俺がコイツでこいつがあれで   作:熱々の冷やし中華

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X始めました。執筆とか普段の事とか適当に色々呟いてます。
何か質問とかあっても答えるので暇があれば見にきて下さい。
https://x.com/hospecial?s=21


秘密基地が嫌いな男子なんかいません‼︎‼︎

 

 「クルミー、少しは食器運ぶの手伝ってくれよー」

 「癌の情報を少しでも共有してくれたら考えるよ」

 「ちぇっ、ケチな奴〜」

 「大体、力仕事は律の担当だろ?」

 

 腕力があるからって嫌なもんは嫌なんですぅー。

 っていうかそもそもの話…

 

 「…何で俺の癌にそこまで興味があるんだよ?自分で言うのもアレだけど、面白いとこなんて一つもないでしょ」

 「同じ症例の患者が軒並み十歳で永遠の眠りについてるのに、お前は十七でもピンピンじゃないか。これで好奇心が湧き立てられない方が考えられないね」

 「え、何でそれ知ってるの?」

「ウォールナットを舐めるな」

 

 いや、別に舐めてるわけじゃないよ。

 お前が俺のスマホの履歴を抜き取った時からずっと一目置いてるから。

 てか、こいつがハッカーだったの完全に忘れていたわ。

 

 「一つだけ教えてくれたら手伝うのも考えるぞ〜」

 「内容によっては考えるわ」

 

 「お前が銃を使わない理由、答えてくれるか?」

 

 クルミの一言に、作業を続けていた律の動きが止まる。

 何かしらの地雷を踏んでしまった事をクルミはこれまでの経験から悟った。

 

 「…やっぱりさっきのはナシだ。依頼者のプライバシーを詮索するのはボクの趣味じゃない」

 「あぁ、助かるよ」

 

 二人しかいない従業員室に重たい空気が出来上がる。

 針のむしろな状況の中で、クルミは重い口を開いた。

 

 「ボクに言わないのは構わないが、たきなには伝えなくてもいいのか?」

 「……」

 

 クルミの問いに対して律は沈黙を貫いたままその場を後にする。

 やっぱり人の事情に首を突っ込むのは碌な事にならないなと、クルミは改めて思った。

 

 ◯●◯●

 ◯●◯●

 

 「はぁ〜」

 

 ピークも過ぎ去った昼下がり。

 キッチンの片付けを簡単に済ませていると、何か重い吐息の様なものが聞こえた。

 声の方を振り返ると、そこには指先で顎を支えながら何か考え込んでいるたきなの姿があった。

 うん、可愛い(脳死)

 

 「…どったのアンタ?」

 「ため息をつくと幸せが逃げるぞ〜」

 「…………多いんですよ」

 「「え?」」

 「やる事が多いんですよ。夕飯の買い出しと朝干した洗濯物の取り込み、食器洗いに部屋全体の掃除と千束のDVDボックスの整理と…」

 

 冷静沈着なたきなにしては珍しく、少々普段より取り乱しながら事のあらましを語る。

 ゲス魔神千束の犠牲者となった彼女の表情には、少しだけ疲れが隠れ見えた。

 

 「あ、あんたも大変ね」

 「いえ、ジャンケンに負けたのは私なので不満は――……まあ、はい」

 

 流石に不満はあった模様。

 てかそういえば…

 

 「そんなに作業が大変なら料理だけでも俺が手伝おうか?」

 「本当ですか‼︎…でも私の事情で付き合って貰うのは」

 「…トファイターズ6」

 「へ?」

 「スト◯ートファイターズ6が千束に貸してから返ってきてないんだ…今日こそ返させて貰う……」

 「…この前千束と遊ばせてもらったの、律のだったんですね…」

 「昔から何回もやられてるのにアンタも懲りないわね〜」

 

 ふとプレイしたくなった時に出来ないのマジでストレス溜まるから嫌い。

 たきなとミズキと共に千束の事で談笑に花を咲かせていると、休憩終了を知らせるアラームがキッチン中に響き渡る。

 雑談も程々に、俺達はこれから来るであろう常連客に備えてそれぞれの持ち場へと戻って行く。

 

 今日は米岡さんと後藤さんは確定で来るだろうし、2人には新作の大福の方を試食して貰おうかな。

 そんな事を考えながら冷蔵庫へと向かうと千束とクルミが2人で何か物色しているのが見えた。

 クルミは自前のノートパソコンを持ちつつ、残りのスイカで使ったアイスをもう片方の手で持ちながら千束と共にモニターを見据えていた。

 何やってんだコイツら。

 

 「あ、律!丁度よかった。これって食べていいやつ?」

 「俺の目に狂いがなければ既に半分くらい無くなってる気がするけど食べてもいいよ」

 「ありがと〜‼︎ほら見てみぃ!ウチの律は チョ ロ い からこの程度なら大丈夫なんだよ‼︎」

 「はいはい。すまんな律、甘味が欲しかったから頂いたぞ」

 「ゼンゼンダイジョーブ」

 

 千束の返答が真面目の「ま」の字もない物だったのに対してクルミの端正な返答に少々戸惑いを感じる。

 おかしい、見た目は千束の方が年上なのに受け答えはクルミの方が上だ。てか今更ながらクルミって何歳なんだ?

