地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
俺たちが
空間殺法に追い込まれている松山に向ける。
……自然に、息が合った。
これまで合わせるために、声掛けや肩を抱いたりしてたけど。
ごく自然に、合わさった。
「ペルソナーッ!」
俺たちの合わさった声。
俺たちのメインペルソナが合体し、呼び出されるペルソナ。
ヨシツネ。
ヨシツネは抜刀し、空間殺法で窮地に追い込まれている松山に突進していく。
<HASSO-BEAT>
ヨシツネの跳躍力による、縦横無尽の斬撃。
それはまるで、8人のヨシツネが存在し、松山ひとりを襲うように見えた。
松山はそれにはもう耐えきれなかった。
「ウガアアアアアッ!」
断末魔。
切り刻まれて……
松山は倒れ伏した。
……終わった。
上手く行って、良かったよ。
フゥと安堵の息を吐き、俺たちは杖を下ろした。
「……これで、現世に蘇って一番マズイ人が倒れましたね……」
ミルファの呟き。
そうだね。
……嶽下も普通の人じゃ無いけど、松山よりはまだましだ。
蘇られて災厄になるというほどじゃない。
無論、危ない人間だけどな。
「……嶽下さんは私たちと戦いたいと思うでしょうか?」
どーだろ?
俺たちの合体魔法の威力を見て、やってみたいと思うかもだけど。
……我儘だけどさ。
当分、外の悪魔で強い奴相手に、その戦闘欲を解消して欲しいよ。
ミルファの覚悟に対して申し訳ないけど……
俺はミルファと一緒に居たいんだ。
そんなことを、思う。
口には出せないけどね……
それは彼女の想いに対する侮辱かもしれないし。
そう思いつつ。
ふと、視線を戻した。
倒れ伏した松山が居た場所に。
……まだ、倒れていた。
ズタズタの、ボロボロの姿で。
……え?
何で、死体が消えていないんだ?
鴨志田も、開田も、明智さんも、すぐに消えたのに。
久保が少しだけ長く死体が残っていたけど、あれ以上……
死んでないのか……?
そんな馬鹿な。
嶽下の空間殺法と、俺たちの合体魔法をフルコースで浴びたんだぞ?
生きていられるはずがない……!
そこでふと
(そう言えば……)
この戦い、あまりも楽勝過ぎないか?
俺たちが強かったから?
……でもこいつ、お告げを受けたから来たんだよな?
その結果が、これ?
……変だろ。
こんなもん、こいつにとっての死地じゃないか。
死地に向かわせてどうするんだ。
勝ち残るためのお告げのハズだろ……?
何か……変だ。
おかしい……!
「……首を刎ねておいた方がいいのかも」
「えっ?」
俺の呟きに、ミルファが戸惑う。
俺はテミスを召喚し
「テミス、不安だから松山の首を……」
刎ねてくれ、と言おうとしたとき。
松山が動き出した。
ボロボロの身体を動かして。
地に手を突き。
起き上がり、立ち上がる。
……その顔は血の気を失い、能面のようで。
松山は
「……おお、我らが偉大な父よ……唯一神よ……このミカエルは乗り越えましたぞ……!」
腕を大きく広げ、取り憑かれたような表情で
笑みすら浮かべて、こう言ったんだ。
「私はさらに神の領域に近づいた!」
……気圧されていた。
その異様な迫力に
松山は感極まった声で
「ああ……有難い! この力で世界をメシア教の世界にしろと仰るのですね!」
そこでさすがに気づいた。
こいつ、ほっとくとヤバい!
今、倒さないと!
俺は駆け出そうとした。
だけど……
「グッ!」
……松山の身体から、凄まじい波動が放射され、近づけない……!
これは……この波動は……!
俺たちが見ている前で、松山は
6枚の翼を生やし、仮面をつけた巨大な首と手首という姿の自らのペルソナ……
セラフを召喚し。
そのセラフが……
紫色に変色し、まるで立体パズルのように分解した。
そしてその分解した破片が……
松山の身体を覆い尽くしていく……!
ペルソナが分解して、鎧になった……?
ペルソナが変じた松山の鎧……
それは背中に6枚の翼を備え、全身を覆い尽くす紫色の騎士の甲冑……
「素晴らしいぞッ! これぞ神の意志!」
全身を覆う鎧で武装した松山は吠えた。
狂気の笑みを浮かべて
「涜神の振る舞いに怒り、死地と知りつつ赴き、戦い抜いた私の心に、神が応えて下さった……!」
興奮で震える松山の声。
「これぞセラフより生まれ、私の覚悟に応え更なる高みに駆け上がった我がペルソナの究極の姿……!」
松山の、その笑み崩れた顔。
酔いしれてるんだ……
自分がこの世で、一番神に愛されていると自覚して……
俺の顔から、血の気が引いていく……
マズい……これはマズい……!
俺の見ている前で
松山に、最後の鎧のパーツが飛来してくる。
そして松山が
最後の言葉を吐いたとき。
それは松山の頭部を覆うフルフェイスの兜になった。
……若い男性の顔の意匠のフルフェイスのヘルメットに。
松山が吐いた言葉。
それはこのペルソナの名前だった……
それは……
「……アバタールだッ!」
アバタール……神の化身ってことか……!
こいつラスボスなんでー。
そんなにあっさり倒れませんのでー。
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