英雄伝説 天の軌跡 (完結済)   作:十三

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   「憧れは、理解から最も遠い感情だよ」
        by 藍染惣右介(BLEACH)










帝都騒乱 伍

 

 

 

 

 

 幸か不幸か。

 或いは望むと望むまいと。

 

 トールズ士官学院特科クラスⅦ組の面々は、それぞれ”強者”と呼べる存在が身近にいた。

それは決して、単純な腕っぷしの力というだけでなく、”心”が強かった。積み上げた経験、人生そのものが紡ぐそれぞれの”強さ”。それを目に焼き付けていた。

 

 アリサは鉄の意志を以てして大企業をその才腕で纏め上げる女傑である母、イリーナ・ラインフォルトを。

 エリオットは屈強な肉体と揺るがぬ大木の如き信念を以て帝国機甲師団最強の部隊を纏め上げる父、オーラフ・クレイグを。

 ラウラは帝国最高峰の剣士と名高く、自らの目標でもある父、≪光の剣匠≫ヴィクター・S・アルゼイドを。

 マキアスは英傑の宰相の傍らで広大な帝国の政務を執り行う父、カール・レーグニッツを。

 ユーシスは権謀術数が渦巻く貴族の世界で若輩ながら頭角を現す兄、ルーファス・アルバレアを。

 エマは自分よりも遥かに”魔女”として大成していた、憧れでもあった姉、ヴィータ・クロチルダを。

 フィーは自分を拾って、育ててくれた精強な猟兵団を率いていた義父、ルトガー・クラウゼルを。

 ガイウスは戦士として頑強であるのみならず、誇り高きノルドの民の道標でもある父、ラカン・ウォーゼルを。

 

 そしてリィンは、剣の師でもある大陸有数の剣士である≪剣仙≫ユン・カーファイと、何より、広い心と器で自分を育ててくれた父、テオ・シュバルツァーを。

 

 

 彼らの記憶の中にあるのは、そんな鮮烈な”強者”達の姿だ。尊敬し、時に畏怖し、恐れる事も時々ある。

しかしそれでも、憧憬の念は変わらない。好意的であるにしろ、そうでないにしろ、彼らの辿って来た軌跡を僅かも知らないほど子供ではない。

 だから、こう思うのに抵抗がなかったのだ。

 ”きっとこの人たちの強さは、積み上げた年月が齎したモノなのだろう”―――と。

 

 それは、正しい考え方だ。未だ世の中の端くれ程度しか見ていない子供が、何を以てして彼らに追いつこうとするのか。

 自分達はこれからの人生で経験した清濁入り混じった事実を見て、考え、行動する事でその背に追いつくか、或いは別の道を胸を張って歩く事になるのだろうと、そう思っていた。

 

 ならば―――今現在、自分達の目の前に在る光景は一体何なのだろうかと、そう自問してしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その感覚にいち早く気づいたのは、やはりシオンであった。

 

 ≪帝国解放戦線≫と名乗ったテロリスト達は、しかしその場でリィン達と矛を交わす事もなく、そのまま身を翻して去っていった。

彼らが追撃できぬよう、地下墓所(カタコンベ)に仕掛けた大量の爆薬を起動させるという、悪辣な罠を最後に発動させて。

 だが、地下からの脱出そのものはそれ程難しい事ではなかった。崩れ落ちる天井や壁から降り注ぐ瓦礫は、シオンが加護の結界を張って防いでくれ、逃走の途中で合流したクレアが、最短距離の逃走ルートを確保して先導してくれたため、リィン達は無事に再び日の目を見る事が出来たのだ。

 

 しかしその最中、帰路の安全が確保された時に、不意にシオンの狐耳がピンと、天を衝くように立ったのだ。

それに次いで、二人共が足を止める。それを不思議に思ったリィン達も同様に足を止めると、シオンが恐る恐るといった様子で口を開く。

 

「……これは、少々拙いかもしれませんな」

 

「えぇ、主は随分と奮って(・・・)おられる。このままでは、或いは……」

 

 その言葉の詳細までは分からなかったが、それでもレイの身に何かがあったという事は全員が理解した。それについてリィンが問おうとすると、シオンは「取り敢えず、まずは地上に赴きましょう」と言って走り出したのだ。

 そうして出たのは、『マーテル公園』内にある東屋の近く。リィン達A班にとって、そこは実習初日に訪れた見覚えのある場所であった。

 しかし、そうして地上に出た瞬間、リィンは公園内一体に漂う”異常性”に気が付いた。

 

 大気が、啼いている。

 空間が軋み、圧され、ヒステリーのような啼き声を挙げているのが分かる。その異常度に気圧されてなのか、周囲に生き物の気配はない。

 

「何だ……コレは」

 

「っ……」

 

