これの結果で今後の展開が大きく変わるので是非
イベント行事は準備してる時が1番楽しい
「ではみんな!今回の依頼内容を説明しよう!とっても楽しいお仕事ですよ〜♪」
閉店後、従業員だけの喫茶リコリコにはつらつとした声が響き渡る。
千束から依頼の説明が行われるとの事で全員が広間に集められていた。
「ミズキさんが説明しないのですか?私もう読みましたけど」
「今回やたら乗り気なのよ・・・」
「また徹夜で映画でも観てたんだろ」
「ちょちょちょちょ、そこ!私語はしない!そしてそこのリス!・・・・・・ゲームしてない?」
「聞いてるよ」
その感じで本当に聞いてる奴初めて見た。
ハッキングも出来るし要領は良いしゲームも出来るとか、こいつドラ◯もんより優秀じゃねーか。
クルミからの予想外の返答に驚いていた千束がタブレットの内容を音読し始めた。
「_____依頼人は72歳男性、日本人。過去に妻子を何者かに殺害され、自分も命を狙われたために、アメリカに長らく避難していた。現在は
・・・・・・きん、き、き、きん・・・・・・?」
「筋萎縮性側索硬化症」
「カッコつけずにALSと言えばいいのに・・・・・・」
長い漢字を読むのをカッコよく感じるのは分かるけど無理して間違えるんじゃないよ全く。
呆れ顔で千束の事を見ていると、目線に気付いた千束から無言のチョップが下された。痛い。
「自分では動けないのでは?」
「そう!去年余命宣告を受けた事で、最後に故郷の日本、それも東京を見て周りたいって!」
「観光・・・ですか?」
「泣ける話でしょ?要するに、まだ命を狙われる可能性がある為、bodyguardします!」
「ちょっとネイティブな感じで言ったな」
ボディガードの所が少し言い方凝ってたぞ。
それにしても東京観光か。
観光スポットに関しては千束に任せれば問題ないだろう。
東京での荷物持ち歴幾数年の俺が保証する。
それに千束は一応東京1のリコリスだ。俺もいるし護衛も十分だな。
よっぽどの事がなければ楽勝だなこりゃ(フラグ)
「なぜ狙われてるのですか?」
「それがサッパリ。大企業の重役で敵が多すぎるのよぉ〜、その分報酬はたっぷりだから♡」
「うわ、たきなはコレになるなよ」
「コレって何よコレって!!」
物として扱われてる事にもう少し感謝して欲しい。
っていうか、酔っ払ってるたきなってどんな感じなんだろうか。
普段自制している人間は滅茶苦茶酔っ払うって聞いた事がある。
酔っ払ってテンションが上がってるたきなか・・・見たい。
まぁ、この理論だとミズキは普段自制している事になるので必ず見れるとは限らんけどね。
「日本に来てすぐに狙われるとも思えないけどねー。行く場所はこっちに任せるらしくて、私がバッチリプラン考えるから!」
「旅の栞でも作ろうか?」
「それだ!」
突然のクルミからの提案に千束が目を輝かせながら指を鳴らす。
さて、俺はそろそろ帰宅するとしますかね。
誰の目にも留まらない様に急いでドアに近付くと、かなり強い力が肩にかけられた。
嫌な予感を感じつつ後ろを振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた千束が立っていた。
「何処に行こうとしているんだ貴〜様〜!」
「いやぁ、昨日は徹夜で任務だったし早く帰って身体を休ませようかなと」
「旅の栞作るの手伝ってよ!私の他に東京に詳しいの律しか居ないからお願いだって!」
「お願いにしても心を動かされるようなものじゃないとなぁ」
「お兄ちゃん、可愛い妹からのお願いだから手伝って♡」
「うわキモ」
「キモって何じゃ〜!!」
妹よ、可愛いだけじゃ駄目な時もあるんだ。
あと兄妹の上目遣いと猫撫で声は色々心にくる所があるから辞めて欲しい。
心の中で毒を吐いていると腕を組んで考え込んでいた千束が俺に小声で喋り始めた。
「律ってさ、もし先輩の携帯電話の履歴とか見たらどう思う?」
「内容によっては幻滅するかもな」
「ふーん、じゃあ律はたきなに見られて大丈夫な自信はある?」
「何言ってるんだよ。第一、俺はスマホにロック掛けてるから検索履歴なんか見られる訳が__」
「高校生 髪型 オススメ」
「おいちょっと待て」
「ソシャゲ 課金 平均」
「俺が悪かった」
「喫茶リコリコ 店員 イケメン」
「それは調べてねぇよ!!」
そもそも何でこいつは知ってるんだよ!!
