地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
声の出所は割と近かった。
俺は岩陰に隠れて、覗き見る。
そこでは、怪物と女の子が戦っていた。
戦っている女の子は長い髪をサイドテールにまとめた子で。
大人しそうだった。
髪の毛をまとめているのは、青色の布ゴム……シュシュとかいう奴か?
そんなので。
着ている服は……俺同様の学生服。
もっとも、向こうは女の子だから、ガクランの俺とは違いセーラー服だけど。
黒いセーラー服だ。
スカーフの色が赤色の。
多分、高校生だな。
俺と年齢が同じっぽい。
彼女は奥歯を噛み締めた表情で、一生懸命戦っているようだった。
ペルソナを呼び出して。
彼女のペルソナは……
金属製のケンタウロス。
色は黄金。
頭部はフルフェイスの兜みたいになってて。
その隙間から、金色の長い髪が零れている。
ケンタウロスは金属製に見える大きな弓を構えていて。
そこに矢を番え、怪物を狙っていた。
怪物……獅子の顔を持ち、両腕が大蛇、そして青い色の馬に跨っている巨漢。
そんな化け物を。
「ケイローン! お願い!」
女の子は必死の形相で自分のペルソナに弓で攻撃させている。
だけどその矢は、怪物の大蛇の腕で撃ち落とされ、通じていないみたいだ。
「ヌハハハハッ! 馬鹿の一つ覚えでは無いかッ! 少しは工夫したらどうだッ!」
怪物は高笑いしつつ
「覇ァ!」
気合を発する。
同時に波動が発生。
2匹の蛇の顎のひとつから
「きゃあああああ!」
……波動にやられて、女の子が吹っ飛ばされた。
顔を庇うみたいにして踏ん張ったけど、ダメだった。
吹っ飛ばされて、倒れ伏す。
……どうする?
俺は考えた。
このままだと、あの子はあの怪物に負けるんじゃないだろうか?
そうすると、俺にとってはライバルが1人減る。
つまり、俺にとってはラッキー。
……だけど。
説明が出来ないけど、ここであの子を見捨てることに、後ろめたさを感じたんだ。
意味不明だと思ったけど。
……どうする?
「フハハハハ! 邪悪な人間よ! この堕天使オリアスの贄となれィ!」
倒れたあの子に、怪物が近づいていく。
腕の蛇をくねらせながら。
俺は……
飛び出した。
そして
「来い! ゲンサイ!」
走りながら右手首に手を当てて。
俺は自分のペルソナを召喚した。
理屈に合わない行動をしていると自覚してる。
でも、なんだか見捨てられなかったんだ。
……ひょっとしたら、あの子が悪い人間に見えなかったのもあるのかもしれない。
俺のゲンサイは滑るように突っ込んで、怪物の背中から袈裟懸けの斬撃を浴びせる。
「グアアアアッ!? な、何奴!?」
怪物は突如襲って来たゲンサイを相手に混乱し。
防戦一方になった。
「ゲンサイ! 一気に畳みかけろ!」
『任せろマサフミ』
ゲンサイの鮮やかな剣技。
怪物を圧倒している。
「おのれッ!」
だが、一瞬隙があったのか。
怪物はゲンサイの肩に噛みついた。
怪物の両腕の代わりに生えている大蛇の顎が噛み付いたんだ。
同時に俺の肩に痛みが走り……
そして、身体が痺れて来た。
麻痺……?
俺は膝を突く。
まずい……
ペルソナへの攻撃は、本体にそのまま影響として出る。
ペルソナが傷つけられると、本体も傷つけられ。
ペルソナが麻痺毒を喰らうと、本体も麻痺するんだ。
「覚悟するがいい」
……怪物の声には焦りがあったが、起死回生の一撃を決めたためか。
勝利を確信した響きがあったよ。
で、そこが隙になった。
後ろから飛んできた矢が怪物の頭を貫いたんだ。
あの子のペルソナの一撃……
……その一撃で。
悲鳴も上げずに、怪物が塵になり消え去った。
麻痺した主人公……
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