ボーダー上層部が集まる会議室……そこに、とある男が召集されていた。
「朝日隊員……」
「はい」
呼び出された者の名は朝日 昇。ボーダー所属のエンジニアだ。また何かしたようだ。
「……その横にいるのはなんだ?」
赤い胴体に白いフェイス、ゴーグルのようなカメラはまさしく
「やられメカです」
「ジムと言え! せめてジムと言え!」
ジムであった。
「なんでジムなんだ」
「量産メカもいるかな……と」
「それ量産されると個人の趣味って言い訳出来ないんだが!?」
もろもろの許可も取らずに量産しようとするなと根付は青筋を立ててキレている。
「いやだって、冷静に考えてくださいよ」
「なんだね」
上層部の面々はこの様子のおかしいエンジニアの口から何が飛び出すか警戒する。
「大規模侵攻の時に初手で子供前線に出すくらいならトリオン兵を前に出して様子見した方がいいじゃないですか。見た目もかっこいいロボで言い訳出来るし」
「いろいろと言ってはいけない事を言ったな。事実だが」
「デザインそれだと別の言い訳作る必要が出て来るんだが? それ考えるの私なんだが?」
根付の胃はそろそろ限界である。
「量産と言っても性能とコスト面はどうする気だ。我々が躓いとる理由はそこだぞ」
鬼怒田の言い分はもっともだ。組織として費用面は考える必要がある。
「民間の金銭面かつかつ零細企業でも、ある程度は強くできて量産も出来るくらいにはしてますよ」
「オマエさては割りとボーダーの事を見下してるな」
「普通なら国家機関だと思うんですよ。この手の組織」
普通に考えて民間組織である理由が謎である。
「だって、いまだにC級にベイルアウトも着けてないですし」
「痛いところを……」
例え前線に出さないとしても、ベイルアウトを付けて無いのも謎である。いったいベイルアウト付けるのに必要な費用はどれ位なのだろうか?
「ベイルアウト通じなくなる可能性もありますしね。何より……」
「なんだ?」
ふっふっふと朝日は含み笑いをし、口を開く。
「デザイン変えればおもちゃとしてプラモとかで売れます。収入源アップです」
「デザイン変えて今すぐに採用しましょう」
「唐沢営業部長!?」
やってる事がやってる事なので、資金調達も楽ではない唐沢が真っ先に賛同した。
「てかオート操作も遠隔操作も出来るので、市周辺に設置してれば誘導システムが無効化され、危険区域外にトリオン兵が出ても対処可能です」
「誘導システムの無効化か……可能性が無いわけでは無いからな」
エンジニアの鬼怒田としても、避けては通れない道である。
「遠隔起動が出来たのか」
「はい、こちら側の電子機器の技術とトリオン技術のハイブリッドですので、当面はハッキングの可能性は低いかと」
その後、今後の計画を話し合うのであった。
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会議が終わり、いつも通り自販機でココアを買っていた。
「今回はなんか反応よかったな」
比較的マシだったのと、エクシアとかいうハイエンドモデルが先に出ていたことが受け入れられた理由である。
「朝日さんじゃん。サボりか?」
「なわけ無いじゃないですか。こんちわっす」
「なに考えてるか分からなくて話しづらいで有名な太刀川と案外普通って言われてる出水じゃん」
「そんなん言われてるの俺?」
「いや周りが濃すぎるだけっすよ。マジで」
太刀川隊の2トップが現れた。
「……? ああ、烏丸はもう玉狛か」
「そうなんすよ」
朝日はそんな時期かとココアを飲みながら思う。
「一応、新人は来たんすけど弱くって……なんかいいトリガーないんすか?」
「あっても他の隊も同じの使うだろ」
「太刀川って戦闘が関わるとマトモな事言うよね」
「褒めるなよ」
「絶対に褒めては無いですよ」
朝日は太刀川に対して戦闘力と戦闘センスだけは信頼している。
「いうてなーガンナーとシューターはあるけど、アタッカーは案がないのよね」
「なんでアタッカーだけないんすか?」
うーん、と朝日は説明を考える。
「太刀川さー」
「なんだ?」
「よく斬れて、硬くて折れない以外に剣に求める物ある?」
「無いな」
剣に求めるのは斬れて折れない事である。それ以外は特にない。
「スペック上げるかトリオン体を強化以外が無いのよ」
「遠距離の手段増やすとかはダメなんすか?」
「旋空でいいし、遠距離攻撃したいならば別に刀である必要ないじゃん」
「マジでないじゃないっすか」
遠距離するのであれば別に孤月である必要がないのだ。
「まぁ、変形して銃になるとかなら出来るけど」
「それ良くないっすか?」
「コストそのままだと耐久性落ちるし、コスト上げると量産が無理」
「ダメっすか」
この後、朝日はココアを飲み終わるまでトリガー談義を3人でするのであった。