俺がコイツでこいつがあれで   作:熱々の冷やし中華

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答えは『それな』です。
ウ◯コを思いついた人は小学生の純粋さを見習って下さい。


第8話 Another day,another doller
男子小学生が好きな単語ってなーんだ?


 

 「律〜、スペシャル3丁‼︎」

 「ちょっと待て、俺を過労で殺す気か⁉︎」

 「律は回復早いし大丈夫でしょ」

 

 申し訳ないが正論はNG。

 千束スペシャルは千束がリコリコを始めた直後に考案されたスイーツだ。

 特製のワッフルコーンにアイス、寒天、クリーム、小豆、栗きんとんを乗せてプリッツを刺す事で完成する、いわば"ボクのかんがえたサイキョーのスイーツ"って奴である。

 そして、このクオリティで値段は1200円、つまり原価率がかなり高いのだ。

 そんな商品を一日に何個も売ってしまうと、必然的に利益率がとんでもない事になる訳で……

 

 「マズいです、このままでは……」

 「………へ?」

 

 察しの良いたきなはこの店の現状について大体把握していた。

 そう、今年二回目のリコリコ閉店のピンチである。

 

 俺を含めた六人が集められた従業員室に、キーボードのタイピング音が静かに鳴り響く。

 皆が固唾を呑んで見守る中、たきなの懸命な作業によって現在のリコリコの収支状況が導き出された。

 えーと、支出額に対して収入額が……

 

 「……赤字だな」

 「ま、まぁ依頼での報酬もあるかr」

 「そのお金を合算してもコレです」

 

 開いた口が塞がらないとはこの事だな。

 たきなは画面上に映し出される結果に対して、眉間に皺を寄せながらミズキに問いかける。

 

 「銃弾や移動にかかる経費はどうしてるんですか?」

 「DAからの支援金があるのよ。千束のリコリス活動費って名目で」

 「完全に足出てますよね」

 

 すごい、たきなの顔が分かりやすく険しくなっていってる(小並感)

 俺が何処か他人事の様にその様子を先生と見ていると、ミズキがビシッと人差し指を千束に向けながら言った。

 

 「いやコイツが高い弾をやたら撃つからよ!」

 「あのパフェもな」

 「……独立してると言いながらお金はDA頼ってた、と」

 「うぅ……楠木さんみたいなことを……り、律はどうなのさ‼︎」

 「俺は基本的に素手だから大きな支出は無いぞ」

 「……律が銃を使わないのはこの事を見越して…?」

 「「違う違う違う違う」」

 

 真面目な顔して見当違いな事言ってるんだよ?ギャクセン高くて少し感心しちゃったし。

 急にボケを挟む様になるなんて……たきなも成長したんだなぁ。

 俺と千束が、我が子の成長を見守る親の様な目線をたきなに向けていると、一瞬だけ彼女は決心を固めた表情になる。

 机を陣取っていたパソコンを閉じ、皆に向かって力強く宣言した。

 

 「……分かりました。以後、私がリコリコの経理をします!」

 

 

 

 ◯●◯●

 

 

 

 

 経営がたきなに変更されてから早一週間、リコリコでの俺たちの動きは劇的に変わっていた。

 電気の無駄遣い防止や余計な支出を出さない為のサポートをたきなが一生懸命やってくれたお陰で、ギリギリ赤字からの脱却には成功した。

 同時に千束が任務中にゴム弾を過剰に撃たない様に、たきなが付きっきりで動く様にもなった。

 それと同時に、俺の裏稼業の割合が圧倒的に増えた。

 クリーナー代すら出さずに終わる俺は、たきなの経営戦術においてとても都合が良かったらしい。

 さっきも違法薬物の現場押収をワンオペでこなした所だ。

 骨が折れる仕事だぜ、本当に折れているけど。

 

 重い足取りでリコリコまで到着し、客に任務で出来た汚れなどを見せない為に裏口から入ると、何やら従業員室の方が騒がしいのが聞こえてきた。

 何だろう、面白い事になってる気がする(ゲス顔)

 ワクワクする気持ちを極力抑えながら、俺は休憩室へと続く扉に手を掛ける。

 そして、勢いよく取っ手を引いたその先には、人生で初めて目にする光景が広がっていた。

 

 「あっ律、おはようございます」

 「え、あっうん。で、その机に乗ってるのは…」

 「新メニューのホットチョコパフェです‼︎寒くなる今の時期にピッタリかと」

 

 ⋯⋯えーと、これって何かのドッキリか?

