TS生贄娘は役割を遂行したい!   作:雲間

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 今日は朝から探索作業の再開である。

 同じ面子で中へと入っていき、次に行く予定だった場所から調査が始まっていく。

 本を見つけた所は引き続き兵士さんがひとつひとつ細かく確認が入っている。

 なんか見つけて、おれの力が必要そうってなったら呼ばれる手筈になっているんだとか。

 ……力って言っていいのか分からんけど。

 皇族の血からくるもんだろうけどさ〜、いい加減なんなのかハッキリしてもらいたいよね〜。

 それが本に詰まっているんだろうなぁ。はあ……。

 あれ全部解読するの憂鬱だ〜!

 あ、ヴァルムントやお兄様に関わってくる事だから勿論手は抜かないよ!

 それはそれとして……という話だ。

 内心げんなりしながらも行く先々で確認を繰り返していく。

 結構時間が経ったところで、ルチェッテがあくびを噛み殺してから疲れた声で呟くのが聞こえた。

 

「本が見つかったから、もっと何か見つかるのかと思ってたな~」

「そうですね、もうひとつやふたつあると嬉しいのですが……」

 

 いうて隠し宝箱なり隠し扉なり、ダンジョンにつき一つや二つくらいだよなぁ……。これ以上あるのか?

 疑問に思いながらも次の場所へと進んでいく。

 そろそろ終着点である黒龍のいた場所へとつながる魔法陣に近づいている。

 黒龍の場所へ行く前に、ヴァルムントくんが見たいと思っているであろう出入口への魔法陣をよ~く見ておかないと。

 ……黒龍への魔法陣も見た方がいいのかもしれない。

 なんて考えながら歩いていくにつれて、妙に胸のあたりからもやもやが広がっていく感覚がせり上がってきた。

 う~~~ん、なんか、変だなぁ……。

 胸の辺りをさすってみるも、もやは大きくなっていく感じがしてならない。

 ヴァルムントはおれの様子を見ていたのか、心配そうな声色で言葉をかけてきた。

 

「カテリーネ様、どうかされましたか?」

「少しだけ休憩させていただけないでしょうか? 疲れてしまったようです」

 

 胸が痛いとかそんなんじゃないし、まぁそのうち治るっしょ。

 いざとなったら魔法陣で帰ることもできるしさ。

 ヴァルムントはおれの提案にすぐ頷きを返し、出入口の魔法陣がある場所へと足を進めていく。

 調査用に魔法陣を使用している関係で椅子やらなんやらが置いてあるのだ。

 

「外に出られますか?」

「いえ、このままでお願いします」

「承知いたしました」

 

 すぐに座れるようにと兵士さんが持ってきてくれた椅子に座って一息つく。

 リージーさんから水の入った水筒を受け取って飲んだり、ユッタに背中をさすってもらったり、ルチェッテに念の為と診察されたり、目を閉じてゆっくりと息を吸ったり吐いたりする。

 これでもやもやとれたりしないかな~って思っていたけれど、どうにも気になる視線が一つあった。

 ……ヴァルムントくん、おれじゃなくって魔法陣見てくれないかなぁ!?

 し、心配してくれているのは……う、嬉しいけど……!

 嬉しさと渋さが混ぜこぜになった気持ちが顔に出てしまったのか、ヴァルムントくんの焦った声が聞こえてくる。

 

「カテリーネ様、やはり今日は中断といたしませんか?」

「ち、違います! ヴァルムント様にはわたくしではなく魔法陣を見ていただきたく……!」

「……魔法陣を?」

 

 絶対に気を使われるだろうから言いたくなかったのに、いいいい言っちゃったぁ!

 うおおおお、反省……。ってしょぼしょぼしていたら、ヴァルムントが片膝をついておれに目線を合わせてきた。

 

「カテリーネ様、私のことを想っていただきありがとうございます」

「わ、わたくしのことはいいのです! 是非、魔法陣を見て下さい……!」

「はい、仰せの通りに」

 

 すっごい幸せって雰囲気を出しながらヴァルムントは魔法陣を観察しに行った。

 ま、まっ、まったくもう! これだから、これだから……!

 そうやってヴァルムントくんを見ながらうぎぎぎとしていたら、胸のつっかえみたいなのが治ってきた気がした。

 もしかして、ヴァルムントくんのこと見てれば気が紛れるのかも?

 魔法陣を嬉しそうに見ているヴァルムントくんを見ながらまったりすることにした。

 こうして見てると、少年みたいに目を輝かせていて可愛いな……。

 あんまりこういう場面見ないから、もっと歴史関係のやつとか一緒にやったらいいのかもしれない。

 ぼやーっと考えている内に、もやもやしていたのが、気持ち気にならなくなってきた。

 ……うん、やっぱり治ってきた……気がする!

 根拠のない自信が湧いてきたのと同じくして、ある程度観察できたであろうヴァルムントくんが戻ってきた。

 

「お時間をいただきありがとうございました。深く観察ことができ、私は幸せです」

「もう少し見ていても大丈夫ですよ?」

「いえ、十分です。それよりもご体調はいかがでしょうか? 村に戻られますか?」

「良くなってきました。次で最後になりますし、参りましょう」

 

 そう言うとヴァルムントは、おれが本当に問題がないか目を動かして確認していく。

 大丈夫そうだと判断してくれたみたいで、頷きを返してから兵士さん達に移動の指示をし始めた。

 おれも立ち上がり、みんなで黒龍がいた場所への道を歩いていく。

 そうして魔法陣へと辿り着くと先に数人の兵士さんが魔法陣で飛んでいって、おれ達も同じようにまとまって魔法陣の上に乗って飛んでいったのであった。

 

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