「あ、おはよう兄貴」
「リムル様がお目覚めになりましたか、リン様!」
「おう」
「村長を呼んでまいりますね」
声が聞こえる。
おう?二人とも誰?
初対面すぎて分からないんだけど。
「俺すら分からないって顔してんな兄貴。俺だよ、リンだよ」
リンがすっかり男の子になっていて、驚きを隠せなかった。
黒髪青目の少年。あの時より少し髪が伸びてポニーテールにしてる。
大賢者のおかげか、すぐにリンだって姿が変わっても分かるけどさ。
名付けの時に、どさぐさに紛れて俺と分裂して現れて、慌てて「弟だよ!」ってそりゃ皆に紹介したけどさ。
当たり前のように男の姿で俺に話しかけられても反応に困るわ!
あの時はリンもスライムだったし!
最後にあった人間の容姿と違い過ぎるんだよ!
「嘘ー!別人すぎるだろ。俺のかわいい妹はどこに……」
「ミオならまだ寝てる。ま、そのうち話せるようになるよ」
「っていうか自分だけ人になってズルいぞリンー!」
まだ寝てんの?!
それにもびっくりだけど、というか起きたなら俺も
って、うわ。そんな明らかに嫌そうな顔でこっちみないでくれよ。
俺何かしたか?
「兄貴はまだしばらくスライムで頼む。兄貴がスリープモードだった時、魔素がカツカツで大変だったんだぞ(ヴェルドラから貰ったらどうにかなるけど)」
「うぐ、そう言われると何も反撃できません……。」
副音声でヴェルドラから貰ったらどうにかなるけどって聞こえてきたけど、また意識失われても困るしこのままでいっか。
《告》
「ん?どうした大賢者。人になれないなら無理強いしないぞ」
《ちっ》
え?もしかしてリンの協力がなくても人間になれる?大賢者に舌打ちされた?怒って教えてくれなくなっちゃった。ごめんよ!でも迂闊に使って意識失われても困るから別にどっちでもいいんだよ俺!まぁ、ほんとに困ったらならせて貰うか。
リンも、なんでそんな俺が人間になるの嫌がるんだよとは思うけどね!
「リムル様、お目覚めになられましたか!」
「おお、リグルド。さっきの女性は――」
「ハルナだぞ」
「嘘ぉ」
リグルドが答える前にリンが名前を教えてくれてびっくりだが、村長も姿が変わりすぎりでびっくりだ。
「リムル様がお目覚めになられた。皆、宴の準備はできているな」
「うっす!」
ゴブタはそんなにかわってなかったけど。
進化ってやっぱりすごいなぁ。
いつの間にかリンの奴スライムに戻ってるし。
そりゃこんなところで人に戻ってご飯食べてもやりにくいよな。
みんなそのまま地面に座ってるし。かろうじて皿はあるみたいだけど。
「えーでは、皆の進化と戦の終わりを祝って、かんぱ――い……」
えっ、なんでみんなそんな乾杯しないの?
なんならリン!リンまでなんで無反応――。
「すまん、寝てた」
「うおおい。魔素多めにもっていっていいから、寝るのやめられない?」
「分からん。でも善処する」
「頼むよー。同じ元日本人なのにリンまで無視されたら俺が変みたいじゃん」
「すまん。」
リンってわりと謝ってくれるよな。
怒る時はわかりやすいぐらい顔に出るけど、謝る時も同じぐらい顔に出てて分かりやすい。
だからか、リンの嫌がることはなるべくしたくならないんだけどさ。
「ところで、話を割って申し訳ないのですがリムル様、リン様。「かんぱい」とは一体……」
「なんだ、知らなかったのか」
リグルドの反応からゴブリン達が知らなかっただけと分かり安心だ。そりゃそうだよな。前世の社会常識が通じるわけないし、そもそも人間じゃない訳だしな。
「こうやってコップをかがけて……」
「なるほど」
乾杯。
みんなでわいわい豪華にご飯を食べた。
わりとゴブリン達って男女間の羞恥心って少なめなんだな。みんなフレンドリーだ。
それは別にいいけど、あまりにもなんか野生溢れすぎてない?
料理もよく見たら生か焼いただけだし。
どうにかしないとなぁ、これ。家とかボロボロだし。