リムルさんと双子らしいですよ   作:篠原えれの

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大鬼族(オーガ)

 

 リンが暴食と邂逅する少し前。

 シズ達はリンと食事をとるために宴会をしようと、

 警備も兼ねて食料を探しに、森に調達に来ていた。

 

 「今日、リン君が目覚める予定なんだよね。サトルさん」

 「おう。大賢者に聞いたら大体それぐらいなんだって」

 

 いつの間にかお互いの前世の名前を知るような関係にまでなったのか、

 かなり仲が良いリムルとシズ。

 リムルは相変わらず黒髪に金の瞳をした前世のサトル仕様で居るので、

 すっかりその呼び名が定着したようである。

 最初こそ前世の名前で呼ぶの?という反応のリムルだったが、

 同郷同士慣れてきて違和感がないようである。

 

 「俺は今日ちょっと、試したい技があるからでかけてくるけど、

  なんかあったら呼んでくれたらいいから」

 「了解しました。リムル様!

  ミシェル様やシズ殿も居ますし、早々大丈夫だと思いますよ」

 「うん。ちょっと戦力過多なぐらいだけどね」

 

 影から現れたミシェルがそう話して。

 みんな、リンと一緒に美味しいご飯が食べたくて集まったメンバーである。

 

 「戦力過多な自覚はあるんだね。うん」

 

 すると、急に違和感を覚えたリムルが少し考えて話す。

 胸騒ぎがするというレベルではない違和感がリムルの身体中を走った。

 

 「やっぱり、今日宴会事態するのやめよう。

  リンには申し訳ないけど、嫌な予感がする」

 「え?」

 

 どこからともなく、声が聞こえた頃には既にミシェルがいない。

 

 《告。個体名ミシェルは正体不明(アンノウン)に捕食されて消滅しました。個体名ミシェルはリンが居る場所へ逃げて居ますが―――》

 

 ざざっと大賢者にノイズが走る。

 

 「はい、改変っと。記憶の消去確認。色欲の力を取り込んだから思う存分にこれを使えるのは気持ちがいいな。うん、命令。君達は原作通り森へ警備しに行って食料を調達しに行くこと。あ、シズさんはこの仮面をつけて行ってね。僕のせいでうっかり宴会事態取りやめになられても困るんだけど大鬼族(オーガ)に会えないのも論外だから。さて、僕の後継だけど君も原作通り洞窟でスキルの確認をしといてくれ。頼んだよ~」

 

 これもあれも、改変と洗脳の力を持っている君がちゃんと動かないのが悪いんだよ。

 だから色欲って僕は嫌い。追いかけて追加で食べて来よっと。

 

 そうして、リムル達は違和感に気付くこともできないまま、物語は進んでいく。

 

 「シズ殿。強力な魔物気配を感じます。警戒してください」

 「分かるわ。これは確かに、強いわね」

 

 暴食の襲撃でミシェルが居ないことに気付かないまま、シズ達は森を散策していく。その最中で原作通り大鬼族(オーガ)に遭遇する。

 

 「禍々しい妖気(オーラ)を放つ者め。ワシの目を誤魔化そうとそうはいかんぞ」

 「似ています。里を襲った豚頭族(オーク)が放つ妖気(オーラ)と」

 

 老人が警戒する。禍々しい妖気(オーラ)は暴食が洗脳や記憶の消去を行った際細工する時に発生するものだ。

 どうやら暴食は豚頭族(オーク)にも同じ細工をしたらしい。

 この気配が大鬼族(オーガ)にとってすっかりトラウマになっているようである。

 あの魔人の仲間と決めつけ、襲いかかってきた。

 

「なにがあったか分からないけど、私達は知性のある者に対して無闇に攻撃しようとは思わない!それでも攻撃するなら容赦しない」

 

 シズは仮面をつけたまま、剣に炎を纏わせて大鬼族(オーガ)達と対決する。

 

 「ほざけ。ならばどうして豚頭族(オーク)の集団を里に向かわせ襲わせた!

