君と奏でる幸せの音   作:賀茂川泰伸

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ミリオンライブには曲がたくさんありますけど、まだミリシタに実装されてない曲もあります。自分はミリシタで楽曲を知る人間なので、イベントで新しい楽曲に出会っては「これ、○年前の曲なんや」ってなることが多いです。これってミリオンライブ並びに765プロの楽曲が多すぎやろってことになるな……

ってことで9話です。作品の閲覧や感想をお待ちしております。


第9話 みんなで作ろう

たこ焼きを作る準備のため、一行は給湯室へと向かった。

 

「今日はたこ焼きやで〜」

「奈緒さんって料理得意なんですか?」

「得意なんかな?美奈子には負けるけど」

「美奈子さんの料理、おいしいですよね〜」

「未来〜?たこ焼きに関しては私の方が自信あるで〜?」

「もちろん!奈緒さんが買ってくれたのめちゃくちゃ美味しかったです!」

「私が()うたやつかい!」

―――

そんな会話を交わして給湯室のドアを開ける。そこには女性がカップに湯を注いでいた。皆に気づくと

 

「あれ?あんたらどうしたの?」

 

と声をかけてきた。

 

「プロデューサー!」

 

歩の返答には返さずに幸哉を見つける。

 

「ちょっと、関係者以外立ち入れないから」

「幸哉は関係者だよ!百合子たちを助けたんだから!」

「あれ?あぁ~、優愛が言ってたのってこの子?」

 

カップを置いて向き直り、頭を下げた。

 

「ホントごめん!マジで気づかなかった!」

「いえいえ、そんなことは……」

「あたし、姫柊鈴葉(ひめらぎすずは)。プロデューサーやってる22歳。これからよろしくね〜」

 

軽い調子の自己紹介。性格は容姿にも表れており、肩口まで伸ばした髪はライトブラウンに染め、服はゆったりとしたワンピース、爪にマニキュアを塗っていた。女性プロデューサーの中でも天宮プロデューサーの方は清純といった感じであったが、目の前の女性は華美といった印象を受ける。

 

「姫柊さんはスーツ着てないんですね」

「スーツねえ……あれ苦手なんだよね。堅っ苦しいから。後名前でいーし」

 

姫柊プロデューサー―もとい鈴葉は名前で呼ぶように要求した。

 

「てか、今ここで何しようとしてたん?みんな集まって」

「昼ご飯にたこ焼き作ろう思って来ました」

 

奈緒の回答に鈴葉がうーんと首を捻り、何かを思いついたようにポンと手を叩いた。

 

「子供達だけでやらせるのも危ないしさ、ここは大人であるあたしがついててあげよっか?」

 

鈴葉が提案してくるが、歩がげっとした表情をしていた。

 

「えっ……?まあいいけど、プロデューサーが大人って……」

「なーに?あゆ、何か不満でもあんの?」

「言わせてもらうけど……プロデューサーってめっちゃ適当じゃん!?」

「適当ってなによ、あたしはちゃんと仕事してます~」

「何かアドバイス求めても『がんばれー』で終わりなのに!?」

「だって何も思いつかないもん」

「いっつもそう!ほんとにやる気あるの?」

「はぁ?人のこと疑うの?あるし。やる気」

「それが信じられないんだよ!」

 

両者の口論が加速する一方であった。それを見て呆れた表情をするのり子と奈緒。傍観する中学生たち。

 

「まーた始まった。鈴葉さんと歩の口喧嘩」

「こんなんでようプロデュースできてるなあ」

 

呆れ顔の二人を見て質問を投げかけた。

 

「いつもあんな感じなんですか」

「そう。いつもああいうことばっかりやってる」

 

喧嘩が熱を帯びてきたその時、ドアが開かれ、人が入ってくる。背の低い女性―このみである。

 

「このみさん!」

「騒がしいと思ったら、こんなことになってたのね」

「ほんますいません、これ止めてくれません?」

 

奈緒の頼みに黙って頷き、未だぎゃあぎゃあ騒いで気づかない二人の前に出て一喝した。

 

「二人とも、いい加減にしなさい!!」

「このみ『さん』『先輩』!?」

 

ぴたりと諍いが止む。それを見てこのみが更に二人に向かって質問した。

 

「どうして喧嘩してたのよ」

 

歩が自らの言い分を述べる。

 

「だってさぁ、うちのプロデューサーが適当だってこと言ったら怒りだしたんだよ!」

「なるほど……で?鈴葉ちゃんは?」

 

鈴葉に話を振り、彼女が観念したように語りはじめる。

 

「あゆのやつがあたしのことバカにしてきたんです~。先輩も言ってやってくださいよ~」

 

「はあ……」

 

双方の言い分を聞いていたこのみだったが、やがて二人に向かって言い聞かせるように言い放つ。

 

