地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「殺したいって……何で?」
純粋に分からなかった。
嫌いなヤツ、憎いヤツを殺したい。
許されるか許されないかは別にして、それは分かる。
だけどこの人……
明らかにそういう意味じゃ無くて「明智を殺したい」って言った。
わけがわからなくて、動揺した。
すると嶽下は獰猛な笑みを浮かべながら、こう言ったんだ。
「俺は最強を目指しているんだよ」
最強……?
耳を疑った。
幼稚過ぎて、理解できなかったんだ。
子供じゃあるまいし……
そんなもんを目指してどうするんだよ……?
「どうして最強になりたいんですか?」
でも、まだ会話を打ち切る理由にはならないので
俺は会話を続けた。
すると
「……自分がどこまでの強さなのか知りたいんだよ……それで俺が一番強いなら、感無量ってやつだ」
全く理解できない。
でも……
こいつは、卑怯なことはしてこない。
行動原理が意味不明なだけで。
それだけは理解した。
「……現世でも同じことをなさってたんですか?」
そこで水畑さんが会話に加わる。
別に聞く必要のないことだけど……
興味はあった。
嶽下は
「ああ。俺が傭兵になったのは、現代で合法的に殺し合えるのは傭兵だけだったからだ」
語った。
本当に他人と命のやり取りがしたくて、傭兵になって戦場を渡り歩いていたと。
そしてあるとき
「そしたら部隊にどうしても殺し合ってみたい奴がいてな。殺し合いを誘っても応じやがらないから……」
どうしても命を賭けて戦ってみたい相手がいて、その戦いを誘っても相手が応じない。
その状況で彼がしたことは
「そいつが果し合いを拒否できないように、そいつの戦友を人質に取ってタイマンしてぶっ殺した」
……イカれてる……。
本物の狂人だ。
血の気が引くのを俺は感じた。
「……そしたら後でその人質にした奴が、日本で俺を車で撥ねやがってな。……しくった、ってヤツだぜ」
ククク、と笑いながら。
自分が殺された話なのに、憎々し気に語ってない。
どこか嬉しそうだった。
「……何がそんなにおかしいんですか?」
「いや、俺を出し抜きやがったなぁ……ってさ」
そいつには事実が伝わらないように工夫したってのに、俺が絵を描いたことをどうやってか突き止めたんだな。
やるねぇ、としか言えねえわ。
……まるで他人事。
自分に執着せず、ただ真っ当に戦い、勝つことだけを生き甲斐にしている人物。
イカれてなければ、それほど悪い人間では無いのかもしれないけど。
……この人とは、組めない。
この人自身に他人と組んで戦う発想が無いし。
仮に組めても、明智を倒した瞬間に俺に勝負を挑んでくるかもしれない。
だから
「……ご健闘をお祈りします。あなたと当たるのはなるべく避けたいですね」
俺はそう丁寧に言い、水畑さんを連れて立ち去った。
「おおよ。お茶ありがとうな」
別れ際。
嶽下はお茶を奢ったことの礼を言って来たけど。
……それが何だか怖かった。
これで7人目。
会っていないのはあと1人。
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