  俺たち以外の同胞はその襲撃で襲われ、大勢奴らに喰われて死んだぞ。

  その豚頭族(オーク)と同じ気配を纏わせてるのだから、仲間と思わぬ方がおかしいであろう!それに、その仮面が何よりの証拠だ!」

 

 赤髪の大鬼族(オーガ)が怒りを露にしながら己の技をシズに放つ。

 

 「仮面?これはーー」

 

 これは、シズにとって大切な人から貰った仮面だ。

 戦争があって、魔王レオン・クロムウェルに殿として拠点に置き去りにされたシズを保護してくれたあの人の。

 どこに大鬼族(オーガ)と接点があったのか分からないが、しばらく姿を見せてくれないあの人も生きた時間が長い。

 本当に接点があったのかもしれない。でも、あの人はそんな虐殺をするような人間じゃない。

 そんなことをするより、もし生きていたらまた会いにきてくれそうだから。

 絶対にこの仮面と大鬼族(オーガ)は悪い意味で関係ないはずだとシズは確信した。

 

 「シズ殿、助太刀致す!」

 「ランガさん、ありがとう!サトルさん、来れそう?」

 「もうすぐ着くとのことです!」

 「ありがとう。なら、大丈夫かな」

 「足手纏いになってしまい面目ないっス」

 

 常時炎を剣に宿すシズの方がやや有利であるが、大鬼族(オーガ)の方が手練れが多い。

 どうしてもゴブタ達を護りながらの戦闘になってしまい、ランガと共闘しても人手が足りない状況になっていた。

 

 「(特にこの、青髪と赤髪の大鬼族(オーガ)を相手にしながら不意打ちで来るおじいちゃんの攻撃が厄介かな。多分、この中だとおじいちゃんがきっと一番強いし。紫の子や黒髪の子はランガさんが相手にしてくれてるのもあってそうでもないけど、そうしてる間に桃髪の子にみんなが眠らされちゃう。でも、みんな致命傷を負ってない。無力化されてるだけ。あちらの方が圧倒的に有利なのに殺さないの?たぶん、こちらにそこまで戦闘の意思がないのがこの子達も無意識に感じ取ってる?仇じゃないことを認めたくなくて、意固地になってる?同胞達の無念を晴らしたいだけ?不思議な感じだ)」

 

 シズは考えながら、対処していく。本気を出せば殺してしまうし、大鬼族(オーガ)に対してどうしても決定打が出せない中、等々白髪の老人に隙有りと攻撃を許してしまう。

 

 「見事な剣技と炎の太刀筋よ。精霊を宿す者は骨が折れるわい。ワシらをその力を持って殺さず相手にせんかったこと、後悔せよ」

 「しまった!」

 

  ――――白髪の老人が切ったシズは幻覚だった。

 

 「なに――――?!(急に精霊の力と、あの妖気(オーラ)が増した。やはり、此奴らは奴らの仲間なのか。認めたくはないが)」

 

 白髪の老人のそれは、より一層確信するものへとなった。

 

 「やられたと思ったけど、今のミシェルさんの幻覚――?!すごいわ。これならいくらでも切られてもなかったことになる」

 「間に合った。ごめん、救助が遅れて。表に出て来られなくて焦ったよ」

 

 表に出る度暴食に食われていたからであるが、それすら記憶を消されてミシェルは違和感がないようだ。

 暴食は大鬼族(オーガ)達と邂逅できたなら良いかと満足して去ったようである。精々シズやランガ達殺されないようにがんばりなと言わんばかりで、ミシェルの存在もここで復活させた。

 

 「バケモノめ。等々正体を表したか!その妖気(オーラ)!間違えるものか。貴様達が豚頭族(オーク)を操り、俺たちの里を襲わせたのであろう!」

 「何度も言うけれど――違うよ。私達はここ数日、色々あってそんなことをする暇もなかったもの」

 「今日ぐらいでやっと落ち着いたんだからね」

 「ほう、小僧――――。特に貴様は匂うのだよ。あれと同じ気配を漂わせて、何が違うと申すか」

 

 そこで、ようやくミシェルが引っかかるように心当たりを思い浮かべる。

 自分と同じ妖気(オーラ)を纏わせて、ここまで相手に固執させてしまうそれは、すなわち自分と同じミカエルに属する者が豚頭族(オーク)と魔人を従わせていることになる。

 

