転生した現代人に異世界は辛すぎた   作:抹茶好きの紅茶

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お久しぶりです、ちょくちょくとは一体なんだったのか()

それはそれとして、放浪するまで十数話ほど掛かりそうでビックリ、深夜テンションで新作を書き始めるもんじゃねぇなと思った今日この頃。
普通に過去編として後回しにすれば良かったのでは(迷案)


突然のシリアスは読者ついてこれないからやめてクレメンス

 シクリィが孤児院に住み始めてから凡そ一週間ほど経った。

 といっても、何か変わったということもなく、精々仕事が休みの時にシクリィの遊び相手になっている程度である。

 シクリィはここでの生活にすぐ馴染み、どうやら友達も出来たようだ、凄い(小並感)

 残念ながら、今世において私に友達といえる相手はいない。

いや待て、この言い方だとただ可哀想な奴じゃないか、違うからな?本当だからな!?……はて、私は一体誰に言い訳しているのだろうか。

 話が逸れたが、ともかくだ。今日、シクリィはマザー付き添いの下、その友達と遊びに出掛けている。

 

 そうして家を任された私は、マザーからの言いつけを破り、一人ボケーっと、空の様子を観察しながら仰向けで寝ていた。

 

 

 

 

暇である

 

 

 孤児院の掃除に、服やベッドシーツなどの洗濯、料理の下準備等々、それを早々に終わらしてしまったのだから、暇で暇でしょうがない。

 運動をしようにも、筋肉痛が来ており今やるのは得策ではない。かといって、遊び相手も居なければ、同年代の子供に話し掛けに行こうものなら石を投げつけられる始末だ。ハハハ、はぁ……

 一応村長の息子さん、確か名前はプアトラ……だったか、彼からは恐らく嫌われていない……と思うのだが、何故か度々、遠目から観察され続けており、近づこうとしても逃げられる。あれ?単に怪しい奴を警戒して観察しているだけかコレ?

 …………俺は嫌われてない。あれ、目から汗ガガガ

 そんでもって一人悲しく本を読もうにも、村にある本は殆ど読み尽くしてしまった。

 

 仕事はねェ、娯楽もねェ、生まれてこの方友は居ねェ。あ~俺らこんな村ァ嫌だ~

 

 

 ……とまあ、そんなわけで暇になった私は今、村外れにある小高い丘に大の字で寝転んでいる訳である。

 そろそろ雲の動きを見続けているのも飽きてきた頃だ。

 

 なにも考えずに全身で日の光を浴びていると、軽く風が吹く。今の季節は丁度秋に入る頃だ、残暑の中吹く風のなんと心地よいことか。

 思い返せば、前世は何処に行くにも、騒音にまみれた世界であった。森閑の中、風に揺れる草木の音が心地よく、瞼が重くなる。折角だからそのまま昼寝でもしてしまおうと、そっと目を閉じ、前世では経験しなかった大自然を堪能するべく耳を澄ませる。

 

 

 

 

『……ぞ、その……だ』

 

 

 ……はて、こんな場所で話し声?

 体をそっと起こし、その声の主を探る。

 どうやら、この丘を越えた先にある森の奥から聞こえてくるようだが……明らかに怪しい。

 というのも、私以外で積極的に村から外に出かけたがる人間は基本的にそういないからだ。

 

 Q なんで村の外に出たくないのですか?

 

 A 端的にいうと、危険だから。

 

 野生動物や、此方に害を与えてくる植物に虫etc.が居る上に、なにか起こったとしても、誰かが助けにきてくれる確率も低い。というかそんな場所にわざわざ行く人間なんてあまり居ない、なんなら生まれてこの方聞いたことがない。

 しかしながら、聞こえてくるのだから人は居るのだろう。だが先程説明した通り、声が聞こえてくる場所は、危険だらけの森の中。

 最悪のパターン、何処ぞの深淵作品よろしく、人の声を真似て獲物を誘き寄せる肉食性動物の可能性も無くはない。そうでなくとも、態々森の中でお喋りする人間なんて、怪しさ100億%である。正直普通の感性を持った人ならば関わりたいとは思わないだろう。

 

 とはいえ、気になる。

 非常に気になる。

 大変気になる。

 

 はてさて、どうしたものか。保身と好奇心が鬩ぎ合いながら、私の足は音を立てないよう慎重に、声のする方へと進み始める。

 ……んっん"!さ、幸い、今の私は身体の小さい六歳児だ。森の中でのスニーキングミッションならば、バレる可能性は低いだろう。これで段ボールがあれば完璧だったのだが……え?森の中で動物と出会ったら?んなもん見た瞬間逃げる一択ですがナニカ?

