たきなの誕生日ってことに当日に気付いて急いで書きました
人間その気になれば一日で書ける事を証明してしまった…
本編の方も頑張ります
ケーキ入刀って何か名前怖くない?(たきな誕生日特別編)
八月二日
そう聞いて真っ先に思い浮かぶ物は何だろうか?
世間一般で言えば夏休みであるが、八月二日だけでそれを思い浮かべるのも変だろう。
もちろん、『パンツの日』なんて下らない事が言いたいのではない。
俺の誕生日?着眼点はいいが違う。俺と千束の誕生日は少し後だ。
その日は我らが喫茶リコリコの従業員の誕生日。
そう、井ノ上たきなの誕生日だ。
◇
「千束〜ろうそくってどこに置いてたっけ?」
「え〜、えっと…てへっ♡」
「そんなんで許されると思うなよ」
俺達は今、たきなの誕生日会の準備を進めている。
事の発端は一ヶ月前、千束がたきな以外のみんなを集めてサプライズの誕生日会を提案したのだ。
サプライズである必要は感じられないかもしれないが、そもそも生粋の仕事人のたきなは誰かに祝われた経験がなさそうなので、折角ならという事でこうなった。
そこからは色々あった。
誕生日に合わせて店を前もって休業日にし、急なDAからの仕事が入らないように、裏で俺と千束はそれぞれ普段の倍任務をこなしていた。
それとなくたきなに八月二日の予定も聞いてみたが、はなから祝う気も無いらしく、
『折角なので千束に借りた映画でも消化しようかと』
と言っていたので、ケーキが無駄になることは無さそうだ。
クラッカーやプレゼントなども用意し、段取りなども事前に確認済み。
当日である今日は朝からリコリコに集まりケーキと夕食の用意を続けていた。
ふと腕時計を確認すると針は19時を指していた。
さて、そろそろだ。
「じゃあ、俺はそろそろターゲットを捕獲してくる」
「お前が言うと何かの犯行予告みたいに聞こえるな」
「チキンを盗み食いした奴がそれ言う?」
クルミにしては珍しく手伝うなって思ってた時期が俺にもありました。
◇
10分後、俺はたきなの住むマンションの部屋の前に来ていた。
…うん、何て言って連れ出そう。
細かく作戦を決めてなかったが、よく考えたらリコリコまで連れてくる口実が思いつかん。
一応目隠しは持ってきてるし、最悪何も言わずにこれつけるか。
俺は深く考えずにインターホンを押す。
しばらくするとインターホン越しに聞き慣れた声が聞こえた。
『何か御用でしょうか?』
「あのー俺だけど今出れる?」
「任務ですか!」
俺がインターホンに話終わる前に、勢いよく開けられたドアからたきなが現れる。
休日の筈だが、彼女は何故か制服を着ていた。
「いや、任務ではないんだけど」
「あれ、そうなんですか?」
さて、ここからどうやってリコリコに連れ出すか……
もうどうなってもいいや!
「すまん、何も事情は聞かずにこの目隠しを着けて付いてきてくれ!!」
「…いいですよ」
「そうだよな、こんなの断るに決まって…え、いいの?」
自分で言うのもあれだけど怪しさしかないぞこれ?
「理由はわかりませんが、まあ律のことですから何か事情があるんでしょう。私は律の事は信用していますから、どうぞご自由に」
「あ、ああ。それじゃあ一応目瞑っといて」
何この子、天使かな?
というかここまで信用されるとは…荷が重い。
俺はたきなが思っている程誠実な人間じゃないんだけどな。
そんなことを考えながら、おれは黒の目隠しをたきなに着け終える。
五条たきなの完成だ。
「それじゃあ行くか」
◇
私は今、一寸先も見えない暗闇の中を歩いていた。
これは比喩なんかではなく、さっき律に渡された目隠しを着けたからだ。
「あの、まだ着かないんですか?」
「まあ待て、まだ歩き初めて5分も経ってない」
自分でも初めて気付いたが、何も見えない暗闇を歩くのはこの年になっても怖い。
繋いでいる彼の手の暖かさが、今の私の心の拠り所になっている。
「ちなみに、どこに連れて行く予定なんですか?」
「んー?それは秘密。 話は変わるけどさ、今日はなんの日か知ってる?」
今日が何の日かだって?
