Requiem for rebellion   作:皐月の王

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慚愧を含んだ望んだ再会

(戦いは痛み分け……どちらかと言えば我々の敗北で終わったはずだが……まだ戦う気なのか……)

 

少女は<十戒>の後ろに着いていきながらそう考える。裏切り者には死をと言う<十戒>とその兄の死を知って、呪いを知っている少女は考えが違っていた。そもそも、少女は恨みなど持っていない。そりゃ、小さな恨み言や、文句が言いたいことはあるが、殺したいほどでは無い。

 

だが、言える立場ではない。色々話したいことはあるのは確かだが、3000年前は袂を分かつった兄と対峙する側だった。望んだ戦いでは無かったためメリオダスを意思を汲んで行動を戦いを切り上げたりすることはあったが、今更何を話せばいいかも分からない。ベリアルインで別れた友の事も気にはなるが、今は同族である<十戒>と行動を共にしている。そう簡単に会いに行けるものでもないし、気配もどこかわからない。

 

エジンバラの丘には城が立っていただろう跡があったが、愉快なオブジェが出来上がっていた。内側から強力な力によってそうなったのだろうと、推察できる有様だ。

 

(ここで……一体何が?それもこれ程の規模となると……)

 

その城の跡地を見ながら雑な感想と考えをする。ここ最近という感じではないというのは何となく思う。だが、3000年も封印されていた立場としたらここ最近も何もない気がするとも思ってしまった。

 

「どうやら城の中心から放射状に魔力が爆発したようね。それも相当強力な……」

 

メラスキュラが近くで観察をしながら推察する。そうじゃないと説明がつかないという感じだろう。すると、ガランが何かを見つけたようにハルバードをブンブンと振りながら

 

「お主ら!!こっちにも妙なものがあるぞい!!」

 

こっちに来てみろと言わんばかりに騒ぐ。他のメンバーも城のオブジェから其方の方に足を運びその見つけたものを見る。そこには底が見えないほどの深い大穴があった。

 

『深い……』

 

『似てる』

 

『3万フィート』

 

『残存魔力』

 

穴の深さは3万フィート、約9.14kmにも及ぶ大穴だ。そして……その大穴にかすかに残ってる魔力は

 

「間違いない。メリオダスの仕業だ。しかしここで一体何をしていたんだ?」

 

「ここまでの事を無闇にするとは思えないが……」

 

残存魔力から犯人を割り出すゼルドリス。しかし疑問が残る。メリオダスが何のためにこんなことをしたのか、ゼルドリスにも分からない。ここで何かあった程度の認識しかないのだ。

 

「いいじゃない、ゼルドリス。まずはゆっくり、羽を伸ばしましょう。久しぶりの外界よ?」

 

メラスキュラの提案。ゼルドリスはもう一人休んでいる人物に聞く。

 

「エスタロッサどう思う?」

 

城の跡地でいい感じのところを見つけたようで、一人で休む体制に入っていた。話は聞いていないだろうか、もう寝る体制に入っていた。早いものだしマイペースな男だと思う。

 

「じゃあ、しばらくここで休むか」

 

ゼルドリスの決定で休むことになる。少女も手頃な場所を見つけ座り込む。そして魔力の回復のために休むのだ。休むと言っても眠るのではなく、体を楽にする。しかし魔力の回復は遅いものだ。

 

少女は神器を出して確認したいのだが、魔力が底をついているため出せない。

 

「はぁ……魔力が無いのは不便だな」

 

呟くように言う。手を見ながら不便だなと確認する。想像と反して魔力の回復が遅い事に内心はそこまで穏やかではなかった。兎に角いち早く魔力を回復させたいと思っているのだ。そんなこと考えているとフラウドリンが

 

「アルビオンが破壊されたようだ。それも二体……別々の場所で」

 

アルビオン。三千年前の魔神族の兵器であり、闘級は一律5500の玩具の様なものだ。

 

「興味無いわね。あんなモノ……錆びの浮いた古い玩具じゃない」

 

メラスキュラも同じようなことを言う。だが、一名はとても愉快そうに高笑いをする。

 

「ク……カ――――ッハッハッハ!!!愉快愉快!!!」

 

「何がおかしいのだ?ガラン」

 

少女はガランに何がおかしいのかを質問した。ガランは心底愉快そうに応える。

 

「まだ、この時代にも魔神族に刃向かう者が存在していたのじゃからな!!」

 