 同じような感想を漏らすラウラの傍らで、フィーが眉を顰めて目を細めた。

何かを知っているようなその横顔に、リィンは事情を問おうとするも、それに先んじてクレアが口を開いた。

 

「……成程。確かにコレは、レイ君の闘気、ですね」

 

 その言葉に、フィーを除いた面々が思わず息を呑んだ。

 広大な公園を覆うかのように支配する強大な闘気。戦場から離れているであろうに、肌に触れる針のような鋭さは、武人である前にヒトとしての本能を直接刺激してくる。

自分達以外の存在をとことんまで拒絶しているような、冷え切ったそれを骨の髄まで痛感していると、突如、公園に隣接していた雑木林の一角が割れた(・・・)

 

「は―――はぁっ⁉」

 

 素っ頓狂な声を挙げてしまったのはマキアスだ。しかし彼のその言動を嗤える者は一人もいない。

 土地そのものが割れたというわけではない。僅かばかり高台になっている東屋からは、その光景が一望できる雑木林。舗装された道が一筋走っているそこは、散歩コースとして利用される事もあるのだが……たった今、その林を構成する木々が十数本ほど、根こそぎ倒れたのだ。それを見て瞠目せずにはいられないだろう。

 

「……もしもの時のために人払いを施しておいて正解でしたね」

 

 そう、呟くように言うクレアの首筋に、一筋の小さな汗が流れる。が、それを目に止める者は一人もいなかった。

 

「クレア大尉、俺達は―――」

 

「少し、待ちましょう。既に他の皆さんには連絡をしておいたので、程なく到着するかと」

 

 それは、闘気に臆した末の言葉ではない。むしろ、駆けつけようとする彼らを慮っての言葉だった。

クレアとて、出来ればすぐにでもレイの下へと駆けつけたい。その心は彼らと同じであったが、自分の性格の中に刻み込まれた理性が、冷静さを取り戻させる。

 今、彼らと共に現場に急行した際、万が一があった場合に自分一人では守り切る事が出来ない。恥も外聞もなく、自分の実力を鑑みた末にクレアはそう判断し、だからこそ応援が来るまで待てと、そう言ったのである。

 

 すると彼女の言葉通り、程なくして作戦に参加していた全員が集まった。

 『ヘイムダル大聖堂』に赴いていたヨシュアにシェラザード。そしてサラ。本来であれば此処に立役者の一人である慇懃なメイドも居る筈なのだが、彼女は役目を終えると共に、ヨシュア達にすら悟られる事なく、霞のように姿を消していた。その事にシェラザードは少なからず驚いていたのだが、ヨシュアにしてみれば別段驚くほどの事でもない。≪結社≫に居た頃、暗殺者としては自分よりも数段上に存在する、所謂”本物”であったのだから。

 

「―――皆さん、お疲れ様でした。戦闘に参加していない身で労うのは心苦しいのですが……」

 

「あー、もー、そういうのはナシだって言ったでしょうに。今回のMVPは間違いなくアナタなんだから、胸張ってなさいって。ね?」

 

「えぇ。……尤も、まだ全ては終わってはいないみたいですけど」

 

 そう言ってヨシュアとシェラザードが雑木林の方へと視線を向ける一方、サラはⅦ組の面々と向き合っていた。

 

「アンタ達もお疲れ様。首尾は上々だったみたいね」

 

「え、えぇ」

 

「ですが、テロリスト達の逃亡は許してしまいました」

 

 リィン達に課せられたのは、相対したテロリストの拿捕であったために、結果的に見れば任務は失敗に終わってしまった。

しかしリィンのその言葉に、サラは首を横に振る。

 

「何事も引き際を見極めるのは重要よ。特にアンタ達はまだ学生なんだから、生き残る事を第一に考えなさい。生きていれば、またチャンスは与えられるんだから」

 

「そう、ですね」

 

「だが、失敗に終わったのもまた事実だ。これを糧にしなければならないな」

 

 ガイウスの芯に迫った言葉に、消沈しかけていた面々が一斉に頷いた。

その様子を見て本当に逞しくなったと思いながらも、サラは次の行動について言及する。

 

「さて、と。それじゃあアンタ達も状況は把握しているみたいだし、アタシも細かい事をウダウダ言うのも面倒臭いから直球で聞くけど……行くの?」

 

 その言葉が何を表しているか、知らない者はいない。それについてもリィン達は逡巡する事すらなく頷いた。

 それは、決して勢いに駆られての行動ではない。彼らは全員、一人の例外もなく、この鮮烈な闘気の正体を、レイがここまで明確な”敵意”を向ける≪X≫の正体をその双眸に焼き付けるために、危険地帯に自ら飛び込む事を厭わなかった。

 そしてその覚悟を、担当教官であるサラも感じ取って、無言で許可を出す。

 

 すると、ヨシュアが真剣な表情のままに彼らの方へと向かって一歩を踏み出した。

 