 机の上にあるのは、どう見ても狙って作ったとしか思えないソレ。

 茶色く、螺旋状に巻いてあり、湯気まで出ているソレはとある物質を連想させるには充分過ぎるモノだ。

 ふと奥に目をやれば引き攣った顔をした千束とミズキがいた。

 様子を察するに、この二人は真意を伝える事が出来なかったんだろう。

 

 うーん、どうしよう。

 この前、たきなには嘘を吐かないって決めたばっかりだしなぁ…

 しゃーない、俺が汚れ役を買って出るか。

 

 「何て言うか、その、言葉を濁さずに言うと……⋯ウn「はい律ストォーープ!!!」

 

 俺が言い終える前に、千束が俊敏な動きで俺の口元を手で抑えに動く。

 ちょっと、息が苦しい……。

 千束は俺の口を抑えた状態で休憩室の隅へと俺を移動させる。

 手が離され呼吸を許された俺に対して、千束は小声で疑問を投げかけた。

 

 「ちょっと、何ウ◯コって普通に言おうとしてるの⁉︎」

 「だって誰かがウン◯って言わないといけないだろ⁉︎絶対に良くない事が起こるって‼︎」

 「そもそも◯ンコに見える律の目が可笑しいんだって!どう考えてもアレはウ◯k……」

 「お前だってウン◯って言ってるじゃねーか‼︎」

  

 「あの、二人とも⋯⋯?」

 

 「……でもホットチョコパフェにも見えない事はないし」

 「いいや、完全にありゃウ◯コです。オーソドックスウ◯コです」

 「そもそも何回もウ◯コ連呼しないで⁉︎」

 「先にウン◯連呼したのは千束だろ⁉︎」

 「私はまだ四回しかウ◯コって言ってない!律はもう五回も言ってる!」

 

 ほぼ同じじゃねーか!!

 俺が千束との口論に頭を悩ませていると、たきながどこか不思議そうな表情を此方に向ける。

 それに気付いた千束がスプーンで素早くチョコパフェを掬い、それを俺に向かって差し出しながら言った。

 

 「と、取り敢えず味見してみない?」

 「お、おう。そうだな」

 「え、律は味覚が無いのでは―――」

 

 たきながその一言を言い切る前に、俺は口の中へやや強引にスプーンを突っ込む。

 口内に柔らかく温かいクリームが広がり、チョコの香りが鼻を突き抜けて行くのを感じる。

 うーん、何と言うかこの、芳醇な感じが⋯

 

 「⋯味がわからん」

 「逆に何で途中まで美味しそうに食べれてたのよ」

 

 無表情で食べるのは色々と気まずいからだよ。

 

 さて、長年の勘での判断ではあるが、このウ○コパフェは見た目はアレだが味自体はちゃんと美味しく仕上がっているようだ。

 しかもこの見た目、美女二人がウ○コを持ち運ぶ姿はかなりの画になる筈。これでバズったりしたら集客もかなり見込めるし⋯⋯

 

 「律はどう思います?」

 

 よし、今はこの純粋( ピュア)な少女のご厚意に応えようじゃないか!

 

 「勿論、採用で」

 

 

 ●○●○

 

 「⋯今日だけで何回これ( ウ○コ)見たんだろ」

 「さあ、一生分は見たんじゃない?」

 「孫世代の分まで見た気がするのは気の所為なのか⋯」

 

 結果だけ言おう、たきなのチョコパフェは大成功した。

 SNSを中心に口コミが広がり、『美女がウ○コを運んでくる変な店』として大バズリしたのだ。

 投稿を見た人によって連日客が押し寄せ、今も店の外にはチョコパフェ目当ての人間が長蛇の列を成している。

 そして、影響は従業員側にも着々と及んでいて⋯

 

 「律、あと三つ追加で!」

 「千束、これ二番さんな」

 「あの、他のメニューは⋯」

 「喋ってる暇があるなら手を動かしなさいッ!!」

 

 ご覧の通りの重労働である。

 千束やたきなは運搬専門だからまだいいが、朝から同じメニューしか作っていない俺とミズキはかなり追い込まれていた。

 単純作業を四時間も続けると、常人は気が狂うらしい。

 目眩も酷えし頭が痛くなってきた。

 しかもハンカチが二つに見えてきた。とんでもねぇ何だこのメニュー!?