 「気配?気配が似ているのか。君達が言うその襲撃者の気配と」

 「そっくりそのままよ。あの仮面を被った魔人も似たような気配をしていた」

 

 ミカエルに属する者なら、特に自分と同じ黄の雨クラスの『大罪』を司る者ならばいくらでも記憶を改竄することができるし、洗脳することができる。

 気付かないうちに自分も捕食されて、よりそれを可能にさせてしまっているかもしれない。

 それが怒りの原因だとしたら。

 

 「――君達の敵討ちに心当たりがあると言ったら、どうする?」

 「聞き出して、殺すまで。同胞の仇。特に貴様は許せない」

 

 赤髪の男がミシェルに剣を向け、言う。

 

 「だよね、言って信じてくれるならこうはなってないか。

  でも、僕たちは何度でも言うけど、君達とは無関係だ。

  実際今日が初対面だし。もし関係してあるとしたら。

  うまく利用された可能性は高いけどね。心当たりがあってね。

  そいつは必要以上に僕を恨んでるはずだ」

 「そうなの?」

 

 聞いたのはシズだ。

 

 「恥ずかしい話なんだけど、恋敵みたいに恨まれててね」

 

 ミシェルの言葉に、白髪の老人が赤髪の男に警告する。

 

 「若。この者、本気で話し合いをしようとしてるかもしれませぬぞ。」

 「どういうことだ、爺。」

 「あの豚頭族(オーク)を従わせた者と同じ気配がするということは、つまりこの者もまた洗脳の類いのスキルを持っているということ。それを使えば、我々を攻略することなんて簡単でありましょう」

 「なのにそれをしないということは――。確かに、爺の言うことも一理あるかもしれません。だが!随分と舐められたものよな。同胞達の仇が目の前に居ると言うのに。目の前の敵は本気すら出して来ぬとは。何とも屈辱的なことよ」

 

 逆にそれが男の導火線に火をつけてしまったらしい。

 身構えだした赤髪の男につきそうに、白髪の老人も続く。

 

 「だって本気出したら死んじゃうんだよ君達。そんなのやったら今度こそ信じてくれなくなるし。僕は無益な摂政はしたくないの。」

 「やはり、洗脳の類いのスキルを」

 「――――持ってるよ。一度使えば虐殺に繋がるからね。人前では使ったことないよ。精々みんなの前で使えるのは幻覚と、ゴブタにも教えた錬金術ぐらい。力をセーブするのって、結構大変なんだよ。だからね。話を聞いてくれたら嬉しいかなあ?」

 「それは脅しか。」

 

 その言葉で、等々ミシェルキレた。

 埒が明かない。

 妖気(オーラ)を全開に出してキレてますと言わんばかりに声を上げて。

 

 「――暴食のことならいくらでも話してあげるって言ってるでしょうが。

  僕だってね、散々アイツに目の仇にされて、ことある毎に死ぬような思いしてるんだからアイツにストーカーされる僕の身にもなれってんだ。

  毎回ことある毎に僕の方が優秀だしってアピールされるこっちの身にもなれ!いいけど君のやらかした分毎回僕が処理してんだよまじでふざけんな」

 

「!?」

 

 突然のキレ方にオーガ達は困惑が隠せない。

 ミシェルは元々話が通じなさすぎる者への対話は苦手だった。

 どうでもいい連中ならサクッと洗脳して終わりだがオーガ達は勝手が違う。

 信用してもらうためにあえて手の内を見せて洗脳は使わないアピールをしたが、限度があった。

 あまりにもこいつら、話が通じない。

 その上やった犯人がほぼ身内のよなものだとなると、それはもう大鬼族(オーガ)としては怒りが収まらないだろう。

 だから話が通じなくなるのもわかる。

 こうなったらもう優しく言うのはやめて、キレながら交渉した方が一周回って話が通じるのではと賭けにでたのだった。

 こちらの苦労もちょっとは理解しろよ作戦である。

 

 「はい、ミシェルさん。キレたくなるのもわかるけどちょっと冷静になろうか」

 

 そこでようやくリムルが登場した。

 黒髪に金髪の人型仕様で。

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