スマホを見られた可能性を考え、俺は咄嗟にキッチンへと距離を置く。
頭を抱えていると、俺の疑問を察した千束が笑いを堪えながら教えてきた。
「クルミに教えて貰ったよ〜。これ見たらたきなはどう思うかな!?」
「検索履歴見るのは反則だろ!?あとクルミは後で説教だからな!」
やばい、こんなの公開されたら俺のカッコいい先輩像が崩れ落ちてしまう。
てか身内に検索履歴バレとか恥ずかし!!
もしかしてだけど注文履歴の方はバレてないよな?
俺が青ざめた顔で頭を抱えていると心配そうにたきながこちらを見ながら近づいてくる。
その様子を楽しんでいた千束も、笑いを堪えるように口に手を当てながらこちらに近づいてきた。
く、来るなッ! オ、オレの……オレのそばに近寄るなああーッ!!!
「栞作り手伝ってくれたらこれ以上何も言わないけど・・・どうする?」
「喜んでやらせて頂きます千束様」
ふと横を見るとクルミとミズキと先生の3人が失望と呆れが混ざった表情を俺と千束の方に向けている。
千束の様子と長年の勘から大人組の二人は察したのだろう。
っていうか栞を今から作るって事はかなりの時間が掛かるって事だよな。つまり徹夜になるって可能性も・・・
深く考えるのは止めよう。
二徹目に入ることを確信した俺は、静かにキッチンからコーヒー豆を取り出した。
翌朝
「うわ、あんた凄いクマ出来てるわよ」
「何時間起きてたんですか・・・」
「コーヒーを2桁杯は飲んだ」
二徹目を経て俺の目の下のクマは黒味を増していた。
結局、提案した張本人の千束は何処に行くかを決めた後に俺を置いて睡眠に入ったのであった。
残された俺は千束が残したダイニングメッセージ(メモ書き)を読みながら栞を丸一冊完成させたのである。
後は内容をクルミがデータ化させるだけだ。
栞作りからやっと解放された俺は更衣室で制服に身を包み、依頼人を待つ為に居間へと出る。
休憩がてら、カウンターで頬杖をついていると外から車のエンジン音が聞こえた。
依頼人だと勘づいた千束が立ち上がって出迎えの準備を始める。
店内に来店を知らせる鈴の音が鳴り響くと同時に、俺とたきなは立ち上がった。
「お待ちしておりました〜!・・・あ」
珍しく千束が声を詰まらせる。
長身の背広な男に見守られ年配の男性を乗せた車椅子が店内へと入り込んで来た。
華奢という単語が思い浮かぶ程の細い身体に酸素ボンベが設置されている異様な姿は、俺達を一瞬戸惑わせるのには十分な物であった。
資料で事前に知ってはいたが、いざ目の前にすると目を見張るものだ。
「______遠い所、ようこそ」
「喫茶リコリコにようこそ、松下さん」
『少し早かったですかね?楽しみだったもので』
機械音声から楽しみにしているのがよく伝わる。
腕や脚だけではなく声まで、顔に付けているゴーグルを見るに視力も殆どないようだ。
それにしても、声を流暢に出せるだけでなく抑揚まで再現出来るとは……先進技術恐るべしだ。
「あ…いえ、準備万端ですよ。旅の栞も完璧です!」
千束が栞を手に取って持つ。
「千束、データで渡そうか?」
「え?……はっ!」
依頼人こと松下さんは自分で動くことが出来ない身だ。
枯れ木のようになった手から彼が自分で何かを読むことが難しいことがわかる。
クルミの発言の意図を察した千束は自分の失言に息を呑んだ。
『助かります。……後はこの方たちにお願いするので、下がっていいですよ』
依頼人の一言でスーツの屈強な男が退店し、車で去って行く。
…あれほどのボディーガードを雇っている上に今回の報酬額……この人、本当に何者なんだ?
