WHITE ALBUM2〜幻想は雪に覆われて〜 作:ソナ刹那
---息をするように嘘をつく岩津町住民---
♫冬の街路樹
「二人とも、眠そうだなぁ」
目の前には目が赤くなってる委員長と会長。会長の方は、真剣に自分の仕事を遅くまでやってくれたのだろう。
委員長はただの長電話。ムカつk…いや、羨まs…いやいや、なんとか和解出来たようで良かった。
「多分、明日までには形になると思う」
「仕事早いな。さすがやる時はやる男!」
「……若干バカにされてない、俺?」
「気のせいだ。桜太だから気のせいだ」
シンセの方は問題無し、と。としたらやっぱりギターか…。
「今日は冬馬と一緒じゃないのか?」
「いつ俺がそんなことを!?」
「忘れてたぜ委員長!俺もその事については、深〜く話し合いたいんだが?」
「わ、分かった。分かったから、それは後で、な?」
ホント俺怖かったんだからな!?
「お前のせいで、こっちは危うく一生戻れなくなってたかもしれないってのに……「朝から楽しそうだね?」……え?」
振り返るとそこには、歌姫が。
♫Dear Friends
「おはよう、春希くん」
「あぁ、おはよ…っ!」
慌てて委員長は会長をホールドして締め上げる。……あぁ、俺はもう知ってるから。ホールドしても意味ないから。
「……おはよう、雪菜」
「……小ちゃ」
「……」
そんな小声じゃ、さっきからうるさい会長の呻き声に掻き消されて聞こえないだろ。歌姫もムスッとしてる。
「………おはよう、雪菜」
「うん、おはよう春希くん」
途端にニッコリする歌姫。………なんだかムカつく。
「………俺に何かようか?
「………ケチ」
相変わらずその可愛さは卑怯な。ていうかもう、呼ばねーぞ。恥ずかしいんだよ、あれ。
「……ほら、チャイムも鳴った。さっさと教室戻るぞ。委員長もそろそろ会長を解放してやれ」
「あぁ。それじゃあな……雪菜」
「うん、またね。春希くんに桜太くん」
「おう、また」
歌姫が自分の教室に戻っていく。
「あ、姫!」
「ん?なに?」
言い忘れてたことがあった。
「名前呼びは
「ふぇ?」
「……じゃな!」
「……あ、桜太くん!」
そう耳元に呟いて、また、逃げるように教室に向かった。
♫イルミネーション・タウン
「……騒がしいなぁ」
授業中だということを忘れてしまいそうになる。
学園祭も近くなって、浮き足立つのは分かるけど………、
「春希、ちょっと相談が……」
「この資材リストチェックよろしく」
「おい春希、今日付けの……」
頼られすぎだろお前。お前が今までそういうキャラでやってきたのは知ってるけど、いくらなんでもただの軽音楽同好会のギター担当でしかない今のお前に、どれだけのヘルプが来るんだよ。
皆勉強しろよなって、お嬢だって…。
「…………(カキカキ)」
………お嬢が勉強している。というか、ノート持ってるんだ………。
♫Dear Friends
帰り道。
「E組は学園祭何やるの?」
「おばけ屋敷、だったよな?」
「自分のクラスの出し物くらいちゃんと把握しておけよ」
俺たちはおばけ屋敷。定番中の定番だが。
「わたしたちは、『大正浪漫女給カフェ』って言って、特に男子がすごい頑張ってるの。みんな手先器用なんだね〜」
「確かに男子受けはよさそうだけど…」
「マニアックというか狙いすぎというか…」
よくもまあ、そんな発想が出てきたものだ。物好きが…って、言われてみれば納得。歌姫の女給姿か……………イイ。
「ちゃんと来てよね?」
「あぁ、行けたら…」
「絶対行く!こいつ無理矢理引っ張ってでも行く!」
「うん、待ってる!」
うちのお化け屋敷はカップル限定だから、一緒に回れないかなぁ……。いや、俺と姫、委員長とお嬢で………あいつらが絶対嫌がるな、それは。
「何にしろ、あと5日か……」
「もう、すぐだね……」
「だな……」
無我夢中で我武者羅にやるしかないな。