 ある日森の中熊さんと出会った=人は死ぬ世界なんですよ。なんなら熊じゃなくても死ぬんすよ、我六歳児ゾ。

 

 なにはともあれ、歯止めの効かない好奇心に突き動かされ、風に揺れる草木に触れぬよう、鬱蒼とした森の中を進む。音を立てないように、ゆっくりと、しかして急ぎながら、慎重に声のする方へと歩いて行く。

 

『よ…、こ…調……と、あ…6年て……でお…さま……』

 

 声は森の中を進み続けるにつれ、段々と聞き取りやすくなっている。

 森の中は声が響き渡る程とても静かで……少々違和感を覚える。いつも聞こえていた筈の虫や鳥、獣の鳴き声は一つとして聞こえてこない。

 それが薄暗い森の中と相まって、少々不気味に感じるが、折角ここまで来たのだ、声の正体が分かるまで進まなければ。

 

 森の奥へ奥へと草木の中を進み続ける。そうしていると、木々の奥に、いかにもな洞窟があるのが見えた。

 十中八九、九割九分、この先に居るであろうことは自明の理であろう(適当)

 しかしながら、このままノコノコと洞窟に入る度胸は私にはない。

 だが、だがである。恥ずかしながら、私は前世で消極的すぎて何のアクションもとれてこなかった人間だ。であれば、今世ではもう少しアクティブに動くべきではないか。

 思い立ったが吉日、今日の一針、明日の十針。当たって砕けろ。エイリルイッキマース!

 心の中で己を鼓舞し、足を洞窟へ向け、一歩踏み出す──

 

 

 

 

"バキッ"

 

 

 と、足元でそこそこ大きな音がした。

 

 マンガであれば、ギギギというオノマトペが振られているであろう動作、錆びた機械のようにぎこちなく顔を下に向ける。

 

 まあ、なんということでしょう、そこにはポッキリと折れた枝を踏んでいる、私の足があるではありませんか。

 

 

 

静寂

 

 

 

 森の中はしんと静まり返り、風に揺れる葉擦れの音がこの場を支配している。

 

(や、やっちまったぁー!!!?)

 

 おいィィィ!どーすんだよこれ、黙っちゃったよ!声の主黙っちゃったよ!逃げるか?いや無理だ、子供の脚力じゃ追い付かれるのが関の山だし……な、ならば隠れるか……!?

 

 脳内で緊急会議を開き、この場を打開する方法を考えるが、残念ながら想定外のアクシデントにより、良い案が浮かばない。

 そもだ、危機感を捨ててここまで来たものの、こんな村外れの森の中、しかも洞窟の中で話し込んでる奴なんて、よくて限りなく黒に近いグレー的存在である。

 取りあえず、見つかりにくいように腹這いの状態になりつつ、頭を必死に働かせる……が無常にも時間だけが流れてゆく。

 

 

 そうして1分ほど経ったのだが……はて、特に動きがない。音もしなければ、洞窟から誰かが出てくる気配もない。

 

 ふぅむ、いったいなにが『ヨォ兄弟!突然だが手を貸しちゃくれねぇか?』

「ピンギャラドッシャンバイ!?」

 

 アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?*1

 

 突然耳元で声が聞こえたため、腹這いの姿勢から勢いよく飛び退き、声の主を探るべく周囲を見渡す。

 キョロキョロと声の主を探していると、足下に違和感を感じた。ふと視線を落とすと、そこには角の生えた小さな蝙蝠が翼を此方へと振っている姿があった。

 まさか、この蝙蝠が話し掛けてきたのだろうか?そう私が困惑していることに気がついたのか、蝙蝠は申し訳なさそうに口を開く

 

『ああ、すまねぇ。別に驚かせるつもりは無かったんだが……まあ、俺が喋るとは思わねぇか!そりゃそうだ、当然驚くし警戒もするわな。けどまあ、世の中は広い、そういうもんだと納得してくれると助かるぜ。