依頼人のプライベートを除くなんてことはご法度だが、個人的にかなり気になる。
そんな事を考えながら、俺は座敷でクルミのデータ転送が終わるのを待っていた。
『今や機械に生かされているのです。おかしく思うでしょう?』
「そんな事ないですよ、私も同じですから———ここに」
自分の状況を自嘲しながら話す松下さんに対して、千束が振っていた手を自分の胸の前でハート型に変える。
『ペースメーカーですか?』
「いえ、丸ごと機械なんです!」
『人工心臓ですか』
「あんたのは毛でも生えてんだろうね」
「機械に毛は生えねぇっての!!」
千束からの爆弾発言にたきなの動きが固まる。
ポーカーフェイスを保っているが、作業を続けているクルミからも僅かに動揺が見えた。
「えっ、どういうこ…」
「よし!できたぞー」
たきなが疑問を投げかけようとしたその時、クルミのデータ送信が完了した。
俺制作の栞を閲覧した松下から驚嘆の声が上がる中で、たきなは唖然とした様子で立ち尽くしていた。
こんな突拍子もない情報を急に聞いたんだから当然の反応だ。
逆にここで無反応だったら色々と感性を疑うけど
「では、東京観光しゅっぱ〜つ!!」
千束が率先して笑顔で車椅子を押す。
状況が未だに飲み込めていないたきなの肩をつつきつつ、俺も出口に向かって歩き始めた。
先を歩く俺に急ぎ足で追いついてきたたきなが、俺に向かって口を開いた
「あの、千束の今の話って」
「千束の発言通り、アイツは実質アイアンマンみたいな状態」
「急すぎで情報が飲み込めません、詳細に説明を———」
「律、たきな行くよー!」
「アイアイ、キャプテン」
「聞こえないぞー!!!」
「アイアイ、キャプテン!!!」
「任務中です、2人ともふざけないで下さい!!」
『これは予想外でしたねぇ』
「墨田区周辺は何本も川に囲まれてて、都心を水上バスで色んなところに、渋滞を気にせず移動できるんです!」
錦糸市の観音菩薩ことたきな様からのお叱りを受けた後、移動した俺達は松下さんを含む4人で水上バスへと乗車していた。
隅田川を渡りながら浅草からお台場までを一望することが出来るこのコースは、春には隅田公園に咲く桜を楽しむことが出来るお花見船としても運航している。
目の不自由な松下さんにはあまり向いてはいないかもしれないと危惧していたが、意外と反応がよく懸念点は杞憂に終わった。
手前の橋をくぐり抜け、摩天楼の中にある旧電波塔を俯瞰できる位置に水上バスが差し掛かる。
目の前に広がる景色にテラスにいた他の客たちが沸き立つ中、対照的に松下さんは何処かもの寂しそうに、静かに呟いた。
『やはり折れてしまってますねぇ』
「折れてないのを見た事はあるんですか?」
『いえ、東京に来るのは初めてで……娘と約束してたんです。“一緒に見上げよう、首が痛くなるまで”って……あの世で土産話ができる』
「まだまだぁ〜!始まったばっかりですよぉ〜?」
沈んだ気分を持ち直すために、千束が松下さんの隣で満面の笑みを咲かせる。
目的地への到着を事前に知らせるアナウンスが鳴り響き、俺は松下さんの方へと駆け寄った。
「千束、今からは俺が交代しようか?」
「ダイジョブダイジョブ、それに律疲れてるしあまり無茶しなくていいんだよ?」
「心配してくれてるのは素直に嬉しいけど、疲労の原因はお前だからな」
帰ったら絶対にベットにダイブしてやる。
憤懣の念を含んだ視線を千束に向けていると、会話を静かに聞いていた松下さんが千束に向かって喋り始めた。
『すみません、今から車椅子の操作を彼に変わって貰ってもいいですか?』
「えっ、何か不手際でもありました?」
松下さんの発言に千束の顔がみるみる青ざめていく。
このタイミングで交代を希望するなんて、何か気付かない間にやっちまったか?