「僕達も行きます。万が一の事があった場合、防ぎ手になる事くらいはできますから。……それにこう(・・)なったレイは平時より周囲に無頓着になりますし、何より―――僕達に意識を向けさせるわけには行きませんから」

 

 ヨシュアのその言葉に一抹の疑問を感じたリィンは、最後の部分に対しての理由を問う。

すると彼は、そう聞かれると思っていたと言わんばかりに、言葉を詰まらせる事もなく流暢に返答した。

 

「リィン君達は彼の、レイの剣術を見た事があるよね?」

 

「はい、何度も」

 

「うん。それなら分かると思うけれど、彼の修めた剣術、≪八洲天刃流≫は大前提として攻撃特化の剣術(・・・・・・・)なんだ。その他にも超人的な反射神経を使った回避技とか、長刀を使って敵の攻撃を逸らす技とかもあるんだけど、それも次の攻撃に繋げるだけの布石でしかない。他人を守るという事を度外視(・・・・・・・・・・・・・)してるから、どう頑張ってみても自分の背後に複数の護衛対象を抱えたままになると技が鈍る。

 それでも”技が鈍る”だけだから大抵の状況には対応して見せるんだけど、それでも、達人級の武人を相手にしている時、それは致命的だ」

 

 一瞬でも意識を他所にやってしまえば、その直後に瀕死の重傷を負う事は珍しくない。目の瞬きすらも以ての外な状況に於いて、確かに守るべき存在は邪魔でしかならない。

 攻撃特化の剣術―――それは疑う事なく理解できた。”剛の型”と”静の型”にて構成された、出自不明の剣術、≪八洲天刃流≫。それの詳細について、レイはまだ語っていない。

まるでその目で見、その身で受ける事で理解して見せろと言わんばかりに、その強壮さをこれまでまざまざと見せつけて来たそれは、しかし未だにその真髄を見せてはいない。彼の性格からして陰鬱な理由で秘匿しているわけではないのだろうが、考えてみれば剣術の真髄などそうそう見せて良いモノである筈がない。

 

「……レイが今相手にしているのが、その”達人級”の存在であると?」

 

「隠そうともせずこれだけ強大な闘気を振り撒かれたら、ね。だから、君達もそれ以上の(・・・・・)覚悟をしておいたほうがいい。君達の大事な仲間が、それこそ比喩でも何でもなく本気で(・・・)戦っている場所に行くんだ」

 

 これから赴こうとしている先は、正真正銘、常識の枠外に存在する者らが相対する場所。それでも行くのかと問うヨシュアに、リィンは代表して肯定の意を示した。

 

「レイは、俺達の仲間です。友人です。例えどれだけ”力”を持っていようとも、その認識は曇らない。そんな彼の背を、俺は追おうとしているんですから」

 

 一点の曇りもない、澄み切った瞳と共に紡がれた言葉には、さしものヨシュアも笑みを漏らさずにはいられなかった。

 恐らく今、思考の全てを剣に委ねているであろう親友に向かって、彼は一人想う。君は、また良い友人に出会えたね―――と。

 

「それじゃ、行くわよ。全員、気は確かに保っておきなさい。闘気に当てられて気絶でもしようものなら、それだけ邪魔になるわよ」

 

 厳しくも、しかし事実のみを連ねたサラの言葉に応と返す。強張った面持ちの者達も引き連れて、一行は雑木林の中へと移動する。

 

 そこでリィン達は、改めて思い知る事となった。

 達人同士が邂逅し、力をぶつけ合うという行為の、本当の意味を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生木という物は、人が思っている以上に耐久力のある物質だ。

 それもその筈、虫や鳥にでも内部を侵されていない限りその密度は高く、それでいて鬱蒼と草木が茂った場所に生えていれば、湿気が更にその強度を強めていく。それが大木となれば、一刀のもとに両断するというのは限りなく難しい行為となる。―――筈であった。

 

 その光景は、木々の伐採と言うにはあまりにも杜撰に過ぎたモノであった。斜めに斬られた物もあれば、狙いを無視して抉り取られた地面がある。

 静寂に包まれながらも、どこか神秘的な雰囲気を保っていた市民の憩いの場所は、しかし今、暴風に煽られたかの如く悲惨な状態を露わにしていた。

 

 リィンは呆然としながらも、根元近くから両断された大木の木目にそっと触れてみる。

それは、驚くほどに滑らかな断面だった。熟練の大工が丁寧に(かんな)掛けを施したかのような手触りが伝わってきて、思わず冷や汗を垂らしてしまう。

 恐らくこれは、レイの愛刀が一刀のもとに斬って捨てた跡なのだろう。それも、最初からコレを斬る事を念頭に入れていたのではなく、戦いの余波の中で本人も無意識の内に起こした行動の結果であろう事が何となく理解できてしまった。