 それでだ、突然で悪いが手を貸して欲しいんだが……あー、なぁに、とって食おうってんじゃねぇんだ。そう警戒すんなよ。ほらほら、オレワルイコウモリジャナイヨー』

 

 うっわ急にペラペラ喋るじゃん、それに蝙蝠なのに表情豊かだなコイツ……取りあえず、今すぐに襲ってくる感じではないので警戒を緩めはする。しかし、いつでも動ける体勢は崩さない。油断と慢心をした奴の命は短い、オデヨクシッテル。

 

「……あー、そう。それで、手を貸して欲しいってのは?」

『お!話が早くて助かるぜぇ~。説明するより見て貰った方が早ぇな、百聞は一見に如かず、だ。ちょいと着いてきてくれや』

 

 蝙蝠は言い終わると、クイクイッと翼を洞窟の方へと動かす、その後パタパタと翼を羽ばたかせ洞窟の方へと飛んでいってしまった。私は小さな蝙蝠を見失わないよう、早足で蝙蝠を追いかけ洞窟の中へ足を進める。

 

 洞窟の中は暗く、むわっとした空気が少し気持ち悪く感じ、思わず顔をしかめる。そんな中を蝙蝠は表情一つ変えずパタパタと飛び続けていた。

 追いかけていると、少し開けた場所に出た。

 天井からは穴が空いているのか少し光が漏れており、難なく周囲の状況を把握できる。

 

 だからこそ、地面に描かれた異質なソレに目を奪われた。

 

 

 それは人為的に描かれたであろう幾何学模様だ。

 

 まるでファンタジー作品で見る魔方陣のような模様が、地面に半分ほど埋まった壺を中心に描かれている。

 魔方陣をよく観察していると、自然と視線の先が壺に釘付けになる。

 それと同時に、気がつく。

 いや、無意識に避けていたのだろう。この場所に足を踏み入れた時には気がついていた筈だ。そうでなければ、おかしい。

 

 "なんだアレは"

 

 壺を見れば、これでもかと札が貼り付けられているのが分かる。

 しかし、それ以上に感じる違和感。

 あるいは嫌悪、拒絶、不快感、圧倒的な恐怖。

 札の貼られている壺と、目の前でニヤニヤと嗤う蝙蝠からはおどろおどろしい気配、オーラと言うべきか、言葉にすることすら生ぬるい其が発されており、そんなものを近くで全身に浴びていることに気がついた。

 

 ああ、そりゃあ洞窟に入った時に気持ち悪くなる筈だ。

 湿気だとか空気だとか、そんな理由ではなかった。原因はすぐそこにあったのだ。

 後悔先に立たずとは言うが、少々楽観視しすぎたことを、今になって後悔した。

 

 蝙蝠は私の様子に気がついたのか、顔をきょとんとさせた後、ハッと何かに気がついた様な顔へ変わる

 

『ああ、すまねぇすまねぇ、ずっと一人だったから分からなかったが……ちょいと待ってろ、今なんとかすっから』

 

 蝙蝠はそう言うと目を閉じ、沈黙する。

 それは数分であったか、数時間であったか。心的時計が狂っているのだろう、もしかしたら数秒にも満たない時間かもしれない。

 

 突如、沈黙を『キーーーー』という声が破る。

 すると、声を境に感じていた威圧感のような其が消え、先程まで感じていた気持ち悪さも無くなった。

 

「はっ、はっ、はっ、ぁ」

 

 突如、息苦しさに襲われ息を切らす、どうやら息をすることすら忘れていたようだ。今まで感じていた緊張が解れ、空気を身体全体に巡らせるべく一所懸命に取り込む。

 

『あー、本当にすまねぇ、そんなつもりは無かったんだが……まあ、事故みてぇなもんだ、許してくれ』

 

 一体何様のつもりか、しかし文句を言おうとしても、声を出すには息が足りないので仕方なく蝙蝠を睨む

 

『……まあ、それでだ。すぐには話せねぇようだが聞くだけ聞いてくれ。まず自己紹介だ。俺様はフェーレス、恐れ知らずのフェーレス。昔々、うーーんと昔にへまをして、ここに封印されちまった。世間一般には"悪魔"と呼ばれている存在だ。

 ヨロシクな、人生二周目の"異世界人君"』

 

 

 は?

*1
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