ボーダー上層部が集まる会議室……そこに、とある男が召集されていた。
「朝日隊員……」
「はい」
呼び出された者の名は朝日 昇。ボーダー所属のエンジニアだ。ここ最近は週一で呼び出されているらしい。
「今朝、キングジョーが浮遊しているのが目撃されている。犯人は君だな」
「なんで毎度毎度俺が犯人だと思われてんですか? まぁ、そうですけど」
「何で犯人だと思われないって思ってんだよ」
林藤の発言が朝日に突き刺さる……様なメンタルはしていないため全スルーである。
「というわけでキングジョーです。改造してキングジョーブラックかスカーレットにするのもありです」
「無しだバカモン!?」
鬼怒田は、とんでもない物を作りおってとキレており、根付は……
「…………」
沈黙を貫いていた。頼む、外部にバレないでくれと願っているのだ。
「てな訳で、キングジョーなんですけど、今回の作製の経緯として、以前作ったトリオン合金等のフィジカル面の限界を知るためです」
「まぁ、キングジョーといえばフィジカルだからな」
鬼怒田も納得していた。キングジョーに特殊な能力はない。ひたすらにフィジカルに全振りしているため、シンプルにパワーが高く、シンプルに防御力が高いのだ。
「今回の実験にぴったりなデザインと言っても過言じゃないですね」
「過言じゃなくても作るなバカモン」
鬼怒田の発言に根付は頷く。一度これで、夏と冬に行われてるイベントに行こうとしていた事を根付は忘れていない。……まぁ、止めれなかったのだが。
「で、結果ですけど、熊谷の孤月が折れて、出水の徹甲弾を弾きました」
「硬すぎじゃね!?」
「トリオン合金に改良と更なる特殊なコーティングした結果ですね。パワーもレイガストを砕く程です」
「く、狂ってる」
流石はキングジョー、流石のパワー、流石の装甲である。
「ただ、絶対に量産が出来ない値段になりました。強さの秘訣がパワーと装甲なので廉価版も厳しいですね」
「……シンプルなゆえか」
シンプルに費用が高いから強いというタイプであった。
「ま、この装甲を量産出来る様になればボーダーの未来も安泰ですね。量産出来る様になれば」
「ぐぬぅ……」
C級に脱出装置を付けれない組織には難しい話であった。
「さて、自分は恐竜戦車を作らないとなので」
「まてまてまてまて!!」
鬼怒田が朝日を止める。
「なに作る気だ貴様!?」
「恐竜戦車ですけど?」
朝日は何言ってんのこの人という視線で鬼怒田を見つめる。
「そろそろ祭りも近いんで」
「またコスプレブースに持ち込む気か!?」
根付は数年前を思い出す。空飛んでるセブンが原因でコスプレブースが大騒ぎになったあの日を、空にエメリウム光線を撃たれたあの日を、止めれなかったあの時を……。
「やらせはせん!やらせはせんぞ!!」
「根付くん!? なんか違う人物になっていないか!?」
色んな意味で違う人が根付に取り憑いている。心なしか、強面の巨漢が背中に見える気がする程であった。
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「ま、作るんですけどね」
朝日はいつもの様にココアを買っていた。根付の頑張りは無駄となる様だ。
「さーて、次は何を作るか……」
「あ、朝日さん。お疲れ様」
ココアを飲んでいると、エンジニアの寺島 雷蔵がやって来た。
「お疲れ様。調子はどうよ」
「毎度毎度、レイガスト砕かれてるんで調子がいいとはいえないですね」
「ごめんて」
そりゃ、実験で自分の作ったレイガストを破壊されているのだ。あまり気分はよろしくないだろう。
「鬼怒田さんが頭抱えてましたよ」
「ドンマイって言っといて」
「謝る気が皆無じゃないですか」
申し訳ない気持ちは特にない朝日であった。