その後委員長は、姫からリンゴをおすそ分けしてもらって、お嬢の元へと向かっていった。そして俺も練習のためその場を去った。
♫イルミネーション・タウン
「いいか?学園祭前だからって、浮かれるのは
割愛。
小テストなんて面倒くさい。しかも地味に難しいのが腹たつ。まぁ、パーフェクトだろうが。
………さて、最終問題の答えを『4』と記入して……、
「何しとるか冬馬!」
「……っ!?」
突然の大声に驚くが、それ以上に……。
「今はリーディングの時間だろうが!お前は何をやっとるか!」
「…………」
聞き間違えることなんて無い。呼ばれたのは冬馬、紛れもなくお嬢の名だった。
♫言葉に出来ない想い
「今はテスト中だぞ?」
「……すいません」
「答案用紙は?」
「ここに」
「……名前しか書いていないじゃないか!最初から解く気が無かったんだろ!」
「……すいません。全然分かりませんでした」
滅多に授業中など、名前を呼ばれないお嬢が指摘されたのも珍しいことだ。だけど、
「冬馬…?」
委員長の呟きが聞こえた。いつもは無視するお嬢が、今回はやたら腰が低い。
「……ま、まぁ、分からなくても答えくらい埋めろ。選択式だからな。よそ事などするんじゃない」
「はい」
そして思い出した。このシーンのことを。
「あの、すいません先生」
俺も今は、お嬢の中で何かが良い方向に変わったのだと思った。いや、それは実際そうなのだと思う。俺たちと関わったことで、人と触れ合うことに少しは壁が無くなったのでは、と。
「返して……くれませんか?大事な……ものなので」
そんな些細なことが嬉しい。
「ノートは没収だ。返して欲しかったら後で職員室まで来い。後と言っても放課後にな」
「え………」
変わったのだと………、
「……………せ」
そう思った。
「返せぇぇぇぇっ!!」
♫氷の刃
「没収!?放課後!?ふざけるな!!お前が何の権利でそれを奪えるというんだ!!」
「とと、冬馬?」
お嬢が無理矢理教師からノートを奪おうとする。
「おい!お嬢!」
「冬馬!」
「返せ」
俺と委員長の声には耳を傾けず、教師に一言そう言い放つ。
「っ……」
大事そうにノートを抱えて、教室を出ていった。
「っ……冬馬っ!」
「おい、委員長 !?」
その後を委員長も追いかける。
「……あぁもう……!先生!」
「な、なんだ?」
「すみません!後でいくらでも怒られるんで、ちょっと………失礼しますっ!」
「あ、おい!」
俺もすぐに追いかけた。
♫言葉に出来ない想い
「……今のあたしに寄るな」
「よっと」
「どっこいせ」
「……寄るなと言ってるだろう」
荒々しいピアノが聞こえた後、俺らの方に振り向く。
「あぁあ、反省文か。めんっどくさい」
「じゃあなんで来たんだよ?」
「逆に来るなっていう方がおかしいだろうが」
「……内容は俺が考える。清書は冬馬でやってくれ。放課後に行くからな」
「……俺は?」
「自分で考えろ」
「差別乙」
まぁ、分かってたけど。
「……そんなこと、頼んでない」
「したとかしてないとか委員長には関係ないって知ってるだろう?こいつの半分はお節介で出来てるんだから」
「………残りが水分しかない俺は、もはや人間じゃないな」
「というか、マジで今お嬢が停学とかなると、本気と書いてマジな方でヤバいの。それはお嬢だって分かってるだろ?」
「…………」
また、ピアノを弾き始める。
「お前ら戻れってば」
「いやだね。こんな堅物委員長と一緒にするな」
「……たまにはこういうのもいいだろ?いかにも青春って感じで」
「その青春はだいぶ枯れちゃってるな」
「けど、これくらいで留年なんかするほど、今までの俺は不甲斐なくない」
「……暴行事件とか犯したら、さすがにアウトじゃね?」
「いや、真面目に考えなくていいから」
少しずつピアノの音色が落ち着きを取り戻していく。
「……つまらないだろ?」