 

 「3番上がりよー!」

 「俺が持って行く――えっ」

 

 俺がパフェの方へと視線を向けると、黄色い和服を身に纏い、両手で皿を抱えるクルミに目が留まる。

 ミズキもそれに気が付いたのか、彼女の格好を見て目を見開いた。

 

 「アンタ働くの!?どういう風の吹き回し!?」

 「忙しいからボクにもやれって……千束が」

 「⋯ねえ、誰か俺の頬を抓ってくれない?」

 「人が働き始めたのに失礼な奴だな⋯⋯」

 

 そう毒を吐きながらもクルミはチョコパフェをテーブルへと運びに向かう。

 耳を澄ませて聞いていると、座席にいる客に『可愛い〜』と持て囃されているのが聞こえた。

 羨ましい…女性にチヤホヤされるとか羨ましい過ぎる。俺は朝からウ◯コ量産してるのに。

 

 「先生ェ〜、休憩まだ?」

 「スマンが暫くはまだ……いや、何でもない。少し休憩してこい」

 

 …なんか先生が俺の顔見た瞬間に休憩許可してくれたんだけど⁉︎

 え、何?俺って顔に出るくらい疲労が溜まってるのか⁉︎

 確認の為に隣へと顔を向けると、そこにはワンオペが確定し絶望のあまり目が回っているミズキの姿があった。

 口をあんぐり開けて悲嘆しているその顔は、気の毒を通り越して少し面白いまであった。

 可哀想だが仕方ない、神先(先生)は俺に微笑んだのだ。

 俺はミズキの肩へと手を置き、笑顔で口を開いた。

 

 「ミズキ、どんまい」

 「あ、あっ、あぁ…………」

 

 お悔やみ申し上げます。

 

 さて、休憩するのは良いが何をするべきだろうか?

 少し眠たいくらいで、別に今すぐ寝たいって訳じゃ――

 

 「律も休憩ですか?」

 

 休憩室のドアに手を掛けていると、後ろから声を掛けられる。

 振り返るとそこには、チョコパフェ発案者ことデザインの天才、たきなの姿があった。

 

 「俺は今から休憩。もっと続けるつもりだったのに先生に止められたんだよ」

 「⋯⋯その状態で続けるつもりだったんですか?」

 「今の俺の顔色ってそんなに悪いの⋯?」

 

 ちょっと怖くなってきたんだけど?

 休憩室内の座卓の前に二人で腰掛けると、座れたからか一気に眠気が込み上げてくる。

 うん、これ多分かなり限界が来てるな。

 

 「もしかして眠いんですか?」

 「うーん、まあ少しだけ。じゃあそろそろ厨房に――」

 「駄目です」

 「⋯へ?」

 

 立ち上がろうとする俺をたきなの手が強く引き留める。

 

 「睡眠不足は免疫力の低下に繋がります。今すぐ仮眠を取って下さい」

 「いや、けど時間が⋯」

 「店長が許可を出したんです。時間の心配は不要かと」

 

 いや、だからって勤務中に寝るのは御法度でしょ。

 

 「けど今から布団を敷くのは面倒くさい」

 「なるほど」

 「だから今日はそろそろ仕事に戻らせてもら――」

 「じゃあ私の膝を貸します。だから少し寝る事。いいですね?」

 「………………………………………………」

 

 えーっと、何を言い出すんだこの娘。

 膝で寝るってつまり、そういう事(膝枕)か?

 

 「⋯いや、本当に何ともないから」

 「組員の健康管理も私の役目です。寝て下さい」

 「でも」

 「これ以上は言わせないで下さい」

 「ハ、ハイ⋯⋯」

 

 威圧感がスゴい。むっちゃ悪寒がした。

 これが”わからせ”って奴か。

 

 言われるがままに膝上に頭を預けた瞬間、ふんわりとした温もりに包まれた。

 脚に当たる畳の冷たさとは対象的に、彼女の体温がじんわりと伝わってきて、思わず目を閉じる。耳元で微かに衣擦れの音がして緊張が高まるのとは対照的に、温もりを感じた体は自分でも驚くほどに安らいでいた。

 

 眠りに落ちてしまわない様に必死に堪えていると、ほんのりと甘い、そして落ち着くような香りがした。睡魔に襲われているのもあって、意識がどんどん保てなくなっているのを感じる。

 

 ヤバい、そろそろ限界が―――

 

 

 「おやすみなさい、律」




流石にウ○コ発言が多すぎたので王道ラブコメ展開で軌道修正しました。
あと予約投稿忘れてて深夜に更新しちゃったのは許してね。

今作のタイトルの略、何が良い?

  • 俺コイ
  • 俺あれ
  • コイアレ
  • その他(案があったら感想欄に書いてね)
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