 コレと同じ事が自分にできるかと自問するが、答えは問うまでもなく否だ。刃を入れる力だけではなく、切れ味を保ったままに一瞬で斬り終えなければならない。その技量がどれだけ高度な事か、理解できないわけがない。

 

 周囲を見渡せば、惨状が痛い程に(つまび)らかになる。斬撃が擦過した跡のみならず、至る所で草木や地面が氷漬けになっていた。それにも触れようと手を伸ばしたが、不意にさらにその手を掴まれた。

 

「―――え?」

 

「止めておきなさい。嫌な魔力が充溢してるわ。この暑さの中でも溶けてないのがその証拠よ」

 

 現在の帝都は、初夏の西日の煽りも受けて、気温が30度近くにまで跳ね上がっている。それなのに周囲に散逸している氷は、水滴を垂らして溶け出す気配など一向に見せていない。

 確かにその異様な光景は、警戒心を抱かせるに充分だった。

 

「す、すみません」

 

 迂闊な行動をしてしまった事に謝ると、サラは特にそれ以上咎める事もなく先導していった。

 言いようのない不安感が、リィンの心の中を侵していく。それは彼だけでなく、全員が同じ心境だった。

 後悔はしていないし、自分の意志で此処に足を運んだはずだ。なのにそれでも、体の震えが止まらない。感じてはならない筈のそれが、体の中を這いずり回っているような感覚だった。

 

 そして暫く進むと、聴覚が漸く目的の音を聞き入れた。

 剣戟の音だ。決して絶えず、決して緩まず、苛烈な音を響かせている。リィン達にとっては馴染み深くなってしまった筈の音だが、何故か今回のコレは、違う音のように感じられてしまった。

その違和感を感じ取ったその瞬間、彼の中に確かに芽生え始めていた正しき”武人”としての感覚が、それ(・・)を感じ取ってしまった。

 

 殺気だ。外に膨れ上がっていた闘気とは違い、この雑木の先にある場所から、とてつもない密度の殺気が濁流のように押し寄せて来る。

 瞬間的に心臓を握りつぶされたかのような圧力を感じたリィンは、その場に(くずお)れてしまう。同様に、ラウラとガイウスも苦々しい表情を浮かべて膝をつき、フィーは歯を食いしばって何とか耐えていた。その他の面々も、半ば人事不省になりかけながらも、寸でのところで意識を取り戻した。日常的にレイやサラが発する闘気に体が慣れていなかったら、情けなく気絶していただろう。そう思ってしまう程に、その殺気は凶悪だった。

 それでも恐らく、此方に向けられたものではないのだ。垂れ流されたそれですらも、人の意識を刈り取る破壊力を秘めている。心身が脆い人間がこの余波を食らえば、たちまち心臓発作を引き起こして死に至るかもしれない。

 しかしそれこそが、達人が醸し出す戦の気であった。眩む目元を何とか振り払って大木の陰から広場となっていた場所を視界に収めると、そこには彼の、否、彼らの理解の範疇外の戦場が拡がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煌々と穢れ無き白光を放ちながら振るわれたその刀が対象を袈裟斬りにする前に、蛇腹の銀剣がその刀身を絡めとって軌道を僅かにずらす。

その隙を掻い潜って飛来した切っ先がレイの心臓を穿とうと迫り来るものの、眉一つ動かさずに寸前で身を翻して体を回転させながら相手の死角へと滑り込む。間髪を入れず、胴を横薙ぎにせんと振るわれた一閃は、しかし元の剣身に戻ったそれによって受け止められてしまう。

 その一連の流れを、リィン達は目に止める事が出来なかった。あまりにも高速で行われる剛撃の応酬は、今の彼らの実力では到底推し量れるものではなかった。ただ幻影のように遅れて見える残像だけが、互角に渡り合っている状況を示していた。

 純白の刀身と銀色の剣身とが鬩ぎ合う度に、込められた呪力と氣が、或いは魔力と氣とが爆発的な衝撃となって放出される。迸るそれらは、まるで癇癪を起こしているかのように大気に振動を伝え、豪風となって周囲に吹き荒れた。

 光が、熱が、凄まじい勢いで荒れ狂う。この世に生を受け17年、ただの一度も見た事がなかった超常的な光景に、リィンは畏怖の念を抱くと同時に―――心臓の鼓動が跳ね上がる感覚を得た。

 

 あれは、あの姿こそが、≪天剣≫と称されていたレイの本来の姿なのだ。

愛刀を携え、修めた剣術を惜しみなく振るい、殺気と闘気を入り混じらせながら、何を鑑みる事もなく目の前の敵をただ斃すためだけに走っている。

 その刀身を見る度に美しいなと思っていたその長刀は、今や柄の先に至るまで神々しい光を放っている。それがどのような経緯を経てそうなったのかという疑問は確かにあるが、真に見るべきはそれを手繰る担い手である彼自身に他ならない。

