WHITE ALBUM2〜幻想は雪に覆われて〜 作:ソナ刹那
---新たに増えた頑張ってる人---
♫いつか見た景色
「・・・で、冬馬に蹴られて嬉しかったと?」
「誰がマゾだ!?誰が!!」
教師連中から、怒られた・・・というより、注意を受けた春希と冬馬。その後遭遇した小木曽に、冬馬をキーボード担当と偽ったわけで。
「キレてるぐらいなら、同じく怒ってるだろうあの人についていけるようにしろって」
「・・・っ、分かってるって」
本気の冬馬かずさの演奏に、見事に置いてけぼりだ。
「というか、やっぱり音楽科だったんだ」
「道理で見かけなかったわけだ」
元々音楽科だった彼女は、音楽科内でいろいろ問題を起こした。問題といっても、ケンカとかそういうジャンルではなく、人付き合いだ。
優秀だった彼女は、母親がかの有名な冬馬曜子なのもあってか、教師からは贔屓され、そのおかげでクラスの連中からは総スカン。しかも、あの性格。どんどん関係は悪くなっていった。そんな性格になった理由も理由で、少し可哀想だけど。
「で?入れるの?」
「・・・入れる。何としても参加してもらう」
あんな音を聞いたら、そんな気になるのも無理はない。それだけじゃないんだろうけど。
「小木曽は?ちゃんと説明するんだろうな?」
「もちろん。説明して、謝って、そしてやっぱり参加してもらう。どうしても、2人とも必要なんだ。どっちも大切なんだよ」
「それって明らかに・・・」
「第三者が聞いたら、絶対二股宣言に聞こえるだろうな」
「うるさいな、お前ら」
「けど、これで俺の参加も目星がついたわけだ」
「いや、そのもう一歩が果てしなく辛いんだけど・・・」
冬馬を誘うのは、確かに根気がいるだろう。でも、入るよ、あの人は。
「頑張ってくれよ、春希」
「任せとけ。お前も絶対巻き込んでやるからな!」
あぁ、楽しみにしてるよ。
「おい春希!さっき俺↑の方で頑張れって言ったばっかだろうが!何さっそくやらかしてんだよ!」
「俺だって分かんねえよ!」
冬馬の逆鱗に触れたらしく、追い返された春希くん。先が思いやられる、ホント。
たまたま近くを通っただけ、なんて理由もきっとこの場合無理があるのだろう。家とは方向が違うのだから。
「すみません・・・」
「はい、なんでしょう・・・あっ」
「・・・やっぱり小木曽か」
小木曽がバイトしているスーパーに通ってみた。
♫Dear Friends
「どうして分かったの?」
「前、たまたま通ったときに、なんか歌姫に似てる子がいるなぁって。で、今回声かけたらビンゴってわけだ」
スーパーの近くの公園。少し抜けてもらってこうやって話してる。
「南条くんといい北原くんといい、なんで分かっちゃうかなぁ・・・」
俺的には、なんで分かんないのだろう?
「やっぱり春希もか。というか、春希から聞いた?キーボードの件」
「あ、うん。冬馬さん・・・だっけ?どうしてもあの人にやってもらうって」
「あぁ。それで、小木曽は?結果的に騙してたわけだけど」
「騙してたなんて・・・。私が勝手に同好会のメンバーだって、勘違いしてただけだよ」
「勘違いしてたのを分かってて、言わなかったんだから俺たちも悪いって。・・・これ以上は言い合いになるだろうから、ここでストップ」
いつかの春希と小木曽のように、中々に我が強い。
「で、小木曽はどう思った?」
「何が?」
「ぶっちゃけ、ムカついたろ?」
「え・・・?」
「やたらと冬馬のことを嬉しそうに語るだろ、あいつ。まるで自分のことのように」
「・・・確かに。北原くん、本当に冬馬さんとやりたいんだって思った」
「・・・妬いてる?」
「・・・妬いてない」
あからさまだなぁ、おい。そんな顔しながら言われても説得力ないんだけど。
なんとなく、小木曽の頭を撫でる。
「え、ちょ、南条くん?え?」
「そう、拗ねてんなって。あいつ自身、単純に参加して欲しいんだろうけど、そんな感情だけじゃないよな、明らかに」
「・・・やっぱり?」
「やっぱり、てことは小木曽もそう思ってるんだよな。いや、絶対そうだろう。ま、あのヘタレがどうこうできるとは思わないけど」
そう言って、小木曽の方を見る。
♫言葉にできない想い
「自分の前で、自分以外の女の子の話されるのが嫌なの?」
「もう、そんなんじゃないって・・・」
「そうやって不貞腐れてる顔も可愛いなぁ、ホント。それ、わざとやってる?」
「そんなこと・・・」
「なぁ、小木曽」
「・・・なに?」
「今の小木曽が、ホントの小木曽?」
「え?どういうこと?」
「俺が知ってる小木曽ってこんな性格じゃないからさ。誰にも礼儀正しくて、いかにもお嬢様みたいで」
「・・・・・・」
実際そうじゃないことは知っている。けど、あくまで今の俺が知ってるのは、仮面を被った小木曽雪菜。
「言い換えればそれって、誰にも一定の距離を取ってるということだろ?だとしたら、今俺にそんな表情を晒しながら喋ってくれるっていうのは、少しは心許してくれてるって解釈していいのかな?」
「南条くん・・・」
立ち上がって、小木曽に手を差し出す。