 そんな疑問を頭に浮かべながらも俺は千束の隣からクルミのパソコンを覗き見る。えーと、この前の篠原さんのツーショット写真とその写真に映っていた銃取引の拡大画像か。

 

 「律、この前の地下鉄襲撃班は機関銃を使っていたんだよな?」

 「うん、三発くらい当たって痛かった思い出」

 「じゃあコイツらと地下鉄班は同一って事で確定だな」

 「…あの時DAハッキングしたのもコイツら?」

 「んっ、あっ…ああ、それは…どうかな…」

 

 千束の鋭い発言に対して先程まで冷静だったクルミが急に肩を震わせる。

 彼女の謎の動作に律と千束は不思議そうに首を傾げた。

 

 「ああ、いや…もうちょっと調べてみる」

 「にしてもどうやってリコリスを識別しているのかな?」

 「それ。被害に遭ったリコリスにも共通点らしい物が少ないんだよ」

 「……その制服がバレてるんじゃないのか?」

 「「おっ、なるほど」」

 

 これは目から鱗。

 都内の学校の制服と大差が無いとは言えど、制服自体が特定されていたらそりゃ識別出来るわな。

 千束は早速何らかの策を思いついた様で、従業員室の方へと小走りで向かって行った。

 

 「…リリベルの俺も狙われる可能性ってあるかな?」

 「狙われた所でお前なら問題ないだろ」

 「いや、俺だって痛いのは嫌だし…」

 「男の子だろ?いけるいける」

 

 ……電脳戦専門は気楽そうで良いですね。

 あと『男の子だから』みたいな発言は今の時代は色々と危ないから慎みなさい。

 

 

 ◯●◯●

 

 アスファルトにオレンジの光が照らされる夕暮れ時、俺と千束とたきなの三人は千束お気に入りのセーフティーハウス1号に向かっていた。

 いや〜今日も骨身を削って働いたわ!!

 帰ってゆっくりゲーム…と言いたい所だが、俺とたきなは夕食と片付けという作業があるのだ。

 隣には家主の千束と同棲中のたきなが仲睦まじく喋っている。

 やれ伊藤さんの漫画の進捗がどうとか、今日先生が作った賄いがどうとか、他愛のない内容だ。

 だけど、リコリコに来たばかりの頃のたきなと比べて口数がかなり増えた実感がある。

 あの頃のたきなが今の姿を見たら二度見するだろうな。

 

 

 

 さて、俺は今三人分の夕食を作っている訳だが、隣にはエプロンを付けたたきなが一緒に作業を進めている。

 さっきまでは一人で作っていたのだが、洗濯物の取り込みが終わったらしく、急遽夕食作りを手伝ってくれている。

 部屋の掃除は諦めたらしい。まあ、諦めるのも大切だしな(小並感)

 

 キャベツとひき肉が安かったので、夕食のメニューは和風ロールキャベツに決定していた。

 数分前まで俺がキャベツを巻くのに尽力している間に、たきなは味噌汁の調理へと入っていた。

 いやー、手際が良い人って凄いね‼︎

 

 俺の方も作業自体は終わったし、後は味見と食器に作った物を入れるだけだ。

 …さて、どうやって味見しよう。味覚ないから大丈夫かわからないお。

 自炊の時は誰かと食べる事はないので基本味見しないでも大丈夫なのだが、今回ばかりはそうは行かない。

 

 ヤケクソで小さめの取り皿とスプーンを取り出し、皿に注いだ味付けされた出汁を一口食べてみる。

 うん、わかってたけど味がわからん!

 

 レシピ通りには作っているから大丈夫な筈だが、一応の為に誰かに味見して貰おう。

 誰か丁度良く暇のありそうな人……千束は暇そうだけど色々めんどそうだし無視しよ。

 

 「たきな!これ味見して貰ってもいい?」

 

 俺は隣で手を拭いているたきなに対してやや大きめな声で呼びかける。

 準備が終わりひと段落していた彼女はゆっくりとこちらに近づいて来た。

 

 「すみません、初めて作ったので塩加減が難しくて…それで、どれを試食すればいいんですか?」

 「ロールキャベツのスープの味付けが大丈夫か気になってね、一口でいいから感想貰ってもいいかな?」

 「……いいんですか?」

 「?俺が提案したんだから別にいいだろ」

 

 言い出した本人にどうして二回確認するんだ?

