俺がコイツでこいつがあれで   作:熱々の冷やし中華

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今週のショートムービーも最高だったな!!
あ、バランスさん初登場回です。


「ふわとろ」って単語オムライス以外で使わないよな

 家電量販店のゲームコーナー、やはりココは素晴らしい。

 図書館の本棚のように所狭しに詰められたゲームソフトとガラス越しではあるが展示されている。

 ゲーム機やゲーミングPCは目を見張る物があり、ディスプレイに映されている紹介映像から奏でられる喧騒も今や子守唄のように聴き心地がいい。

 …ネットで買った方が安いじゃん?という問いはこの場では触れないお約束だ。

 だが、楽しい時間にも終わりが来るもので、ポケットからの振動で一気に現実に引き戻された。

 千束とたきなの下着購入が終わったのだろう。 そろそろ集合場所に戻らなきゃなと思いながら俺はゲームソフトに目を奪われつつ、慣れた手つきでスマホの着信ボタンをクリックした。

 

 「もしもし〜、集合場所どこがいい?」

 『…ラジアータが北押上駅付近でテロ行為を検出した』

 「オ掛ケニナッタ電話番号ハ現在使用サレテオリマセン」

 『演者顔負けの演技だな』

 「すみません、そのレベルの任務は俺には務まらないのでまたの機会に…」

 『任務内容を伝え切った覚えはない』

 

 …ブロックしとけばよかった。

 この間はブロックしたせいで痛い目に合ったし、もう連絡先自体消した方がいいのでは?(迷推理)

 

 「そもそも今俺は私服なんで任務は無理ですし」

 『銃を扱わんお前には関係ない事だ、目的地と任務内容の情報は携帯に送ったから直行で向かえ』

 「いや、千束とたきなの方に説明を『無駄話をしている暇はない』…切りやがった」

 

 …頭イカれてるんじゃないかコイツ?

 取り敢えず千束とたきなにこの事をどうやって伝えようか。

 電話の内容とこれからの事を頭の中で整理していると手に持っているスマホから着信を知らせるメロディが鳴り響く。

 同じ過ちを犯さない為に着信画面を見ると、そこには『千束』の二文字が映し出されていた。

オワタ\(^O^)/

 

 

 

 

 

 二時間後、俺は回送電車に多数のリコリスと乗車していた。禁断の全車両女性専用車両の爆誕である。一部の人々が喜びそう(偏見)

 あの後、二人と合流した時に事情を説明した。

一悶着あったが、何とかリコリス達と合流し今に至る。

 任務をサボって二人とあのまま遊びたかったが、昔一回サボって痛い目を見たので今回ばかりは我慢だ。

 任務内容は武装集団の徹底制圧。

予想では7人の集団に対して電車内から銃を使用して遠隔攻撃を行うつもりだ。

 少しでも削れたら撃たれても問題がない俺が飛び出して直接制圧する。

 基本少数精鋭のリコリスを数十名を使うのは例の銃取り引きが原因だろう。相手側が全員機関銃でも持ってたらたまったもんじゃない。

 ……関係ないけど全員制服の中で一人だけ私服なのは色々悪目立ちするな。

 あっ、あっちの二人が俺見てコソコソ話し始めた。

 あぁもう帰りたい!

 

 『目標が地下鉄に到着。全員銃を武装している事が確認された。総員、警戒態勢に。射程範囲に入らない様に物陰に伏せておけ』

 「しれーい!ボクちん忘れ物したので取りに帰っていいですか‼︎」

 『…総員、気を抜かないように』

 「畜生この人嫌いだ‼︎」

 

 聞こえていないフリはナシだろ‼︎周りのリコリスも顔逸らすんじゃない恥ずかしい。

 赤面し顔を伏せていると目的地である駅の到着を知らせるアナウンスが響き渡る。さて、任務開始だ。

 

 

 

 

 

 駅構内では7人の武装集団が機関銃を持った状態で横並びになっていた。

 

 『まもなく、2番線に東武線直通、急行南橋栗行きが参ります。白線の内側まで…』

 「来る、来るぞ〜」

 

 リーダーと思われる緑髪の男は、大型のボストンバックから取り出した機関銃をやや興奮気味にセットしていた。

 彼のセッティングが終わるのと同時に、電車は走行音と警笛を張り響かせながら駅を通過し始めた。

 

 「始まり〜始まり〜♪」

 

 言い終わるのと同時に7つの銃口から電車へと大きな銃撃音を立てて銃弾の雨が降り注ぐ。

 弾丸はガラスを突き破り、飛ぶ鳥を落とす勢いで車内へと撃ち込まれ続ける。車内が蜂の巣のように穴だらけとなり電車自体が停車すると集団の一斉射撃が止められた。

 緑髪の男は満足げな顔をしていたが、段々と疑問が顔に浮かび始める。

 車両内に誰も居ないのだ。普段なら退勤や下校、ショッピングに向かう人などで賑わっている車内から阿鼻叫喚の嵐が起こる筈なのに、息を呑むような静けさが駅構内に張り詰める。

 (可笑しいな、人が全く居ない。まだ昼の3時だぞ?)

