スタローと天体公演終わる→しかし「Movement Of Stars」としてはまだ終わってない
ミリアニOVA発売決定
ツアマス稼働日決定
というわけで今回は前回の続きからです。ほんとはスパッと切りたいけどダラダラ続いてしまうのは直していかなあかんな……
それでは第15話をどうぞ!
まつりたち三人について行き、ベンチに座りそこで様々な質問をくらい、開放されたのは30分後であった。その間、大量のメッセージが主に鈴葉から届いて来ており再会した後にそれの弁解に追われる羽目になっていた。
「はぁ…。ちゃんとアイドルなること黙ってた?」
「言いませんでした。それについて触れることなく話してましたよ」
「ならいいけどさ…気づかれてないよね?秘密なんだからさ」
やれやれといった表情をして幸哉を見ていた。そんな二人を見て優愛がおずおずと口を開いた。
「あの…、次のお店、行きませんか?」
その通り、三人は女装のためのファッションを選んだ最中だった。
―――
夕方、二人と別れて家に帰る。帰宅すると慶一がおり、夕食の後に二人は幸哉の部屋で話すことになった。
「と、いうわけで加入することが決まってるわけだけど…、どうなんだ?今のところ」
「緊張、してきました。何せ男子の加入は僕が初めてなんですよね?」
「そういうこと。だけど、本当に伝えなくてよかったのか?」
「アイドルになること」
確かに正体を隠して活動することになっている。正体が露見した際のことを考えなくてはならないだろう。また、女性だらけの中で馴染めるかどうか。それも慶一にとっては心配事であった。
心配を見透かしたように幸哉が慶一を見る。
「僕なら大丈夫です。決めたことですから。何かあったら助けてくださいね。プロデュース、お願いします」
「本当に大丈夫か…?」
「大丈夫ですよ。あの時助けられなかったら、今頃生きていませんから」
「あぁ……!」
幸哉が手を差し伸べている。慶一は思い出した。
初めて出会ったあの日、幸哉が死を選ぼうとしていた事。
助けたい一心で彼の手を掴み、引き上げたことを。
そして、アイドルになると言った日のことを。
目の前の幸哉は、以前のような絶望が張り付いたような暗い顔でなく、光を見つけたように輝き、意思のある瞳をしていた。
—プロデューサーとして、家族として、支えるだけだ!
意思を固め、差し出された手を掴む。
「あぁ、やろう!」
「はい!」
―――――
「一体どういうことだ!」
「言った通りじゃないか」
765プロ劇場、その事務室の中で怒鳴り声が響く。プロデューサーである霧生と氷室が向かい合っていた。眉根を寄せる氷室に対していつものように平然とした表情の霧生と両者の性格を表すような図を描いていた。
「お前のアイデアにはいつも驚かされている!」
「それはどうもありがとう。私を褒めてくれるとは」
「褒めているわけではない…。新加入のアイドルが男とはどういうことなのか聞かせてもらう」
「なあに、彼がなりたいと言ったんだよ。勝手に反論されても無理だ。これに関しては社長も同意している。ほら、契約書だ」
そう言って霧生がA4サイズの紙をひらひらと振ってみせる。それを見て、その場にいた鈴葉が怠そうに口を開く。
「ていうかぁ〜」
「何だ、姫柊」
「氷室先輩が言ってることって、男女差別、ってやつですよねえ?」
「なに?」
氷室の表情は変わらない。それを無視して霧生の方を向き、問う。
「うちって女子だけ募集でしたっけ?」
「いいや、そういうのは明記された覚えないね」
「ほら、そう言ってますよ?」
「ぐっ……」
発言を突かれ、苦しげな表情になる。氷室は咳払いをして霧生たちの方を向く。
「百歩譲って契約したなら仕方ない。しかし女装したうえで活動し、所属メンバーに正体を隠せとはどういう考えだ?」
「それはね、反対する者たちがいるはずだ」
「ファンやメンバーにどう説明するつもりだ?事務所の信頼に関する問題にもなるぞ」
氷室の詰問に、霧生がふっと息を吐く。しかし、何故か表情はどこか遠くを見つめていた。
「『信頼』か……君が好きな言葉だね。昔からそうだった」
「―っ!」
「さて、そろそろ時間だ。彼を迎えに行かねば」
「それじゃ、そういうことなんで~」