 不思議に思っていると、たきなが髪を耳にかけながら近づいてきて__

俺が持っていたスプーンを口に運んだ。

 

 「…これ、野菜のコクがしっかりあって美味しいですね」

 

 目を丸くしながら味の感想を淡々と述べるたきな。

 えーと、脳が情報を纏めきれてないんだけども…。

 つまり、今さっき起こったのは__

 

 「…あ、俺のを食う感じだったのか」

 

 そう思わず口に出すと、さっきまで澄ました表情だったたきなの顔面が見る見る内に赤色に変わっていく。

 

 「あ……ま、間違え……っ!」

 

 その一言を発しながら、たきなは目を回しながら後ろへと後ずさる。

 …冷静沈着なたきなでも目が回るなんて事あるんだな。

 そんな事より、たきなの情緒がおかしな感じになってる。この状況をリビングの千束に見られたら絶対に面倒な事になるぞ。

 俺はたきなを刺激しないようにゆっくりと近づきつつ、動揺しているたきなの前へとしゃがみ込む。

 変に緊張しない様に呼吸を整えて、俺はたきなに慎重な面持ちで喋りかけた。

 

 「たきな、落ち着くんだ…『素数』を数えて落ち着くんだ」

 「そ、素数……?」

 「『素数』は1と自分の数でしか割る事の出来ない数字…皆に勇気を与えてくれる…2…3…5…7…」

 「え、えーと…11…13…17…19」

 「23…29…31…37」

 「41…43…47…53…」

 

 うーん、自分で始めといて言うのもアレだけど、これどうやって終わらそう。

 31とかで終わると思ってたけど意外とたきなが続けるから終わらすタイミングを見落としてしまった。

 そんな事を考えてつつ二人で素数を数え続けていると、痺れを切らした様子の千束がキッチンへと顔を出した。

 

 「律〜、愛しのお姉さんはお腹が空いたから少し味見を__」

 「…71…73…79…83…」

 「89…91…」

 「97…101…103…105…いや、違う109だ」

 「え、何二人とも何やってるの?」

 「見たらわかるだろ、素数を数えてるんだ」

 「見てわからないから聞いてるんだけど…?」

 

 見てわからないんだったらしょうがない、諦めろ。

 長年の勘か、俺から変な提案をしたんだろうと結論付けた千束は、観ていた映画の続きの為にそそくさとキッチンを後にする。

 続けられる雰囲気では無かったので、たきなと俺は自然と元の作業へと戻って行く。

 グツグツと音を立てる鍋の火を止めて、俺はたきなが運んで来てくれた器に盛り付けを始める。

 一瞬目が合った瞬間、さっきまでの事が何か馬鹿らしくて二人同時にクスっと聞こえない程度で笑い合った。

 

 

 ◯●◯●

 

 

 「アハハハッハハハ!」

 

 リビングからテレビ越しに聞こえてくる芸能人の声と、それと呼応するように反応する甲高い笑い声がキッチンにいる俺たちまで耳に届く。

 二人でそんな千束を呆れた顔で見ながら、俺とたきなは泡まみれの手で食器の汚れを落としていた。千束よ、人をこき使って見るテレビは楽しいか?

 食器が洗い終わり、たきなと二人で食後のコーヒーを運んでいるとリビングにあった千束のスマホから侵入者を知らせるアラームが鳴り響く。

 

 「おー、チンピラがまた来た」

 「まあ、食後の運動には丁度いいかな」

 「…二人で大丈夫なんですか?」

 「足音は二人だけだし余裕っしょ」

 

 そう言っている間に千束は侵入犯のいる部屋へと既に登っていた。

 う〜ん、この家に来るやつって大半が銃を持ってるから色々面倒なんだよな〜。

 そう思いながら、俺は財布から十円玉を一枚取り出す。

 不思議そうに俺を見ているたきなと共に、俺は襲撃犯こいる上階へと向かった。

 

 「あの、その十円玉は何に?」

 「いやぁ、この前観たアニメの主人公がコイン一枚で戦ってたのがカッコよかったから真似しようかt」

 「おい、いたぞ!早く撃て‼︎」

 

 次の瞬間、俺とたきなの方に向かって銃弾が放たれる。

 バンバンバン

 咄嗟にたきなの方へと向かった銃弾を手を犠牲にして塞ぎつつ、空中に放ったコインを襲撃犯に向かって蹴り飛ばす。

 

 ガンッガンッ!