 以前、実技試験の際にサラと刃を交えた、あの時とも異なる。

今の彼は、本気で一片の躊躇もなく相手を殺そうとしているのだろう。そも剣とは、剣術とはそういうものだ。命を奪う武器がそこにあって、命を奪う術がそこにあるというだけの話。どう取り繕ったところで、その大前提は変わらない。

 

 戦場を覗き始めてから数分が経ったが、その間に彼らが交わした剣戟の数はゆうに二百は下るまい。

既に幾度かの鍔迫り合いが行われたその瞬間に、リィンはレイと互角の剣戦を繰り広げている相手の姿を見た。

 見目麗しい女性だ。肉感的な体つきも、妖精の如き容貌も、身体を構成する全てがヒトの視線を強制的に集めてしまう程に、美しい。

事実、一瞬だけではあるが魅入ってしまったリィンではあるが、その女性の口元に浮かぶ表情を見た瞬間、意識が現実に戻された。

 何かが―――そう、何かが決定的に”歪んで”いる、淫靡でありながら邪悪な笑み。憫笑の類ではなく、嘲弄の類でもない。ただ、通常のヒトが持つ倫理からは外れてしまったかのような、どこか壊れたその表情は、レイが繰り出す怒涛の剣撃を目撃した時以上に、リィンの中に”恐怖”を打ち込んだ。

 

 

「―――っは‼ 見事‼ 見事だよレイ‼ やはりお前は最高だ‼ やはり手放すべきではなかった‼ あの時去って行ったお前を、私はあの時殺しておくべきだった‼」

 

 その声色に、怨嗟の念などはただの一欠けらたりとも含まれていなかった。その声は玲瓏でありながら、吐き出される言葉は、ただ純粋にレイ・クレイドルという少年を殺したいという狂おしいまでに破綻した動機に染まっていた。

 それにレイは答えない。眉間に皺を寄せながら、まるで話す価値などないとでも言わんばかりに、その唇は真一文字に閉じられて開く気配はなかった。

 

「あの時≪鋼≫と≪爍刃≫が止めていなかったら―――あぁ、私はお前の背から迸る鮮血を見れたのだろうな。息絶えて行くお前の姿を、腕の中に抱いたまま、じっくりと眺めていられたに違いない‼」

 

 

 まるで無邪気だった幼い頃の自分を回顧するかの如く、恍惚とした表情でそう叫ぶ。その言葉を聞いて、リィンの傍らで眺めていたアリサが、半ば反射的に小さく呟いた。

 

「何よ、それ」

 

 あぁ、まさにその通りだった。

 人が人を殺したいと切望するには、本人が自覚していようがいまいが、それに準ずる理由があるはずだ。例え己の悦楽を満たすためだけだったとしても、そこには明確な理由がある。

 だが、目の前の女の言葉には、それが見えなかった。執拗なまでにレイ・クレイドルを殺そうとする理由が、彼らには理解できなかったのだ。

 だから、呆然とするしかない。(レイ)が一体何と戦っているのかと、その疑問を反芻させながら、再び動き出した戦況を見据える事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一方、Ⅶ組の面々から少し離れた場所で同じように状況を眺めていたヨシュアは、しかし彼らとは違い、事の重大さに気が付いて歯噛みをしていた。

 よりにもよって―――よりにもよってアレ(・・)と相対することになろうとは。運命に玩弄されているとしか思えないその状況に、思わず言葉を漏らしてしまう。

 

「≪X≫―――Xanaleir(ザナレイア)、か」

 

「……あの女性について、心当たりが?」

 

 案の定、シェラザードと共に近くに伏せていたクレアが、ヨシュアの呟きに反応する。

自分の迂闊な行動を心の中で責めたヨシュアであったが、彼の近くにいたいと願う女性ならば知る権利はあるだろうと思い至った。幸いにして彼女は、≪鉄血宰相≫の肝煎りである≪鉄血の子供たち(アイアン・ブリード)≫の一人。ならば、大陸の裏側の情勢にも最低限通じているだろう。

 

「クレアさんは、≪結社≫についての知識は?」

 

「……最低限は。レイ君が”呪い”によって束縛されている以上、情報局の同僚が掴んでいる以上の事は分かりませんが」

 

 ゼムリア大陸各地で暗躍をする秘密結社。≪盟主(グランドマスター)≫と呼ばれる存在を頂に掲げ、幹部である≪使徒(アンギス)≫と、その命を受け実働する≪執行者(レギオン)≫を根幹として活動しているという、その程度の知識しかない。

 それは決してクレアが不勉強であると言うわけではなく、単に彼女の権限ではここまでの情報を仕入れるので手一杯であったというだけの話。そもそも、その手の情報収集は情報局の任務であり、彼女は言ってみれば門外漢に近かった。

