君と奏でる幸せの音   作:賀茂川泰伸

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この話を書いてる最中に大阪のアケマス(稼働停止してる方)が取り下げされるというニュースを見て、「ああ…なくなるんか」みたいな思いが湧いております。行ったことのある場所だけに寂しいというか、時代の流れ感じますね。
ツアマスもやってみたい……
スタロー終わったし次何が来るんやろ。
動機を見つける第14話、始まります!


第14話 変わるために必要なもの

「えぇ!?アイドルになるだって!?」

「なんかねぇ、急にあんたの上司の霧生さんって人がうち来てね。話しあいがあるって言ってきたんだよ。幸哉をアイドルにするって。女の子の格好させるって言ってさ」

「本当かよ、それ……」

「あの子がウソつけるわけないでしょ」

 

765プロから帰ってきた日の夜のことであり、家族で電話の最中だった。幸哉のスマホから慶一に電話を繋ぎ、話が聞こえるようにスピーカーモードで話を聞いている。

 

「いや、そんなこと急に言われても…、今聞いたんだけど」

「こっちだってねえ、帰ったら『アイドルになれって言われた』だもんね。私らだって何が何だか……」

 

そう言って困ったような表情を浮かべる雅恵。それに対して義智が腕を組みながらうーんとうなった後、口を開いた。

 

「でもよう、女しかいねえ所に放り込んで大丈夫かよ?」

 

疑問を呈されるのも最もである。男である幸哉をアイドルとして所属させるということは性別等で何か問題が起きるかもしれない。その点に関しては、幸哉も気掛かりだった。

 

「あの…今からでも断った方がいいですか?」

 

神妙な表情で幸哉は呟く。それを聞いた三人は慌てたように声をかけた。

 

「いや大丈夫だ!別にやりたいならやればいいよな!俺も協力するし」

「そんな、わがままとは思ってないよ。頑張ってるところ見たいしね」

「やりゃいいんじゃねえか?別に誰もやるなって言ってねえぞ」

 

三人して賛同するように言い、ふっと息を吐いて、微笑みながら感謝を伝えた。

 

「ありがとうございます」

 

―――

 

電話を切ってメッセージアプリに切り替えて、慶一と話し合いを始めた。765プロに勤務しているなら、アイドルの内情などを知ることができるからである。相談のために

 

『というか、なんで女装とかって言われたんだ?』

『男の格好だと気が引けるっていったら音無さんが女の子の格好をすればいいって』

『えぇ?なんでそんな方向になるのかわかんないな』

『とにかくそう言う方針で固まってしまって、社長さんとも話し合いました』

『社長同席か…』

やり取りが続き、話題は仲間となるであろうアイドルの話になった。

 

『そういえば未来たちに話したか?このこと』

『まだ話してないです』

『というか』

『霧生さんが誰にも言うなって』

 

誰にも言うな―この言葉に関して記憶を辿るように思考を巡らせる。

――

あれは事務所にいた時のこと。

 

「これからデビューするに当たって、一つだけ言っておくことがある」

 

「君がアイドルになることを、彼女たちや友達に言わないように」

 

放たれた言葉に、耳を疑った。

 

「えっ…?」

「言葉通りだ。君の正体を隠したうえで加入させる」

発言に対して疑問を呈するように、幸哉は口を開いた。

 

「なんでこんなこと…」

それを聞いてか、霧生が続ける。

「まぁ親や学校には話さなければならないが…プロデュース上の方針としてね」

さらに続けて、

「女装というのは、見た目をがらりと変えることになる。だからこそ別人になることを意味するんだ」

「……」

黙り込む幸哉をよそに、霧生は話を続ける。

 

「元より、765プロは女性アイドルが在籍する事務所だ。その中で男性が入ればどうなる?」

「騒ぎに、なりますよね」

「そういうことだ。一旦は素性を隠し、別人になるんだ。時が経ってから明かす方針で行こう」

 

何も言うことができなかった。話は変わり、境遇の話になる。

 

「君は一回、未遂であったが自殺を試みたね?」

「はい。しました」

「だったら、女性に生まれ変わったつもりで頑張ろう。私も協力を惜しまずするつもりだ」

しばらくの間、沈黙が流れる。やがて幸哉は口を開いた。

 

「わかりました。プロデュース、お願いします」

「オーケイ。これで合意がとれた」

 

―――

 