 彼が頭の中を整理しようとした瞬間、駅構内をある声が響き渡った。

 

 「今だ、決闘デュエル開始イイイ!!」

 「…は?」

 

 刹那、彼の隣に居た金髪の男が頭上を撃ち抜かれた。彼は状況を把握出来ないまま音の鳴った方へと目を向ける。そこには、電車内から銃口と共に顔を覗かせる数十人の女子高生の姿があった。

 

 「ヤッベ!!」

 

 本能的に危機を感じ、咄嗟に味方達を盾に支柱へと走り出した。

 緑髪の男を追うように銃弾が滝の様に撃ち込まれ続ける。

 巻き添えを喰らって武装集団の殆どが倒れる中、彼は死角となる支柱の裏へと逃げ込んだ。

 

 (コイツらがこの国のバランスを乱していた奴らか⁉︎)

 

 彼は羽織っているコートの内ポケットから何かを取り出す為に手を伸ばす。

 その瞬間、彼の左側から一つの影が足を振り出そうとしている状態で彼の前に現れた。

 

 バコン‼︎

 

 少年の一蹴りで男の隠れていた支柱全体にヒビが入る。

 

     (仕留め損なった)

     (バケモンかコイツは‼︎)

 

 ギリギリで避けた彼は焦った表情で少年を見る。獲物を狙うかの様な視線を向ける彼と目が合った瞬間、男はコートから取り出したスイッチを手にかけた。

 

 「そうか、お前らかっ!!」

 

 大声を上げながら彼は手に持ったスイッチを押す。それと同時に、天井が大きな音を立てて崩落し始める。連続的な爆発にホームは耐えきれず、瓦礫の雨が少女達に降り注いだ。

 爆発に巻き込まれるギリギリで男はホームから線路部分へと逃げ込む。

少女達の救出に向かおうとした少年は、その姿を見逃さなかった。

 次の瞬間、銃を装備した女子高生数十人がいたホームは跡形もなく瓦礫の山となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ???side

 

 

 「流石に終わったみたいだな」

 

 独り言を言いながら、俺は瓦礫の中から這い出る。コートに付いた土埃を払いつつ、脱出の為にトンネル内へと進み始めた。

 待ち伏せして襲撃した電車から制服姿のガキが出てきた時は何て冗談だと思ったが、設置しておいた爆弾が全てを解決してくれた。

 

 「にしても、あのガキの身体はどうなってんだ?」

 

 一発柱に蹴りを入れただけで全体にヒビが入るなんて見た事がない。

 見間違いだと信じたい所だが、目の前に見える唯一原型を留めていたあの柱がその考えを否定する。…一旦考えるのを辞めるか。

 仲間と銃を失ったが得られた情報のお陰で損得のバランスが取れた。次にやるべき事は大方決まったが、当分は仲間集めだな。

 気を取り直し何処か明るげな表情で歩いていたが、妙な気配を察知し足を止める。

 振り返るとそこには爆発に巻き込まれた筈の少年が全身に血を流しながら立っていた。

 

 「…マジか」

 「大マジだよ、見たらわかんだろマリモ野郎」

 

 さっきの爆発に巻き込まれて立って居られる筈がない。

 しかし、何だこの違和感は? 何か重要な事を見逃してる気がする。

 言い終わると同時に少年が前に向かって飛び出してきた。

 今の奴の態勢は重心を低く保ち、両腕を前後に振っている、言わばダッシュの状態だ。つまり、今は遠距離での攻撃は不可能って事だ。

 さっきも銃を使わずに接近していたのを見るに遠距離を保っている今が1番有利だな。

 俺が今持ってるのは銃一丁とナイフ一本だけ。

 相手が丸腰の今、決着を付ける!!

 

   バンバンバンバンバン!!!

 

 俺はポケットからグロック17を取り出し、直線上にいる奴に向かって怯まずに全弾発射した。

 呼吸が乱れていて狙えなかったが、何とか六発は胴体に、一発は左目に当たった。

 普通の人間ならここで死ぬ筈、なのに何でコイツはまだ動いているんだ!?

