リムルさんと双子らしいですよ   作:篠原えれの

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武装国家ドワルゴン2

 

 明けて翌日。

 やっと釈放された俺達はカイドウの紹介で鍛冶屋に行くことになった。

 

 「やっと解放された――」

 「ミシェルは昨日よく寝てたね、大丈夫?」

 「うん。心配してくれてありがとね」

 「ほんとに仲がいいんだな、お前さん達は」

 「友達だからね、僕達」

 

 ミシェルがそうカイドウに俺達を話してくれているのを聞きつつ、俺は店に並べられている武器武具を見ていた。

 

 「あ、それ。それ打ったヤツだよ」

 「え?」

 「これから会う鍛冶師」

 

 カイドウがその鍛冶師の家に入っていく。

 

 「兄貴いるかい?」

 「なんだ。カイドウか。悪いが、今忙しいんだ。急ぎでないなら日を改めてくれ」

 

 武具製作職人カイジンが出迎えてくれた。

 よく見ると昨日の三人がここで働いてた。

 

 「ああ、どうも。リムルの旦那!カイジンさん、この方ですよ。昨日俺たちを助けてくれたスライムと冒険者の方です」

 「そうだったのか。礼を言う。すまんが今はちょっと手を離せなくてな」

 「いやいいよ。邪魔して悪いな」

 「親父さん、相談してみちゃどうす?」

 「む?」

 「いやいや、相談しても無駄だろ」

 「でも あんな不思議な薬を持っていた方ですぜ」

 「そうですよ親父さん」

 

 おいおい。

 ただのスライムに何を期待しているんだよ。

 しかも期待してるのは人であるミシェルじゃなくて俺ってとこにもびっくりだけど。

 あ、薬を出したのは俺だから俺に期待するのは普通の流れなのか。

 こういうのってミシェルが主人だって勘違いしそうなんだけど。

 ……しかし、まぁ。恩を売っとくのもアリか。

 聞いてみないと役に立てるかわからないけど。

 

 「話してみてくれ」

 「実はな……」

 「成程ね。今週末に長剣(ロングソード)を20本納品しなきゃならないのに、素材が足りないと」

 「国が各職人に割り当てた仕事だ。引き受けた以上出来ないじゃ済まされねぇ」

 

 リムルがそこで床に落ちている無数の剣を見つける。

 

 「これは違うのか?」

 「ああ。それはただの鋼の剣だよ。今回の依頼は「魔鉱」を使った長剣だ。」

 「普通の剣とどう違うんだ?」

 「ウチにあった在庫で出来たのはこの一本だけだ。見てみるか?」

 

 よく見ると、剣が光って見える。

 

 「魔力を馴染ませやすい「魔鋼」を芯に使ってある。簡単に言うと使用者のイメージに添って成長する剣なのさ」

 

 なにそれ欲しい。

 

 「まず引き受けなきゃよかったのに」

 「俺だって最初は断ったさ。したらあのクソ大臣のベスター野郎が……」

 

 『名高いカイジンともあろうお人が コノ程度の仕事もできないのですかな(笑)』

 

 「とかことともあろうに国王の前で言いやがって……!」

 「自由組合へ採取依頼は出したのか?知り合いに融通してもらうとか」

 「やれることはやったさ、でも絶望的だ」

 「くそっ。期日までもう5日もないってのに……」

 

 ふむ。そのベスターって奴が「魔鉱」を買い占めてカイジンを陥れようとしている……ってのは考えすぎか。

 

 「ところで、大賢者さん、ちょっとよろしい?」

 《はい》

 「俺、洞窟で鉱石見つけ次第喰ってたよな。あれってひょっとして……」

 《解。個体名ヴェルドラ=テンペストの魔素を受け超高純度となった魔石です。なお、精製すれば「魔鉱」が抽出できます。》

 「ビンゴ!!」

 

 「……とまぁ、こんな状況よ。」

 「なぁ、親父さん。」

 「ん?」

 「俺達の村に技術指導として来る気はないか?」

 「は?いや、俺は……」

 「いやー……親父さんの打つ剣気に入っちゃって」

 「あっコラ それは一本しかない完成品だぞ!?」

 『完成品の解析終了』

 

 で、鋼の剣も回収……。

 

 『素材を確認を確認しました。複製(コピー)しますか?YES/NO』

 

 ――――YESっと。

 

 「無理強いはしないさ。でも検討はしてみてくれ。魔鉱の長剣(ロングソード)20本完成だ」

 

 

 

 

 「すごいね、本物そのままじゃないか」

 

 魔鉱で造られた長剣(ロングソード)を見てミシェルは改めてリムルの力を讃えた。

 胃袋の中に素材があるだけで、こうも簡単に剣を複製することができてしまっては、世界の法則が壊れるところではない。

 

 まぁ、国を通り越して世界を創り直せる力を持ってしまっている以上、自分と比べるのは、見当違いであることは理解しているのだが。

 何かを創る分野に関して、ミシェルは絶対の自信を持っていた分、プライドを傷つけられたような気分を味わった。

 それを察してか分からないが、リムルが自分にも聞いてきた。

 周りがあまりに驚いてたからというのもあるだろうが。

 

 「ミシェルもこれぐらいはできるでしょ?錬金術師なんだし」

 「うん。君のスキルと繋がっている今なら完全再現可能だね。さすがに何もないところからはできないけど、この剣はちゃんと等価交換の原則に従って造られてるし、すごいね」

 

 ミシェルとリムルの会話を聞いて更に驚かれる。

 

 「そこの坊主もできるってなにもんだ、あんた。あんたもやっぱり、噂通り人に化けた魔物――魔人なのか」

 

