地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「こんにちは」
いきなりだ。
すれ違うとき、そのオバサンが俺に話し掛けて来た。
その声には敵意を感じなかったけど……
続く言葉が普通じゃ無かった。
「あなた、私に仕えなさい。仕えさせてあげるわ」
……ハァ?
いきなりだぞ?
前置きも何もなく。
いや、一応「こんにちは」は言ったか?
でも、そこから何でこの言葉が続くんだ?
混乱する俺に、オバサンは続ける。
「私は
笑顔と共に。
「ヨ、ヨシミ様……」
するとオバサンの従者のように付いて来ていた少年が
不安げな声をあげた。
だけど、オバサンはそれを無視する。
「そんな小娘と一緒に居ること無いわ。わがまま放題でウンザリでしょう?」
そしてだ。
そんなことを言ったんだ。
……カチンと来た。
「うるさいよ。オバサン」
……水畑さんは俺を気遣ってくれる。
今日だって、メンタル不全を起こしている俺をこうして連れ出してくれた。
恩があるんだ。
それをこんな風に悪し様に言われて、黙っているのは俺の主義に反する。
「えっ、ちょっと」
オバサンはなんかそれが意外だったようで。
慌てている。
俺は相手をせず
「行こう。水畑さん」
なんだかイライラして。
思わず、彼女の手を掴んで引っ張ってしまった。
「え、あ、はい」
水畑さんはちょっと焦った風な声で、俺にされるがまま、引っ張られる。
しばらく、オバサンは何かワーワー言ってたけど。
最後に
「そんな小娘を選ぶなんて! 絶対に後悔するわよ!」
……そんな言葉を浴びせて来た。
ジャアク堂書店。
平屋建ての本屋さん。
規模は結構デカい。
ちょっとしたホームセンターくらいの広さがある。
で、店主が黒い雪だるま。
頭巾を被った、巨大な2等身だ。
大きさは5メートルほど……
でかい……
「よく来たホー。立ち読みは自由にするがいいホー」
店主は俺たちにルールを説明する。
こんなルールを。
「ただし、1冊に10分以上の立ち読みは許さないホー。それ以上は買ってもらうホー」
……なるほど。
店内の様子は、木製の立派な本棚が立ち並び、所々に台があってそこに平積みの本が置かれている感じ。
そこの本のラインナップは……
『漢シリーズ』
『弱虫先生シリーズ』
『親分シリーズ』
……なんだか、平積みに説教臭いシリーズが多いな。
優しさだとか、寛容さだとか、勇気だとか……
正しい人間の生き方を解く本ばかり。
いや、俺はこれ全部読んでるんだけどさ。
やっぱ地獄の本屋だからか……?
まぁ、この手の作品は嫌いじゃ無いから。
自分の知らない本で、似たようなの無いか探してみるか。
そう思い、売れ筋の平積みの本を放置して、本棚に並んでいる本の背表紙を眺めて……
「水畑さん」
水畑さんはどういう本を読むの?
そう言おうと彼女の方を見たら
……彼女の背後に、ナイフを振り上げた少年が立っていた。
血の気が引く。
見覚えがある。
あのときの……あの変なオバサンと一緒にいた俺と同年代の少年だ!
「水畑さん! 危ない!」
俺は叫んだ。
水畑さんは気づいていない。
え? って感じで俺を見る。
だけど。
……次の瞬間、その少年の姿が消えたんだ。
服とナイフを残して、搔き消えるように。
何が起きたのか?
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