「な、何の真似じゃ!ディアレイス!!メリオダス同様に我らを裏切るのか!?」
ダメージを回復させ戻ってきたガランがディアレイスに向かって叫ぶ。ディアレイスはその叫びを聞きながら。落ちている剣を拾い上げる。
「そうなるな。敵対する事にはなったが、別にお前を痛めつけたい訳じゃない。このまま去るなら何もしないが、向かってくるなら……手加減は出来ない」
「そうじゃったな……お前さんは優しすぎて、敵にすら情けをかけるほどに甘い奴じゃったのう」
ガランはカッハッハと笑いながらに言う。ディアレイスは不快感と悲しみが混ざったような表情を顔に出しながらに構える。ガランは特大の殺気が放出しディアレイスに叩きつけながら言う。
「今なら笑って済ましてやるぞ……ディアレイス。後ろのメリオダスと人間を殺せばな。本気でそちら側に着き十戒を裏切ると言うのか?」
ガランがハルバードを構えてディアレイスに言う。その構えに先程みたいな慢心も油断も無く本気である。ディアレイスは構えを解くことなく。
「……何度も言わせるな」
そう一言だけガランに言い放つ。それ以上言葉は要らないと、交わす言葉は無いと。それを聞いたガランの腕に力が入り姿勢は低くなる。そして
「じゃあ、裏切り者として、自らの判断を戒めて死ねぇ!!」
全力を持って裏切り者を消す為に切りかかる。ディアレイスは少し腰を落として、ハルバードの攻撃に対して闇の魔力を纏った手刀をぶつける。力と力のぶつかり合いは凄まじい衝撃波を生み出す。筈だった。
「なっ!?」
「引く気は無いんだな?」
衝撃が他の者に届くこと無く、ハルバードは手刀に完全に止められていた。それだけではなくディアレイスはガランの一撃を完璧に相殺して見せた。ディアレイスはガランのハルバードを握り引っ張り引き寄せ顔面を掴み
「ここでは、巻き込んでしまう場所を移すぞ」
そう言い、跳躍しキャメロットから離れる。キャメロットから北東に30マイル離れた山岳地帯まで移動し、ガランを地面に投げる。ガランは体勢を立て直し着地し、あとから降りてくるディアレイスと対峙する。
「ここなら、誰も居ないだろ」
「ほう、ここを死に場所と決めたかディアレイス」
「手を引いてくれたら有難いが、このまま引くとは思えない。暫くは再起不能になってもらうぞ!」
「何を――グッ……ガッ!?」
ガランが何かを言う前にディアレイスの拳が深々と腹部に突き刺さる。
「何時までほうけている?……随分余裕だな!」
ガランの体がくの字に折れ、顔が下がった所に下からアッパーカットが入りガランを空中まで飛ばされる。ガランが何かを言う前にディアレイスの拳が深々と腹部に突き刺さる。ガランの体がくの字に折れ、顔が下がった所に下からアッパーカットが入りガランを空中まで飛ばされる。二撃。その二撃だけでガランの頭部は変形し、殴られた腹部の内蔵も無事では無い。魔神族の再生を持ってしても、回復するには少し時間を有するダメージを受けたのだ。
(ぐっ……!これほど……!)