『どういうことなんだ!?』

 

今までの経緯を要約して送ると、メッセージ欄には明らかに驚きともとれるような感情を含んだ言葉が載った。

 

『今のところ、こうするしかないって言ってました』

『わからないけど、確認とる』

 

そう残したのを見て、アプリを閉じた。

―――

数日後、幸哉は人の集まる駅前の広場にいた。前日に霧生より所定の場所に行くように伝えられ、言われるまま出かけていた。その日は休日であり、周りは家族連れや遊びに行く学生で賑わいを見せていた。

なぜ、出かけているのか―それには理由があり、連絡のため交換した霧生のアドレスから

 

「女性ファッションに詳しい人物を派遣する」

 

とこの日の前にメッセージが届いていたからである。誰が来るのか思案していると、

 

「あ、いたいた~」

 

後ろから声がかかる。声がした方を振り向くと、

 

「久しぶり~!元気してた?」

「姫柊さん!?どうしてここに……」

 

声の主は765プロに勤務するプロデューサーである姫柊鈴葉であった。思わぬ再開を果たし、驚いた声を出す。

鈴葉はそれに対して答えるように口を開いた。

 

「やー、霧生先輩から『王子様をお姫様に変えろ』って言われちゃってさ〜!幸哉だっけ?名前合ってる?」

「合ってます」

 

「待って!鈴葉さん…急に行かないで……」

 

会話の最中に、ぱたぱた足音を立ててこちらに向かって来る女性の姿があった。その顔にも見覚えがあった。

 

「天宮さん!?」

 

小柄な女性は同じくプロデューサーである天宮優愛であった。

 

「優愛、遅いって」

「急に走らないでくださいよ~…って今永くん!?」

「あはは…こんにちは」

 

―――

挨拶を済ませて、今日の予定について話があがった。

 

「とりあえず、今永くんに女の子の格好をさせる…ってことでいいんだね」

「はい。だから今日、言われてここに来ました。ファッションに詳しい人を派遣するって。」

「で、あたしらが指名されたってわけ」

 

自信のある様子の鈴葉。その服装からもかなりのおしゃれ強者であることが伺える。現に二人の服装にもこだわりが透けて見えており、鈴葉は肩を出したシャツの上にベージュの上着を羽織り、灰色の半ズボンといった格好。優愛は白いワンピースに薄い桃色のロングスカートの清楚な令嬢を思わせる服装であった。

二人の装いに思わず見とれていると、

 

「どう?今日の服、あたしが選んだ服なんだよ」

「えと…あんまり見られると……」

 

どうだとばかりに自慢する鈴葉に対し、少し恥ずかしげのある様子の優愛。そんな二人を見て感想を述べた。

 

「お二人とも、とても似合ってると思います」

 

その言葉に恥ずかしさと嬉しさが混じった表情を浮かべる二人。

 

「嬉し〜、けどそんな素直に褒められると照れるわ〜…」

「あ…えと…ありがとう…」

 

そういった二人の様子を見て、幸哉は質問した。

 

「今日はどうする予定ですか?」

 

現在、集まるだけ集まっている状態である。また、この場にいるメンバーも霧生によって招集されているため、目的がわからないままであった。その質問には鈴葉が答える。

 

「女子のファッションについて勉強させるように言われてんの。ていうか〜まさか女装でアイドルやるって人がいるってマジ!?」

 

大マジである。違和感を消すという名目で女装でステージに立つということを伝えられていたが、ここまでびっくりされるとは想定外である。からかう鈴葉を止めようと、優愛が声をあげる。

 

「もう!やめてあげてください!大丈夫?困ったら相談してね」

「ありがとうございます」

「じゃ、さっそく行ってみよー」

 

三人は、連れ立って歩き始めた。

 

――

 

「そんで、アイドルなるって言ったのはどして?そこんとこ聞きたいんだけど」

 

道中、鈴葉がふと思いついたように口を開いた。プロデュースに関わる人間として、知るべきと判断したのだろう。幸哉は一瞬考え込んだ後、理由を述べる。

 

「一番は霧生さんに勧められたこともあるんですけど、挫折や絶望を味わったからやるべきだって言われたんです」

 

その答えを聞いた鈴葉は首を捻る。よくわからなかったのだろう。

 

「う~ん、よくわかんなかった。注目浴びたい~とかそんな風だと思ってた」

 