嬉嬉として言うガラン。戦闘狂気質があるガランにとっては逆らって来る相手と戦いたいと言う。その昂りの感情が喜びとなっているのだろう。

 

腰を上げてアルビオンを破壊した人物に会いに行こうとする。

 

「どーれ、行くか」

 

「まさか 魔力が底ついた状態で行くつもりなの?」

 

半ば呆れながらメラスキュラは念の為に聞く。まさかとは思うがそんな馬鹿なことをするのかと聞いているのだ。ガランの回答は、

 

「なーに、寝覚めの運動じゃ。それとも この儂がやられるとでも」

 

やっぱりか、と言わんばかりに溜息を漏らすメラスキュラ。比較的近くにいたゼルドリスは瞬時にガランの前に立ち忠告する。

 

「まて、その慢心が<十戒>に封印という屈辱をもたらしたことを忘れたのか?」

 

魔神族は三千年前に敗れて封印されていたのだ。今回はフラウドリンのおかげで封印から解放されたのだ。また封印されたらお笑いになるだろう。

 

「ジジイは物忘れが激しいのでな」

 

ゼルドリスの忠告を物忘れで忘れたと一蹴するガラン。ゼルドリスもメラスキュラと同様に呆れて溜息をつく。もう何を言っても行くことに変わりはないのだろうと諦める。そのやりとりを見ていたグロキシニアは

 

「……で、どっちに行くつもりっスか?」

 

アルビオンの反応が消えたのは2箇所である。幾らガランと言えど同時に2箇所に行くことは出来ない。体は一つしかないのだから。

 

「ん……そうさなぁ~~~」

 

顎に手を当てて考え込むガラン。そんなガランにグロキシニアは説明する。

 

「西北西は一瞬だけどアルビオンの倍近い闘級の反応があったっス。南の方が妙で……アルビオンが自滅したようなんスよ。まるで自分の力がそっくり跳ね返ったような―――」

 

ガランはその話を聞いて選ぶ方を決める。どっちも魅力的だが、運動に適した方がいるのはと考えた時、期待できる方に行くしかない。グロキシニアの頭をポンポンと叩き礼を言い

 

「ありがとさん。―――決めた」

 

凄まじい勢いで跳躍しその場所に向かう。方角は南だ。ガランが行くのを見て少女は

 

(おそらく南は全反撃によって返されてやられたんだろう。そんなことが出来るのは……お兄様しかいない……となれば)

 

ゆっくり腰を上げて、背伸びをしてガランが跳躍した方角を向く。追い掛ける前にゼルドリス、エスタロッサを一瞥する。少女の方を見ない二人の姿を見てから跳び出す。砂埃を巻き上げ、跳躍と走るのを適当に繰り返しながら向かう。

 

――――――――――――――――

 

一方キャメロットでは、アルビオンの強襲を<七つの大罪>メリオダスが退けて話をしていた。<十戒>の復活、魔神の王直属の精鋭部隊が復活したことをメリオダスはキャメロットの王、アーサーに説明する。

 

皆は不安がる。アルビオンですら、<七つの大罪>が助力に来なければ被害は回避できなかっただろう。更に<十戒>ともなると、アルビオンより強いとなる。これより前に魔神化したヘンドリクセンとの戦いが、可愛く思える話だと。

 

色々話をする中、マーリンは怪訝な表情を浮かべる。それを見たメリオダスは

 

「どうしたんだマーリン。そんな怪訝な顔をして?」

 

「いや……国王の予言が少し気にかかってな……」

 

リオネス王国の国王の魔力は<千里眼>。未来の出来事を漠然とした言葉と映像で予知することができる魔力であり、予知できる内容は自身の身とその周辺で起きる事柄に限定される。しかし、的中率は100%である。その予言というものが

 

『山の如き獣目醒め、三人の英雄が立ち向かい、闇が大地に大穴を穿つ』

 

というものだ。山の如き獣はアルビオンと仮定していたマーリンだったが。

 

「それだと後半の文言の意味が合わなくてな」

 

直後遠くで雷がなるような音が聞こえてくる。

 

「遠雷?」

 

「ううん?雨雲なんて……」

 

その直後尋常ならざる気配が飛来する。雲を突き破りキャメロットに到達する。その気配は、歴戦の騎士であろうと、戦士であろうと、等しく震撼させる。砂塵の中から二つの人影が見えてくる。

 

「ふーむ……72歩か……おぬしはどうじゃ?」

 

「私は60歩だ」

 