 それでも、職務以上の情報を出来る限り仕入れようとする彼女の意欲は素晴らしいものなのだが。

 

 そしてその事を理解していたのか、ヨシュアは一つ黙して頷いた。そして、恐る恐るといった風な様子で口を開く。

 

「あの女性は≪執行者≫です。執行者No.Ⅳ≪冥氷≫のザナレイア。―――組織の中でも桁違いの強さを誇る”武闘派”の≪執行者≫の一人」

 

 Ⅳ、という数字は、≪執行者≫内での実力のランクを示すものではない。

ただそれでも、”武闘派”と銘打たれた存在は、その個々人が武術の頂である”理”に届くか、それに近しい強さを誇る。一国の軍隊と相対しても決して劣らない、ヒトの臨界を極めし者達。

彼らと真正面から戦おうとするならば、それこそ七耀教会が抱える≪星杯騎士団(グラールリッター)≫、その首魁たる≪守護騎士(ドミニオン)≫の中でも更に戦闘に特化した人物や、≪剣聖≫を始めとした武の真髄を極めた者達でなければ難しいとされる程だ。

 

「≪劫炎≫、≪剣帝≫、≪狂血≫、≪神弓≫、≪痩せ狼≫、《死拳》、そして≪天剣≫。はっきり言ってどこか人間やめてるような強さの人達の一人で―――レイの天敵(・・・・・)でもあるんです」

 

 戦闘の相性、という意味ではない。ただ純粋に人間関係としての相性という意味合いである。

 ヨシュアとて、全てを知っているわけではない。しかし、≪結社≫に居た頃幾度となく本気で殺し合っていた二人を見た事がある。それだけで、どちらかが死ななければならない因縁があの二人の間に存在するのだと理解できてしまった。

 

「≪冥氷≫、ザナレイア―――」

 

「ともあれ、テロリストに偽装して帝国に潜り込んでいるとは思いませんでした。もしあの人とこれから相対する時があっても、絶対に正面から戦っては駄目です」

 

 語気を強めてそう言うヨシュアに対して、クレアは深く頷いた。

彼我の実力差を見極められないほど愚鈍ではない。アレに対して自分が単独で挑み、そして勝利する未来など、どう考えても浮かんでこなかった。

 

「歴戦の≪執行者≫、ですか。しかし、このまま戦い続けては……」

 

「どちらかが斃れるまで続くでしょうね。元々、あの二人が刃を交わし合うというのは、そういう事ですから」

 

 止めなければならない、と思う。

 この際、雑木林の被害云々は関係ない。それは時間と金銭をかければ元通りにする事は容易いからだ。―――だが、レイ・クレイドルを失う事は、どれだけの富と名誉を積んでも決して埋める事が出来ない損害となる。帝国としても、そして何より、クレア本人としても。

 レイが敗けるという大前提で話を進めているわけではない。彼が勝つ可能性は充分にあるだろう。

だがそれは、必勝ではない。それが確約されない限り極力戦場に赴かない主義のクレアにとっては、この状況は拙いと判断したのである。

 しかし、どう弁を立てた所で、あの戦いを止められるかと問われれば、即座に首を横に振らざるを得ない。

今こうして思考を巡らせている間にも、二人の剣戟はより苛烈なモノへと変わっていっている。間違っても、常人が立ち入って良い領域ではない。

 

 と、空中に身を翻していたザナレイアの視線が、一瞬だけⅦ組の面々が潜んでいる方向に向けられたような気がした。

確かめるにはその仕草は一瞬であったし、そのコンマ数秒後には二人の間に鮮やかな火花が散っていた。しかしそれでも、意識を削り取られるような不安感が、クレアの中を駆けずり回っていた。

 

 

「―――しかしレイ、何故”学生”などという凡俗な存在に身を堕とした?」

 

 その感情を確かめる前に、ザナレイアは口を開く。

鍔迫り合いをしている最中の声にしては、やけに響いて聞こえた。まるで、彼以外の存在に聞かせようとしている風に。

 

「遊撃士に肩入れするのは、まぁ万歩譲って理解しよう。アレも所詮は修羅場に身を置く職種だからな。

 だが、微温湯に浸かって生易しい闘争に満足する身分は、お前にとって相応しくないだろう」

 

「…………」

 

 依然として、レイは口を開かない。しかし眉の間に刻まれた皺が一層深くなるのを見て、ザナレイアは更に笑みを深くした。

 

「まさか、友情などという曖昧なモノを真剣に求めていたのか? 滑稽だな。

 お前ほどの武人が、何故己を弱くする渇望を追い求める? その剣に乗せた想いの初心は、間違いなく憎悪だった筈だろう。絶望に俯く事を良しとせず、慙愧(ざんき)の念に駆られたままに修めたソレは、間違っても戦の何たるかも弁えない素人を護るために在るモノではあるまい?」

 

「ッ―――‼」

 

 力任せに押し切る。しかし遂に、貝のように閉ざされていたその口が抉じ開けられた。

 

(えん)(ゆかり)もないだろう。それとも、刻まれた”偽善の精神”とやらが働いたか?

