というか今回のガチャで水着って…ミリシタ運営はやっぱり水着が好きなんすね(50連で亜美だった)
ということで12話、ライブ回をどうぞ!
「というわけで、手紙にチケットが入ってたんだ」
「マジかよおい!」
昼休みの中学校の教室で会話をする二人の少年がいた。少年たち―幸哉と柊太は765プロのアイドルという共通の話題を通じて仲良くなっていた。
「でもよ、会社から直接手紙が来るなんて何したんだ?」
「百合子と杏奈を助けたからなんじゃないかな」
「助けた?」
柊太の疑問に、幸哉は答える。
「この間、リリースイベントがあったんだ」
「それって刃物持ったヤツがサイン会の列に並んでたよな。まさかお前……」
「参加してて、その人の後ろで並んでてさ、それで気づいたら大声出してた」
「行ってたのかよそこ!怪我とかしててもおかしくなかったてのに」
「いや、ほんとに命の危機だった。叫んでなかったら二人ともやられたかもしれなかったよ」
「あぁ、そういうことか…。そりゃ命の恩人みたいなもんだしな。招待もされるよな」
柊太は新たな友人のエピソードにどう反応すればいいかわからないといった表情だったが、息を吐いて落ち着いたところで話題を変えるように、口を開く。
「そんで招待されたからには、行くよな?」
「そのつもりでいる。約束したからね」
はっきりした意思を示すように声を発する。柊太は待ってましたとばかりに、にやりと笑った。
「決まりだな。じゃあ当日は劇場に集合でいいか?」
「そうしよう。色々ライブのこと、教えてくれないかな」
「任しとけって!絶対楽しめるからな!」
約束を取り付けたところで、チャイムが昼休みの終わりを告げ、二人は元の席に戻り、授業の準備をはじめた。
ライブ当日。
幸哉は劇場の前に立っていた。目の前にはライブの開演を待つ人々で賑わっており、これから始まることの大きさを匂わせている。周囲を見回して同行者を探していると、
「おーい!こっちだこっち!」
手を挙げている少年―柊太が目に入る。
「おはよう。連絡とれなくて分からなかったよ」
「おうおはよう!学校に携帯持ち込めないからな、今交換しようぜ」
そう言って、両者ともスマホを差し出して連絡先を登録する。
「おい待て。これって……」
柊太が幸哉のスマホ画面を指差す。
幸哉の方の画面には今まで交換してきた連絡先が並んでいる。
家族たる相河家の人々をはじめ、未来、翼、百合子、杏奈といった面々の連絡先が登録されているのである。
「マジかよ……」
「本当なんだこれが」
一度目の来訪で未来や翼、二度目で奈緒や百合子、杏奈の連絡先を交換して、いや彼女たちから交換の誘いがあった。
それに目を丸くする柊太。
「これで本当だって分かった?」
「わかった。画面消してくれ。嫉妬がヤバい」
そう言われて、幸哉はさっと画面を消した。まだ事実を受け入れられないようである。
入場の時間となり、待っていた人々が動き始める。二人も遅れないように人の波に入っていく。
「チケットはお持ちですか?」
受付のスタッフの確認を受け、観客席のドアを開ける。
「わぁ……」
そこは階段状に座席が並んでおり、上からはステージが一望できるように設計されていた。
「これがアイドルのステージ……」
「そうだ。ここが765プロ劇場自慢のステージだ。でっかいだろ?」
指定された座席へと移動し、その席へ着席した。
「おっ、番号隣どうしだな」
柊太がチケット番号と座席を見てつぶやく。
「今日は隣で色々教わろうかな」
「そうだな。今日の出演アイドルは知ってるか?」
「未来たちなら知ってるけど、他の人はよく知らなくて」
「まぁ52人もいるんなら把握仕切れてないとこもあるな。えっと今日は……」
そう言って柊太は765プロの公式SNSの画面を見て出演者を確認した。
「今日は信号機の三人と
「どれどれ……」
画面を覗くと、未来に静香、翼といった見慣れた顔ぶれに長い、青い紫陽花色の髪の美少女に、亜麻色の髪を後ろで結んだ優雅さを醸し出す女性が写っている。しかし、幸哉は長い髪の女性に見覚えがあったのか、画面内の少女を指指す。
「あっ……」
「どうした?」
柊太が幸哉の顔をのぞく。
「長い髪の、紬さんっていう人…、こないだ劇場近くの駅でぶつかった人だ!」
「おぉい!そんなことまであったのか!?」
幸哉は以前劇場に初めて出かけた際、紬と呼ばれている女性と最寄り駅で衝突していた。あの時は互いに謝っただけで名前を聞いていなかったのである。まさかアイドルであったかも知らなかった、と話している最中、横から声がかかる。