俺が最悪の場合を不安視していると松岡さんのスピーカーから優しい声が響いた。
『いえいえ、あなたのガイドには大変満足しています。ただ、少しばかり彼と個人的な話がありまして』
「もしかして…映画とかでよく見る漢同士のアツい会話ってやつですか!?」
「千束、変な探りを入れるんじゃない。大体、松下さんに限ってそんな内容の会話をする訳が」
『まあ、そんな所ですね』
「「そうなの!!?」」
「なんで変な所で盛り上がってるんですか・・・」
そんな、男同士でする会話なんて・・・そっち系な内容に決まってるだろ!!
松下さんもお若いなマジで!!
さて、どんな紳士的な会話が始まるか今から楽しみ_____
『君は若い頃の私と何処か似ているからね。人生の先輩として話がしたいんです』
「…千束、俺をぶん殴ってくれ」
「何を急に言ってるの!?私は嫌だよ!!」
「千束が出来ないなら私が」
「ちょいちょいちょいちょい!!」
えっちな内容を一瞬期待した僕が馬鹿でした。
それにしても、個人的な話とは何のことだろうか。
俺と松下さんは初対面だし、そんな親しい間柄になった訳でもない。
疑問に思っている俺を真面目に引っ叩こうとしているたきなと、それを止めようと押し問答している千束を横目に、俺は車椅子に佇んでいる松下さんに話かけた。
「個人的な話って何です?観光について言い出しづらい事でもありました?」
『いえいえ、観光は大いに満足しています。…1つ、興味深い話をしましょう』
そういって松下さんは俺に背を向けていた状態から振り返り、面と向かって対面した。
松下さん自身の筋肉は何1つ動いていないはずなのに、彼の面持ちが変わった気がする。
松下さんとの雰囲気が着々と変わっていく中、最早聞き慣れてきた機械音声がスピーカーから俺に向かって流れ出した。
『私のような全身の感覚がない人間は、怪我や火傷に気づかないという特徴があります』
『かくいう私も、こんな生活になる前はかすり傷に気づかないなんて事ざらにあったものです』
『その上、感覚がないため暑さや寒さを感じにくく、熱中症や低体温症になっても気づけないことがあるんです』
『そして律さん、貴方はさっきからその手すりに手を掛けていますよね?』
松下さんが怒涛の早さで俺にまくし立て始める。
俺が何か一言言おうとする前に、隙を与えまいと会話も弾幕が飛んでくる。
『この手すりは鉄で出来ています。初夏とはいえ表面温度は約80〜90度、常人なら反射的に手を離します』
心なしか松下さんの口調が強まる。
さっきまで隅にいた2人もいつの間にか隣に並んで聞いていた。
『それに、先程から汗が出ていない上に顔が火照っています。これは熱中症の症状です』
『しかしながら、貴方は熱を訴えるどころかキビキビと動いている』
『この2つで確信しましたよ。なんせ、この姿になる前の私と全く同じなんですから』
『錦木律さん、貴方は全身の感覚がありませんね?』
やっとオリ主くんの設定を作中で語れる所まで来た。
ここまで長かったって気持ちが一瞬ありましたが、自分の執筆速度が遅いだけで話数で言えばまだまだ短い道程であることに気付きました。
これ本当に完結するんか?(他人事)
では、前回高評価を入れて下さった
☆10評価
ANCELLさん、あさあすさん
☆9評価
柿の種至上主義さん、ヨピさん、ジョージⅩさん、來楼羽さん、とっとこハム十郎さん、クッキさん、AL alterさん、スパイダーマッさん、松竹梅684さん、Erlösungさん、ミカンって美味しいさん、正親町さん
☆8評価
みねあさん、水無月ミオさん、てっちゃーんッさん
本当にありがとうございます!!
評価がもらえると本当にモチベ維持に繋がるから有り難い。
感想の方も是非!!
展開は原作準拠のまま、敵キャラとしてオリキャラを出すのは賛成?(オリ敵は一人で、オリ主の過去に滅茶苦茶関わっているものとする)
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賛成
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反対
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