 攻撃を受けた少年は決して怯む事もなく、速度も落とす事なく、確実に距離を攻めてきた。

 今ので確信した。信じられねぇがコイツ、映画のゾンビみたいに傷が再生している!!撃たれる前に感じてた違和感の正体もこれが原因だ!

 アイツは血だらけだったが傷跡が一つもなかった。違和感の正体は血塗れなのに傷跡がないという矛盾だったのか!!

 

 「ちっ、化け物かよ…‼︎」

 

 俺は弾切れした銃を投げ捨て、ポケットの中から右手にナイフを取り出す。

 再生能力が優れているからって、刺されたら少しくらい隙が出来る筈だ。

 接近戦に持ち込んでから、隙を見つけて逃げ切る!!

 

 2メートルまで近づいたバケモンが俺に向かって手を伸ばしてきた。

 その掌に向かって俺は鋭利なブレードを突き刺した。

 ナイフは見事に命中し、奴の掌を貫通した。

 

 今だ、急いでここから離れないとーー

 

 「!?」

 

 走り出そうと突き出した身体が銅像の様に動かない。

 右拳に力を感じ恐る恐る見てみると、そこにはナイフを持つ俺の手を刺された状態で握りしめる手があった。

 

 「…お前が殺した彼女達は殺される覚悟を持ってここに来ていた。腰抜かして逃げようとしてるお前にはそれが出来るかな?」

 「っお前、今更なんだ?お説教でもするつもりか!?」

 「さっきの爆発の影響で、この地下鉄には可燃性のガスが線路の窪みに溜まっている。俺のキックで線路に火花が散れば、どうなる事かくらいはお前のオツムでも分かるよな?」

 「おい、まさか自分ごと爆破をーー」

 

 「覚悟はいいか?俺は出来てる」

 

 次の瞬間、少年の線路への蹴りによって火花が散った。これにより、可燃性のガスが連鎖的に発火。地下鉄内は轟音を鳴らしながら炎の海に包まれた。

 

 

 

 

 

 爆発後、俺は壁に手を掛けながらも出口へと進んでいた。

 自爆作戦後、気絶から目覚めた俺は地下鉄内に奴の死体がないか探したがまだ見つかっていない。

 まぁ、クリーナーが何とかするだろう。

 にしても、あの数の銃を日本で使用するなんて考えられるのは一つだけしかない。

 そう、例の銃取引だ。ほぼビンゴと見て間違いないだろう。

 今すぐにでも店長か楠木さんに連絡を入れるべきだが、さっきの爆発の影響でスマホは完全に駄目になってしまった。

 だが顔は覚えた。もし次出会う事があれば絶対に捕まえる。それが、爆発に巻き込まれた彼女達へのせめてもの償いだ。

 

 辛うじて服は無事だが、財布も無ければ家の鍵も無い。つまり今の俺は只のホームレスって訳か。

 …今日はリコリコに宿泊決定だな。明日、千束から合鍵の回収と新しいスマホの購入もやらなきゃ駄目だ。

 必要経費って事でいつかDAに払って貰うからな!!!

 

 翌日。

 

 DAの回収部隊に顛末を伝えた後、俺は何とか喫茶リコリコへと帰還した。

 風呂入った後に敷いた布団に倒れる様に寝込んでから今に至る。睡眠時間は13時間とベスト記録更新だ。

 

 楠木から送られて来ていたメールによると、犯人の遺体は見つからなかった為生き残ってるという線で調査を進めているらしい。

 我ながら徹底的にやったと思ったものだが、現実は甘くないな。

 参加していたリコリスは全員死亡が確認された。全員即死だったとの事だ。

 …あの少し早く気付いていれば数人は救えただろうな。

 そんな考えが頭を過り自己嫌悪に落ちそうになる。

 組織のエージェントだが、彼女達はそれ以前に一人の未来ある少女だ。

 そんな彼女達の未来を潰して、自分だけ結局生き残っている事に嫌悪感を覚える。

 ……兎に角、リコリコの仕事を進めて気を紛らわそう。こんな姿、少なくとも2人に見せる事は出来なーー

 

 「きゃあああああああ破廉恥ィィィイイイイイイ!!!!??」

 

 「うっるさああああああいいいいいいい!!!!」

 

 朝から大声出すとか頭おかしいんじゃないのかアイツ!!(ブーメラン)

 

