地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「うおおおおっ!?」
俺の斬撃に気づいた鴨志田は、ちょうどズボンのベルトを外そうとしてて
緩くなったズボンを気にしつつ、振り返り
慌てて
「チュウオウ! 来い!」
右手の腕輪に触れ、自身のペルソナを召喚した。
鴨志田のペルソナ・チュウオウは、指を蛇に変化させ、俺の刀に巻き付いて受け止める。
イッコだけなら刃物を止めるにはキツイかもしれないが、10本巻き付けば無理なく止められるか。
俺の刀くらいなら。
……所詮俺の剣なんて達人じゃ無いしな。
ギリギリと止められて。
その隙に鴨志田はズボンのベルトを元に戻す。
そして脇に置いていた両手斧を拾おうと身を屈める。
俺はそこで「まずい」と思い……
刀を放棄した。
そして
「ペルソナァーッ!」
自分の亡者の腕輪に触れて、俺は自分のペルソナを召喚する。
俺の目の前に召喚されるゲンサイ。
仮面の黒い剣士は斬撃を放つ。
「ぐおっ!」
それで鴨志田の左の人差し指が吹っ飛んだ。
ゲンサイの斬撃は、刀を奪い返すためにチュウオウの手を目掛けて薙ぎ払い。
その一撃で左人差し指の蛇が切断されたんだ。
そうならないように、手を引いたみたいだが、間に合わなかったらしい。
左手人差し指の半ばから先を欠損し。
鴨志田は脂汗を浮かべて悲鳴をかみ殺している。
……金メダリストだったっけ。
人間性はクズそのものだけど、そこにいくまで厳しい練習に耐えた男でもあるはずだから。
こういうときの根性はあるってことか……
倒すのは楽じゃないぞ、こいつは
「よくも俺様の指を斬り落としやがったな……」
「謝らないからな」
……我ながら少し間抜けな返しだ。
「お返しをしてやる」
両手斧……ドワーフの戦士が振るいそうなごついやつ……
それを人差し指の無い左手と、無事な右手で。
若干下段気味の構えで構える。
「……そうかい」
恐怖はある。
多分コイツ、急所を狙わず部位破壊を狙ってくる。
お返しだからな。
首を刎ねたり、胴体を分断するような一撃は多分来ない。
自分同様、指や足が、耳や鼻が無くなるのを俺に味わわせてやろうとすると思うんだ。
でも逆にそれが俺の勝機かもしれない。
部位破壊なら、多分回復魔法で治ると思うしな。
水畑さんの。
肉を切らせて骨を断つ。
……いけるか?
俺……?
「……できるもんならやってみればいいさ、変態」
「ぬかせ、餓鬼」
俺の返しに、鴨志田は静かな怒りと、冷静な戦略眼を伺わせる声で応えて来る。
俺と鴨志田、睨み合い、隙を伺い合いながら
そして数分……いや十数分か?
だいぶ睨み合い
俺は
左手甲を鴨志田に向け、顔面を守るようにして踏み込んだ。
死守するのは右手と眼だ。
「そおらッ!」
踏み込みに合わせ、待ち構えていた鴨志田の横薙ぎの斧。
衝撃と熱を感じた。
……左手が吹っ飛んだかもしれない。
悲鳴が出そうになるが、鴨志田への怒りを再燃させ、耐える。
コイツが耐えたんだ。
……俺だって耐えてやる!
悲鳴を飲み込み、俺は
ゲンサイ、斬首だ!
そう言おうと口を開いた。
だけど……
そこで俺は、ふと
人殺し。
その3文字が脳裏に浮かび……
……躊躇した。
それに気づくのに、致命的なタイムロス。
気づいたのは
「チュウオウ! こいつを消し炭にしてやれ!」
鴨志田が溜飲が下りたのか、チュウオウに火炎魔法の使用を命じる声を聞いたとき。
……マズイ!
焦る。
俺はそこで
「ゲンサイ!」
ゲンサイに斬首を命じる。
だけど鴨志田のチュウオウはその両手を俺に向けて
灼熱の火炎を
「グギャアッ!」
……その寸前だった。
鴨志田が悲鳴を上げたんだ。
何だ!? と思い
視線を下に向けて驚いた。
……下着姿の水畑さんが、鴨志田の太腿にナイフを突き立てていたんだ。
恐ろしく冷たい目で。
水畑さん、槍はなくしたけど。
スカートの中に隠し持ってたナイフは、ここに持ち込めたのか。
「なにしや……」
鴨志田が、いきなり刺して来た水畑さんを怒りの表情で見下ろして
斧の一撃を振り下ろそうと腕を振り上げるけど。
その前に俺のゲンサイの斬撃が、鴨志田の首を腕ごと両断していた。