 だとするならば思い違いも甚だしいな。お前の行動は、愛情や友情とは最も遠いモノだよ。お前がⅦ組とやらの連中に向けているのは、大空に憧れて嘴を突き出す雛を見下す猛禽のそれと同じだ」

 

「違う‼」

 

 力強い否定と共に、振るわれた刀の切っ先がザナレイアの右頬を浅く裂いた。

垂れ落ちる一筋の血。しかしザナレイアはそれを官能的に舐め取ると、声を荒げるレイの姿に隠し切れない高揚感を見せていた。

 

「何も理解してないテメェがペラペラと語ってんじゃねぇ‼ アイツらは強いんだよ、捻じ曲がった俺やテメェなんかよりもずっとな‼ 恐怖を乗り越えて、実力差を乗り越えて、いつだって俺の予想の斜め上を行くアイツラを、テメェ如きが謗っていい筈がねぇんだよ‼」

 

 激昂するも、技は一切鈍らない。まるで感情と技は別物だと言わんばかりに、熾烈にザナレイアを押し続ける。

 

「フン、つまりは見る程度には才があると? お前が目を掛けるに値する力があると?」

 

「あぁ。少なくともテメェと殺し合ってた頃より数億倍満たされてるよ。だから俺としては此処でテメェが俺の人生の中からフェードアウトしてくれれば言う事ナシなんだわ」

 

「成程。なら―――」

 

 そして、遂にその視線が見間違える事もなくリィン達の潜む場所を捉え、ザナレイアは加虐に悦を見出す者が浮かべる表情を見せた。

 

 

その才、此処で摘み取ってみるのも一興か(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 理解した。言葉の意味を脳が汲み取るよりも先に、身体が動く。

 一方的な攻めの姿勢を解き、【瞬刻】で下がる。それを待っていたかのように、ザナレイアはその右手を地面に押し付けた。

 

「『死氷ノ杭原(ニヴル・シュメルツヘイツ)』」

 

 地面を抉って生まれたのは、生命を逃さず串刺しにせんとする氷杭の奔流。それが凄まじい速度で迫るも、レイに回避の選択はない。

 背後には、仲間がいる。彼らに攻撃を届かせまいと、乾坤一擲の力を込めて抜刀する。

 

「【剛の型・常夜祓】ッ‼」

 

 刀身から生み出された巨大な紫色の斬線が、迫り来る物量と殺意の暴力を根こそぎ刈り取る。

 その圧倒的なまでの実力を前にしながら、しかしリィンの顔は強張ったままだった。

 

 幾度も彼を相手に模擬戦をしていたから、分かってしまう。本来であれば、レイはあそこで回避を選択していただろう。敵は屈んで手を地につけている状態なのだから、真正面から迎撃するより、超速で回り込んで攻撃を食らわす方が遥かにらしい(・・・)戦い方なのだ。

 なのにそれをしなかったのは、他でもない、自分達を守るためだったから。―――それを理解してどうしようもない罪悪感に駆られた。

 覚悟はしたはずだ。傷つく事も厭わなかったはずだ。

 それでも、今自分達は完全に戦いの波に呑まれ、攻撃対象になった瞬間さえ、反応が遅れてしまった。

 サラは迎撃の態勢を整えていたが、彼女一人で生徒9人を全て守り切る事は可能だったのか? それすらも分からず、危機を自覚した時には、既にレイが守勢に回ってしまっていた。

 そして次の瞬間、ヨシュアが言っていた言葉の通りに、

 

 地面から新たに突き出た氷杭が、レイの肩口に深く突き刺さった。

 

 

「ッ―――レイッ‼」

 

 反射的に飛び出そうとしてしまった時、横から繰り出された蹴りが、リィンを押し留めた。

それをしたのはサラだ。言葉での静止が叶わないと判断した彼女は、直接的な行動で彼を鎮めるしかなかったのだ。

 本当なら、サラも今すぐに加勢したいと思っていたが、それをすれば更に重荷を背負わせてしまう事となる。それだけは、なんとしても避けたかった。

 

 それに、まだ斃れたわけではない。突き刺さった氷杭の太さは刀身程度。その程度の痛みで意識を飛ばしてしまう程軟な鍛え方はしておらず、攻撃を受けた次の瞬間には、刀の一振りで杭を両断していた。

 

「痛って。油断したな」

 

 足元に蹴躓いてしまった程度だと言わんばかりの声色で自らの失態を嗤うと、躊躇いなく自らの血を吸った氷杭を肩口から引き抜いた。

 

「……本当なら心臓に突き刺さる筈だったんだが。瞬時に動いてズラしたか」

 