ここまで来る歩数を競っていたのか緊張感のない話をしながら二人の人影は尚も歩みを止めない。

 

「だ、団長……。これって……まさか……」

 

「この距離なら70歩で届くと思うたが……三千年の間になまったものよ」

 

「なまるも何も無いだろう……封印されていたのだからな」

 

赤い鎧を纏った、見上げるような背丈の人物と赤い外套と黒いリボンを付けている金髪の小柄な少女が立っていた。髪の長さは背中位あるだろうか。身長はメリオダスより少し小さいく、人形のような可愛さがある人物が立っていた。

 

「お前は<十戒>のガラン……そして」

 

メリオダスの様子が変わる。信じられないものを見るような表情と、悔やむ表情を浮かべる。握る手は白くなるほど握り、歯を食いしばる。

 

「――――ディアレイス……!」

 

震えた声でいう。目の前に立つ少女の名はディアレイス。

 

「久しいなメリオダス。やはり儂の予想通りお前さんじゃったかな。カッハッハッハッ。しかし相変わらずその姿のままか……」

 

「久しいな、お兄様……あの時以来か……。壮健そうで……何よりだ」

 

ガランは笑ながらにメリオダスを見据え、ディアレイスは何処か寂しそうというか、何を言えばいいか分からないと言うもどかしさがあった。魔神化したメリオダスのような闇を宿した瞳もして無ければ、紋様も存在していない。

 

「こんな……こんな化け物がこの世に存在していいの?って、お兄様!?あの子、団長の妹さんなの!?」

 

ディアンヌは驚き、メリオダスに聞くが、メリオダスは頷くだけだ。メリオダスにとっても思ってもみない再会なのだ。

 

そんなガランとディアレイスをバロールの魔眼で見たホークは声を震わせながらマーリンに言う

 

「マーリン……魔眼壊れちまってるぜ!?」

 

「なに?」

 

「だってよう、おかしいだろ……闘級2万6000と闘級5万1000っておかしすぎるぜ」

 

闘級2万6000。アルビオンの約五倍の闘級を誇る人物と闘級5万1000。アルビオンの約十倍近い闘級を誇る人物が同時に出現したのだ。

 

「三千年の間封印されていた魔神族……<十戒>のガラン……と<十戒>のディアレイス」

 

「か、体が震えが止まらねえ……なんなんだよアレ……!」

 

「早く……住民を避難させねば……!」

 

「一つ訂正させて貰ってもいいか?仮面の男」

 

ディアレイスはスレイダーに訂正する。

 

「私は<十戒>では無い」

 

今いうことなのだろうか?と疑問に思ったら負けだろう。<十戒>では無い魔神がガランを上回る闘級を持って立っている。だからどうした、それでも状況は良くないのだ。そんな中でマーリンはディアレイスを見て思わずその発言に笑いそうになるが、何か違和感を感じ取りホークにもう一度見るように言う。

 

「確かに想像以上の闘級だ……だが妙だ。この感じは……ホーク殿奴らの魔力はいくつだ?」

 

「ん?魔力?えーっと、魔力0二人とも0って出たぞ!この魔眼本格的にぶっ壊れてるぜ!!」

 

マーリンは納得する。封印から解放された直後もあり、二人の魔力は底をついている状態。それ故に魔力が0と出ているのだと。

 

「おそらく女神族の封印の影響か……」

 

「つ、つまり叩くなら、今しかないって言うこと?」

 

震えながらも構えるディアンヌと騎士達。興味なさげにガランはキャメロットを少し見渡す。

 

「ここが人間共の巣か……三千年前と比べると大分、様子が変化したの。相変わらずウジャウジャと群れる習性は変わらんか……」

 

一通り街を見て、ガランは呟く。

 

「狭いな」

 

たった一振、たった一振で街を薙ぎ払った。ゴミを退かすように、無視を払うように、あっという間に更地へと変貌した。そこに居た命などお構いなく薙ぎ払ったのだ。

 

「これで……少し動きやすくなったか。さてと……メリオダスお前さんとは一度じっくり手合わせしたいと思っとった。お前さんは手を出すなよ、ディアレイス」

 

「っ、ガラン!」

 

メリオダスに振り向きガランは告げた。ディアレイスは制止の意を込めてガランの名を呼ぶがそれ以上何も言う事が出来ず、兄・メリオダスと魔術師マーリン、そしてその後ろのエリザベスを見るしか出来なかった。




現在のディアレイスの闘級:51000(魔力0 武力48000 気力3000)でございます。
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