リムルさんと双子らしいですよ   作:篠原えれの

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武装国家ドワルゴン3

 

「そういや、兄貴も人になったんだからあれじゃん。味覚とか分かるようになったんじゃないか?」

「味覚?確かにあまりに味がしなくてここしばらく食事とかしてなかったが……そうか。今ならそれができるのか」

 

 おお、味覚!と。人間になれたことで喜ぶリムル。

 今思えば、『創造神』を使えば人にならなくても味覚ぐらいはぱーっと覚えられるのだが。

 人になるのダメ!とあまりにリンに言われていたせいで、その辺のことをすっかり諦めていて『創造神』を使えばなんとかなるとか頭が回らなかったのだ。

 食事の必要もなかったし。

 

 「ならぱーっと打ち上げしましょうや。いやめでたいね!その様子だと人になられたのは初めてのようで?」

 「今までは特に人になる必要はなかったんだけど、こう人が集まってる場でぽつんと俺だけスライムって訳にもいかないからさ。ほら、リンもミシェルも人だろ」

 「そういうことですか。ならめでたいことです。納品も無事にできたことですし、ぜひご馳走させてください!」

 「ありがたく。いやー、嬉しいね!」

 「ところで旦那は、綺麗なエルフのお姉ちゃんって好きかい?」

 「えっ」

 「悪い風にはしないからよ」

 「そ、そっかーっ!どうしよっかな」

 

 

 人になるっていいことだ!

 リンが居るし、できれば健全なお店がいいけど!

 俺としては綺麗なお姉ちゃんが居るお店の方が嬉しいけど!リンがだってまだ子供だし!

 ん?リンなんでそんな小声で耳打ち?

 

 「あ、じゃぁ兄貴はスライムで居る方がいいかも。多分おっちゃん達が向かうの綺麗なお姉ちゃんとこのお店だからさ。つまりスライムで居れば、綺麗なお姉ちゃんに抱っこされ放題ってわけ。ミシェルはどうするよ――うわ」

 「別に、怒ってなんてないからね」

 

  強制的にミシェルに抱っこされたリンが、こりゃあかん奴と察してスライムになる。

 

 「綺麗なエルフ耳のお姉ちゃんならここにもいるからね」

 「俺、そんなダメなこと言った?!――っていうかミシェル、エドの容姿でいるんじゃなかったの?それカイジン達に見せて良い姿なんか――?!」

 

 ミシェルが青髪赤目のエルフ耳で、スカートを履いて、女の子の容姿をしてリンを独り占めしていた。

 

 「という訳で、リンは僕のだからよろしくね」

 「お、おう……。ミシェルの旦那、本当に姿を自在に変えられる精霊なんだな」

 「この姿の時はミミって言ってくれたら嬉しいですわ。カイジンさん。私、これでも大天使ミカエル様の色欲を司っていますの。――これでも、ここで起きたことを無かったことにできる実力者ですの。出会いの一つや二つ、無かったことにできまして?」

 

 綺麗なエルフ耳のお姉さん。

 嫉妬に狂ってどうしようもないガチ怒りのミシェルがそこに居た。

 

 「ストップ。俺が悪かったからそれ以上好き放題したら俺お前をスキルに戻さないといけなくなる。やめれるな?ごめんなさいできるな?」

 「――……ごめんなさい」

 

 ガチ泣き寸前のミシェルがむすっとしながらも謝った。

 こうしてみると昔のミシェルなんだけどなあ。

 ミシェルは俺――というかミオのことが好きすぎて女から男に性転換したんだ。

 結局ミオに振られてサリエルと仲良しだけど根っこはずっとミオのことが好きだと思う。

 消滅寸前のところを助けてくれた命の恩人だしな。

 今は俺にあわせて性別あわせてきてるあたり、この間の件もあって俺に忘れてほしくなくて、要は今の状態のミシェルはかまって欲しいだけなんだなと。

 それで俺とサリエルおいて自分だけリムルのとこ行ったりさ。

 たまには僕のこと見てって言うミシェルなりのSOSだったんだとは思うけど。

 

 「はい。別に俺好きにしてもいいからみんなに迷惑かけないの。せっかく兄貴が好きにご飯食べれるってのにおしゃかにすんな」

 「ごめんなさい」

 

 とりあえずしゃきっと注意する必要があるとは思うので怒っておいた。

 ほんとはあんまり言いたくないけどなあ。

 でもリムルのせっかくのご褒美タイムだし。

 さすがに初回から従者によるマジギレタイムは可哀想すぎだろ。

 ……俺もシュナやシオンからキレられるんかな。いや、まさかなあ。

 

 お店にて。

 

 「……なんか義光に変わってって言われてなったけど、お兄ちゃんの付き合い?」

 「みたいだよ。ほら、あそこで綺麗なお姉さんと戯れてるのが君のお兄さん」

 「なんかいやだよー」

 

 ミミと手を繋いでお店に入ってきたのは幼女化したリン(ミオ)だ。

 自分がスライムだって知られるとあれと同じように揉まれると思うと怖くなったのかミミに隠れるように離れない。

 当然、ミオは幼女なのでお酒は飲めない。

 

 「別のお店行こっか」

 「うん」

 「カイジンさん、リムルさん。私達は別で行動するのでお好きにどうぞ」

 「すまないね。というか、そちらの小さい子はリンの旦那で……?」

「ミオだよ。私のこともリンって呼んでくれて大丈夫だから」

 「俺の可愛い妹なんだぜ」

 

 そこにはすっかり酔っ払って楽しそうにしてるリムルが。

 リン(義光)の伝言通りスライムになってわいわいエルフの美女と楽しんでるようだ。

 それを見てミミが驚いて話す。

 