霧生、鈴葉と二人が退出する。一人取り残された氷室は、言いくるめられてしまい、途方にくれていた。彼の表情は勝手に話を進められた怒りと、何を考えているかわからない同僚への疑いが混じった表情であった。
―――
数日後、幸哉は慶一と一緒に劇場にやって来ていた。プロデューサーたちとの打ち合わせのために、早めに劇場を訪れていた。劇場の入口のドアを開ける。そこには霧生をはじめとするプロデューサーや社長といった面々がいた。
目の前の霧生がいきなり挨拶のように大きな声で言った。
「待っていたよ!君も今日から765プロの仲間だ。よろしく頼む!」
それ以外の人間も口々に歓迎を述べたところで、社長が心配そうな表情をみせていた。
「君が加入してくれるのは嬉しいことだ。しかし、それでよかったのかね?正体を隠して活動するということは」
社長の心配も最もである。確かに現状、彼女たちを騙したような形で入ることになっている。それに対して、後ろめたさもある。だけど、自分で決めてしまった道でもある。そう思いながら、社長の顔を見て話した。
「確かに、これで良かったのかなって何度も思いました。みんなに噓をつく形になってしまいます。でも……」
「同じステージに立つってことが、少しだけ楽しみでもあるんです。ステージからの景色はどんな感じなんだろう、って」
「正体がわかったとしたら、正直に謝ります。それが僕にできることですから」
幸哉の言葉を聞き、社長が頷く。懸念しつつも新たなメンバーに期待を寄せている様子だった。それを見た霧生が手招きしてきた。
「さあ、早く入って。皆が来る前に早く着換えるんだ」
「え?」
「え、って女装するんだろう。バレないうちにしなきゃあ。君は今日からレッスンに合流することになっている」
「えぇぇぇぇえ!?」
驚きの声をあげる幸哉のそばで、慶一が語りかけるように言った。
「実はそうなんだよ…。がんばろうな」
「はい……」
軽く頷き、一緒に劇場の奥へと向かっていった。
―――
「んじゃ、ここで着替えてね。更衣室とか今んとこ使えないから」
鈴葉の案内でドレスルームへと通される。そこには鏡や衣装と、化粧品といった品が置かれていた。カーテンで仕切られたスペースを使い、運動用のジャージに着替える。
着換え終わった後、椅子に座らせられる。
「髪の毛、つけてくよ。大人しくしてて」
そう言いながら、事前に調べたのか鈴葉は慣れたような手付きでウィッグ用のネットを頭に着けていく。
「これからさ、未来たちと会っても絶対にあったこととか話しちゃダメだからね。あんた今から『別の人間』になるんだから」
「わかってます。でもちょっと寂しいなぁ…。リセットするみたいで」
「リセットかぁ…。まぁ、すぐ仲良くなれるんじゃない?」
「そうかもしれませんね」
雑談を交わしていると、ウィッグのセットが完了し、鏡を見る。そこにはセミロングの茶色に、髪の毛と同じく茶色のカラコンを入れた瞳といった可憐な表情をしており、行く人が振り向くような美少女の顔が映っていた。
「やっぱ可愛いな~。顔からしてアイドル!って感じだし」
「えっ、そうですか?」
「自信持ちなって。男子中学生でこんな顔とか周りの女子が羨ましいと思ってるんじゃない?」
「そうは思われてないですけど……」
そんな話を交わしている最中、ドアが開いて誰かが入って来た。
「ふおぉぉぉお!ものすごく可愛い子が目の前に!もしかして、新しいアイドルちゃんですかっ!?」
「えぇ…、い、いきなり何が……」
部屋に入るなり興奮したような声をあげる少女が目に入った。髪をツインテールにして垂らしており、瞳がきらきら輝いている。女装した幸哉に気づいたようである。
「
「はい!なんでしょうかっ!」
「うっさい。静かにして」
「はい……」
鈴葉の冷淡な発言に亜利沙はさっきの勢いが噓のようになくなった―わけではなく、幸哉に近寄りじっと見つめては何事か呟いていた。
「ふむふむ……さらっとした髪の毛、それに儚げな表情、ちょっと低めのハスキーボイス…。間違いなくアイドルちゃんになるためにここに来たんですよね!ね!?」
「あはは…ええと、どちら様ですか…?」
興奮した様子の亜利沙に幸哉は戸惑いを隠せない。それもその
「ああ〜!自己紹介がまだでしたね!
