地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
「ゆけい!」
ジョカの攻撃で危ないのは、雷撃と氷結の魔法じゃない。
土偶だ。
ジョカの雷撃は視線とムーブからなんとなく予想できるし。
氷結魔法はそもそも、俺は耐性があるのでそこまで深刻なダメージにならない。
ただ、土偶は……
ジョカは自分の周囲に土人形……土偶を作る能力を持ってて。
それは1個じゃなくて。
たくさんだ。
で、それが勝手にそれぞれ動く。
で、各々接近して来て、自爆するんだ。
それは洒落にならない威力で、その衝撃をまともに喰らえばただでは済まないと思う。
……自立して動く爆弾人形……
厄介極まりない。
「どうした? 打つ手なしかえ?」
ジョカは動かない。大蛇の蛇身に腰掛けた余裕の姿で、必死に土偶に対処している俺たちを見下している。
……こいつ、物理攻撃……つまり剣も効かないんだよな。
さっき何とか一太刀浴びせたんだけど、コイツには効かなかった。
なんというか、身体を素通りしたんだ。
……ゲンサイの斬撃が。
あのときは背筋が寒くなった。
どうすんだこれ、って。
そしてトールの電撃も効果なし。
コイツ自身が雷撃を使うから、その可能性は高いと思っていたけど。
やっぱりだった。
効果が期待できるのは……
おそらく、氷結魔法を使うことから、火炎攻撃と……。
あと……
「ロキ!」
明智さんはロキに魔力の光弾を撃ち込ませる。
ジョカはそれを、土偶の1体を盾にして防ぐ。
……こんな感じで、ジョカはロキの光弾攻撃を防御してるから、きっと効果があるんだ。
ジョカは俺の剣を避けようともしなかった。
だったら……至高の魔弾なら効くかもしれない。
俺は明智さんの傍で声量を抑え
「明智さん、俺がジョカの気を引きますから……」
あの大技を、そう続けようとした。
だけど
「……君は逃げろ。水畑さんのところに行くんだ……」
明智さんは決断の意志が籠った声でそんなことを言った。
えっ……?
「多分、君では囮役もこなせない。君は逃げるべきだ」
そう言ってくる明智さんの顔は厳しくて。
強い決意が見えている。
「僕が逃走の時間を稼ぐ」
……何で?
「そんな! 待って下さいよ……」
「君は生き残らなければならない」
明智さんは俺の言葉を取り合わない。
一方的に告げて来る。
「……逃げろ。君を最後に勝ち残らせるために。僕と水畑さんはこの地獄に居るんだ」
だから、協力を……
そう言おうとしたら
「てめえ! 俺の言うことを聞けよ! 逃げろって言ってんだろうが!」
いつも穏やかで、爽やかな笑顔を浮かべていた明智さんが。
感情を剝き出しにして叫んだんだ。
「いいか!? 俺は確実に生き残る資格がねぇ! 許されようと思うことが間違いな罪人だ! だがお前は違う! もう一度言う! 逃げろ!」
……生き残る資格が無い……?
明智さんは、悪徳政治家子飼いの殺し屋だったから……?
でも、そうなったのはその悪徳政治家が明智さんを母親共々捨てたからだろ……?
明智さんはただ自分の価値を認めて欲しかっただけで……
しかし。
そんな理由で罪を正当化できない……
明智さんに殺された人々には、何の関係もないからだ。
……俺は明智さんに好感を持ってるし。
女性に優しい姿勢には尊敬の念すら持っていた。
だけど……明智さんが生前犯した罪を考えると……
段々、分からなくなってきた。
……こんな問題……人が判断できることなんだろうか……?
ふと、そう思ったんだ……
そのとき
『ようやく……気づいたか』
……俺の中で、声が聞こえたんだ。
聞こえてきた声は……?
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