ボーダー上層部が集まる会議室……そこに、とある男が召集されていた。
「朝日隊員……」
「はい」
呼び出された者の名は朝日 昇。ボーダー所属のエンジニアである。
「夜な夜な茶色い一つ目の化物が現れるという噂が出ている。……どうせアッガイだろうから出しなさい」
「アッガイということまで読まれている……だと……っ!」
「もういいから早よ出せ」
「はーい」
朝日はせっかちだなぁと思いながらアッガイを呼び出した。
「何か思ってたのと違うな」
「アッガイ索敵型です」
まさかの索敵型だった。
「貴様の事だから、可愛いという理由で普通のアッガイを作りそうなもんだが」
「いや、今回はちゃんと理由がありまして」
珍しく理由があるらしい。
「普通に索敵特化の機体で危険区域をパトロールさせた方がいいと思うんすよ。ほら、レーダーが効かないステルス特化のトリオン兵がこっそり町に向かったら大変じゃないですか」
「まぁ、そうだな」
バッグワームというレーダーを無効にするトリガーがある以上、ステルス特化のトリオン兵に突破されてもおかしくない。
「そんなとき、特殊な高性能カメラとレーダーがついてるコイツを見回りに使えば、多少はその心配も減らせます」
「防衛任務で見回りしてる隊員も居るし監視カメラもあるだろ」
「いや、ステルス特化の小さい奴とかが来たら見落とす可能性高いと思うんですよね。監視カメラの性能も悪くありませんけど死角がありますし」
「言いたい事は分かるがコスト面の問題が……」
忍田の言い分も尤もではあるが、
「いや、町に被害出た方がヤバいでしょう。こんな理解不能な民間組織の寿命なんて秒ですよ」
「やっぱりコイツ、ボーダーの事を下に見てる節があるんだよなぁ」
中学生を使わないといけないレベルの人員不足と民間組織ゆえの資金面の弱さが原因ではなかろうか?
「コストも安い廉価版もあるんで、デザイン変えてどうとでもしてください」
「……一応、確認してから採用の有無を決めよう」
城戸は確認した後に採用する方向で進める気でいるが表情には出さない。だって目の前の男が調子に乗るから。
「さて、事もすんだし……、バイザーとか色々外して見た目弄って普通のアッガイにしよ」
「やっぱ可愛いから作っただろ!?」
鬼怒田のツッコミが今日も会議室に響く。
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「体育座りに組体操……やはりアッガイはハロに続くガンダム界のアイドル枠だな」
朝日は例の如く、自販機の前でココアを飲んでいた。
「次は何作るかなー、それとも既存の強化でもいいのか」
朝日は何するかなーとココアを飲みながら考える。
「まーたココア飲んでるの朝日さん」
「人生トロッコ問題くんじゃん」
迅はその呼び方やめてってと笑う。
「そうだ。俺が作った物が乗っ取られる未来って見える?」
「うーん。朝日さんが乗っ取る事はあっても、朝日さんが作った物が乗っ取られる未来は見えないな」
「ふふーん。流石は俺。セキュリティも万全かー。じゃあ作る物も決まったな」
「あっ、未来見えた」
いったいどんな未来が見えてしまったのだろう。
「じゃあ、俺は作成してくるねー」
そういうと、朝日は研究室に向かって行った。
「……ま、いいか!」
迅は考えるのを止めた。上層部の胃を犠牲にすれば最高の未来に近づけるのだから。