WHITE ALBUM2〜幻想は雪に覆われて〜 作:ソナ刹那
…まぁ、男のいないあたしが言っても説得力ないけど
---男みたいにカッコいい女子---
「寒いねぇ···」
「···だったらわざわざ屋上なんかに呼び出さないで欲しいんだけど」
♫聖夜
「屋上なんか、って言わないでほしいなぁ~。……ここは、わたしが二人に初めて出会ったところ」
「え?」
「正確に言うと、二人の音に初めて出会ったところ」
「………」
「…ここでね?二つの音が混じったWHITE ALBUMを聞いたんだ。拙いながらも一生懸命なギターに、それに優しく寄り添うピアノに」
「…随分と大袈裟に評価するんだな」
「大袈裟なんかじゃないよ?少なくともわたしにはそんな風に素敵に思えたし、だから歌っちゃったんだし」
「……ありがと」
「うん……!」
「…今思うと偶然の産物だったわけか」
「そうだね…。すっごい素敵な偶然。あの時わたしがここにいなかったらって、想像したくもないよぉ」
「…だな。終わった今だから言えるけど、まさかこんなに自分が精魂こめてピアノやら作曲やら打ち込むとは思わなかったよ」
「ちょっと〜それは聞き捨てならないなぁ〜」
「仕方ないだろ?どこかのうざったい委員長がしつこかったんだから」
「ふふ……」
「な、なんだよ…」
「いやぁ〜?なんでも〜?」
「…なんとなく言いたいこと分かったけど、あえてツッコまないから」
「…けど熱心だったよね〜春希くん。あ、北原くんにした方がいい?」
「いいってどっちでも…」
「そっか。…わたしも冬馬さんと同じように、その熱心なスカウトにしてやられたんだけどね?」
「よく言うよ。一緒になってあたしのことイジメてたくせに」
「そりゃあ口説き落とされた以上は、一緒になってもう1人を口説かないとね」
「そしてまんまと釣られたわけだ」
「釣られてくれてありがとね?」
「…ほんと食えないやつ」
「けど、冬馬さんが参加してくれなきゃ絶対成功しなかったもの。凄く感謝してるのは、わたしもみんなも同じだよ」
「当たり前だ。あたしがいなかったらどうするつもりだったんだよ?」
「それ、分かってて聞いてる?」
「どうにもならないな、間違いなく」
「うん、そればっかりは反論出来ないね。実際冬馬さんが参加しないだなんて考えてなかったからなぁ〜」
「これまた見事な取らぬ狸の皮算用だな」
「……微妙に違うかな?皮算用どころか何も考えてなかったから」
「…本当それでよくやる気になってたな、あの委員長は」
「けど春希くんのそのやる気があったからこそだよね」
「それを言うなら南条もそうだろ。あいつも相当食えないやつだ」
「そうだねぇ…春希くん以上に口説かれちゃったから…」
「それにあたしはなんて言葉を返せばいいんだ?」
「けど事実、凄く優しいよね。春希くんとは別のベクトルで」
「春k…北原の優しさは…」
「春希、でいいよ?」
「…あ、あいつの優しさは容赦がないうえに厳しさから成り立ってる。そのくせ無駄に正当性があるからタチが悪い」
「確かにねぇ。桜太くんは親身になって一緒になって考えてくれるかなぁ。時々イジメっ子っぽくなるけど」
「……惚気?」
「そっちこそ」
「………」
「………」
「…で、なんの用でここで呼んだんだ?互いの自慢話しに来たわけじゃないんだろ?」
「自慢話っていう自覚はあるんだ?」
「…話を逸らすな」
「ふふ、そうだね。……わたしたち変わったよね?」
「…なにが?」
「関係が。ただの4人だったのが、2人と2人に」
「…だからって、別にあたしたちが距離を置く必要はないだろ?」
「冬馬さん…」
「…あたしだって、結構楽しかったんだ本当は。あの4人で馬鹿みたいに一生懸命になって、無謀なスケジュールの中なんとか形まで持っていって。ああいう時間、初めてだったからさ…楽しかったんだ」
「…良かった、冬馬さんからその言葉が聞けて」
「小木曽?」
「わたしたち、私と冬馬さんってなんなんだろうって、ずっと考えてたんだ」
「なにって…友達じゃないの?」
「…そう思ってくれてるの?」
「…あたしの周りには、こんなにお互いのこと言い合ってる女の子なんか、小木曽以外いないもん」
「……ありがとう。…だから」
「…?」
「だからこそね、友達だって言ってくれたあなただからこそ、ちゃんと言っておかないといけないと思うの」
「………」
「わたし…最初は、春希くんに告白しようと思ってた」
♫静かな冬の夜
「!……」
「…思ったより驚かないんだね?」
「……小木曽があたしの気持ちに気づいてたように、あたしだって小木曽の気持ちには気づいてた。…だいぶあからさまだったし」
