WHITE ALBUM2〜幻想は雪に覆われて〜   作:ソナ刹那

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勉強。期末テストも近いし。
---息をするように嘘をつく岩津町住民---



10 特に意味のない反抗

♫冬の街路樹

 

 

「二人とも、眠そうだなぁ」

 

目の前には目が赤くなってる委員長と会長。会長の方は、真剣に自分の仕事を遅くまでやってくれたのだろう。

委員長はただの長電話。ムカつk…いや、羨まs…いやいや、なんとか和解出来たようで良かった。

 

「多分、明日までには形になると思う」

「仕事早いな。さすがやる時はやる男!」

「……若干バカにされてない、俺?」

「気のせいだ。桜太だから気のせいだ」

 

シンセの方は問題無し、と。としたらやっぱりギターか…。

 

「今日は冬馬と一緒じゃないのか?」

「いつ俺がそんなことを!?」

「忘れてたぜ委員長!俺もその事については、深〜く話し合いたいんだが?」

「わ、分かった。分かったから、それは後で、な?」

 

ホント俺怖かったんだからな!?

 

「お前のせいで、こっちは危うく一生戻れなくなってたかもしれないってのに……「朝から楽しそうだね?」……え?」

 

振り返るとそこには、歌姫が。

 

 

♫Dear Friends

 

 

「おはよう、春希くん」

「あぁ、おはよ…っ!」

 

慌てて委員長は会長をホールドして締め上げる。……あぁ、俺はもう知ってるから。ホールドしても意味ないから。

 

「……おはよう、雪菜」

「……小ちゃ」

「……」

 

そんな小声じゃ、さっきからうるさい会長の呻き声に掻き消されて聞こえないだろ。歌姫もムスッとしてる。

 

「………おはよう、雪菜」

「うん、おはよう春希くん」

 

途端にニッコリする歌姫。………なんだかムカつく。

 

「………俺に何かようか?()()

「………ケチ」

 

相変わらずその可愛さは卑怯な。ていうかもう、呼ばねーぞ。恥ずかしいんだよ、あれ。

 

「……ほら、チャイムも鳴った。さっさと教室戻るぞ。委員長もそろそろ会長を解放してやれ」

「あぁ。それじゃあな……雪菜」

「うん、またね。春希くんに桜太くん」

「おう、また」

 

歌姫が自分の教室に戻っていく。

 

「あ、姫!」

「ん?なに?」

 

言い忘れてたことがあった。

 

「名前呼びは()()()()の時だけ、な?」

「ふぇ?」

「……じゃな!」

「……あ、桜太くん!」

 

そう耳元に呟いて、また、逃げるように教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♫イルミネーション・タウン

 

 

「……騒がしいなぁ」

 

授業中だということを忘れてしまいそうになる。

学園祭も近くなって、浮き足立つのは分かるけど………、

 

「春希、ちょっと相談が……」

「この資材リストチェックよろしく」

「おい春希、今日付けの……」

 

頼られすぎだろお前。お前が今までそういうキャラでやってきたのは知ってるけど、いくらなんでもただの軽音楽同好会のギター担当でしかない今のお前に、どれだけのヘルプが来るんだよ。

皆勉強しろよなって、お嬢だって…。

 

「…………(カキカキ)」

 

………お嬢が勉強している。というか、ノート持ってるんだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♫Dear Friends

 

 

帰り道。

 

「E組は学園祭何やるの?」

「おばけ屋敷、だったよな?」

「自分のクラスの出し物くらいちゃんと把握しておけよ」

 

俺たちはおばけ屋敷。定番中の定番だが。

 

「わたしたちは、『大正浪漫女給カフェ』って言って、特に男子がすごい頑張ってるの。みんな手先器用なんだね〜」

「確かに男子受けはよさそうだけど…」

「マニアックというか狙いすぎというか…」

 

よくもまあ、そんな発想が出てきたものだ。物好きが…って、言われてみれば納得。歌姫の女給姿か……………イイ。

 

「ちゃんと来てよね?」

「あぁ、行けたら…」

「絶対行く!こいつ無理矢理引っ張ってでも行く!」

「うん、待ってる!」

 

うちのお化け屋敷はカップル限定だから、一緒に回れないかなぁ……。いや、俺と姫、委員長とお嬢で………あいつらが絶対嫌がるな、それは。

 