 俺は声のする方を無視してキッチンの方へと進む。どうせ面倒な事だろうから首を突っ込まないのが得策だ。

 

 「律、おはようございます」

 「おはよう。昨日はあの後大丈夫だった?」

 「いえ、その・・・楽しかった、です」

 

 やばい、なんか涙出そう。数ヶ月前まであそこまで仕事一筋だったあの娘がここまで成長するなんて… 感慨深いなぁ・・・

 そんな事考えているとたきなと昨日のリコリスの姿が一瞬重なる。

 いかんいかん、こんな所でそんなナイーブな事考えちゃいかんな。

 

 「あの・・・さっきから顔色が悪いですよ?何か昨日あったんですか?」

 「…いや、大丈夫。心配ありがとう」

 「・・・あの、さっきから向こうで聞こえるアレはー」

 「たきな、世の中首突っ込んだらその時点で負けな事もある」

 「わかりました」

 聞き分けがよくて宜しい!

 さっきまで疑った様子だったが、一旦納得したたきなが移動しようとした瞬間に後ろの更衣室から大きな声が響き渡る。

 

 「違うちがーーーあ、たきなの!たきなのだから!!!」

 

 たきなと視線があった千束がたきなに指を刺して答える。

 振り返って見てみると、鋭い眼光をしたミズキが少し息巻きながらこちらを目指して歩いているのが見えた。

 …よくわらんが、何かやばい。

 本能で察知した俺はミズキがこれ以上近づかない為に無言で手を前に伸ばしーー

 

 嘘だろ避けられた!?

 コイツ、昨日のテロリストより俊敏じゃねえか!!

 

 俺は何とか止めようと通り過ぎたミズキを止めようと振り返る。

 その選択で俺は後悔する事になる。

 

 後にも先にもこれより長い5秒間は存在しないだろう。

 

 

 「・・・・・・可愛いじゃねえかよ」

 

 捲られていたスカートは何事もなかったかの様に元に戻っていく。

 当然、立ち位置的に俺と千束も見えていた。

 必死に目を逸らそうとする俺を見たたきなの顔が見る見る紅く染まっていく。

 

 あぁ…終わった。

 

 これまで頼れる先輩として積み上げて来た努力が全て音を立てて崩れ落ちる。

 たきなからの評価壊れちゃうよぉ。こんなの実質NTRだろ。

 今や俺の評価は下着を見たド変態である。

 もう銃フェしよう(自暴自棄)

 

 

 「・・・律さん」

 「はいなんでしょうかたきな様」

 「その・・・見えました?」

 「はい、誠に申し訳ございません」

 

 変な誤魔化しは事態を悪化させるだけだ。

 これ以上名誉を傷つけない為にも俺は誠心誠意頭を下げた。

 

 「これは、その・・・・・・律には、見られていい物だと聞いたので…」

 「・・・・・・はい?」

 「ーか、可愛かった、ですか…?」

 「待て待て待て待て」

 

 予想の斜め上くらい答えにくい質問が来た。

 ここは正直に答えるべきか?

 いや、藪蛇を突く可能性も……

 やめとこう、余計な事は言わずに正直に答えるべきーー

 

 「もおおぉぉおおいっそ殺してえええぇぇえ!!」

 

 唐突な千束の叫び声にたきなの目線が離れる。

 回答を誤魔化す為に俺はたきなの元を離れて千束達の所に駆け寄った。

 …何かこの子固定されて公開処刑パンツ晒しされてるんだけど

 自分の妹が公衆の面前でトランクス着けてるの見るのなんか嫌だな。

 まぁ、窮地を脱せたのも事実だし礼は言うべきか。

 

 「千束、お前まじナイス!!」

 「律、お前煽ってんのかぁぁぁ!!!」

 「これまでで1番頼りになったわ」

 「そんな事言ってないで助けてえぇぇぇ」

 

 千束の一声で喫茶リコリコは笑い声に包まれる。

 いつもと変わらない日常の始まりに何処か俺は安心感を覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




GWは執筆時間が増えるからとても良い。

さて、今回高評価を押して下さった
★9
砂男曹長さん、イアシャーロックさん しゃけシャケさん、火斗レアさん

★8
RIN keiさん、諭吉さん、大福さん

ありがとうございます‼︎
高評価は本当にモチベ維持に繋がるからマジで感謝です。
感想の方も全部返信するつもりなので是非!!

展開は原作準拠のまま、敵キャラとしてオリキャラを出すのは賛成?(オリ敵は一人で、オリ主の過去に滅茶苦茶関わっているものとする)

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