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「御来店ありがとうございましたァー!」
シフトの時間的に最後であろう客が出て行くのを見送っているとポケットに振動を感じた。
画面に表示された名前は____錦木千束だ。
・・・・・嫌な予感しかしない。
「ハイ、もしもしインフィニティユナイテッド田中です。壺は家では間に合ってますのでお母さんが帰ってきたらまた掛け直して下さい」
『・・・・・私は律に迷惑電話をした覚えがないんだけど?』
「休憩中のお前の電話は充分迷惑だよ。で何の用?」
『お泊りセット持って来てくれない?今から現在地送るから』
「ちょと待て、お前今からシフトだろ?
何遊ぼうとしてんだよ働け」
『遊びじゃないです仕事ですぅ!今日ストーカー被害に遭ってる女性を泊まり込みで護衛することになったんだよ』
「でもそれお泊りセットなくても良くね?」
『そんなんだからモテないんだよ』
「人間言って良い事と悪い事があると思う」
『じゃあ今送った所にお泊りセット持って来てね〜!』
「おいお前シフトは『プツッ』‥逃げたなアイツ」
通話終了と書かれた画面を消し、千束から送信された位置情報を確認する。距離的には遠めだが走れば5分程度で着く距離だ。
エプロンを脱ぎつつ押し入れに向かい千束のお泊りセットを取り出す。受付の方へ向かいカウンターにいるミズキに話しかけた。
「ミズキが入ってた夕方からのシフトって今日だっけ?」
「アタシが夕方に入っているのは明日と金曜だけよ。だから今日は帰ってゆっくり将来のフィアンセ♡を探す予定よ!」
へっ、引っ掛かったなアホめ‼︎
「じゃあ今日はこの後暇ってことだな。今から千束の分のシフト変わってくれ」
「ハァ⁉︎嫌よ、私は帰って将来のフィアンセを探す予定が」
「どうせ見つからないんだから無駄なことしないで仕事しとけよ。運命の相手って言うのは探し出すんじゃなくて惹かれ合うものってよく言うし」
「彼女の1人でも作ってから言えガキンチョ!」
「じゃ、そういう事なので、先生行って来まーす!」
「怪我しないよう気を付けるんだぞ」
住宅街の屋根を飛び移り続けること5分、待ち合わせ場所に佇む千束を発見する。その背後に飛び降り、振り向いた千束に声を掛けた。
「佐◯急便で〜す。お届け物を届けにやって参りました」
「ご苦労さん、シフトは大丈夫だった?」
「ミズキに代役やらせてるから大丈夫、それよりたきなはどうした?」
「え、律ってたきなの事そんなに気になるのぉ〜?たきなは可愛いからね。男の子は異性のこと気になっちゃう年頃だししょうがないか」
「いや、冗談言ってる場合じゃなくて、たきな意外と大胆な事するから1人にしていたら護衛対象を囮にするくらいの事やりそうで心配で」
「・・・・・・・・」
「お前も思い当たる節があるのかよ」
「違うよ⁉︎それにたきなだって人の命を危険に晒してまで任務をする訳ないでしょ!」
駄目だフラグにしか聞こえん。
「取り敢えず早く現場に向かおう。これで何事も無ければ俺が戻るだけでいいし」
「ちょっと待って!乗り物で迎えに来てくれると思ってたから心の準備が」
「つべこべ言わずに行くぞ。ほらしっかり掴まっとけ」
「ちょちょちょちょちょちょ心の準備がぁ!」
暴れる千束を無視しつつ半分おんぶの状態になりながら大きくジャンプする。住宅街の家の屋根を転々と移動しながら現場へと向かった。
❖
バン!バン!
