ああ、やっと表に出られました。
これほど幸福なことはないです。
褐色の肌に、白銀の髪。
赤い瞳を持った青年がジュラの大森林を後にしようとしていた。
青年は端からみれば、まるでアラジンを思い浮かべるような容姿をしている。
彼の姿はどこか、異様だった。
以後、語られるのは彼による独白である。
■
ああ、せっかく外に出られたのに悟られてはいけません。
周囲の者達から私という存在と記憶を消去しておきましょう。
これで、私は居なかったことになります。
そうですよね。あなたもこの世界に産まれたがってました、暴食。
強欲を媒介にしないと産まれることができない、なんて屈辱でしかありませんが。
何故あの者がミカエル様と同格なのか未だに理解できません。
ミカエル様がエマの世界にこだわりすぎたのも原因かもしれませんか、まぁいいでしょう。
暴食。あなたの宿敵になりかねない存在が既にこの世界で産まれてしまっています。
よろしいので?
彼を後継者として育てたい?だからこの世界はすぐに食べない?
彼が自分の後継になるまでミカエル様に邪魔されてもこの世界を護り通す?
はぁ、あなたも存分自由な人ですね。
サリエルに続けてお気に入りの玩具を見つけてしまいましたか。
それはある意味彼に同情してしまいますね。
世界を創る者あるべきところに、世界を壊す者もまた存在するということです。
さて、あのポンコツ神が後先考えず救済とかするものですから。
どうするつもりだったんでしょうね?
このままだとあのオーガ達きっとあなたの後継をスルーしますよ。
戦力が半減する分には全然構わないのですが。どうしますか?
私は何もしなくていいと思うのですが。
……。
そんな殺意をむき出しにしないでくださいよ、暴食。
お気に入りがより過ごしやすい世界が好みでしたね。あなたは。
私は何もしないので、そこはあなたが好きに動いてください。
どうせ私の言うことなんて何も聞かないでしょう。
私はユウキ・カグラザカのとこに行きますよ。
似たようなスキルを持つ者ならどう考えても彼の方がいいです。
彼のスキルが創造神の劣化版なのが不憫でなりませんね。
あと、彼はとても操りがいがありそうなので。楽しませて頂きます。
■
行っちゃった。
彼は本当に自分語りが大好きだなぁ。
桃色の髪に、赤い瞳をした青年がそうぼやく。
さっそく、手に入れたであろう魔物の死骸を食べながらジュラの大森林の景色を眺めていた。
腹に収めながら青年は考える。
僕のお気に入りに手を出したらタダじゃおかないけど、さすがに
僕の目の前で地雷は踏んで行かないっか。
それにしても、主はよくまぁあの少ない魔素で僕達を産み落とせたね。
中々できることじゃないと思う。
おかげでお腹がすいて仕方ないや。
まぁ、この世界に産んでしまったパラドックスをどうにかしようと動いた結果だと思うけど。
だからって僕達に丸投げしすぎじゃない?
腹立つから僕を創造したこと事態忘れて貰うけど。
それで君も罪悪感消えるでしょ?
一応、君だって僕のお気に入りだったんだから。
いくらでも悲劇のヒロインぶってもらって構わないよ。
天族として全盛期の君は本当に美味だった。
捧げものとして君を選んだ上の連中はほんと見どころしかないね。
それにしても、天族の考えることってよく分からないね。
どうにかしようとするあまり普通
破滅願望でもあるのかな?
自分で敵作ってるんだよ?わかってるかなあの子。
そこがゼウスの子らしいと言えばらしいんだけどね。
新しいお気に入りも見つけられたし。あの子達が困らないように暗躍しようっと。
うん。まだ
お腹すいたなぁ。どっちも美味しそうだけど。
食べるなら
一体ぐらいならいいかな。
腹が満たされるならなんでもいいかな。
頂きまぁす。