次にとんでもない言葉が鈴葉の口から飛び出す。

 

「ていうか、ちょっと前にいじめられたりとか自殺しかけたヒトに言う?普通」

「自殺!?」

 

鈴葉の言葉にびくっとした優愛。それを聞いた当事者でない故に驚いていたのだろう。言葉に関して幸哉が語る。

 

「まぁ、学校でいじめられたり、家庭環境で苦しい思いしてたんで……。だけど、今は少しずつ、立ち直ってはいます」

 

その言葉に優愛の目元が潤む。

 

「そんなことが…無事でよかった…!」

「ああ!また泣いてる!百合子の時もそうだったって聞いたけど?」

「どうしたんですか?」

「この子、ちょっと泣き虫なところあるんよね。ほら、拭いて」

 

差し出されたハンカチで目元を拭ったのを見て、優愛の方を向いた。

 

「そういえば、百合子たちは元気ですか?」

 

彼女とは百合子と杏奈を暴漢の手から逃がした時に初めて顔合わせをしたことを思い出していた。その時も泣きながら感謝された記憶がある。

 

「うん、元気だよ。連絡先の交換もしたみたいだね。でも…」

「でも?」

「あの時、今永くんに会う前まで、二人ともアイドルをやめたいって思ってたみたいで……」

「ええ!?そうだったんですか…」

 

無理もない。アイドル活動の最中にあのような惨事になったらトラウマになるのも理解できる。

 

「だけどね、『二人がアイドルしてるところをまた見たい』って言われたのがきっかけで、またがんばろうってなったみたいなの」

 

優愛が嬉しそうな表情を見せる。自分が目をかけているアイドルが立ち直ったことに安堵と嬉しさを感じているように見えた。

 

「だから、百合子ちゃんたちの時のように苦しんでいる人たちを幸せにしてね、って意味で霧生さんは言ってたんじゃないかな」

「幸せ…ですか」

 

新たな解釈を聞き、幸哉は考え込んだ。一個人の言葉ではあったものの、百合子たちは立ち直れた。また、自分も未来たちの言葉によって、立ち上がるきっかけを掴んだ。

 

―もしかしたら、そう気づかせるために霧生はアイドルになれと言ったのか?

 

そう考えていると、鈴葉が不意に口を開いた。

 

「別に正体を隠さなくてもアイドルできそうなのに、なんで『正体を隠せ』って言われたん?」

 

確かに正体を隠さずとも、未来たちは受け入れてくれるだろう。その件については、プロデュースする側も気になっているはずである。

 

「このことに関しては『別人になれ』って言われて……」

 

「そう?とにかくアイドルの子らにバレなきゃいいんでしょ?」

「……」

 

無言で頷いた。結局、思惑に関して明確な答えが出ることはなかった。

 

―――

一行は街路を歩いていた。目的として、女性のファッションを学ぶため、専門の店へと向かっている最中のことであった。

 

「あ~!プロデューサー~!」

「ぎぇ」

 

呼び止めた声に、鈴葉はぎょっとした表情をする。目の前には以前、劇場で出会った少女―ロコの姿があった。

 

「ええと…君は確か、ロコだっけ」

 

口火を切ったのは幸哉だった。面識があったとしても、話したことは少ないため、名前を確かめるように聞く。

 

「そうです!リメンバーしてくれたんですね!」

 

どうやら覚えてくれていたようだ。今度は鈴葉たちの方を向いて口を開いた。

 

「プロデューサーたちは何をしてたんですか?」

「うっ」

 

非常にまずい。ここで目的を正直に話せば計画が台無しになってしまう。そうなってしまったらデビューも白紙になるかもしれない。額に汗を浮かべていると、

 

「今日はたまたま今永くんと会ってお話してたんだよ!お話!」

「トークですか?ロコもジョインさせてください!」

 

優愛の発言が、興味を引いてしまっていた。目を輝かせているロコを目の前にして、具体的な方策を打ち出せずにいたとき、

 

「ごめんちょっと今日忙しいんだわ!また今度ね!それじゃ!」

「あぁ!ウェイトです~!」

 

鈴葉が二人の手を引いて、強引にその場から離脱させる。そのままの勢いで道を走った。ロコの姿が完全に見えなくなったところで足を止め、汗を拭きながら鈴葉が口を開いた。

 

「あー…危なかった……」

 