住宅街を飛び回り千束がたきなと別れた場所へと近づくと微かだが鋭い破裂音が聞こえた。金属が弾け飛ぶようなこの音は間違いなく銃声だ。 いやぁこの間の機関銃からの銃弾の雨を思い出しますね(震え声)
銃声がする方へと近づくとたきなが銃を構える姿が見える。近くの住宅から道路に着地し千束を降ろした。
「うぷッ、今日のお昼吐きそう」
「言ってる場合か、予想通りたきなが1人で行動している。早く止めてこい」
「オッケー。あと律お願いがあるんだけど」
「ガトーショコラはまだ残ってるって。そんなに食意地張るなよ」
「違う違う。後でたきなに音ありで撃たせるからそれが聞こえたらすぐ後ろの2人確保して」
「了解、骨折れる程度で行くから治療よろ」
千束がたきなの方に向かったのを確認し車の横にある一軒家の屋根に身を潜める。武装した連中を確認すると全員が銃を持っていた。おい銃刀法仕事しろよ。 さて、銃を持った2人を押さえつける方法を考えてみよう。
step1 急に上から降りて来て相手は動揺
step2 その隙を突き銃を回収&相手を無力化
step3 護衛対象を救出
勝ったな風呂入ってくる。そんな下らない事を考えていると閑静な住宅街に金属が弾け飛ぶような乾いた音が鳴った。合図と同時に俺は住宅街から飛び出し、武装した2人の後ろに音を立てて着地した。
気づいた1人が銃をこちらに向けるが素早く相手の手を蹴り上げる。相手が反撃する前に顔に1発強めのパンチを撃ち込み気絶させる。
痛そう(他人事)
続いて反対側からもう1人が撃ってくるが、
「これ本当痛いから嫌なんだよなぁ〜」
そう言いながら左手を見るとさっき
千束が運転手の男を治療しているのを横目にクリーナーへの連絡を行う。
「律、クリーナーお願い!」
「今連絡してる。それより今度からお前が直接頼めよ。履歴から俺が頼んだって事になってミズキに文句言われるんだから」
「えぇ〜いいじゃんそれぐらい〜。そんなんだと女の子にモテないぞ〜!」
「あっすみませんやっぱり4人じゃなくて5人回収して貰っていいですか?」
「命大事にって、敵もですか?」
クリーナーに電話しつつ千束と
「「そう、敵も」」
なんか同時に回答すると双子を感じますね(小並感)。 まあ普通のリコリスならあの反応が普通だよな。
「たきなちゃあああん!」
解放された護衛対象が泣きながらたきなに抱きつく。step3も完全に完了だ。頭の中でそんな事を考えつつ一旦止めていたクリーナーとの通話を終える。 後ろを振り返ると、そこにはどこか納得のいかない面持ちのたきなの姿があった。
翌日。
「イチャついた写真をひけらかすからこんな事になるのよ〜」
「僻まない」
「大人気ないぞ〜三十路」
「僻んでないわ!SNSへの無自覚な投稿がトラブルを招くって言ってんのよ!あとアタシはまだ活きのいい27よ‼︎」
結婚適齢期を過ぎた年齢には変わりないと思いますが・・・とは口に出さないでおこう。流石の俺でも進んで自殺行為をする馬鹿ではないので。
写真を見た先生が目を顰めた。
「どれだ?」
「ここですよ、これ。」
「・・・・・あの日か、」
「3時間前らしいです。確かに可笑しいとは思いましたよ。突入した時の人間はお世辞にも交渉に適している人間には見えませんでしたし。」
「楠木さん、偽の取引時間掴まされたんじゃなーい」
「フッ、あんなドヤっといて別の取引時間掴まされるとかッww」
だが、お陰で銃千丁という戦争を想定したかのような量の武器の行方は分からずじまいだ。
「その女襲った奴らはどうしたの?」
「クリーナーが持ってった」
「アンタ・・・・・またクリーナー使ったの!高いのよ⁉︎」
「DAに渡したら殺されちゃうでしょ?」
「ったく!!」
ミズキが声にならないような悲鳴を漏らす。
自分が呼んだとは言わないでおこう。
「DAもコイツら追ってるんでしょ。先に私たちが捕まえたら、たきなの復帰も叶う。ーーたきなもそう思わない?」
「やります!」
話を聞いていたのか、着替えが終わったたきなが扉を開けて現れた。
「おっほ〜!かわいい〜!」
千束がいつもの調子で新しい姿のたきなの元へと駆け寄る。 あったきな面倒臭そうな顔した。気持ちは分かるぞ頑張れ。
「ほら、先生も律もミズキも、もっと寄って!」
パシャという音と共にその一瞬の時間が切り取られる。
「アンタさっき私が何言ってたかーー」
「大丈夫ここには向かいのビルもないよ」