「…まぁ、そうだよね」
「どうして…春希にしなかったんだ?」
「…そもそもね、わたしは別に春希くんに告白しようって、最初から思ってたわけじゃないんだ」
「それってどういう…」
「…冬馬さんが、春希くんにしてるところを、見ちゃったから」
「…っ!」
「それで、このままじゃ冬馬さんと春希くんが結ばれるのも時間の問題だって、そう思っちゃったんだ。だからわたしと春希くんが恋人になれば、仲間外れにされないって。きっと春希くんなら応えてくれるって思ってたし、きっと冬馬さんは自分の気持ちを押し殺してでも、わたしたちの我が儘な願いに応えてくれるって思ってた。…ずっと3人でいたいって」
「それ、は…」
「酷い女の子でしょわたしって?…けど、一番わたしが酷いことをしてしまったのは桜太くん」
「……」
「冬馬さんが音楽室を出ていった後、わたしが春希くんのもとに行こうとしたら、桜太くんが呼び止めてくれた。話があるっていって、ここ…屋上に呼び出した」
「ここに…」
「それでわたしがしようとしてたこと全部見事に当てちゃって……凄いよ桜太くんは。よく周りを見てたんだなぁって思った。…わたしがしようとしてたこと全部当てたあと、言われたんだ。どうしてそこに俺がいないんだ、って」
「……!」
「違うって言い切れなかった。確かにその時、わたしは桜太くんを、あろうことかあの桜太くんを忘れてしまっていた。…それがなんでかはわからない。けど、事実。桜太くんに酷いことをしてしまった。…それでも」
「………」
「それでも桜太くんは、わたしが忘れてしまっていたことに気づいていても、わたしのことを好きだって言ってくれた。わたしのことを守りたいって言ってくれた。…だからわたしは桜太くんを受け入れた。ううん、受け入れさせてもらった。…わたしは桜太くんの優しさに甘えたの」
「そんなことがな……」
「どんなに醜いわたしでも、どんなに情け無いわたしでも、どんなにカッコ悪いわたしでも、彼は受け入れてくれたから。彼の言う通り、そうすればこの4人は離れずに済むから」
「…南条を選んだのも4人でいるためか?」
「違う」
「…」
「…もちろん4人でいられたらとは思うよ。でもそのためじゃない。桜太くんがわたしを好きでいてくれて、わたしも桜太くんを好きでいて、それがあるうえで4人でいられる。それがわたしの望む
「…そっか」
「……ごめんね」
「なんで謝るんだ?」
「だってわたし、冬馬さんたちを利用しようとした。自分が1人にならないように、2人の仲を引き裂こうとした」
「引き裂こうって、その時は別にあたしたちはなんでもなかったじゃないか。それを小木曽が持っていこうとしたって、別に悪いことじゃない。…まぁ、平然としていられるか分からないけど」
「うん…ごめん…」
「だから謝ることじゃないって。それに結果はそうじゃないわけだし。それが南条のおかげって、いまいち釈然としないけどな」
「その発言は彼女として聞き捨てならないなぁ〜」
「…小木曽を怒らせると面倒だから謝っておく、ごめん」
「…その発言、いまいち釈然としないんだけど」
「けどそういうもしものことを考えると、今のあたしたちの形って何気に一番いいのかもな」
「そうだねぇ…お互いが好きな人と好きでいられる。確かに幸せなことだねぇ……」
「……なぁ、“雪菜”」
「なに冬m……って、え?」
「ん?どうした?」
「今、雪菜って……」
「もしかしてあの言葉、期間限定だったかな?」
『わたしのことは、雪菜でいいよ』
「雪菜だったらいい友達になれると思うんだ。…いや、こんなあたしと付き合ってくれたんだ。友達とは言わず大親友になれると思う」
「………」
「良かったらこれからも一緒にいてくれないかな?こんなこと言えるの、あたしには雪菜しかいないからさ」
「………」
「……駄目かな、雪菜?」
「……か」
「ん?」
「か…かずさぁぁ」
「1人くらい、そういう風に呼んでくれる女友達がいるのもいいな」
「ふぇぇぇっ…」
「おっ…と、いきなり抱きついてくるのもどうかと思うぞ」
「かずさぁ…かずさぁぁ、かずさぁぁ…」
「……あぁもう、女のあたしから見ても可愛いな雪菜は。あたしが男だったら、絶対譲ってやるものか」
「…かずさまで男だったらぁぁ、あたし…3人の間でずっと揺れ動いてる最低な女の子になっちゃうよぉ〜…」
「…それはまた、とんでもない修羅場だな。立ち会いたくないね」
イチャコラの前に女子2人のイチャコラを。
多分、クリスマスまでに更新は出来ないだろうと思うので、皆さんメリ〜クリスマ〜ス。
ホワイトクリスマスは無理でも、ホワルバクリスマスを過ごすことにしますよ自分は