今日は確かリコリコの休業日だ。
珍しくDAからも任務が入ってないくらいで、至って普通の平日だ。
あと確か…
「…パンツの日?」
「なんで最初に出てくるのがそれなんだよ!?」
適当な事を言ったが思い出した。
今日は私の誕生日だ。
長年任務ばかりの生活で当たり前のように忘れていたが、今日が私の年齢が変わる日なのだ。
何の代わり映えのない、毎日に一つに過ぎない日。
だが、それが何か関係あるのだろうか。
「よし、着いたから外していいぞ」
私は言われた通り目を覆っていた黒い布を取り外す。
見ていなかったのはほんの数分だけの筈なのに、やけに光が眩しく見える。
ぼやけが収まってきた視界の先には、いつもの見慣れた、だけどちょっと違うリコリコが映し出された。
店内はかなりの種類の装飾で彩られており、机にはケーキやお寿司やフライドチキンなどの豪華な食事。
混乱で頭の整理が追いつかないでいると、上にある大きな何かに目が留まる。
二階から天井にかけて横断幕が掲げられた横断幕。そこには
『井ノ上たきな、誕生日おめでとう!!』
の文字があった。
―――パンッ!
突如として耳に鳴り響く爆音に、一瞬体を身構える。
だが、光慣れした目で音の方に目を向けると、そこには何か筒のような物を持った千束とクルミの姿があった。
ああ、さっきのはクラッカーだったのか。
何処か人ごとのように俯瞰している自分に驚きつつも、私はまだ少しだけ動揺していた。
いや、正直に言うとかなり動揺していた。
「「「「「たきな!誕生日おめでとう!!」」」」」
何故だろう、嬉しいはずなのに涙が止まらなかった。
◇
よっしゃ、サプライズ大成功だ。
たきなを連れた行く途中、周りの人がひそひそ話ながら何処かに電話をかけ始めた時は死を感じたが、なんとか成功にたどり着けた。
この達成感があるから、サプライズはやめられない。
「たきな、今日の主役がいつまで黙ってるんだ……よ……」
え、なんで泣いてるの!?え、俺のせいか?やっぱり目隠しはまずかったか!?
「た、たきな大丈夫!?ごめん、もしかして私達が誕生日忘れてたフリしてたのが悪かった!?」
「あ〜律が女の子泣かした〜」
シャラップ三十路!!!もう女の子じゃないお前に言われる筋合いはない!!
「律、女性の涙は高いんだぞ?」
「ミズキとミカの言うとおりだ、反省しなよ」
ちょっとまてお前らもそっち側かよ!?
「い、いえ、別に嫌で泣いた訳ではなくて…」
「本当?よかった〜たきなに嫌われたかと思った」
「おい、さっき説教面してた三人組は後でこっち来い」
全く、とんでもない冤罪をかけられる所だったわ。
「律」
「うん?」
「ありがとう」
「いいって事よ」
…うん、やっぱりたきなは笑顔が一番似合うな。
◇
ひとしきりパーティーが終わった後、千束とたきな以外の全員が後片付けに振り回されていた。
二人ははしゃぎ過ぎたのか、年甲斐もなく客間で寝ている。
うん、やっぱりこの年の女の子はこうでなくっちゃね。
だが時間も時間だ。そろそろ二人をお越しに行こう。
おれは客間の前に行きたきなと千束の肩を揺さぶる。
その瞬間、たきなの口から寝言が聞こえた。
「本当に、ありがとうございます…」
「……おめでとう、たきな」
また来年もこの日を祝えますように。
はい、という事で誕生日特別編です。
誕生日終了6分前ですが、今回はセーフという事で。
終わりよければ全て良しよ!!
色々整合性がないと思いますが、あくまで番外編という事で本編とは別物として捉えて下さい。
展開は原作準拠のまま、敵キャラとしてオリキャラを出すのは賛成?(オリ敵は一人で、オリ主の過去に滅茶苦茶関わっているものとする)
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