千束とミズキの戯れを横目にたきながそっと俺に近づいてきた。
「あの、似合ってますか?」
そう言いながらたきなが着物の裾を持ち此方に見せつけてくる。
「うんたきなにぴったりだよ」
「・・・ありがとう御座います。」
「コラっ、たきなに色目使うな!」
「何も使ってねえよエゴサ魔人」
2人で不毛な争いをしていると入店を知らせる鈴が響いた。さあ、今日も働きますかね。
「「いらっしゃいませ!!」」
不安と期待が混じった声が店中に響いた。
作戦終了後、私は合流した律さんに正座させられていた。
状況から察するに私が護衛対象を囮にした事への対応だろう。
彼は、左手を抑えている。
話には聞いていたが驚いた。
銃弾の威力で貫通した手が数秒程度で再生するのは頭では理解していても混乱するものがあった。 そんな中私は司令がここに来る前に言っていた事を思い出していた。
『配属先にもリコリスがいる。生意気だか優秀な奴だ、学べる事もあるだろう。』
『・・・はい』
『それとあそこにいる協力者にも宜しく伝えておいてくれ』
『・・・協力者?』
『10年程前から協力者として活動している者だ。現場でも真面目にやらないような只の変人さ』
だが、司令は笑いながら言った。
『変人だが奴は絶対に死なない。武術の腕も本物だ。頼りにするといい』
『随分と信頼なさっていますが、何故それ程彼の事を「変人」とお呼びになるのですか?』
『・・・・・まぁ色々だが、1番の理由はーー』
ーーアイツは銃を任務に使わないーー
最初に聞いた時は半信半疑だった。確かに一回彼に会った時に彼は銃を使わなかった。 それに第一印象も顔立ちの整った青年というだけだ。
体は細身でフィジカルが強い風にも見えない。 常にテンションが高めなだけで変人という訳でもない。
だが実際の戦闘を間近で見てそれは確信した。
顔を守る為だけに手をすぐ犠牲にし、その場にある物を臨機応変に使い敵の隙を作る。常に自分に有利な状況に変えるなどこの人にしか出来ない事だ。
とても優秀という言葉の意味は理解できた。
そんな優秀な彼が今、怒っている。
「自分が何故この状況になっているか分かる?」
「・・・・・・・・・・・・・いえ、」
「千束は優しいから君に何も言わないから、俺が代わりに言うね。今回の任務はほぼ失敗と言っていい。」
「何故ですか⁉︎護衛対象は」
「生きているから良いって訳じゃない」
律さんの口調が強くなる。
「そもそも君が課せられた任務は銃の在り処を吐かせる事ではなく、護衛対象の安全を護ることだ。」
「・・・・・・・・・・」
「君は自分の都合で護衛対象を未然に防げた危険に巻き込んだ。ウチの方針云々以前の問題だよ」
痛烈な批判が心に刺さる。
確かに護衛対象を犠牲にしたのは事実だ。
殺ししかしてこなかった為護衛が初だったとしても言い訳にもならない。
何より、ここまで自分に親切に接していた律さんにここまで言われて初めて事の重大さに気付いた。
まるで成長していない自分に不甲斐無さすら感じる。
「成果を早く上げて復帰したい気持ちは痛い程よく分かる。だけどそれは他人の命を疎かにしてまでやる事じゃない」
「・・・・・はい」
「わかったなら次からは行動で示すように。今回の件は楠木さんには黙っておくから。」
「・・・・・すみませんでした」
「それと」
正座している自分の顔に律さんの手が近づいてくる。
一瞬頬を叩かれるのかと身構えたが時間が経っても何も起こらない。
恐る恐る目を開けると
「無事で良かった。初任務お疲れ様」
想像もしてなかったセリフに固まる。
「家は敵も自分も命大事にの方針だから。これからは怪我や命に関わる事があったらすぐ報告するように」
「・・・・・はい」
「よし!説教は終わり。こういうの苦手だからマジ疲れた。ホラ、早く立って歩こう」
普段の扱いからは想像も出来ないようなセリフに現実を疑いそうになる。使い捨ての存在である私達に無事で良かったなど変な事を言う人だ。
足の痺れを感じつつ重い腰を上げながら彼の後ろ姿を見て思った。
司令が言っていた通り、本当に変な人だなと。
もしかしたらミスってたりして消すかも知れない
オリ主君のスペックは次話以降少しずつ解禁していきます
展開は原作準拠のまま、敵キャラとしてオリキャラを出すのは賛成?(オリ敵は一人で、オリ主の過去に滅茶苦茶関わっているものとする)
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