「ギリギリだぞ、マジで。まぁ、お蔭でちっと頭も冷えたし、―――本気で()りに行かせて貰うぜ」

 

 それは吐き捨てたかのような言葉だったが、カチャリと鍔元を鳴らした後に膨れ上がった闘気に、今度は全員が気圧された。

 足を動かし、鯉口に手を掛け、白刃を覗かせる。ザナレイアはその一連を、躱す事なく見続けた。まるで、最高の演舞に魅入ったオペラの観客の如く、殺気を研いだ少年の軌跡を眺めている。

 桁違いの殺意が飛んでくると、そう分かっていながらも彼女はその場を動かない。だってそれこそが―――彼女が戦いに興じた目的(・・・・・・・・・・・)なのだから。

 

 

「八洲天刃流―――奥義」

 

 

 間合いに入る。防御も回避も考えていないのだろう。彼の思考は今、目の前の害悪を叩き斬る事で埋め尽くされている。

 意識を、肉体そのものを”剣”へと変えて、必殺の一撃を見舞う。我は剣也、斬れぬモノ無しと、渾身の斬撃が今、ザナレイアに届いた。

 

 

「【剛天・天羽々斬(あめのはばきり)】」

 

 

 奥義の一、それこそは、抜刀と同時に始まる圧殺の剣舞。

 対象を囲むは百の斬線。氣が練り込まれたソレは、空中に停滞して触れる万物を微塵に斬り飛ばす。

 しかしそれは舞の前奏に過ぎない。目にも映らぬ速さで斬撃を放った後、気付けば既に納刀された長刀の柄に手が添えられている。この間はまさに刹那。辛うじて反応する事が出来ても、防御には移れない。

ましてや、その気がないとならば尚更だ。

 

 白光が散った。

 斬撃の檻の中に閉じ込めた獲物を見舞うのは、竜の剛爪の如く圧を伴う斬光。その数は先の倍数にも匹敵する。

 風も、音すらも遅らせて叩き込まれたソレは、塵すらも残さず獲物を滅殺する―――筈だった。

 

 

「…………」

 

 華やかに散ったのは骨と肉と鮮血ではなく、氷だ。幾百もの斬撃に晒されて、砕け散る。

 

「寸前で”同調”を強めたのか。相も変わらず、バケモノになる事に忌避感はないんだな」

 

 真銘を解放した≪天津凬≫ですら捉えられなかったという事実を、しかしレイは冷静に受け止めた。

力を込めた事で、左の肩口からは鮮血が溢れ出たが、それすらも考慮の外。痛みも何もかも、今のレイにはどうでもいい事だった。

 

『無論だ。私もお前も(・・・・・)傲慢で自儘な神の”残滓”を宿す者。寧ろ忌避するお前の方が、私にしてみれば理解できんな』

 

 風に流れて耳朶に届いた声に、不意に眼帯で覆った左目が痛みを伴って疼いた。

 ”それ”を受け入れた者と忌避する者とでは、そもそも解釈が違う。何よりも”ヒトで在りたい”と願うレイにとって、この左目に埋まった極上の聖遺物は、存在自体が忌々しいモノであった。

 

「気は済んだかよ、狂雌」

 

『フム、そうだな。本来であれば執拗にお前の心臓を狙うのだが……フフッ、今はお前の渾身の一刀を身に受けて気分が良い。これ以上は無粋だろうし、何より”睨み”を利かせている御仁がいる。痛み分けとしよう』

 

 だが、と、此処に肉体のない声が、更に熱の孕んだ声で告げた。

 

『覚えておけ。お前はどう足掻いたところで、平穏な幸福を享受できる人種ではない。私と同じく、闘争の中で自己を見出し、勝利の(いさお)こそが極上の悦となる。その表情が苦痛に歪み、悩み抗う様を、私は楽しみにしているぞ』

 

 そう言い残し、一陣の風と共に気配が消えた。

 溜息と共に刀を収めると、そこで漸く、肩口に広がる熱を持った痛みが彼の意識に届く。

あぁそうか、そうだったなと、攻撃を食らった事実そのものが頭の中から忘却されていた事に辟易としていると、自分の方に駆け寄ってくる足音と声が聞こえた。

 

 何だってこんな所まで来ちまったかなぁと、呆れも含んだ声にならない想いを溢すと、そこでレイは初めて、仲間達の眼前で膝を地につけて沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






これにて、『帝都騒乱』シリーズは終わりです。お疲れ様でした。


あ、でもまだ一話だけ帝都に居ますよ。レイ君が宰相さんとメンチ切らなきゃいけないんで。

というかこの頃ギャグ成分が薄い。シリアスになり過ぎた。
ギャグ成分を補給しようにもデュバリィちゃんいねーし、よくよく思い返してみればオリビエが命の危機に瀕してたけど……まぁ、どうでもいいよね‼


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