急に走り出したせいか、息は乱れ、汗がじっとり滲み出す。手を引いて短距離走させた鈴葉を見て幸哉が口を開く。

 

「急にどうしたんですか…。いきなり走るなんて…」

 

鈴葉も息を切らしながら答える。

 

「はあ…バレちゃいけないって条件だったじゃん…。だから逃げたんだって……」

 

「なるほど…というか、ロコはどうするつもりなんですか?」

「後でどうにかしとく…ってかお目当てのお店の前じゃん」

 

なんとなく走っているうちに三人は店の前に立っていた。看板を見るに、ウィッグを売る店のようだった。

 

「ここが、今日行くお店ですか?」

「そうだよ。まずはここから見ていこうね」

 

優愛がこっちと手招きして、店内へと引き込まれた。

 

 

「いらっしゃいませ~」

 

店員が挨拶をしてきたのを見て、会釈をして中に入る。店内には様々な髪型を模したウィッグが陳列されていた。

 

「この中から気にいったやつ選んで。お金はこっちが持つから」

 

そう言われて店内を見回す。そこには長い髪からショートヘア、それに様々な色が着色された物があった。といっても幸哉にはどれを選べばいいか分からなかった。見回している最中、優愛が話しかけてきた。

 

「もしかして迷ってる?」

「正直、そうですね」

「だったら自分が好きだったり、なりたい!って感じのアイドルを思い浮かべたらいいよ」

「なりたいアイドル……」

 

アイドル、と言われてそれに関連する言葉を頭から絞り出す。テレビ、ステージ、動画、その他様々なことが浮かんでくる。

その中でただ一つ共通しているものがあった。アイドルたちは楽しそうに笑い、笑顔を振りまき、それを見る人々は歓喜し、称賛の声やメッセージを送っていた。

 

―だったら、見る人を幸せにできるようなアイドルを目指そう。

 

そう考え、品物探しを再開する。

すると目の前には一点のウィッグがあった。髪色は茶色を含んだ黒色で、現在の髪色にも違和感なく合いそうな色で長さはセミロングになっており、どことなく未来の髪型を彷彿とさせる。これを見ていると、店員が声をかけてきた。

 

「試着出来ますが、いかがでしょうか」

 

店員の勧めに頷いて、試着室へ通される。

頭にネットを被せられ、その上からウィッグを装着された。

不自然にならないように向きを調節している最中、店員が話しかけてきた。

 

「今日はどういったご用件ですか?」

 

来店に関する質問だった。「アイドルになる」と正直に答えるわけにもいかず、少々回答をぼかして答える。

 

「実は、女装に興味を持ったので…。変じゃないですか?」

「いいえ、そんなこと思っていませんよ」

 

店員がウィッグに手を添えながら首を横に振る。それに続けて、

 

「誰にでも『別の自分になりたい』と思うことはありますから。それをお手伝いするのが私たちの役目です。お客様はその願望をかなえるために足を運んで頂いたわけですね」

 

そう言いながら高さと向きを調節し、生え際の方を整える。

 

「できましたよ」

 

店員が告げ、目の前の鏡を見る。そこには、髪型だけであるものの、少女のような顔をした幸哉があった。

 

「これが、僕……」

 

目の前の自分の変わりように驚いていると、待っていた二人がやって来た。幸哉の顔を見るなり、

 

「わぁ~可愛いじゃん!めっちゃ似合ってる!」

「すごい…可愛い……!」

 

褒めちぎるられたことに恥ずかしさを覚えたのか、顔を背けてしまう。顔をちらりと二人に向けて口を開いた。

 

「これ、買います」

 

―――

 

その後、気に入ったものと他数点のウィッグを購入し店を出た。その道中で三人は会話しながら歩いていた。

 

「でっしょ~?やっぱうちの子たちって色々やってんだよね」

「うん。だからもっと今永くんに知ってもらいたいな」

「そうですね。もっと知ろうと思います」

そんな他愛のない会話の最中、優愛が足を止め、それにならって二人もその場に止まる。

 

「どったの?」

「鈴葉さん、あそこ……」

 

優愛が見る先には、三人の少女がいた。それを見た鈴葉の表情が青くなる。

 

「やっば…。姫に美也(みや)朋花(ともか)だ…。逃げなきゃ……」

 

その場から逃げ去ろうと踵を返したその瞬間、

 

