ボーダー上層部が集まる会議室……そこに、とある男が召集されていた。
「朝日隊員……」
「はい」
呼び出された者の名は朝日 昇。ボーダー所属のエンジニアだ。いつものである。
「ボーダー本部の屋上に、いつの間にか設置された設備と周辺を飛び回っているGXビットを作ったのは君だな」
なお、GXビットの大きさは4m程である。
「試験機の一機だけですが、自分でもいい仕事したと思います。攻撃範囲は大きさ相応になってますが月がなくてもサテキャが出来ます」
「何とんでもない物を作っとるんだバカモン!?」
本家のGXビットが17M程であるため、4Mでは相当に攻撃範囲が減るのだ。まぁ、それでも一撃でボーダー本部が消し飛ぶ火力なのだが。
「オペレーター強化を考えた結果がこれです」
「もうオペレーターだけで良くなるだろ」
ランク戦で使われたら急に状況をひっくり返されるクソゲーが始まる可能性がある。
「いや、普通に火力が高すぎるんで、基本は威力押さえて狙撃みたいな運用でいきましょう」
「全部隊にスナイパーが居るようなもんか」
なお、威力を落としてもレイガストごと消し飛ばす威力である。……やっぱりランク戦で使われたらクソゲーでは?
「オペレーターの強化だけなら、もっと他に無かったのか?」
疑問に感じた唐沢が朝日に問う。
「いや、思考能力の補助とか作れたんですけど、脳に影響がありそうな実験に子供を使うのは個人的に嫌だったのが一つ」
朝日はトリオン技術の記憶消去は反対ではないが、子供に使うのは如何なものか?というスタンスである。
「なにより……」
朝日はばつが悪そうな顔をしている。
「一部のお馬鹿が学校とか宿題でズルする可能性あるかなって」
「「あぁ……」」
一部のお馬鹿(太刀川や米屋など)の顔を浮かべる上層部の面々。
「いや、別にいいんですよ。ただね……問題がこっちにまで来そうじゃないですか」
「……何というか……すまない」
忍田が朝日に謝罪する。だって、やりそうなのが身内にいるから。
「んでまぁ、GXビットに戻るんですけど、サテライトキャノンの発射に必要なエネルギーは本部のトリオンなどをテレポーターの原理で屋上の設備からGXに転移させる事で解決してます」
「新技術はとっとと言え!? しれっと隊員のトリオン不足を解決出来る技術を作りおって!?」
この技術を使えば、トリオンの少ない者も無尽蔵のトリオンを得れるだろう。しかし
「トリオン体に組み込むには物が大きいんで厳しいので、かなり小型化が必要になりますんで当分先です」
「そうか……」
「なにより、別に俺じゃなくても作れるでしょう?」
「ここまで他人の才能を憎んだ事はない」
鬼怒田の顔が修羅の様になっている。あんたはあんたでおかしいだろうに……。
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「ガンダムってかロボが多いから次は違うのを作るか……」
朝日はいつもの自販機で缶コーヒーを飲んでいた。たまにはココア以外も飲みたい時はあるだろう。
「ん? 黒江じゃん。久しぶり」
「あ、朝日さん。お久しぶりです」
朝日は加古隊の黒江が通りかかったので声をかける。
「韋駄天の調子はどうよ?」
「まだ使いこなせてないです……」
黒江は韋駄天という、高速移動を行える様になるトリガーを使用しているが、速すぎるのかまだ制御が難しい様だ。
「相手を斬れてるから反射神経の問題じゃないし、どっちかというと急停止が難しいのが問題かな」
「はい、移動ルートに攻撃を置かれると……」
黒江の経験不足もあるだろうが……急停止が難しいのは問題か……と朝日は考える。
「俺なりに……アタッカーの足回りの強化でも考えてみるか。……黒江、高機動アタッカーとして実験に付き合ってくれないか?」
「此方こそよろしくお願いします」
アタッカーの足回り強化の道が始まった。