地獄ペルソナ~地獄でバトルロイヤルする8人のペルソナ使いたち~ 作:XX(旧山川海のすけ)
その後の俺は、心理学を学べる大学を目指した。
法務教官になりたかったからだ。
法務教官とは、少年院や少年鑑別所、刑務所で働く、非行少年や犯罪者の更生や社会復帰を支援する職業。
ミルファの望みを果たすにはどんな仕事が良いのか考え抜いて、出た結論がそれだったんだ。
法務教官になろうって。
ミルファのような境遇にいる少年少女は、きっと法務教官なら救えるんじゃないだろうか?
そう思ったんだ。
法務教官は採用試験の合格率が2割に到達しない、かなり高難度の職業。
それをパスすることを目指すわけだから、楽では無いよ。
……でもまぁ
ミルファのためだから、やってやるかと思い。
頑張った。
その結果……
26才のときに、俺は試験をパスして法務教官になった。
法務教官になるために必要なのは試験のパスだけで。
試験を受けるのに必要なのは大卒以上の学歴なので。
本来は不要なんだけどさ。
……最高の仕事が出来るように、俺は大学院で心理学を勉強したんだ。
そしてその後は
俺は仕事に生きた。
世の中、親になる資格のないクズみたいな親が実在している。
俺はそんな親に奴隷として育てられて、歪んだ人生を押し付けられている子供たちを1人でも多く救いたい……。
そう思い、日々を過ごしていった。
30才になったとき。
普通に仕事をするだけでは俺の目的に足りてないと思い、動画サイトで自分の経験と知識を世に伝え、知って貰おうと思った。
するとわりと視聴者がつき。
そこからどういうわけか、あなたの経験を本にしてみないかという話が出て。
大手出版社から、俺の経験と知識が本になって出るのなら、俺の目的に近づくと思い……
受けた。
その後本を出して、それがベストセラーになり。
新聞でも特集記事が組まれ、32才で講演依頼が来るようになった。
……この講演が問題でさ。
壇上に上がって自分の経験と知識を話すだけで、数百万円が舞い込むんだよね。
本も印税というものがあったけど。
講演はそれ以上で。
お金だけ、どんどん異様に貯まってしまう結果になった。
俺は別にお金なんてどうでもいいと思っていたので、とりあえず親に俺の学費を返そうかと思ったんだけど……
「そんなもん、要らん」
……父親の一言で一刀両断。
戸惑う俺に、父親は
「そんなに金の使い道で悩んでしまうんであれば、早く結婚して家族を持てば良いだろう」
そう、圧力を掛けて来た。
俺は、それに申し訳ない気分になる。
……俺は、結婚どころか見合いすらしてなかったからね。
どうしてもミルファのことが頭から離れず、踏み切れなかったんだよ。
というか……
俺みたいな人間は、結婚したら駄目だと思う。
相手に失礼だ。
「井の頭公園集団暴動事件の首謀者の少年の話はですね、世間一般では異常な少年の暴発であると言われてますがー、裏にはですね、ガイア教徒という集団が」
そして俺は35才になった今でも、結婚どころか彼女も居ない状況で、今日も1人で自宅のワンルームマンションでの配信をしていた。
視聴者はすごい数で、生配信だとロクにコメントが出来ないくらい人が来ている。
俺のチャンネルの有料会員になることがコメントをするための必須条件だ。
月額800円程度だけどな。
これは別に好意的なコメントだけが欲しいとか、そういうわけじゃなくて。
俺に直接コメントしたい人が、やろうと思っても全然できないのを緩和するために、敢えて制限をいれたんだけど。
いつしか、会員にあらずんばコメントは許さず。
事実上、そうなってしまった。
……別に金を集めたいわけじゃないんだけどなぁ。
そんなことを思いつつ、今日も話していたら。
こんなコメントを見つけたんだ。
『テミスサイト―先生は独身ですか?』
……俺に対してなんか踏み込んだコメントだ。
人によってはセクハラと捉えてもおかしくない質問。
これは一言言ってあげた方がいいのかな?
冗談でも言うと不味いことはあるわけで。
とはいえ……
ここでそれを指摘すると、この子が無用に攻撃されるかもしれないよな。
どうするか……
そんなことを考えながら、そのコメント主のハンドルネームを見たとき。
おや、と思った。
……スレイプニル。
それが、そのコメント主のハンドルネームだった。
変なハンドルネームだねぇ。
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