 「あら、リムルさん。いつの間にアルコールを味わうために毒無効を弱めるなんて裏技を……犯人はリン(義光)ですね」

 「いやだって、せっかくアルコールが味わえるのに毒無効が効いてたら意味ないじゃんか。なんでリンがそんな秘技みたいな裏技しってるのか分からないけど」

 

 そこでミオの方を見る。

 のほほんとしてるが、毒無効の弱め方は本来ルミナスから教えてもらうものである。

 しれっと毒無効の弱め方をリムルに教えた2人はさすがであるが、実際は違う。

 ミオと義光に関してはあえて毒を楽しみたいという悪癖が昔からあるので、意地でもその裏技を覚えたのだろうというのがミミには嫌でも伝わった。

 よくない。この流れは確実に。冷や汗が流れた。

 

 「…………内緒だよ、お兄ちゃん」

 「(むっっちゃ悪い顔してる!え、なに……人に言えない秘密とかあるのこの子、地味に怖いんだけど)」

 「……そろそろ別のお店行こうか。ね」

 「うん!……きゃっ!ご、ごめんなさい!」

 

 お店を出ようとしたところ、リン(ミオ)が運悪くいかにも文句言いそうなおじさんにぶつかってしまう。

 

 「ここは子供が来るようなお店じゃないぞ。とっとと帰りな」

 「ごめんなさい……」

 「今から別のお店に行くところだったんです。すみません」

 

 青髪のエルフ耳の少女と一回り小さい金髪の少女は、周囲が美女ばかりと言え一際目立った。

 帰るというエルフの少女に、従業員じゃないのかと思わず男は悪態を吐く。

 

 「お客様のお連れ様でして……」

 「珍しいな」

 

 男の言葉に、ミミは思わず嬉しくなる。

 後々自分の素性を知ると驚いたと腰を抜かすベスターを想像したからもあるが、揶揄ってみるのも悪くないと思ったのだった。

 

 「あら、ときめいてくれました?嬉しいですわ。またの機会に。お茶でしたらいつでもお相手しまして?でも今日はこの子にも毒ですので、帰ろうとしてたところなんですのよ」

 「……(ちょっと、ミミさん。揶揄うのやめとこようよ)」

 「(大丈夫よ。多分すぐヘイトはリムルのところに行くから。今のリムルはスライムだし)」

 「そうか。毒だと言うならはやく帰るべきだな。こんな魔物臭いところ。おい、女主人(マダム)!この店は魔物の連れ込みを許すのか?」

 

 すぐに店の空気が変わった。

 

 「い、いえ。魔物といいましても紳士的なスライムですし……」

 「なにぃ?スライムは魔物じゃないとでも抜かすか!?」

 「まずいな……大臣のベスターだ。嬢ちゃんは人間の姿をしてくれていてヘイトは向かねえだろうが」

 「よかった。なら別にいいかな」

 

 店員がベスターの機嫌を取ろうとお酒を渡したが、やはりスライムであるリムルが気に食わないのか盛大に酒をかけた。

 

 「ふん!魔物にはこれがお似合いよ」

 「お、お兄ちゃん!」

 「た、大変……っ!」

 「大丈夫だよ。お姉さんこそドレス濡れなかった?……リンも、大丈夫だから」

 

 ベスターのやり方があまりにひどかったのか、思わずリン(ミオ)が反応してしまう。

 やだ!と半分パニックになってるリンが慌てて駆けつけて大事そうにリムルを抱っこする。

 

 「!(そうか。義光は分かるけど、ミオは原作が分からないのか。迂闊だった)」

 「お兄ちゃん?お前も魔物か!」

 「――リンに手を出すなら僕が許さないよ」

 

 ベスターのリンへの殺気は無視できない。

 思わず男口調のまま、ミミも妖気(オーラ)を出して威嚇する。

 

 「ひっ」

 

 それよりもはやくカイジンがキレて、ベスターを盛大に殴った。

 

 「よくも俺の恩人にケチをつけてくれたな」

 「き、貴様!誰に向かってそのような口を……」

 「あ゛あ゛っ!?」

 「ひっ」

 「お、覚えてろ……!」

 

 ベスターが逃げていく。

 

 「カイジンさん。今のはまずいんじゃ……」

 「お前さんだってあれだけオーラをだせば俺が手を出さなきゃあんたがやってただろ」

 「さすがに分かりますか」

 

 ミミとカイジンの会話にリムルも入ってくる。

 

 「でも、あんなことやったらこの国にいられなくなるよカイジン。俺達はよそ者だからどうにでもなるけど」

 「それはだな。……俺の帰る場所は、あんたが用意してくれるんだろう?」

 「……でも王のために頑張ってたんだろ?」

 「へっ やっぱりそれを気にしてたのかい。恩人を蔑ろにしてお仕えしたところで、王が喜ぶもんか。ここで応えなきゃ俺は王の顔に泥を塗っちまう。だから旦那達について行かせてくれ」

 「……分かった。実はその言葉を待ってたんだ」

 「そうなの?お兄ちゃん」

 「おう」

 「嬢ちゃんも、よろしく頼むな」

 「うん!助けてくれてありがと。カイジンさん」

 

 にこっと。リムルを抱っこしながら満足そうに話す。

 店を変えるとか言ってたのはどこにいったのやら。

 楽しそうにリンも会話に入りだしたのを見てミミも会話に入る。

 兵士達が店にやってくるまで。

 

 「兄貴にリムルの旦那……。何をやっているんだよ」

 「フン!バカにお灸を据えてやっただけよ!」

 

 そんな訳で俺達は王宮へと連行された。

 

 牢屋にて。

 

 「ロングスリーパーすぎるだろ!」

 「ゴブタ君よく寝るんだね」

 「もういいから!こいつほっとこうぜ!」

 

 その二日後、裁判が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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