「あの~…すみません。席、間違ってないかな?」
声がした方を向く。そこには、帽子を被り眼鏡をかけ、肩に鞄をかけた女性が立っていた。
「あ、オレっすか?」
柊太が聞くも、違うとばかりに首を横に振り、幸哉を見る。
「じゃあ僕が…、ってああ!」
所持しているチケットと席の番号を確認する。チケットに指定された椅子の番号と幸哉が今座っている椅子の番号とが一つズレていたのである。
「すみません!」
「いいよ!気にしてないから!」
そういって女性に席を譲り、本来の席へと移動する。
女性の横に幸哉と柊太を挟む形で三人は椅子に座った。
「もしかして、ライブに来るのは初めてかな?」
幸哉の隣に座った女性が話しかけてくる。
はじめに答えたのは柊太だった。
「こいつは初めてですよ。オレは何回か来てますけど」
「今日が初めてで…、すごく楽しみなんです」
「うん。楽しみなのはいいと思うな。だってこんなに大きなステージが始まるんだもの」
女性はにこやかな表情を見せる。
「名前とか聞いていいですか?」
唐突に柊太が口を開く。その発言に動揺したように止めに入る幸哉。
「ちょっと…いきなり失礼なこと言うなよ……」
「いいよ。私の名前はあまみ…じゃなくて
女性はハルと名乗り、幸哉たちを見て頭を下げた。
「よろしくお願いしま〜す!ハルさんってなんか、春香ちゃんに似てるってよく言われません?」
「あはは、よく言われるの。わた…春香ちゃんに似てるって」
「春香ちゃん?」
聞いたことのない名前。そのことについて幸哉は質問した。
「
「いきなり言われてもな……知らないよ」
幸哉が困ったように言うと、ハルはにっこり笑顔を見せた。
もしかしたら、本当にアイドルかもしれない。その笑顔は見る人を虜にしているのではないか—そう思えるほどに、彼女の笑顔は眩しく見えた。
「大丈夫だよ。今日、初めてアイドルのライブを見るんだよね。これから知っていけばいいから」
「そうですね…これから知っていこうと思います」
その返事を聞いたハルはふわりとした笑みを浮かべ、ステージの方を見ていた。
「そういえば、名前聞いてなかったね」
確かにこちらが一方的に聞いただけであり、名乗らないのは失礼である。二人がハルの方を向いて自己紹介をした。
「オレ、出水柊太っていいます!そんでこいつが……」
「今永幸哉です。ハルさん、よろしくお願いします」
「よろしくね、二人とも!って……」
ハルが何かを言おうとした瞬間、突如観客席全体にブザーの音が響き渡った。
「幸哉、早くペンライト出しとけ!始まるぞ!」
柊太が小さな声で耳打ちし、幸哉は鞄の中にある事前に購入したペンライトを慌てて取り出す。
「これ?どうやって使うのか分からないんだ」
「これは折って光らすんだよ!」
「振ってあの子たちを応援するの」
二人から答えを聞き、プラスチックの棒の両端を掴み、折り曲げる。
棒の中点から赤い光がじわりと灯り、少し振ることで光が両端に到達した。
「赤…、ってことは未来ちゃんが好きなんだね」
横にいたハルがライトを見る。どうやら赤は未来のイメージカラーらしい。
「詳しいっすね。もしかして常連ですか?」
翼をイメージした黄色のペンライトを持った柊太がハルの方を向く。
「えっと、たまに来るんだけど、ファンの人って色々なペンライトを持ってるでしょ?それであの人はどの子のファンなのかなっていつも思ってるの」
幸哉と同じく赤いペンライトを持ちながら、ハルの顔はステージの方を向いていた。
「これより、765プロライブ
アナウンスが響き、室内の照明がだんだん落とされていく。ステージの
「みなさーん!!!」
その声が聞こえた瞬間、ステージに駆け出す人影が見えた。赤で統一された衣装の少女たちが登壇する。未来を中心に、アイドルが舞台に並んで立つ。
劇場の照明に照らされて、彼女達はまばゆく光って見えた。
「今日は私たちの定期公演に来てくれて、本当にありがとうございますっ!」
未来がセンターに立ち、観客たちに挨拶をした。
「私たちの歌を、皆さんのために届けます」
「だから、わたしたちのこと、見ていてくださいね~♪」
「
「練習の成果を、存分に発揮したいと思います」
静香、翼と続いて紬、歌織が観客に向かって挨拶をして、未来が最初の一曲を発表した。
「それでは最初の一曲、『Brand New Theater!』です!」
未来の言葉の後に、曲のイントロが始まる。
『とびらあけて さあ 行こうよ』
『私たちの Brand New Theater Live!』
(練習の時と違う…!)