「いい?歩ちゃんは鈴葉ちゃんに謝ること。鈴葉ちゃんはそう言われないようにしっかり仕事をしなさい。わかった?」

「はい……」

「ごめんなさい……」

 

二人が互いに頭を下げた。

 

「あゆ、ホントにごめん。今度から真面目にやるから」

「こっちこそごめんなさい!アタシも言い過ぎてた!」

 

両者が互いに謝罪を口にし、場の空気が落ち着いたところでこのみが質問した。

 

「みんな集まって何してるの?」

「昼ご飯にたこ焼きを作ろうって感じで集まったんです」

「なるほど……大方鈴葉ちゃんが大人として責任をとるって言い出して喧嘩になったのね」

「なんでわかったんですか!?」

「伊達にあなたの先輩やってないわよ」

 

さっきから鈴葉がこのみを呼ぶときの「先輩」というワードに疑問を覚えた幸哉が質問した。

 

「姫柊さん、じゃなくて鈴葉さんってなんでこのみさんを先輩って呼ぶんですか?」

「単純に社会人として先輩だから。あと年上だし」

 

あっさりと答えた。

 

「そうなんですね」

「そうよ。出会ったときから先輩先輩って構ってくるの」

 

先輩呼びの由来を知った。そこまで深い理由でないのが彼女らしい。

 

「それじゃ、たこ焼きの準備しちゃいましょう」

 

このみも調理に参加することに決まり、調理が始まった。

 

「何入れるの?」

「そらタコ入れるやろ」

「わさびとかどうかな?」

「それいけるのあゆだけでしょ」

「生クリームがいいなあ〜」

「たこ焼きにクリームは合わないんじゃ……」

「シュークリームみたい……」

 

中に入れる具について議論が始まった。

議論の末、冷蔵庫の食材を使って作ろうということに決まる。

冷蔵庫の中にはタコの切り身、ちくわ、ウインナー、チーズ、キムチ、天かすなどの具材が入っていた。

 

「こんなに都合良くあるんだ……」

「美奈子が料理に使うから置いてあるんだよ」

「それじゃあ、始めちゃいましょうか」

 

このみが皆を呼び、作業の工程を伝える。

 

「奈緒ちゃんと幸哉くん、、のり子ちゃんは生地作り、未来ちゃんたちは具材のカットをお願いね。それじゃまずは手洗いから!」

―――

 

手を洗った後、机にボウル、卵、牛乳、小麦粉といった生地の材料、泡だて器や計量カップといった器具を置く。

 

「たこ焼きは作るの初めてだよね」

「はい。料理も初心者なので教えてください」

「ええよ!失敗したら私らが食べたるから。ほな一緒に作ろか!」

「あはは……」

 

かくして調理を始めることになり、奈緒が説明を始めた。

 

「たこ焼きはまず生地から作るねん。小麦粉をボウルに入れて、そこに牛乳と卵を溶いて入れるんや」

 

言われた通り、小麦粉を開けてボウルに入れる。

 

「卵はこうやって、角で軽く叩いてヒビを入れるんだよ」

 

のり子の説明通り、卵を叩いてヒビを入れて割る。しかし加減を間違えたのか、黄身に殻が入ってしまう。

 

「すみません、力入れ過ぎました」

「ええよ。最初は失敗するもんやし。これぐらいお箸で取れるわ」

 

菜箸を使い、殻を取り除く。そしてカップにあけた卵を箸で混ぜ、溶き卵を作った。

 

「そんで卵と牛乳入れて混ぜる。やってみて?」

 

材料を入れたボウルを差し出され、泡立て器で混ぜようとする。しかし、小麦粉が重く思うように混ざらない。

 

「力入れて混ぜなあかんねん。手貸したるから一緒に混ぜよな?」

 

そういって幸哉の腕に手を伸ばそうとする。しかし、以前のことを思い出したのり子が奈緒に耳打ちする。

 

「触ったらまた怖がるって」

「大丈夫や。見てみ?」

 

そういって手首を優しく掴み、一緒に混ぜはじめた。以前のような発作は起きず、真剣な眼差しでボウルの中身をかき混ぜる。二人の力を合わせたおかげか、あっさり中身は混ざり、黄色い液体となる。

 

「未来ー、食材切り終わった?」

「はーい!もう切り終わりました!」

 

のり子が別の机で作業していた未来を呼ぶと、元気な返事が返ってきた。

―――

生地と具材の準備が整い、ホットプレートが机に置かれた。

 

「ここからはあたしらでやるから。やけどしたらヤバいからね」

 

鈴葉がプレートをたこ焼き用の窪みのあるものに差し替えながら言う。

 

「でもひっくり返すのは皆でやった方がいいと思います」

 

百合子が意見を出し、幸哉がそれに同調するように

 

