地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
社会の底辺で、愛を叫ぶ。
どんな映画なんだろうか?
劇場に入り、水畑さんと並んで座った。
他に客は……いない。
映画が始まる前の、定番
著作権関係に関わるCMナシ。
STOP映画泥棒を訴える状況じゃ無いしな。
当たり前か。
ここ、映画泥棒されて困る人居ないし。
地獄だから。
売店ではポップコーンやポテト、ナチョスやドリンクを売ってたんだが、俺は買ってない。
俺は映画のときは飲み食いしないのが基本なんだ。
そしてそれは水畑さんも同じみたいで。
同じだったのがちょっと嬉しかった。
……で劇場が暗くなり。
映画上映がはじまる。
『この人痴漢です!』
……社会の底辺で、愛を叫ぶ。
この映画の筋はこうだった。
ヒロインは犯罪で生計を立てている底辺一家の長女。
彼女は幼少期は万引きを行い、成長して大人になると、売春や痴漢冤罪。
女を使った犯罪で稼ぎ、家にお金を入れるようになった。
そしてこの物語の主人公は新人警察官で。
非番の日、電車に乗っていると。
ヒロインに痴漢冤罪を吹っ掛けられた。
それを返り討ち。
大失敗したヒロインは、警察に突き出されそうになったけど。
主人公はそこで思うところがあり「警察に行きたく無ければ、俺の言いなりになれ」とヒロインに。
そしてヒロインは、これからは主人公の玩具になる運命が待っているんだと思ったんだけど。
主人公の怒涛の矯正教育が入り。
自分がいかに間違った環境で生きていたのか。
それを理解するに至る。
そしてヒロインは後悔し、反省し。
まだ犯罪で生計を立てている親兄弟を罠に嵌めて全員捕縛し。
主人公に、司法に差し出した。
ヒロインは自分に向かって罵倒を浴びせて来る親兄弟たちに
「あなたたちは現状この社会に必要が無い人間です。矯正教育を受けて真人間に生まれ変わって来て下さい」
と真顔で言い
そして
「お世話を掛けました」
ヒロインは主人公に頭を下げ、こう言うんだ。
「……私はあなたを愛しています。ですから、ここに残った最後の悪に裁きを与えてください」
自分の両手を主人公に差し出しつつ。
余罪に対する自首。
そしてその申し出に主人公は迷うけど、最終的にそのヒロインに手錠を掛けるんだ。
……えーと。
コレ、ちょっと酷くないか?
確かにヒロイン取り巻く環境は悪だけどさ……
だからと言って、一緒に育った弟妹まで司法に騙し討ちで差し出すって……
目的が正しければ、何をしても良いってもんじゃないだろ。
弟妹たち、ヒロインのこと心の底から信じてたんだぜ?
まぁ、両親はしょうがないけどさ。
幼少期からヒロインに万引きを仕込み、二次性徴が出てきたら売春させて。
ヒロインの人生を貪ってたクズ中のクズだしな。
でも、弟妹は違うだろ……?
姉ちゃん何で僕らを売ったの?
姉ちゃん僕ら何か悪いことした?
……泣いて謝ったり、非難する未成年の弟妹たちのシーンは、見てて気分が悪くなった。
映画が終わったので
「なぁ水畑さん」
俺は隣の水畑さんに
この映画、ちょっと内容酷くない?
そう訊ねようとしたんだ。
だけど
(え?)
俺は硬直した。
……何故って
水畑さんは、この映画で涙ぐんでいたんだよ。
不快さや、怒りじゃない。
明らかに、良かった、みたいな感じで。
……何で?
この映画で感動?
本作を読んでいただき感謝です。
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