幸哉はイントロの瞬間から目を見開き、ステージに釘付けとなっていた。以前、レッスンを見学させてもらった時とは違い、さらにメンバーとして紬と歌織の二名が追加されている。もとより曲として五人で歌う曲なのだろう、と考えながら、ペンライトを握っていた。
「これが……アイドルのステージ……!」
呆然とした表情になっているのを見たのか、柊太が話しかけてくる。
「ライトは振って使うんだ!こんな風にな!ハイ!ハイ!」
言い終わるやいなや、ステージの方を向き、ペンライトを振りながら声援を送っていた。
柊太の声に幸哉ははっとなり、ステージの方を見据えて、ひたすらにペンライトを振っていた。
曲はサビに差し掛かり、幸哉は何かに気づいた。
(未来…もしかして目が合ってる?)
ステージ上の未来が、こちらを見ているような気がしてならなかったのだ。ライブに行くことは伝えてあるが、どの席へ座っているなどの情報は伝えていない。
それなのに、何故か自分と目が合っている。
(それなら……!)
何かを思いついたのか、未来のいるステージを見据えて席から少しだけ立ち上がり、ライトを大きく振る。
(未来…静香…翼!ここだ……気づいてくれ!)
そうしているうちに曲は終盤へと突入する寸前となったそのとき、
未来が、幸哉の方を向いて少しだけであるが手を振った。つまり、ステージの上から観客席にいる無数のファンの中から一人を見つけ出したのである。自分を認知している。そのことに呆然としているうちに一曲目が終わってしまった。
「さっき!未来ちゃんがこっち向いてくれたかもしれない!きっとオレの方気づいたんだろうな~!」
そんなことはつゆ知らず、柊太が自分を見たとばかりに興奮している。
「あはは…。そろそろ次が来るんじゃない?」
ハルが苦笑いしながら言った。ステージでは歌い終わった五人が撤収し、次のアイドルたちがステージに現れた。
「皆さん、今日も普通に元気ですか~?」
髪の長い女性がマイクを握り、突然奇妙なことを口にした。
「ちょ、ちょっと
外ハネの少女ー茜が麗花と呼ばれた女性に注意する。
「あれ?そうだったかなぁ」
きょとんとした顔をする麗花。それに茜は突っ込む。
「そうだよ!前に言ったよね!?」
それに対してもピンと来ていない麗花だったが、話を諦めたのか茜は息を吐いて観客に向かって
「みんなぁ!今日もカワイイ茜ちゃんに会えてラッキーだね☆それじゃ、まだまだライブは続くから、楽しんでね~!」
「それじゃ、次の子たちにバトンタッチだね!」
麗花がマイクを持って宣言した。どうやら次までのつなぎのMCを担っていたらしい。
「何だったんだろう、今の……」
今も状況を飲み込めない様子の幸哉に、ハルが説明する。
「今の二人は
「まあ麗花さんが茜ちゃんを振り回してるって感じだな」
二人が麗花と茜に対する評価を述べた。どうやら二人は仲がいいようではあるが、たまにかみ合わない凹凸コンビとのこと。
二人のどこかズレたやり取りを聞いていると、次のアイドルたちが登場した。
「はいほー!姫のお城にうぇるかむ!なのです!」
次に登場したのはミントグリーンの髪を肩の近くで丸めたアイドルであった。
「姫?」
「まつり姫だよ。しっかし今日もワールド全開だな〜」
独特の感性を持っているアイドルのようであった。
それ以降、個性あふれるソロ曲や息の合ったユニット曲、パフォーマンスに観客席から歓声があがった。その例に漏れず、三人も音の波や光の雨を大いに浴び、ペンライトを振り、声援を送るなどライブを楽しんでいた。やがて時間がたち――
「実は……この曲が最後の曲になります!」
ステージに戻って来た未来が言った。
観客席からは「えぇ~」「もう終わりかぁ」といった名残り惜しい感情を含んだ声が飛ぶ。それをくみ取ったのか、次の言葉を放った。
「そんなファンのみんなに、私たちの心からの『ありがとう』を届けます!」
「聞いてください!」
『Thank You!』
