ブルアカ世界に転生したらレジスチルだった件   作:ヨントウブン

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「わたしたちわ このあなで くらし せいかつし そしていきてきた」
「すべてわ ※※※※の おかげだ」
「だが わたしたちわ あの ※※※※を とじこめた」
「こわかったのだ」
「ゆーき あるものよ きぼーに みちたものよ」
「とびらを あけよ そこに えいえんの ※※※※が いる」


目覚めと出会いと始まりのシグナル

目が覚めた時、自分が暗い洞窟の中にいる事が分かった。とはいっても、何故この場所にいるのか分からない。ついでに記憶と、なんなら身体の感覚もない。

 

周囲を見渡した時に、眼の違和感に気がついた。まず、暗いはずの洞窟なのに、隅から隅までよく見渡せる。地面に落ちている石ころのその形までハッキリ分かるのだ。

俺はそんなに目が良かっただろうか?思い出せないのに無駄な思考が続く。

 

2つめに、まばたきがいらないのだ。不思議な気分だった。今まで常に無意識でやってた事を、する必要がない、そもそもその為の機能がない事に対する違和感。

 

まるで自分の目が高性能なカメラにでもなったかのような、そんな気分だった。

 

なぜ自分がこんな場所にいるのか。そもそも自分は何者なのか。そんな事を考えている内に、身体の感覚が分かるようになった。

 

動ける。直感的に確信した。記憶にあるものよりずっと短い手と足を駆使し立ち上がったが、どうもおかしい。推測が正しければ、俺の指は両手にそれぞれ3本ずつだし、足に関しては平べったい。体は凄く丸っこいようだ。

 

自分の姿を確認しなければならないという強迫観念に襲われた。周囲を見渡すが、此処は洞窟。姿見なんて気の利いた物はあるわけもなく、代わりになりそうなものを探し回っていると、水溜りを見つけた。これなら自分を見れる。

 

そうして近寄ったその水溜りで、俺は自分の姿に驚く事になる。

 

美しい曲線と球体によって構成された、メタリックな外見。

赤く妖しく光る7つの目に相当する部位。

迫力を感じさせる武骨な手。

 

そう、俺の姿は……

 

「ZZGZg!!?(レジスチルじゃねぇか!!?)」

 

伝説のポケモンになっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「GgzZG(なんだってこんな目に……)」

 

落ち込み項垂れるレジスチル。人間らしい仕草と感情のない鉄仮面が実にミスマッチだ。

 

「zg……(とりあえず、現状を把握しよう。自分が何者だったかは、水溜りを見た瞬間に理解した。普通の人生を送ったつまらない人間だな。それから、自分の姿がレジスチルになっている。)」

 

自身が目覚めたその場所に座り込み、彼は考え込む。

 

「gzz……(この際、この前世と思わしきものの記憶は置いておこう。残してしまうような家族も友人もいなかったはずだ。これからどうするかが問題だな。)」

 

彼には物事に優先順位をつける、前世からの癖があった。そして、彼の癖はこのような非日常において、より役立つものであった。

 

「zgz(まず、この場所の理解だな。外に出る事はできるのか、他の生物はいるのか把握しないといけない。)」

 

ひとまずのやる事を決め、洞窟の壁にそって一周し始める。どこかに外へ向かうドアや抜け道がないか探しながらも、思考は続く。

 

「ggz?(そういえば、技は使うことができるのか?後で試してみようかね。)」

 

感情を映さない鉄仮面で分かりづらくなっているが、彼はこの現状にワクワクしていた。子供の頃にプレイしていたゲームのキャラの一体になって、技を繰り出せるかもしれない。そんな可能性は、この現状において、唯一の癒しでもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、彼の行動は無駄に終わった。どこにも抜け道は無く、ドアらしきものも見当たらない。諦めて元の場所に戻り、考えを纏めようとしたその時。

 

突然、刺すような光が壁から差し込んだ。おそらく、外からの光なのだろう。そして人型のシルエットがレジスチルに向かって伸びる。

 

「……」

 

そして、一人の女性が洞窟の中に足を踏み入れた。逆光の中、目立つ黒いスーツ姿。奇しくもレジスチルと同じ、紅く光る瞳。

 

レジスチルよりも小さなはずなのに、それを感じさせない存在感と高貴さ。人の上に立つ人間特有のカリスマを持つその女性は、ゆっくりとした足踏みで彼に近づく。そして声を発した。

 

「※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※,※※※※.(私はミレニアムサイエンススクールの生徒会長、調月リオ。)」

 

瞬間、彼は理解した。言語が分からない。自分は言葉を話せない上に、相手の言葉が分からないとなれば、もはや対話の手段は無い。彼が硬直している間にも、彼女の話は進む。

 

「※※※※※※.※※※※※※※※※※※※※※,※※※※※※※※※※※※※※※.(まずは謝罪を。過去に私達が貴方にした事は、到底許されることではなかったわ。)」

 

 

発言の後、彼女は頭を下げた。言葉が分からないレジスチルでも、その行動の意味は理解できていた。彼女は自分に向かって何かを謝っている。そして少しの沈黙が流れた。

 

「……※※※※,※※※※※※※※※※※※※※,※※※※※※※※.※※※※※※※※※※※※※※※※※※.(……それから、厚かましいかもしれないけれど、力を貸して欲しい。この世界を滅ぼされる訳にはいかないの。)」

 

彼女の手は震えていた。それが恐怖によるものか、罪悪感によるものかは、彼女にしか分からない。けれども、彼女のその雰囲気が、決意が、彼を動かした。分厚い手のひらが持ち上げられる。そして差し出された。

 

握手の構えだ。

 

「Zgzg(よろしく)」

 

こうして彼は外の世界へ向かう事になる。

 

この先にどんな出会いが、別れが、冒険が待っているかは分からない。

 

この先、どんな友情に、勇気に、光に触れていくのか、

 

それはきっと、未来だけが知っているのだ。




深夜テンションで書き上げたものなので、後から修正入ります。平にご容赦を。

終わり方が打ち切り漫画っぽいのはわざとです。続けるなら確実に修正が入りますね。
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