「何にしろ、あと5日か……」

「もう、すぐだね……」

「だな……」

 

無我夢中で我武者羅にやるしかないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後委員長は、姫からリンゴをおすそ分けしてもらって、お嬢の元へと向かっていった。そして俺も練習のためその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♫イルミネーション・タウン

 

 

「いいか?学園祭前だからって、浮かれるのは

 

割愛。

小テストなんて面倒くさい。しかも地味に難しいのが腹たつ。まぁ、パーフェクトだろうが。

………さて、最終問題の答えを『4』と記入して……、

 

「何しとるか冬馬!」

「……っ!?」

 

突然の大声に驚くが、それ以上に……。

 

「今はリーディングの時間だろうが!お前は何をやっとるか!」

「…………」

 

聞き間違えることなんて無い。呼ばれたのは冬馬、紛れもなくお嬢の名だった。

 

 

♫言葉に出来ない想い

 

 

「今はテスト中だぞ?」

「……すいません」

「答案用紙は?」

「ここに」

「……名前しか書いていないじゃないか!最初から解く気が無かったんだろ!」

「……すいません。全然分かりませんでした」

 

滅多に授業中など、名前を呼ばれないお嬢が指摘されたのも珍しいことだ。だけど、

 

「冬馬…?」

 

委員長の呟きが聞こえた。いつもは無視するお嬢が、今回はやたら腰が低い。

 

「……ま、まぁ、分からなくても答えくらい埋めろ。選択式だからな。よそ事などするんじゃない」

「はい」

 

そして思い出した。このシーンのことを。

 

「あの、すいません先生」

 

俺も今は、お嬢の中で何かが良い方向に変わったのだと思った。いや、それは実際そうなのだと思う。俺たちと関わったことで、人と触れ合うことに少しは壁が無くなったのでは、と。

 

「返して……くれませんか?大事な……ものなので」

 

そんな些細なことが嬉しい。

 

「ノートは没収だ。返して欲しかったら後で職員室まで来い。後と言っても放課後にな」

「え………」

 

変わったのだと………、

 

「……………せ」

 

そう思った。

 

「返せぇぇぇぇっ!!」

 

 

♫氷の刃

 

 

「没収!?放課後!?ふざけるな!!お前が何の権利でそれを奪えるというんだ!!」

「とと、冬馬?」

 

お嬢が無理矢理教師からノートを奪おうとする。

 

「おい!お嬢!」

「冬馬!」

「返せ」

 

俺と委員長の声には耳を傾けず、教師に一言そう言い放つ。

 

「っ……」

 

大事そうにノートを抱えて、教室を出ていった。

 

「っ……冬馬っ!」

「おい、委員長 !?」

 

その後を委員長も追いかける。

 

「……あぁもう……!先生!」

「な、なんだ?」

「すみません!後でいくらでも怒られるんで、ちょっと………失礼しますっ!」

「あ、おい!」

 

俺もすぐに追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♫言葉に出来ない想い

 

 

「……今のあたしに寄るな」

「よっと」

「どっこいせ」

「……寄るなと言ってるだろう」

 

荒々しいピアノが聞こえた後、俺らの方に振り向く。

 

「あぁあ、反省文か。めんっどくさい」

「じゃあなんで来たんだよ?」

「逆に来るなっていう方がおかしいだろうが」

「……内容は俺が考える。清書は冬馬でやってくれ。放課後に行くからな」

「……俺は?」

「自分で考えろ」

「差別乙」

 

まぁ、分かってたけど。

 

「……そんなこと、頼んでない」

「したとかしてないとか委員長には関係ないって知ってるだろう?こいつの半分はお節介で出来てるんだから」

「………残りが水分しかない俺は、もはや人間じゃないな」

「というか、マジで今お嬢が停学とかなると、本気と書いてマジな方でヤバいの。それはお嬢だって分かってるだろ?」

「…………」

 

また、ピアノを弾き始める。

 

「お前ら戻れってば」

「いやだね。こんな堅物委員長と一緒にするな」

「……たまにはこういうのもいいだろ?いかにも青春って感じで」

「その青春はだいぶ枯れちゃってるな」

「けど、これくらいで留年なんかするほど、今までの俺は不甲斐なくない」

「……暴行事件とか犯したら、さすがにアウトじゃね?」

「いや、真面目に考えなくていいから」

 

