃないんですから……これで、演奏中に一枚撮影して頂ければと」

 

 何時でも撮影出来る様に、肌身放さず持ち歩いてるフィルムカメラ。とはいえ現代に蔓延るスマホと違って、残弾数が決まっている以上、気軽に撮影は出来ない。こいつの出番は、今はここぞって時にだけ。

 

「フィルムカメラですか。成る程、良い趣味をお持ちで」

「趣味にしては歴が浅いですけど……それで、どうですかね?」

「良いでしょう、それが演奏の糧になるのでしたら喜んで」

 

 使い方を説明しようとした俺を、そこは不要ですと静止してきた。そう示さんとばかりに慣れた手付きで電源を入れて、レンズカバーを開いてみせた。似たような物でも持ってるんだろうか。あちらは既に準備万端、それならこっちも、態度と行動で示してみせる。

 

 『Let it be』は、終始似た副旋律を叩き続ける。演奏する側としては負担が少ない反面、主旋律に籠められた歌の比重が大きいと思ってる。弾き語りでもなければ伴奏する訳でもないから、どうしても歌唱部分も弾く必要がある。でもそこに、奏者として介在する予知がある。

 あるがままを、あるがままに受け容れる。そう亡き母親に告げられて、その囁きを元に書かれた詩。この母親が聖母だという説もあるらしいけど、個人的には実の母親だと思う方がしっくり来る。

 苦境に立たされていようと、暗闇の中にいようと、『あるがままに』。離れ離れになろうとも、再び巡り合うチャンスはあるんだ。そこに答えはあるんだろう、だから『あるがままに』。歌うように、右手の主旋律で自分らしくあるがままを叫び、間奏だけは静かに紡いだ。

 三番のアウトロにまで差し掛かった頃、カメラのシャッターを切る音がアンサンブルの様に溶け込んだ。先生は、あるがままを止める事無く、余韻をフレームに収めてきた。サビでもコーラスでもなく、アウトロの余韻を。それが堪らなく嬉しかった。

 

 先週と違って、一曲丸々通し切れた。その幸福感から空気が震えて、鼻にしわを寄せて。俺の中に泉の様に湧き上がってきた。

 

「ありがとう、ございました」

 

 演奏の許可を下ろしてくれた事と、撮影を請け負ってくれた事に対して先生へ頭を下げた。その撮影者本人はというと。

 

「…………」

 

 拍手するでもなく、ただ黙って目を閉じていた。眠っていないと分かるのは、考えに耽るジェスチャーを見せていたから。これだとリサイタルというより、品定めをされているような面持ちにさせられる。音楽教師として、本当に品定めをしているんだろうか。

 

「一つ、質問をしてもよろしいでしょうか」

「は、はい。何をです?」

「誰かにピアノを習った、師事した経歴はありますか?」

「あ、いえ……ここを押せば鳴るとか、楽譜はこう読むとかは教わりましたけど、そこからは聴いた曲とか気に入ったのを、我流で……」

「……そうでしたか、道理で」

 

 そこに落胆したといった表情は浮かんでおらず、ホームルームで俺達に話しかける時に見せる様な、寧ろ爽やかな笑みと返事をこっちに向けてきた。

 

「今の演奏を聴かせて貰いながら、少し考えていたんです。教本をなぞったにしては荒い、習っているにしてもです。しかし、鍵盤を叩く際の技巧といい籠められた感情といい、八年という歳月も嘘ではない事が分かりました。独学でここまで磨き上げたのは、紛れもない矢田君の才能です。私はそう思いましたよ」

「こ、光栄です」

 

 屈託なく、変化球も混ぜず、直球の褒め言葉をこっちに投げられて、途端に背中がむず痒くなってきた。一度の通しでこちらの背景を見抜く辺り、教師としては本物らしい。その一面に甘えて、一つ言葉を投げかけてみた。

 

「今からでも教室とかに、通うべきですかね?」

「私見ですが、荒さも音楽における武器だと考えています。無論邪魔になるケースは存在しますが、聴衆や楽曲に依っては慣習に囚われない音を求められたりもする。そこに調和を求める鈴虫もいるでしょう」

「つまり?」

「基本も応用も教わる段階はとうに過ぎています、そのまま邁進して下さい。尤も、演奏における巧拙自体を求めるのなら別の話になりますが」

「……承知しました、ご指導感謝します」

 

 要するに、このまま好きな様に弾きなさいって訳か。少し緊張感のある一曲になったけど、認められたのなら安心だな!

 発表会も一段落した所で、胃袋が食べ物を求めだした。そうでした、昼飯の誘いを断ってピアノの前に座ったんでした。

 

「すいません、そろそろ昼飯食べてきても良いですかね?まだ何も食べて無くて……」

「それでは私も昼食にしましょう。一緒に如何です?」

「えーっとぉ、友達の先約があるのでこれで……」

 

 先の会釈よりは軽く頭を下げ、音楽室を後にする。田中先輩から逃げた時の焦りは、今日の俺には見当たらなかった。

 

「これは矢田君への提案になりますが──」

 

 去り際に、依頼したカメラを返されつつ、HRと同じ口調で声を掛けられた。話は変わります、って意味だろうか。

 

 

「──誰にも公表していませんが、私が顧問を担当する北宇治高校吹奏楽部に、助力を願えないでしょうか?荒削りながら、豪胆でもある貴方に」

 

 

 音楽を教えるのは旧知であったけど、吹部の顧問とまでは伺ってなかった。入学式の挨拶ですら耳にした記憶が無い。

 その先生は微笑みながらも無言を貫き、視線を逸らそうともしない。助力とは言うけど、それはつまり部活への勧誘に他ならない訳で。選択肢の数よりは、家庭の事情で迷う俺にとって、応えづらかった。腕を褒められた手前だとしても。

 

「……少し、考えさせて頂けると。他にも魅力ある部活もありましたので」

「分かりました。まだ仮入部期間ですからね、存分に悩んで下さい。良い返事を期待しています」

 

 

 午後の授業も、他愛のない友達との会話中も、顧問直々の勧誘だなんて事実が脳裏にこびりついたまま。今日を離してはくれなかった──ピアノ以外出来ねえってんのに、どうしたもんかなあ。




順菜と万沙子のクラス分けが不明なのを良い事に、同じ組にしました。華があるのは良い事ですよね!

書き切って気付いたのですが、滝先生は本来2年5組を受け持っているみたいでして……本筋には絡まない設定でしたが、それを無視してしまった事をお詫びします。申し訳ありませんでした。今になって軌道修正も難しいので、本作品ではこのまま進ませて頂ければと思いますがどうぞよろしくお願いします。パラレルワールドです!
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