「どこに逃げるんですか~?」

「あひぃっ!」

 

素っ頓狂な声をあげて鈴葉が小さく飛び上がる。目の前には水色に花柄のワンピースの少女が立っていた。

 

「朋花?ごめんあたしら急いでるからそれじゃ」

 

そう言って二人を連れて逃げようとすると、

 

「プロデューサーさん、発見!なのです」

「お~。こんなところで会うとは偶然ですな~」

「うぐぇ……」

二人の少女が進路を塞ぐように立っていた。顔面蒼白の鈴葉を尻目に、幸哉が優愛に質問する。

 

「あの二人は一体……?」

「あの子たちもうち(765プロ)のアイドルの子だよ」

 

そう言っている間に少女たちがこちらに近づいて来た。

 

「ほ?」

 

緑のロール髪の少女が幸哉を見る。

 

「もしかして、まつり姫…ですよね?」

「そうなのです!もしかして、ファンの人なのです?」

 

ロール髪の少女には応えず、反応を見て優愛と鈴葉に小さな声で促した。

 

『僕が相手するので早くここから逃げてください』

『えっ?なんで』

『いいから早く』

『わかった』

 

そう言って二人をその場から逃がす。未だ気づかれていない様子を見て、少女たちに向き直る。

 

「今、何をお話していたんですか〜?」

 

水色のワンピースの少女が問うてくる。それに対して首を横に振り答える。

 

「いや、特に何も。変わったことはないよ。それよりもそっちの話を聞きたいんだ。名前すら知らないからね」

 

幸哉の名前を名乗ってくれとの要請に、少女はふうと息をついてこちらを見て名乗り始めた。

 

「仕方ありませんね~。私は天空橋朋花(てんくうばしともか)といいます~」

 

ゆったりした口調の自己紹介。しかしなぜ鈴葉が恐れをなしていたのかがよくわからない。横にいる二人が自己紹介をし始めた。

 

「はいほー!姫の名前は徳川(とくがわ)まつりなのです。プロデューサーさんのお友達なのです?」

 

まつりが名乗ると、次にふわふわした茶髪に太めの眉毛の少女が名乗る。

 

宮尾美也(みやおみや)です~。私たち、アイドルなんですよ~」

 

おっとりした感じの少女であった。この三人に共通する点として「マイペース」という言葉が浮かび上がる。幸哉はそんな彼女たちに向き直って自ら名乗る。

その後、最初に朋花から質問が飛んできた。

 

「なるほど~。では幸哉さん、あなたはプロデューサーさんとどんな関係なんですか~?」

「前に劇場に来たことがあって、そこで出会ったんだ」

 

「では、何故一緒にいたんですか〜?」

「—っ!」

 

ここで明かすことはすなわち計画の失敗を意味する。口を噤み、黙秘しようとするが、朋花の放つプレッシャーに潰されそうになっていた。鈴葉が恐怖していたことが今ならわかる。しかしぐっと言いたいのをこらえ、目の前の朋花に向き直った。

 

「今は…言えない」

「何故でしょうか〜?」

「とにかく…言えないんだ。まつりさんも美也さんも、これ以上聞かないでください」

真剣な表情で訴えかける。

朋花は一瞬沈黙するも、すぐに口を開いた。

 

「なるほど…聖母の前で隠し事をするとは…。今回はあなたの真剣さに免じて、聞かないでおきましょう〜」

 

どうやら聞かずにおいておくようだ。ふぅ、と息を吐き朋花たちを見据える。しかし次の瞬間、とんでもないことが美也の口から出てきた。

 

「でしたら〜、今度は幸哉くんについて聞いてみたいですね〜」

「えぇ!?」

「賛成なのです!もっと聞きたいのです…ね?」

 

「あぁ……」

 

—ごめんなさい。天宮さん、鈴葉さん。捕まってしまいました……

 

どうやら、まだ離してはくれないようだ。幸哉は逃がした二人に心の中で謝罪をしながら、まつりたちに連れられていった。

 

 

 

 




ほんとにオリジナル多くてすみません。次回からはアイドルを目指す回となります。
オリキャラいる中で毎回アイドルは出してるから作品としてはセーフ…なのか?
服に関してはウィッグとかあまりよく知らないので描写不足でしたらすみません。絵とか描けないからイメージに関しては…各自のご想像にお任せします。
次回のお話も是非とも楽しみにお待ちください!
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