 カイジンからの反応で、あっそうかとリムルは気付く。

 自分はただの魔物だけど、今のミシェルは普通の人間だ。

 出自が全て不明では怪しまれるだろう。

 確かに、人に化けた魔物という見解は間違ってはいないが、ミシェルはリンのスキルが人になっただけの存在だ。

 具体的に話せば規格外の魔物の出現に驚かれるだけではすみそうにない。

 そうなったらそうで、素直に説明すればいいだけかとも思うが、どう説明するべきか。

 リムルが悩んでいると、リムルが答えを出す前にミシェルが話し出した。

 

 「僕はただの駆け出し冒険者ですよ。ジュラの大森林出身なんですけど、どうも田舎育ちで、世間知らずなので……と説明しても信じてくれなさそうなので、本当のことを話します。」

 

 え。

 

 「僕は、カイジンさんがおっしゃる通り。確かに人間ではないですよ。この姿を見て、信じてくださるとありがたいのですが。これが僕の本当の姿です」

 

 青髪赤目の容姿に戻り、エルフ耳の姿を現す。

 

 「え、エルフだったのか。お前さん……」

 

 目を飛び出す勢いで、驚く。

 ミシェルはカイジンの言葉に、違うと話す。

 パチンと指を鳴らして、ミシェルは姿を消す。

 

 「惜しい。僕はどちらかと言えば上位精霊に近い存在です。ほら、僕はこうして皆さんと話ながら姿を消すこともできるでしょう?」

 「た、確かに精霊らしい気配も感じる……」

 

 そう言いながら、カイジン達の反応を見ながら姿を現して再びミシェルは金髪赤目の姿になる。

 

 「人里だとあの容姿は目立つので基本的にはこの姿で居るんですよ。今はもう精霊ではなくなったので僕自身の存在は不確かなのですが、はっきり言いましょう。主を得た僕はそこらの精霊より遥かに強いですよ。」

 「それがそこのスライム……ああいや、リムルの旦那だっていうのかい。驚いた」

 

 驚き倒して、腰を抜かしているドワーフたちの目の前に、リムルがどう説明しようか悩んでると、当たり前のようにプルンっともう一体。

 スライムがリムルと分裂して出て来た。

 

 

 「やっと出られた。大賢者に嫌われたくないもんだな。俺のスキル、兄貴も使ってるんだから別に俺だって自由に行き来していいだろー!ちゃんとあっちに俺の分身体おいてきて来たし」

 

 

 これには一同さらに驚き。リムルの弟――リン(義光)が当たり前のように出て来たのである。

 

 「リン?!お前すごいタイミングで出て来るな?!」

 《告。この場を説明するのに必要と思い召喚しました》

 「有能!ナイスだ。ってどうするよこれ。カイジン達に俺の弟も紹介しないといけなくなったじゃんか!」

 

 

 はぁ、と諦めたようにリムルが溜息をつく。

 リンが人の姿になったのを見てリムルも決心がついたのか、『創造神』を使ってリンと似た容姿でリムルも人になる。

 

 

 「いくつか候補あったけど、とりあえず俺の容姿はこれでいっか」

 

 リムルの容姿は、黒髪に金の瞳。ちょうど鍛えられた成人男性のような姿に。

 服装は大賢者のイメージにあったものから選び、目立たないように旅人の容姿を選ぶ。

 それを見たリンがショックで嘆く。

 

 「サトルさん仕様か。ほんとはもっと別のかっこいい容姿を兄貴に用意したかったのに……そっちもかっこいいからいいか」

 「何が悪いんだよ?双子なんだし、リンと容姿似てる方がいいだろ(俺の前世否定されてるみたいですごい嫌なんだけど!?というか、なんでリンはこの姿の俺が、俺の前世の容姿を模してるって分かるんだよ。黒髪だからか?)」

 「それはそうだけど、そうだけど――!大賢者、今度兄貴が人の姿になる時はこっちで!」

 《承認しました》

 「うぉい!?俺の意見は?!」

 

 双子。それもスライムの。

 

 「参った。リムルの旦那に弟さんが居たのか」

 「人の姿でもそっくりじゃねぇか。弟さんの方が幼く見えるが……たまげたな」

 

 当たり前のように、人の姿になった二人にカイジン達は驚きを隠せない。

 

「お、ミシェルはこの街だとそっちの姿なんだな」

「こっちの方が融通利いて便利でね。ダメだった?」

「全然いいぜ、そっちでも。」

 

 リンの反応に安心しつつも、サリエルがいないことにミシェルが気付く。

 

「よかった。そういえば、サリエルは置いて来たの?」

「おう。非常時でもないのにあいつ居ても仕方ないだろ」

「さっくりだね」

 

 これがまぁ、普通のリンだよねとも思いつつ。魅了にかかった時とあまりに違うので聞いてしまう。

 

「元々俺はサリエルに対してはこうだよ。サリエルが心配なら見に行ってきてもいいけど?」

「いや、そこまで。前と違ってそんなに不安要素ないからね。」

 

 その様子を見て、カイジンが参ったと話す。

 

「そちらが本当のご主人様で?すまんかった」

「あ、いえいえ。大丈夫です。色々あって僕が主人の元から飛び出して来たのが悪いので」

「そうだったのか」

「ミシェルは俺のスキルで、まぁ双子だからってのもあって俺と兄貴はスキルを共有することができるんだ。だから兄貴もミシェルを召喚できる。そんな感じだな」

 

 

 チート双子っぷりに、凄まじすぎだろとドワーフ達は開いた口が塞がらなかった。

 

 

 

 

 

 

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