ステージのアイドルたちが声を揃えて曲名を叫ぶ。
曲のイントロは静かに流れだしていった。
『Thank you for…つくろう 数えきれないステージ この場所から』
静かな始動とともに、アイドルたちが歌い始める。
歌から伝わる想いが観客へと伝播し、ファンが声援を送っている。
「はい!はい!」
幸哉も周りにつられて歓声を送り、アイドルたちを応援する。
この場の空気はすでに、アイドルへの声援と歓喜、そして熱気に満ちていた。その周りの気を感じ取ったのか、ステージのアイドル達のパフォーマンスにも力が入る。曲も最後のパートに入っていき、
『汗が弾け 笑顔咲かそう きらめく出会いを』
少しの間が空き、そこにセンターの未来が
「せーの!」
と叫び、
『ありがとう』
ここに来たファンへの感謝を歌に込め、曲が終わる。
終わりと同時に観客の称賛と感謝を含んだ惜しみない拍手がステージと観客席に轟き渡っていった。
「……」
観客席にいた三人も惜しみない拍手をステージに送り続けた。
ステージからアイドル達が全員退いていったのを見計らった後、アナウンスが響く。
「これにて、765プロライブ劇場の定期公演を終了致します。来場者の皆様、お忘れ物のないよう、安全に気を付けてお帰りください」
アナウンスを聞き、観客達は席から立ち上がった。
「ふーっ、すげえ盛り上がったなぁ。これだからファンやめらんないんだ」
「二人ともライト振ったりして応援してたもんね。幸哉くんはどうだった?」
ハルと柊太が口々に感想を述べながら観客席から出ようとする。しかし、幸哉の姿は二人の横になかった。
「あいつ、まだ座ってんのかな。ちょっと様子見てきます」
柊太が人がまばらになった観客席をきょろきょろと見渡していると、ステージを見据えてぼうっと立っている幸哉を発見した。
「おーい、もう終わったぞ。帰るんだろ?閉まっちゃうぞ、ここ」
「……た」
「え?」
「すご……かった……」
「わかったわかった。もう出ようぜー」
柊太は小声で呟くのを聞いて、幸哉の手を引いて観客席から外に出た。
「動けなくなるくらいすごかったか?」
その問いに、幸哉は頷いて答える。
「うん、ものすごくステージが輝いて見えたんだ」
「ならオレもそうだな。お前と来れてよかったよ。帰ろうぜ」
「僕も来れてよかった。帰ろうか。あれ?ハルさんはどこ行ったんだろう?」
疑問は最もである。ライブを共に楽しんだハルの姿がない。
「さぁ?もう帰ったんじゃね?また会ったら連絡先とか欲しいなぁ~。あんな可愛い人、二度と会えねえかもだし」
「それは本当にやめようか……」
幸哉が呆れたように柊太を見る。また会えるかどうかわからない幻の美少女に夢を見ているようだ。
―――
「いやぁ、ああまで心揺さぶられるとは。我が社のアイドルがそんなに気に入ったのかな。プロデューサーとして嬉しく思うよ」
ネクタイにシャツの男が感心したように言う。
「霧生、何故あの少年にチケットを送ったんだ?その理由だけ聞かせてもらうぞ」
スーツを着た男が先程喋った男――霧生を睨む様に見る。
「決まってるじゃないか氷室くん。彼はアイドルを迫る魔の手から救ったのさ」
「七尾と望月の件か。だが、お前の頭では何かを企んでいる様にしか見えない。何を考えているんだ?」
氷室と呼ばれた男が霧生への睨みを強める。
睨まれた霧生は笑いながら答えた。
「さすがは氷室くんだ。私のことをよくわかっている。決めたのさ―
彼を765プロに加入させるとね」
「なんだと……?」
氷室はただ、目の前の同僚を見つめることしかできなかった。
いかがでしたでしょうか。
途中で登場した『天野ハル』と名乗る人物はオリキャラではなく、ミリオンライブに登場するアイドルが偽名を名乗る形で登場しています。
一体だれ香さんなのか……
今回も歌詞使用しておりますので、楽曲コードの不備がありましたら教えて下さい。
次回のお話も楽しみにお待ちください!