地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
俺たちは無言で地獄宿のロビーにいた。
何も話せない。
俯いて、並んでソファーに座っていた。
……手は繋いで。
頼れる人だった明智さんがやられてしまった。
どうすれば良いんだろう……?
まだ俺にはミルファが居るし、ミルファには俺が居る。
だけど、仲間をやられるという衝撃は、俺たちを絶望させていた。
……松山が憎い。
あんな汚い手段で、明智さんを倒した松山が。
探し出して倒してやりたい気持ちはある……
だけど、あいつは街のどこにも居なかった。
ひょっとしたら、外のエリアで居住可能な場所を見つけて、そこに潜伏しているのかもしれない。
そしてひょっとしたら……
ここから先、松山は俺たちの前に出て来ないかもしれない。
外で地雷を作り上げて、それをこの街エリアの各所に設置し。
俺たちがそれを踏んで爆死するのを期待するような戦い方をしてくるかも……?
そうなったら、俺たち打つ手が無いだろ……?
不安もあったが、悔しさで俺はミルファの手を握り。
彼女も俺の手を握り返してくる。
そのとき
「……よぉ。生き残りが4人になったな」
そこに、アーミーパンツ、タンクトップの野性的な男……嶽下が現れたんだ。
「お前らでイカレ教祖はぶっ殺したのか。なかなか捕まらねえから、どうやってやろうか考え中だったのに」
やるじゃねェか。
そう言い嶽下は、ニヤリと好戦的な笑みを浮かべて
「明智はどうした? 果し合いの日取りを決めテェんだが?」
……そう言って周囲を見回している。
この人、明智さんが死んだとは考えていないのか。
多分、それぐらい強さを認めていたんだな……
俺は
明智さんは爆弾で松山に殺された
そう伝えようとした。
言葉にするのは嫌だったけど。
だけど
「明智さんは汚い手段で、松山に倒されたんです!」
……先にミルファが言ったんだ。
彼女としても、許せなかったのか。
……明智さんも、彼女に優しかったしな。
恩義を感じていたのか。
嶽下はその言葉に
「……は?」
ポカンとしていた。
わけのわからないことを言われた。
そういう表情だった。
「……そうかよ」
俺たちから説明を聞き、嶽下は
イライラした表情を隠そうともしなかった。
そして
「……俺は自分の獲物を横取りされるのが一番腹立つんだ」
ギリギリ歯噛みし
「これで永久にアイツより俺の方が強かったと言えなくなっただろうがァァァァッ!」
野獣そのものの様子で、大きく吠える。
「許せねえ! 俺の獲物を盗みやがってコソドロがッ! ぶっ殺してやる!」
そして憤怒の表情を浮かべたまま歩き出した。
宿の出入り口に向かって。
俺は
松山をやるまで俺たちとの戦いは延期して下さい。
そう言おうとした。
彼も松山を殺したい理由が出来たなら、そこで交渉は出来るだろうと思ったから。
彼と松山、いくらなんでも同時にその2方向で戦闘を意識するのは無理がある。
だけど先に
「お前らと戦うかどうかは保留だッ! 先にクソ野郎をぶっ殺す!」
そう吐き捨てるように言う。
俺は安堵しながらも……だったら
「ちょっと待って!」
呼び止めた。
彼は足を止め
「……何だ? 下らねえことを言いやがったらただじゃおかねえぞ?」
イライラした表情のまま。
俺を振り返り、そう言った。
正直、恐怖はある。
だが俺は
不安はあったが、切り出した
「松山をやるまでは共闘しましょう!」
……ちょっと前までは、発想としてあり得なかったこと。
今の……松山に対する憎悪で怒り狂ってる彼なら、通る気がする。
明智さんが教えてくれたんだ。
チャンスは逃してはいけないって。
おそらく嶽下は何か松山を見つけ出すアテを持ってる。
だったら、それに便乗するべきだし……
各個撃破のチャンスを松山に与えるのは下策だろ!
多少リスクがあってもここは交渉をするべきなんだ!
そんな決断をした俺を
嶽下は
「……震えながら言うことじゃねぇな」
俺の膝が少し笑っていることを指摘して来る。
……情けないけど、嶽下の凶暴なオーラに気圧されている俺が確かに存在するから。
だけど
……嶽下はスッと怒りの表情を納めた。
「だがま、嫌いじゃねぇな。そういう奴は俺は別に嫌いじゃない」
そして嶽下は
こっちに戻って来て。
俺たちが座っていた地獄宿のロビーのソファーのひとつに、どっかと腰掛けた。
俺とミルファと、この嶽下……
この3人で、松山を倒す……!
最終メンバー決定。
ここで第6章は終了です。
次回から最終章。
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