思考する間もなく、ディアレイスの蹴りが更にガランを空中で蹴り飛ばす。
「ガァァァ!!!」
ガランは飛ばされながらも老兵の意地で空中で立て直し闇を使い空中で留まり、ディアレイスを探すが
「流石だな、ガラン。お前なら、立て直すだろうとは思った……!」
気づいた時にはディアレイスが放った蹴りが腹部に突き刺さり、凄まじい勢いで地面目掛けて蹴り落とされる。激突してなお勢いは直ぐには緩まらず、少し地面を抉るようにして進んで止まる。
「ガ……ガハッ!グッハ……!!ァァァ!!」
口から血を吐きながら傷の回復を行う。治す際に傷の確認を行うが、大丈夫な部位を確認する方が早い程には完膚なきまでにボロボロである。勝敗は誰の目からも見ても明らかである。ディアレイスは静かに着地し、ガランに告げる
「ガラン、戻って伝えろ。魔神族が<十戒>が3000年前の続きをすると言うなら―――」
息を吸い込み宣言する。あの時踏み出せなかった一歩を踏み出す様に。
「滅ぼし合いになると」
そう言うと、動けないであろうガランに近づく。目的は十戒達がいるであろう方面に吹っ飛ばすためである。しかし、その甘さがガランに千載一遇のチャンスを与える。
「まだ……じゃあ!!」
まだ終わらないと言わんばかりに片手でハルバードを振るい地面から抉るようにディアレイス目掛けて振るう。
その衝撃は砂埃を巻き上げ、山の一端を削り取ることが可能な一撃である。今のガランが出すことが出来る渾身の一撃。不意を着いた確信もある。
「油断……したな……戦場じゃ仕留めるまで気を抜かぬ事だ……!!」
しかし、それを見てガランは冷や汗と諦めに近い何かを感じ取る。忌々しいと何故忘れていたと思考が巡る。
「ボロボロになりとて、敵を殺すのに躊躇いなく武器を振るい、勝機を狙う。そこはお前を認める所だ。だが―――」
闘級が倍近く離れているという事は、その間にはそれだけの絶対的な壁があるという事でもある
「手負いになり、万全では無いお前の不意打ち程度で沈むなら、私は反旗を翻していないだろうよ」
ガランのハルバードによる渾身の一撃はディアレイスに届いてない。それどころか、キャメロットで拾われた剣がが振るわれていた。それが意味することは
「
ガランの渾身の一撃が倍以上になって戻ってくる。やっとの思いで放った一撃は無常にも自身に返ってくる事となった。
「ぐぬうおおおお!!?」
凄まじい衝撃に襲われ吹っ飛び山に激突する。陥没した岩山から出てくるが。ガランは数歩歩いて仰向けに倒れ込む。既にガランは立ち上がる力は残ってはいなかった。
「ぬかった……全反撃。メリオダスと同じ師を……血迷っても……魔神王の娘か……!!」
ガランはディアレイスを睨みつけながらに言う。ディアレイスは今度こそガランを見下ろし
「……ここまでだ。最初に言った通り、痛めつけるつもりもない。今の状態なら再起するのにも時間がかかるだろう」
「儂を見逃すつもりか?」
ガランは怒りを込めてディアレイスに言う。ディアレイスはその怒りを受け止めながらも
「甘いと嗤うだろうが、それが私だからな……」
そういうのと同時に一つの人影が飛来する。ディアレイスはそれに気づき、後ろに飛び退く。砂埃を巻き上げたその人物は砂埃から姿を現す。ディアレイスは思わず言葉を失う。その人物は怒りと憎悪を滲ませ叫ぶ。
「これはどういう事だ姉者!!貴女も十戒を魔神族を裏切るというのか!?」
「ゼル……!」
エジンバラに居たはずのゼルドリスがガランを救うべくこの場に現れたのであった。
「妙な予感はあった。姉者は同じ魔神王の子でありながら甘い人物だった何度敵に情けをかけたか……メリオダスの背を押したのもオレは知っていた!だが、裏切る覚悟もないまま一緒に戦っていたのも事実。オレはそのままなら何も言うつもりは無かった。それなのに、我々<十戒>を、魔神族を今裏切るというのか……!」
弟の激昂を、叫びを聞き罪悪感に心が潰れそうになる。だが、その程度で揺らぐなら裏切っていないのも事実である。
「私は止めてみせる……!もう、3000年前の続きなんてものはする必要は無い!ゼル!魔神王の魔力を戒禁を捨てるんだ……!!私達の戦いは3000年前に終わったんだ!!」
説得しようとディアレイスもゼルドリスに叫ぶ。しかしその言葉がゼルドリスとの敵対を確実のものとする。
「何を言うかと思えば……!魔神族の誇りすらも捨てたか姉者!!3000年前の屈辱を忘れられるはずが無かろう!!あの戦いは、3000年前のあの戦いはまだ終わってない!!ブリタニアの地は魔神族が手に入れる!!もう、お前を姉者とは呼ばんぞ!ディアレイス!!!今度会う時、メリオダス共々殺してやる!!!」
そう言うとガランを抱えてゼルドリスはその場から姿を消す。ディアレイスはその場で一人、拳を固く握りしめその後ろ姿を見ていた。
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