 

 「うぉ、痛ってえ‼︎」

 「はっ、何が起こって…」

 

 蹴り飛ばした十円玉は跳ね返りながら二人の銃に見事命中。

 金属と金属がぶつかる鋭い衝撃音が響きながら、当たった勢いで手にあった銃は空中へと向かっていた。

 二人が武器を失い丸腰になった瞬間を、千束は見逃さなかった。

 

 バンバンバンバンバン‼︎

 

 死なないが死ぬ程痛いで有名なゴム弾が、襲撃犯二人に向かって無数に撃ち込まれる。

 二人が悲鳴を上げながら窓際へと逃げたその瞬間、本日二度目の強めの蹴りによって二人は窓を突き破り、隣のゴミ置き場へとダイブしたのであった。

 …自分が言うのも何だけど、凄く痛そう、

 

 「また窓注文しなきゃ〜」

 「…この為のセーフティハウスですか?」

 「まあね、あんな連中なら良いんだけど、昔はリリベルも来ていたから〜」

 「こっち見ながら言わないでくれ。肩身が狭いから」

 「律の方には来ないんですか?」

 「聞いて驚け、リコリスとリリベルのどっちも来る」

 「…それってかなり危なくないですか?」

 

 意外な事実に対してたきなは驚きを隠せず目を見開く。

 わかるよ、DA関係者なのにDAの人間に襲われてるとか頭おかしくなるよな。俺は随分前にこの事について考えるのをやめたよ。

 

 「まあ、リコリスの方はあくまで楠木さん公認の抜き打ちテスト的な感じで襲って来てるだけだから大丈夫」

 「そういえば去年は私が遊びに行ってた時来たよね〜あの時は不意打ちだったから死ぬかと思った〜」

 「…ま、まぁ司令公認なら命に別状がないので大丈夫なのでは」

 「1番問題なのは楠木さんはリコリスにテストな事を伝えてない所だな。毎回ガチで殺しにくるから怖い」

 「えぇ……」

 

 おっ、たきなから楠木さんへの尊敬の念が壊れる音が聞こえてくるぞ。

 いやーこんなに耳が聞きてて幸せになる音も中々ないですね。

 一時間耐久のASMR動画にしてやりたい。

 

 俺が至福の瞬間を味わっていると後ろから袖を引っ張られる。

 振り返るとそこには少し気迫のある表情をしたたきなが居た。 

 えーと、これは怒っているのか…?

 けど俺自身は特に駄目な事は言ってない筈……。

 

 「…襲ってきたリコリスと交友関係はあるんですか?」

 「考えてみてくれ、自分を本気で殺しに来た人間達とと仲良くなれる自信あるか?」

 「ないですね」

 「だろ、つまりそう言う事だよ」

 

 嘘です、本当は可愛い子にはメアドとか聞いたけど全部断られたから関係が全くないだけです。

 だってこの職業だよ?出会いなんて無いからこれ狙うしかないじゃん‼︎

 断られ続けた結果、俺のL◯NEはリコリコメンバーとフキしか無いんだぞ‼︎

 けど、別にアンタ達現在のL◯NEの友達が嫌いって訳じゃないんだからねッ‼︎

 

 「……なら良いです。」

 

 なら良いのか、なるほどな(わかってない)

 俺の回答を聞いた瞬間、たきなの表情はパァっと明るくなった様に見えた。

 今の回答の何処に嬉しくなる要素なんてあったんだろうか。

 自分の勘違いの可能性もあるが、女の子の考える事はわからんもんだな。

 

 俺はそんな事を思いながら、本来の目的であるゲームソフトを取り戻す為に部屋を後にした。




前書きでも言いましたがX始めました。
このアカウントで動きがなかったら執筆をサボっている証拠です。
画面の前の君もフォローして、皆んなで投稿主の監視者になろう‼︎

では、前回高評価を入れて下さった
☆9評価
 ナギンヌさん
ありがとうございます!
これがあるお陰で執筆を続けられてると言っても過言ではない。

そして今更ですが、感想を書いて下さった
 モンスタブーさん、樽々宗須 さん、ANCELLさん、
本当にありがとうございます‼︎
感想はモチベに本当に繋がりますし、何より私が嬉しいのでよければ何か書いて行って下さい。

展開は原作準拠のまま、敵キャラとしてオリキャラを出すのは賛成?(オリ敵は一人で、オリ主の過去に滅茶苦茶関わっているものとする)

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