大臣エレフトに対し疑念を抱く春香達は、彼が他の国と繋がっている可能性がある事か浮上する。それに対してUは、春香に対し大臣の出方を伺う術があると言い出す。それは、春香の力の制御である事を語るが、果たしてUの真意はどのようなものなのか………?
第84話 命懸けの牽制
翌日、春香達はマジェステンド近くの森にやってきた。ここは以前魔法使い昇級試験で使用した森であり、城からよく見える森だった。
U「[ここなら距離感的にも問題ないだろう。城からは見えるし、大暴れしても問題無さそうだし]」
Uはテレパシーで春香に声をかける。春香はこれに無言で頷いた。
U「[………さっきも言ったが、盗聴や読心術対策で重要な会話はテレパシーを使う。テレパシー以外で声を出す時は、互いに強化形態への変身をする時と………デタラメな事を言う時だけだ。真意を伏せて事を進めたい]」
春香達はエレフト達への疑念から、重要な事はテレパシーを使うと取り決めていた。
春香「[分かりました]」
春香はテレパシーで言葉を返す。そして………
U「………始めようか。君の中にある悪魔を消してやる」
Uは口を開いた。無論、Uの狙いは春香の力の制御なので、言ってる事は誇張したものである。春香はそれを分かっているが、万一の対策として話を合わせる為に口を開き………
春香「………やってみてくださいよ。返り討ちかもしれませんがね」
敢えて対抗する口を開いた。その直後、互いに身体から膨大なエネルギーを放出する。Uの身体から白い触手が出現すると共に彼の左目が緑に変色。一方で春香の身体からは真っ黒なエネルギーが放出。彼女の身体を覆い尽くした。そして………
2人「「変身………!」」
2人は変身の掛け声を言い放つ。その直後、2人の身体に覆われたエネルギーが姿を変え、Uは白い光の鎧を身に纏い、春香は真っ暗な悪魔の姿へと変貌した。そしてUは背中の触手を数本切り離すと、春香の身体に突き刺した。
春香「ぐうっ!?」
春香は痛覚による声を漏らすが、平静を装う姿を見せ………
春香「{ファイアボルト}………!」
春香は無数の火の矢を放つ。Uは春香の攻撃をかわし続けるが、火の矢は木々に燃え移り、森が大きく燃えた。
U「(作戦の為とはいえ容赦無いな………まあ、これでマジェステンドの人間は気付いてくれるはず………後はどう来るかな………!)」
Uはそう言うと、背中に再生した触手を切り離し、春香に向けて触手を投げるのだった………
そして、春香達が戦い合う中、城にいた1級魔法使い達と大臣エレフトは、森が燃えている光景を目にした。
メザイア「な、なんだ!? 森が燃えている………!? まさかもうクロス達が攻めてきたのか………!?」
メザイア達は慌てる様子を見せていたが、彼らがよく観察してみると、そこには互いに攻撃を飛ばし合う春香達の姿があった。
ミレスト「春香様にUさん!? どうしてあの2人がぶつかり合いを………!?」
ミレストは訳が分からない様子を見せた。エレフトもこれには驚いていたが………
エレフト「ふん、奴等の喧嘩など興味も無い。放っておけ」
エレフトは干渉する気が無い様子を見せた。
ミレスト「しかし………! あの2人は飛び抜けた実力があるんですよ!? 放っておいたらマジェステンドだけの問題じゃなくなります………!!」
ミレストは慌てた様子で止めるべきである様子を見せた。
エレフト「………大丈夫です、姫様。貴女達ならば止められる相手のはずです」
エレフトは脅威を感じてないのか、そう言ってその場を去ってしまった。しかし、メザイア達は2人の本気のぶつかり合いを目にし、本能的に動けなかった。
メザイア「(大臣様はああ仰っていたが………もしあれが2人の本気なら………私達にはどうする事も出来ん………! 次元が違いすぎる………!!)」
メザイアは2人の飛び抜けた実力に言葉を失っていたのだった………
そして、視線は春香達に戻り………春香の身体にUの触手が突き刺さったまま、春香の身体に多量のUのエネルギーが注ぎ込まれてると同時に、互いに攻撃を放ち合う展開となっていた。しかし、春香の動きが徐々に悪くなってきていた。
春香「はあっ、はあっ………」
春香はどこか苦しそうに息を漏らしていた。その直後、春香に頭痛が襲いかかってきた。
春香「ああっ………!?(ううっ………また、いし………きが………!?)」
春香は頭を抑えながら意識が消えかけているのを感じていた。Uも春香の動きが目に見えておかしい事から首を傾げており………
U「[………春香? どうした………!?]」
テレパシーで彼女に声をかける。
春香「[ごめ………なさい………意識………が………]」
春香はテレパシーで状況を伝えようとするが、すぐに声が途絶えてしまい、春香は事切れるように俯いた。そして間も無くして、春香の目は赤く変色。突如として人が変わったようにUへ襲いかかり、彼に右拳を突き出す。
U「ぐっ!?」
Uは春香の右拳を左手で受け止めるが、その際にとてつもない重みを感じたのか、表情を歪めていた。その直後に春香の左拳がUの右頬を殴り、Uは近くの木に向かって吹っ飛ばされてしまった。
U「ううっ………! (春香………暴走状態に陥ってしまったか………)」
Uは春香が暴走状態になった事をすぐさま察知した。暴走状態の春香はUに視線を向け、彼に次の攻撃タイミングを伺っていた。Uは近くの木を支えに身体を起こすと………
U「(………しかし、それはリスク承知でやってる事だ………というか、これは僕しか出来ない………僕に許されるのはやりきる事だけだ………)」
しかし、Uは春香の力の制御をやり遂げるしかない事を理解しているためか、それをやり遂げようと、暴走状態の春香に視線を向けたのだった………
春香の力を制御すると同時に、大臣エレフトの出方を伺う事を思いついたU。しかし、春香が案の定暴走状態に陥ってしまう。果たして、Uは春香の力の制御を実現させる事ができるのだろうか………!?
To Be Continued………
次回予告
暴走する春香の攻撃を防ぎながら耐えるUだったが、春香のパワーにダメージが蓄積していった。そんな中、Uの力が多く流し込まれた事によって、春香の様子が大きく変化し始めていたのだった………
次回「光と闇の激闘」