少しずつピアノの音色が落ち着きを取り戻していく。

 

「……つまらないだろ?」

「いいや、俺、ファンだから」

「詳しくは分からんけど、お嬢のピアノは好きだ」

「……あたしのピアノなんて、お遊びのしか聞いたことがないくせに」

「じゃあ聞かせてよ。本気の冬馬のピアノ」

「素人には退屈だぞ」

「大丈夫。委員長は寝ても、俺は聴いてるから。案外俺、クラシックとか聞くんだぜ?」

「…俺の評価って……」

「……もういい。勝手にしろ」

 

その時僅かに浮かべた微笑は、きっとそういうことだろう。……だが、しばらくして、

 

「すぅ」

「………ほら見ろ」

 

 

♫いつか見た景色

 

 

「……いって!?」

「やっぱ寝てんじゃねーか」

「しかも目の前でこの大音量で」

 

聞いてると落ち着くというのは、とても良く分かるけど。

 

「もうお前ら帰れ」

「あー、それは出来ない」

「……合言葉は?」

「ここがあの女のハウスね……」

「……は?」

 

合言葉が合っていたので扉を開ける。入ってきたのは歌姫。

 

「頭痛いので保健室に行ってきますって、嘘ついちゃった……えへ」

「……案外やるよな、歌姫って」

「学園のアイドルらしからぬ行動だな」

「永遠堅物委員長の言うこと?……はい、ギター」

「……あ、ありがとう」

 

四時間目の始業のチャイムが鳴ってる。

 

「さて、四時間目も始まったことだし、練習するか」

「文脈がおかしいぞ」

「こうなったらもうやるしかないじゃん?俺らチームメイトなんだから、あらゆることを共有しないとさ」

「男には、内申が不利になると分かっていても、教師に……」

「√3点」

「言い切ってもいないのに!?しかもルートって!?」

「お前には、その程度の配点で充分だ。だいたい、お前が言おうとしてたことなんて、ありきたりで古いんだって」

「古い使い回ししか出来なくて悪かったな」

 

何勝手に自虐してんだ。

 

「というか、歌姫にまた隠し事なんかしたらまたスネるぞ?」

 

それならそれで可愛いからいいが。

 

「そうだよ!隠し事はしないって約束だもん!」

「……スネることは否定しないんだ」

「……本当に留年するぞ、お前ら?」

「んなことになるかよ」

「むしろ逆だって。冬馬が卒業するの」

「大丈夫!わたし、英語だけは春希くんより得意なんだ」

「現文なら任せろ!」

「……ほとんど俺の受け持ちなんだな。……だがまぁ、俺と雪菜は推薦は確定だろうし、桜太も今の成績なら普通にやっても大丈夫だろう」

 

当たり前だ。(元)現役大学生をナメるな。

 

「言うまでもなく、卒業も問題なし」

「……お前ら馬鹿だ」

「お嬢が言うなって」

「冬馬より馬鹿はいません」

「せ、成績的にね?」

「フォローになってねぇよ、歌姫」

「え?本当に?」

「うん。なってない」

「……頭痛くなってきた。………なんで、頭痛薬を渡す?」

「俺、いつも常備してるから」

「桜太。常備ていう言葉自体に『いつも』ていう意味があるから、それは日本語的におかしいぞ」

「はい、出た。安定の上げ足取り」

「………もういいや」

 

諦めたようなため息と苦笑は、お嬢が少しは眠っていた優しさを起こしてくれたのかなぁなんて、

 

「それじゃあ、昼まで練習するぞ〜!」

「「おぉーー!」」

「はいはい」

 

そんなことを思いながら、ドラムを叩き始めた。

 

 




お久しぶりです。クリスマスどうでした?僕は友達と泳いでました。クリぼっちではなかったです。

さて、冬休み明け初日からテストなのでその勉強のため、あんまり書けないかもしれません。……まぁ多分、勉強しないでしょうが。

ミニアフターが届いてプレイしました。codaは未プレイなので、ちょっと分からないところもありましたが、どちらのルートでも、幸せな二人の姿を見ることが出来て、大満足でした。

性懲りもなく、そろそろ考えていたISのSSがまとまってきたので、そちらも書き始めるかもしれません。……今年度中には無理だろうな、うん。精一杯頑張ります。

より多くの方々からの感想等、お待ちしています。
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