地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
右手で剣が握れなくなった。
どうする……?
剣術は
両手で剣を握る場合は、左手が一番重要。
だけど、右手が無くていいってわけじゃないし。
そして片手で剣を操る場合、必要とされるのはやはり右手。
つまり、何が言いたいかというと……
相当、どころかメチャクチャやばい。
切断面からドクドク血液が溢れて来るけど、そんなことよりも……
当然だけど、ゲンサイも右手親指を失ってる。
どうする……? どうする……?
「うわっ!」
久保が、水畑さんのケイローンの矢に驚き、アシッドブレスを吐き出すのを中断した。
だけど、足がやられているから、窮地なのは変わらなくて……
「う……うわああああああ!」
俺は吠えた。
この状況を打破する方法が浮かばない。
詰みか……だけど。
水畑さんが目の前で死ぬのは我慢ならなかった。
意味がない行為と嗤われるかもしれないが
俺は左手で刀を握り、久保に突撃する。
「おや、破れかぶれかい? ……だったら、大技を決めさせてもらおうかな」
背後から明智の落ち着き払った声。
大技……至高の魔弾ってやつか?
どういうものか知らないけど、喰らえば多分やられるんだろうな。
明智が出し渋っていたってことは、出すのが面倒な技で……
それでも技として存在するのは、威力が馬鹿高いからだろうし。
突撃する俺に、久保が怯えた表情を浮かべている。
コイツだけでも俺が倒せば、水畑さんが逃げる隙が出来るかもしれない……!
とにかく。
俺は目の前で水畑さんが嬲り殺しにされる様を、指を咥えて見ているのは絶対に出来なかったんだ。
「あはははっ! 馬鹿じゃ無いの? 意味がないのにッ! 本当に男って馬鹿!」
開田が嗤う。
「状況判断が出来ない! モノの価値が分からない! 善悪の区別もつかない!」
心底愉快そうに。
……悔しかったが。
そんなことよりも……せめて……
「……終わりだよ」
そこに明智の声。
俺にはそれが俺への死刑宣告に聞こえた。
クソッ……
俺は、何も出来ないのか?
ただ、倒される……死ぬだけなのか?
そんなの……無念だ……!
でも俺は、左手に剣を握らせたゲンサイに突進させる。
一歩でも、前に……
2度目の死を、覚悟しながら
だけど
「ぐえっ」
……俺に、死を
蛙が潰れたような声が聞こえて。
何かが倒れる音がした。
久保の目から怯えが消えていた。
そしてただ1点を見つめていた。
……何だ?
何か、起きたのか?
俺は足を止めた。
足を止めて、見る。
久保が見ているものを。
……それは
「うぐええ、うええ、ぎええ」
腹を押さえて倒れ伏し、のたうち回って苦しんでいる開田。
脂汗と血に塗れている。
ゴボゴボと口から血を吐きながら、苦鳴を洩らしていた。
「……ヨシミ様。ようやく隙が出来ましたね」
明智が穏やかに。
フウ、と息を吐きながら。
ロキの2本の角の間に輝く光球が浮かんでいて。
そこから「至高の魔弾」というやつを発射したのか。
……開田の腹に。
「ど……どぼぢて……?」
地面に倒れて苦しみつつ、開田は明智に訊く。
何故自分を撃ったのか?
明智は、それに優しい笑みを浮かべて
「ずっと待ってたんですよ。あなたがそのイカれたサディズムを発揮して、猿同然に加害に酔う瞬間を。普通の状態じゃ勝つのが難しかったので」
そう、開田にとっての残酷な真相を口にしたんだ。
明智は敵か味方か?
本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。