「確かに、その方が皆で作った感じがあっていいね」

「杏奈も……幸哉くんに賛成……」

 

それを聞いた鈴葉は考えを翻意したのか、

 

「わかったわかった。でもやけどには気ぃつけなよ」

 

と言った。

 

窪みに油を引き、プレートを加熱させはじめ、十分に熱が通ったところで先程作った生地を流し込む。そこにカットされた具材を投入した。

生地と具材を投入して少し経ったところで歩が口を開いた。

 

「じゃあさ、最初にひっくり返すのは幸哉にやってもらおうよ」

「僕がやるんですか……上手くできるかな」

 

心配そうな幸哉を見て未来が声をかける。

 

「大丈夫だよ!失敗しても別に気にしないし!」

 

鈴葉も便乗して

 

「やるだけやってみたら?初めてなんだしやったらいいよ」

 

と励ましなのかよく分からない言葉を送る。

言葉を贈られた幸哉はじゅうじゅう音を立てるたこ焼き器を見据え、窪みの一つに向けて渡された竹串を差し込み、

 

「えい!」

 

勢いよくひっくり返した。

返し方がよかったのか、たこ焼きがくるりと返り、狐色の面が顔を出した。

 

「やった!」

 

小さく手を握り、喜びの表情の幸哉。それを見た一同が「おぉ~」と感嘆を漏らした。

 

「すごい上手!もしかしてやったことあるの!?」

「いや、やったことないんだ」

 

どうやら初めてのようだ。

 

「それでもすごいって!アタシたちもひっくり返していこう!」

 

歩の声を皮切りに皆が竹串を持ち、たこ焼きをひっくり返していった。

――――

たこ焼きを皿に盛り付け、ソースにマヨネーズを付けて手を合わせる。

 

「いただきます!」

 

息を吹きかけて程よく冷ましてから、口に入れる。

カリカリに焼けた外側と、とろみの残る内側。食べやすい大きさにカットされたタコとかけられたソースに鰹節も味を引き立てていた。

 

「おいしい〜」

「やっぱりみんなで作ると達成感あるよね」

「せやろ〜?やっぱたこ焼きはみんなで作った方がええねん。私もいただきま〜す」

 

そう言って奈緒がたこ焼きに手を伸ばして口に入れた瞬間、突然、表情が苦しげになる。

 

「ぐあっ!うぇ……、か…、辛ぁ……」

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

幸哉は急いで水を持ってきてコップに注いだ。コップをもらってごくごくと音を立てて奈緒は水を飲み干した。幾分か落ち着いた後、恨めしげにつぶやいた。

 

「誰や……、中にわさび入れたんは……」

 

どうやら中身にわさびが入っていたようであり、それを聞いた歩が頭を下げ謝罪の意を示す。

 

「ごめん!それ入れたのアタシだった!」

 

鈴葉はそれを聞いて歩に向き直り言った。

 

「あゆ、責任もってわさび入りは全部食べな」

 

目が笑っていない。その視線を向けられてぼそぼそと呟く。

 

「マイガー……」

――――

たこ焼きを皆で楽しんでいると、不意に部屋のドアが開けられ、スーツの男―慶一が姿を現す。

 

「みんなここにいたんだな」

「プロデューサーさん!」

「相河くん、お疲れ様」

「こんにちは、このみさん。面倒見てくれてありがとうございます」

 

挨拶を交わして幸哉の方を見る。

 

「たこ焼き、みんなで作ったのか?」

「はい。そうです。生地作り任されてました」

「そうか、頑張ったな」

 

そういって幸哉の肩に手を置き、誰かを手招きするようにドアの方向へ声を発した。

 

「おーい、たこ焼きがあるぞ。誰か食べないか?」

 

そういって人を呼んだ瞬間、4人の少女が部屋に入ってきた。

 

「とってもおいしそうです!食べてもいいですか?」

 

亜麻色のツインテールの少女が目を輝かせて食べてもいいかと許可をとろうとする。

 

「いいよ!星梨花(せりか)も一緒に食べよっ!」

 

未来が星梨花と呼ばれた少女に呼びかけた。

 

「たっこやき~!アツアツでおいしそうだな~♪」

「ちょっと可奈(かな)。食べるのは手を洗ってからよ」

志保(しほ)ちゃんも食べたいの?

「……っ、私は別に……」

 

明るい橙色の髪の少女に手を引っ張られた黒いロングヘアの少女がぼやく。

そして最後に長い髪の少女が入ってくる。

幸哉はその顔に見覚えがあった。そして目線が合う。

 

「……!」

「……っ」

 

今永幸哉と最上静香。2人が再会した瞬間であった。




いいところで切りましたが今回はこれでおしまいです。
感想、評価等、お待ちしております。
次回のお話も楽しみにお待ちください!
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