「いいや、俺、ファンだから」
「詳しくは分からんけど、お嬢のピアノは好きだ」
「……あたしのピアノなんて、お遊びのしか聞いたことがないくせに」
「じゃあ聞かせてよ。本気の冬馬のピアノ」
「素人には退屈だぞ」
「大丈夫。委員長は寝ても、俺は聴いてるから。案外俺、クラシックとか聞くんだぜ?」
「…俺の評価って……」
「……もういい。勝手にしろ」
その時僅かに浮かべた微笑は、きっとそういうことだろう。……だが、しばらくして、
「すぅ」
「………ほら見ろ」
♫いつか見た景色
「……いって!?」
「やっぱ寝てんじゃねーか」
「しかも目の前でこの大音量で」
聞いてると落ち着くというのは、とても良く分かるけど。
「もうお前ら帰れ」
「あー、それは出来ない」
「……合言葉は?」
「ここがあの女のハウスね……」
「……は?」
合言葉が合っていたので扉を開ける。入ってきたのは歌姫。
「頭痛いので保健室に行ってきますって、嘘ついちゃった……えへ」
「……案外やるよな、歌姫って」
「学園のアイドルらしからぬ行動だな」
「永遠堅物委員長の言うこと?……はい、ギター」
「……あ、ありがとう」
四時間目の始業のチャイムが鳴ってる。
「さて、四時間目も始まったことだし、練習するか」
「文脈がおかしいぞ」
「こうなったらもうやるしかないじゃん?俺らチームメイトなんだから、あらゆることを共有しないとさ」
「男には、内申が不利になると分かっていても、教師に……」
「√3点」
「言い切ってもいないのに!?しかもルートって!?」
「お前には、その程度の配点で充分だ。だいたい、お前が言おうとしてたことなんて、ありきたりで古いんだって」
「古い使い回ししか出来なくて悪かったな」
何勝手に自虐してんだ。
「というか、歌姫にまた隠し事なんかしたらまたスネるぞ?」
それならそれで可愛いからいいが。
「そうだよ!隠し事はしないって約束だもん!」
「……スネることは否定しないんだ」
「……本当に留年するぞ、お前ら?」
「んなことになるかよ」
「むしろ逆だって。冬馬が卒業するの」
「大丈夫!わたし、英語だけは春希くんより得意なんだ」
「現文なら任せろ!」
「……ほとんど俺の受け持ちなんだな。……だがまぁ、俺と雪菜は推薦は確定だろうし、桜太も今の成績なら普通にやっても大丈夫だろう」
当たり前だ。(元)現役大学生をナメるな。
「言うまでもなく、卒業も問題なし」
「……お前ら馬鹿だ」
「お嬢が言うなって」
「冬馬より馬鹿はいません」
「せ、成績的にね?」
「フォローになってねぇよ、歌姫」
「え?本当に?」
「うん。なってない」
「……頭痛くなってきた。………なんで、頭痛薬を渡す?」
「俺、いつも常備してるから」
「桜太。常備ていう言葉自体に『いつも』ていう意味があるから、それは日本語的におかしいぞ」
「はい、出た。安定の上げ足取り」
「………もういいや」
諦めたようなため息と苦笑は、お嬢が少しは眠っていた優しさを起こしてくれたのかなぁなんて、
「それじゃあ、昼まで練習するぞ〜!」
「「おぉーー!」」
「はいはい」
そんなことを思いながら、ドラムを叩き始めた。
お久しぶりです。クリスマスどうでした?僕は友達と泳いでました。クリぼっちではなかったです。
さて、冬休み明け初日からテストなのでその勉強のため、あんまり書けないかもしれません。……まぁ多分、勉強しないでしょうが。
ミニアフターが届いてプレイしました。codaは未プレイなので、ちょっと分からないところもありましたが、どちらのルートでも、幸せな二人の姿を見ることが出来て、大満足でした。
性懲りもなく、そろそろ考えていたISのSSがまとまってきたので、そちらも書き始めるかもしれません。……今年度中には無理だろうな、うん。精一杯頑張ります。
より多くの方々からの感想等、お待ちしています。