地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
微かに聞こえる声には、荒っぽさを感じた。
……ということは。
おそらく、嶽下……
明智、久保、嶽下、松山……
この4人の中で、そういうふうな戦い方をしそうなのは嶽下しかいない。
どうする……?
逃げるか……?
でも、いずれは戦わないといけない相手なんだよな……
その場合、相手の戦い方を事前に見ておくのは大事だろ。
今が、偵察のチャンスなんだ……!
だから
「水畑さん……覗きに行こう。あとで戦わないといけない相手が、悪魔相手に戦っているんだ」
彼女の目を見て、そう提案した。
無論、彼女が「そんなのダメです。絶対に逃げましょう。それ一択です」って言うなら、従うつもりで。
すると彼女は
「……そうですね。先に見ておかないと、対策を立てることが出来ませんし……」
少し声が震えていたけど、俺の提案に同意してくれた。
そのときの彼女は、少し顔が蒼褪めていた。
あの、サキュバスの館で遭遇したとき。
会話で伝わって来たんだと思う。
嶽下という男の危険性に。
でも、今が決断のときだろ。
嶽下を相手にするとき。
対策無しで挑むのは危険すぎる……!
「そうら、もう来ないのかッ!? 全く手ごたえがねぇな!」
声を頼りに忍び足で近づいていく。
近づくに従って、声がハッキリ聞こえてきた。
……間違いない。
嶽下だ。
このビルの角を曲がれば、多分いる……!
そして俺たちは、そっと覗き込んだ。
そこには、アーミーパンツに黒タンクトップの逞しい男がいて。
どこかの未開の部族が使いそうな大振りナイフを右手に持って獰猛な笑みを浮かべ戦っていた。
心底楽しそうに。
動きが素早い。
相手は3体。
2体は緑色の衣服を身に着けた紳士の姿をした悪魔。
背中に蝙蝠の翼があって、猟銃を握ってる。
そして残り1体は。
下半身が大蛇で、両手にねじくれた刃物を握った悪魔。
その衣装は、SM趣味のボンテージっぽい。
男はその3体を前にして、全く恐れずに戦っている。
……予想通り、嶽下だ。
嶽下は、ペルソナを出していなかった。
そこがまず、驚きだ。
俺たちは、戦闘が始まると同時に、ほぼ出しっぱなしなのに。
ペルソナ無しで、下半身大蛇の刃物二刀流の悪魔と渡り合ってる。
「そうらっ!」
嶽下の手にしたぶっといナイフが、二刀悪魔の右腕を深く切り裂いた。
グオオオ!
悪魔の悲鳴。
同時に2体の緑色の紳士の悪魔が立て続けに1発ずつ、猟銃をぶっ放す。
援護のつもりか。
だけど嶽下は、危なげなくその銃撃をステップで躱す。
……なんて強さだ。
生身で3体の悪魔を圧倒してる……!
俺は戦慄した。
そこで
「うっとおしいな、オマエら!」
猟銃悪魔たちに視線を向け
嶽下は、右手首の亡者の腕輪に触れ
「ペルソナァ!」
……ペルソナを召喚した。
シャウトに応じ、嶽下の身体から放射されるエネルギーが、1つの像を形作る。
それは……
全体的なフォルムは目を隠す舞踏会の仮面をつけた狼男。
ただし、背中に体色と同色の黒い翼を備えていて。
右手に、鋸のようなギザギザになった刃を備えた、凶悪なデザインの片刃の曲刀を握ってる。
これが嶽下のペルソナ……
「仕事だ! グラシャラボラス!」
グラシャラボラス……
名前だけは聞いたことがある。
どういう悪魔なのかは知らないんだけど……
食い入るように見つめる。
ここから先は見逃してはいけない気がした。
嶽下は獰猛な笑みを浮かべて
「空間殺法をかけてやれ!」
自分のペルソナに指示を出し。
猟銃悪魔に向かって突き進んでいく。
……そしてその次の瞬間、とんでもないことが目の前で展開した!
空間殺法は、敵にはあまりされたくないスキルだよね。
本作を読んでいただき感謝です。
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