「合ってるなら、少しはやりやすいな。出会ってばっかの俺に、それなりに友好な感情を示してくれると」
「うん。南条くんもいい人だと思う。なんだかんだ北原くんのことも心配しているし」
まぁ、主人公だしな。
♫いつか見た景色
「そういえば、南条くんって正式メンバーじゃないの?」
「あぁ・・・それか。おう、その通り。俺が入る条件として、俺以外に2人以上の参加。ボーカル含めてで」
そういえばそのことも黙ってたな。察するに、春希が言ったのだろうけど。
「それはどうして?」
「う〜ん・・・理由は言えない。つっても単純に、中途半端がヤなんだよ。俺が入ったって、ボーカルいなきゃ意味ないだろう?そんな程度だよ」
「ふ〜ん、本当に?」
「・・・ホントに」
妙にするどいな。WHITEALBUM2を再現したいから、なんて理由で納得してもらえるわけもないし。
「けど、小木曽が入ってくれた。冬馬も春希が絶対に参加させるって言った。だとしたら、俺の正式参加ももうすぐだな」
「・・・南条くん」
「ん?」
「なんでそんなに嬉しそうなのに、快く参加してあげないの?」
理由はさっき言った・・・ていう言い訳は通じないんだろうな。そういうことじゃない。
確かに、今となっては何を頑固になっているのだろうって思うけど、当時のことを考えるとあの頃、俺が入るのはいけない。もし俺が入って、冬馬が入らないとなると話が進まない。小木曽はまだ確率が冬馬よりは高いだろうが、それでも危険なことに変わりはない。
「確かにな・・・。正直、自分でも過度になりすぎてるかもとは思う。けど、俺も今じゃ小木曽とやりたいし、冬馬ともやりたい。・・・こんなことになるってわかってたんかなぁ」
当然、未来予知など出来るわけもなく、ただの言い訳だと分かっているだろうに、小木曽は、
「・・・そっか。うん、私も南条くんや冬馬さんと一緒にやりたい!」
「おう。まぁ、どちらにしろ春希次第ということで」
「うん、期待して待とっか?」
そこは原作通りに頼むぜ、春希。
翌日。
春希は説得に失敗した。
「やっぱりそうだよねぇ」
「やっぱりそうだよな」
「・・・2人してなんなんだよ・・・?」
♫Dear Friends
「・・・面白い?・・・可愛い?」
「あぁ〜ちょっと分かるかも」
「向こうにはちょっと印象悪く写っちゃったかもしれないけどね。ははは・・・」
「・・・悪い。俺の言ってる冬馬かずさって、うちのクラスの冬馬かずさなんだけど」
「そんなこと分かってるって。なに?他のクラスに他の冬馬かずさがいるの?」
「北原くんが紹介してくれたんじゃない」
どうやら昨日、小木曽は冬馬と話したらしい。・・・あの、小木曽が一方的なシーンだ。
「俺ってそんなに「あぁ、持ち上げてたぞ」・・・マジ?」
「マジ」
「・・・やっと気づいた?」
自分でも、気づかないところで惹かれてるんだろうな〜。
「けど『可愛い』は言ってないよな?それは間違いないよな?」
「見苦しい言い訳はみっともないよ?」
「女々しいなぁ、春希は。今更言い逃れなんて」
「いや、だから・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「全面的に俺が悪いですから許してください!」
春希が先に折れました。
「・・・北原くんと話していると、自分の性格が歪んでいくのがよく分かるよ」
「俺も歪みすぎて、えらいこっちゃだ」
「そんな馬鹿・・・って桜太、お前に関しては全く俺は無関係だ」
そして必死になって弁解しようとして、結果的にまた冬馬を持ち上げてる春希。ホントにお前は・・・。
「もう、どうしてくれようかなぁ」
「いっそルール作るとか?『冬馬のこと喋ったら、一言につき1万円』とか?」
「ケタがおかしいだろ!?俺、何にも喋れなくなるぞ!?」
それならそれでいい。
「・・・じゃあ、どうにかしてもらおうか?」
♫冬の街路樹
「どこか行きたいところでもあるのか?」
「・・・まぁ、いちよ、ね?」
『明日、四人でどこか出かけない?』という提案を小木曽がした。少々強引な話だが、それくらいした方がいいのかもしれない。まだ冬馬はメンバーじゃないのに。『まだ』。
「ふ〜ん、というかやっぱり積極的だな、小木曽って。春希に伝えた伝言って、あれほとんど脅迫じゃねえか」
「ははは・・・」
「昨日何を話したんだよ・・・」
実際は知っているが、結構気になる。
「というか、俺も参加していいの?」
「何を言ってるの!当たり前じゃない!南条くんがいなきゃ始まらないじゃない」
「その台詞、軽音楽同好会会長の武也くんに聞かせたら、あいつ泣くかな・・・」
で、その後。春希くんが、見れば一瞬で取り引きが成功したのだろうと分かる、ニコニコな顔で戻ってきた。
それを見た小木曽が、少し不機嫌になったのは言うまでもない。
桜太くんのキャラがわけわからないことに。
なんか乙女ゲーのキャラみたい。
悪く言えば、ナルシみたいな?
今回は、いろいろな事情で書いてることに統一感がないですが、今後ともよろしくお願いします。
とりあえずは、桜太くんを制御しないとな。