自己紹介に対してよろしくお願いしますと返事をすると、亜里沙が質問してきた。
「まだお名前を聞いてませんでした!教えてくれませんか?」
亜里沙の発言に幸哉が凍りつき、鈴葉がぎょっとした表情になる。ここで本名を出せば男であることがバレてしまう。どうするとばかりに視線を送って来たが、それに対してこちらを見て自らの『アイドルとしての名前』を伝えた。
「僕…じゃなくて私は優希。
胸に手を当て、相手と正対し自らの名前を伝える。亜里沙が興奮したように手を握ってきた。
鈴葉も安心したのか、胸をなでおろす素振りを見せていた。
「優希ちゃんですか〜!いい名前ですね!これからよろしくお願いします!あとお写真撮らせていただけませんか!?」
「ええと…、よろしくお願いしますね」
そう言うなり亜利沙は持っているカメラを幸哉に向け、撮ったあとスマホでも同様に撮影を行った。
亜利沙によるミニ撮影会を終えた後、鈴葉が質問を向ける。
「ていうか、亜利沙って何でここ来たん?レッスンはもうちょい後だけど」
それを聞いた亜利沙は待っていましたとばかりにテンションが上がり、早口でまくし立てはじめた。
「ふふふ……。それはですね……アイドルちゃんのオーラをこの部屋から感じ取ったんですよぉ!今この劇場にいるアイドルちゃんとは違う雰囲気、声、その顔!それを感じて一目見ようとここに来た次第ですっ!!」
最初からアクセル全開。余程アイドルが好きであることがわかる。そのことは会ってからの喋りや態度にも現れていた。そんな舞い上がっている亜利沙に向かって声をかける。
「亜利沙さんって、アイドル好きなんですね」
「そうなんだよね。気づいたらアイドル追っかけてるし」
何気なく質問する。それを聞いた途端、亜利沙は目をものすごく輝かせながら、優希―もとい幸哉に近づいてきた。
尋常ならざる距離の詰め方で顔を近づけてきたのである。
「好きという言葉では表せませんよ!!ありさにとってアイドルちゃんはえっと…なんかこう……『人生』とでもいいましょうか!それほどまでに大事なものなんですッッ!!!」
「人生!?」
さらに亜利沙はまだ興奮した様子で話を続けた。
「そして今日!新しいアイドルちゃんである優希ちゃんと出会えたことでありさのボルテージがもう限界突破しちゃってます!!これからよろしくお願いしますね!」
「あぁ…よろしくお願いします」
喋り終わるなり、幸哉の両手をがっちり掴んで握手をしてきた。
語るだけでこの熱量。亜利沙の話に幸哉はクラスメイトであり同性の友人たる柊太を思い出していた。彼にも勝るとも劣らない程の熱量を目の前の亜利沙から感じ取ることができた。
そんな二人の会話を聞いて、鈴葉がスマホの画面に目を落とし、そして幸哉たちの方を向いた。
「おしゃべりしてるとこ悪いけど、そろそろ始まっちゃうよ?もう移動しないとヤバいって」
時計を見ると、もうそろそろ移動しなければならない時間帯になっていた。名残惜しそうにする亜利沙を振り払ってレッスンルームの前へと向かっていった。
—ここからが、始まりだ。
そう思いながらレッスンルームのドアを開けて、部屋の中に入った。
いいところですがここまでとなります。これが投稿された後に第16話を出します。長いことお待たせして申し訳ございません。
この作品の主人公たる幸哉のアイドルとしての名前(芸名)が「優希」となります。紛らわしくなりそうですが、お付き合いいただければ幸いです。
次回はいよいよレッスン回となります。
これまでのオリジナルの要素の多い話から脱却し、「アイドルマスター」としての要素に沿った物語を展開しようと思っております。
少しでも面白いと思えた方は評価、感想をお願い致します。
それでは次回のお話も楽しみにしてください!